http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-dce9.html
<転載開始>
2012年6月19日
Paul Craig Roberts
1962年の著書『沈黙の春』で、レイチェル・カーソンは、DDTやその他の化学殺虫剤を禁止させ、鳥の命を救った。今日、最低の私的費用と最大の社会費用で、天然資源から最大の利益を引き出すように設計された科学技術によって直接脅かされているのは人類だ。
かつて豊富だった清浄な水は希少資源になってしまった。しかも、アメリカでは地下水も地表水も汚染されており、山頂露天掘り採鉱、水圧破砕やその他の“新技術”によって使えなくされている。例えば、東部モンタナの牧場経営者達は、汚染された水によって、牧場経営から撤退させられている。
沖合での石油採掘と、化学肥料農法の流出液がメキシコ湾の漁業を破壊している。世界の別の地域では、短期的漁獲高を最大化するのに使用される爆薬が魚の生命を維持してきたサンゴ礁を破壊している(http://aquatek-california.com/coral-reef-destruction/)。短期的な農産物生産の為の森林破壊が生物が多様な熱帯雨林を不毛の土地へと変える結果になっている。“新世代の人々”は資源の乏しい地球を未来の世代に残しているのだ。
原子力発電所は、軽率なことに地震や津波の多い地域に建設された。使用済み核燃料棒は原発内に保管されているが、これは原発に対する大惨事や天災の破壊力を強化してしまう慣習だ。
最新の脅威は除草剤に耐性がある農作物を創り出す遺伝子組み換え種子によってもたらされる。モンサントのランウドアップ除草剤中の有効成分グリホセートは、現在スペインの地下水を汚染している有毒物質であり、アメリカの地質調査によれば、現在“雨やミシシッピー河流域の流れで普通に見つかる”ものだ。
2011年、植物病理学者で土壌微生物学者のドン・ヒューバーは、遺伝子組み換え生物と、それと併用される除草剤の予期せぬ結果について、アメリカ農務長官に手紙を書いた。極めて重要な微量栄養素や土壌肥沃度と食べ物の栄養価に対する悪影響に彼は言及している。植物が鉄やマンガンや亜鉛等のミネラル、つまり動物や人間の肝機能と免疫反応にとって重要なミネラルを集め、蓄えるのを妨げてしまう代謝経路の損傷に言及している。土壌中の微生物に対する毒性作用が自然のバランスを乱し、植物病害の大幅な増加をひき起こすことに言及している。ボツリヌス中毒による家畜の死亡、動物の早すぎる老化や、動物と人間の不妊症の増加に言及している。
アグリビジネスの力のおかげで、遺伝子組み換え生物の研究を行うことはほとんど不可能になっており、国民を守る責任を負っている監督官庁は業界自身の自分勝手な研究に依存しており、規制を決定するための基本になるような独立した客観的な科学は存在しないと、あるインタビューでヒューバーは述べている。
要するに、数年間の豊作を確保する為に、我々は土壌の肥沃度や動物と人間の命を破壊しているのだ。
人類は世界を長い間破壊し続けてきた。非常に面白い本『1491』で、チャールズ・C・マンはクリストファー・コロンブスによって解き放たれたグローバリズムの、環境や人間や文明に対する悪影響を述べている。これらの中には、人や植物の病気の国際的な伝播や、森林破壊、人々や帝国の破壊や、スペイン新世界の銀による遥か離れた中国への影響がある。
エリートとエリートが支配している人々の行動によってもたらされる、意図せず予期せぬ結果における歴史の教訓を、マンはあげている。中国政府は銀の量を単位にして、税金を固定していたが、スペイン銀の輸入により、価格が暴騰し(一定量の銀の価値が低下し)、政府は十分な歳入が得られなくなってしまったのだ。
後継政府、王朝は、海賊達の供給源を絶つ為、中国人を海岸から強制退去させた。強制退去させられた何百万人もの人々が、段々畑農耕で生きて行く為に、山腹の樹木を切り払った。森林破壊の結果は、台地のみならず、下流の肥沃な流域の農作物をも押し流す洪水だった。その結果、洪水は中国の食料供給にとって最大の課題となった。









