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突発的気候変動(気候ジャンプ)シナリオとそのアメリカ合衆国

国家安全保障との連座(密接な関係)

2003年10月

序文

ほとんどの人々が気候変動について考えるとき、彼らのイメージは気温の漸増と他の気象条件への緑の変化を想像します。

そのイメージは将来に渡っての時間的変化は平坦であるとあくまでも漠然と認識しているようです。

一般通念では、近代社会は我々の直面するどのような気候状況であってもそれに適応し、気候変化の速度は社会の適応能力を圧倒しないだろうというものであり、京都暫定協定のような具現化された我々の努力が環境変動の衝撃を緩和するであろうというものでもあります。

IPCC報告書による漸次の気候変化の兆候と食物や他の資源の人間活動への影響は安全保障に脅威を及ぼすほど厳しくは無いようです。

楽天主義者は気候変動の悪影響を技術革新の成果が払拭するであろうと主張します。

漸次の気候変化での解釈によれば、将来も農業は成功し続けるだろうし、農業に適切な季節は長くなるだろうとしています。

南ヨーロッパ、アフリカ、中央及び南アメリカが旱魃と熱波、水不足から減少させられた農業生産を患うだろう間、北部ヨーロッパ、ロシア、および北アメリカは、農業で栄えるとも述べています。

(漸次の気候変化での解釈に基づく)多くの典型的な気候シナリオのもとでは、全般的に世界的な食料生産は増加します。

気候変化に対するこの見解は世界中の地域ごとの強い暴風雨、季節風、洪水、旱魃による気象災害が増大していることに対する自己欺瞞的危険な行為であるのかも知れません。

気候に関する出来事は、それらがきれいな水、およびエネルギーへの入手と同様に、食物供給、都市および地域社会の状況、に影響するので、莫大な社会への衝撃を持っています。

例えば、オーストラリアの気候活動ネットワークによる最近の報告書は、気候変化が草地生態系で降雨を減少させそうであることを表明します。

それは草生産力で15パーセント低下に至るとしています。

これは、結果的に、著しく牛肉供給を減少させて、12パーセントもの牛の平均的な重さの減少に至ることを示します。

このような状況のもとで、乳牛による牛乳生産量はさらに30パーセント減少となり、そして、新しい病害虫が、果物を栽培する地域で蔓延しそうです。

その上、このような状況は、飲料水の10パーセント減少をも示唆します。

次の15-30年以内に同時に世界中の地域で生じる食物生産問題といった次なる変化の状況についての見込みのモデルに基づいて、社会の適応能力を気候変動に処置しやすくする挑戦的意識を形作るべきです。

今日、4億人以上の人々が乾燥地帯や亜熱帯に住んでおり、そしてそこはしばしば人口過剰であり、経済的に貧困な地域であり、気候変動とそれに続く結果の影響は政治的・経済的・社会的安定にとって厳しい危機に直面します。

資源が不足し非常に激しい状況に急いで適応する能力のない栄えていない地域では、問題は非常に悪化する事でしょう。

いくつかの国について、気候変動は大量の難民を発生させる事でしょう。

すなわち、絶望的な人々がより良い生活を求めてアメリカ合衆国といった資源と適応力を持った地域へ移動しだすということです。

一般に行き渡っている漸次の地球温暖化シナリオが描写したより以上の状況が想定されるため、企業のリーダー、エコノミスト、政策立案者、政治家達はさらに進んだ変化の為のプロジェクションを求めており、気候上の人への影響を制御する為働き出しています。

しかしこれらの努力は充分ではないかすぐには実行され得ないものなのかもしれません。

最近の証拠は、10年間かあるいは1世紀に渡る漸次の温暖化ではなく、より不吉な気候シナリオが開くかもしれないという可能性を示唆しています。

これが、突発的気候変動(気候ジャンプ)によって起因する食物供給、健康および病気、商業および貿易、およびこれらの国家安全保障に連座(密接に関係)する事柄をペンタゴンが調査する理由です。

突発的気候変動(気候ジャンプ)による気候変化後の将来の気候型、および特定の詳細を正確にあるいは大きい保証をもつほど予言することはできませんが、気候変化の実際の歴史は幾つかの役に立つ案内書を提供しています。

我々の目標はただ人類の経験上からすでに起こったひとつの事に類似しているもっともらしいシナリオを描写する事です。

そのことが即ちアメリカ合衆国国家安全保障に連座(密接な関係)する事柄をよく調査するということなのです。

(グリーンランドの氷コアのサンプリングから作った)上記のグラフは、特定の地域が一般的に温暖化の期間内に突然寒冷化する歴史的な傾向を見せます。

8,200年前の寒冷化事件

この報告書で概略を述べたシナリオは、グリーンランドの氷コアの記録によると、1世紀に及ぶ長い気候イベントで型どられる気候変化として8,200年前に起こりました。

現在の我々がそうであるとよく似た長期間に渡る温暖化の後に、急激な突発的寒冷化は起こりました。

グリーンランドの年平均気温は、およそ華氏5度(摂氏2.8度)落ちました、そして、同様な気温減少は、北大西洋地域の至る所で大々的に起こったのです。

8,200イベントの期間、ヨーロッパは厳冬となり、多くの場所で河が凍り氷河が拡大し農業生産力が失われました。

科学的証拠はこれらの事象がおそらく漸次の温暖化に続いて起こった海洋大循環(コンベアベルト)の崩壊に起因していると示唆しています。

より長い氷コア、および大洋の記録は、過去730,000年間において最大8回の急激な寒冷化が起こったであろう事を示唆します。

そして海洋大循環の急激な減少がまさに驚くべきことに共通してこのような気候シフトを起こす容疑者らしいのです。





ヤンガードリアス 約12,700年前に、thermohalineサーキュレーション(熱塩循環・海洋底大循環)の明白な崩壊がありました。

その結果、グリーンランドでは気温が最低華氏27度(摂氏-2.8度)まで低下し、北大西洋のいたるところで同様な気候変化が起こりました。

この状況は1,300年間持続したのです。

このヤンガードリアスイベントの注目に値する特徴は、それがおよそ5回の連続した10年間づつの気温低下で起こったということです。

そして、その後寒冷化乾燥化した気候が1,000年間以上持続したのです。

この事象はヨーロッパ周辺の海および陸地に甚大な影響を及ぼしました。

(氷山がポルトガルのような南の海岸から見えるほどだった)

(従って)その影響は今日以上に激烈だったようです。

より近代においては、土地の適切な居住可能性が寒冷化のために不安定になり、さらに人口が削減されることにより、文明変化を引き起こすことが明白です。





小氷河期 北大西洋の地域は、14世紀に始まって19中世紀中ごろまで継続した寒冷化を経験しました。

この寒冷化は、一般に考えられている太陽放射の減少及び/または火山の噴火が大洋変化を促した為かもしれませんが、大洋循環のかなりの速度減速によって引き起こされたのかもしれません。

しばしば小氷河期と呼ばれるこの1300年から1850年まで存続した時代は厳しい冬季をもたらし、突然の気候の変化、農業や経済への深刻な影響、そして政治的な影響をもヨーロッパにもたらしました。

この時代は恒常的な収穫量不足、凶作、疫病の蔓延、に特徴付けられており、おそらくもっともノルウェイ人や同様にバイキングとして知られアイスランドやもっと遠いグリーンランドに生活していた人々にとってそれが最も過激に感じられたと考えられます。

グリーンランドの海岸に沿った海氷の分布は、貿易商人が、グリーンランドへの彼らの船を近づけることや漁民が冬の間中魚を捕ることを妨害しました。

結果として、農民達は家畜の飼料や彼ら自身の食料が不足し、あまり肥えさせていない家畜までも解体することを強制されました。

しかもなお、魚肉や野菜、穀物も無く、(すなわち)人口を食べさせる(維持する)のに充分な食料がそこには無くなったのです。

その地域においてより激しい気象条件による凶作があり、1315年から1319年の間だけでも凶作が原因で数万人の餓死者が発生したとの報告があります。

全般的な寒冷化はまた明白にバイキング達をグリーンランドから追い立てました。

別の言い方からすれば(バイキングの)社会崩壊の原因は寒冷化であると言えます。

小氷河期のような気候危機だけが単独で文明国の終焉の原因であるとは言い切れませんが、気候危機は社会へ大きな衝撃力を持っていることは否定できません。

アイルランドのジャガイモ凶作のために100万人が餓死したのはほんの175年ほど前のことです。

この事もまた気候変化によってこの地域に誘発されたのです。



(つづく)