第三款 勧告及びその公表 |
(勧告) | |
第 | 六十条 人権委員会は、特別人権侵害が現に行われ、又は行われたと認める場合において、当該特別人権侵害による被害の救済又は予防を図るため必要があると認めるときは、当該行為をした者に対し、理由を付して、当該行為をやめるべきこと又は当該行為若しくはこれと同様の行為を将来行わないことその他被害の救済又は予防に必要な措置を執るべきことを勧告することができる。 |
2 | 人権委員会は、前項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告の対象となる者の意見を聴かなければならない。 |
3 | 人権委員会は、第一項の規定による勧告をしたときは、速やかにその旨を当該勧告に係る特別人権侵害の被害者に通知しなければならない。 |
(勧告の公表) | |
第 | 六十一条 人権委員会は、前条第一項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた者がこれに従わないときは、その旨及び当該勧告の内容を公表することができる。 |
2 | 人権委員会は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告に係る特別人権侵害の被害者及び当該公表の対象となる者の意見を聴かなければならない。 |
第四款 訴訟援助 |
(資料の閲覧及び謄抄本の交付) | |
第 | 六十二条 人権委員会は、第六十条第一項の規定による勧告をした場合において、当該勧告に係る特別人権侵害の被害者若しくはその法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、人権委員会が保有する当該特別人権侵害に関する資料の閲覧又は謄本若しくは抄本の交付の申出があるときは、当該被害者の権利の行使のため必要があると認める場合その他正当な理由がある場合であって、関係者の権利利益その他の事情を考慮して相当と認めるときは、申出をした者にその閲覧をさせ、又はその謄本若しくは抄本を交付することができる。 |
2 | 人権委員会は、前項の規定により資料の閲覧をさせ、又はその謄本若しくは抄本の交付をした場合において、当該被害者が当事者となっている当該特別人権侵害に関する請求に係る訴訟の相手方若しくはその法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、当該資料の閲覧又は謄本若しくは抄本の交付の申出があるときは、申出をした者にその閲覧をさせ、又はその謄本若しくは抄本を交付しなければならない。 |
3 | 前二項の規定により資料を閲覧し又はその謄本若しくは抄本の交付を受けた者は、閲覧又は謄本若しくは抄本の交付により知り得た事項を用いるに当たり、不当に関係者の名誉又は生活の平穏を害することのないよう注意しなければならない。 |
4 | 第一項又は第二項の規定により謄本又は抄本の交付を求めようとする者は、実費の範囲内において政令で定める額の手数料を納めなければならない。 |
5 | 人権委員会は、経済的困難その他特別の理由があると認めるときは、政令で定めるところにより、前項の手数料を減額し、又は免除することができる。 |
(人権委員会の訴訟参加) | |
第 | 六十三条 人権委員会は、第六十条第一項(第七十二条第一項又は第七十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による勧告がされた場合において、当該勧告に係る人権侵害の内容、性質その他の事情にかんがみ必要があると認めるときは、当該人権侵害に関する請求に係る訴訟に参加することができる。 |
2 | 前項の規定による参加の申出については、民事訴訟に関する法令の規定中補助参加の申出に関する規定を準用する。 |
3 | 人権委員会が第一項の規定による参加の申出をした場合において、当事者が当該訴訟における請求が当該勧告に係る人権侵害に関するものでない旨の異議を述べたときは、裁判所は、参加の許否について、決定で、裁判をする。この場合においては、人権委員会は、当該訴訟における請求が当該勧告に係る人権侵害に関するものであることを疎明しなければならない。 |
4 | 前項の異議及び裁判については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第四十四条第二項及び第三項の規定を準用する。 |
5 | 第一項の規定により訴訟に参加した人権委員会については、民事訴訟法第四十五条第一項及び第二項の規定(同条第一項の規定中上訴の提起及び再審の訴えの提起に関する部分を除く。)を準用する。 |
6 | 民事訴訟法第六十一条から第六十五条までの規定は、第三項の異議によって生じた訴訟費用の人権委員会とその異議を述べた当事者との間における負担の関係及び第一項の規定による参加によって生じた訴訟費用の人権委員会と相手方との間における負担の関係について準用する。 |
7 | 人権委員会が参加人である訴訟における確定した訴訟費用の裁判は、国に対し、又は国のために、効力を有する。 |
第五款 差別助長行為等の差止め等 |
(差別助長行為等の停止の勧告等) | |
第 | 六十四条 人権委員会は、第四十三条に規定する行為が現に行われ、又は行われたと認めるときは、当該行為をした者に対し、理由を付して、当該行為をやめるべきこと又は当該行為若しくはこれと同様の行為を将来行わないことを勧告することができる。 |
2 | 前項の勧告については、第六十条第二項及び第六十一条の規定を準用する。 |
(差別助長行為等の差止請求訴訟) | |
第 | 六十五条 人権委員会は、第四十三条に規定する行為をした者に対し、前条第一項の規定による勧告をしたにもかかわらず、その者がこれに従わない場合において、当該不当な差別的取扱いを防止するため必要があると認めるときは、その者に対し、当該行為をやめるべきこと又は当該行為若しくはこれと同様の行為を将来行わないことを請求する訴訟を提起することができる。 |
2 | 前項の訴訟については、第六十三条第七項の規定を準用する。 |
第五章 労働関係特別人権侵害及び船員労働関係特別人権侵害に関する特例 |
第一節 総則 |
(労働関係特別人権侵害に対する救済措置) | |
第 | 六十六条 厚生労働大臣は、次に掲げる人権侵害(以下「労働関係特別人権侵害」という。)については、次節の定めるところにより、必要な措置を講ずることができる。 |
一 | 事業主が、労働者(船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第六条第一項に規定する船員(次条第一項において「船員」という。)を除く。次号において同じ。)の採用又は労働条件その他労働関係に関する事項について人種等を理由としてする不当な差別的取扱い(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第八条第二項に規定する定めに基づく不当な差別的取扱い及び同条第三項に規定する理由に基づく解雇を含む。) | |
二 | 労働者に対し、その職場において、第四十二条第一項第二号に規定する不当な差別的言動等をすること。 |
2 | 労働関係特別人権侵害に関する紛争については、次に掲げる法律の規定は、適用しない。 |
一 | 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第十二条から第十九条までの規定 | |
二 | 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第四条、第五条及び第十二条から第十九条までの規定 |
(船員労働関係特別人権侵害に対する救済措置) | |
第 | 六十七条 国土交通大臣は、次に掲げる人権侵害(以下「船員労働関係特別人権侵害」という。)については、第三節の定めるところにより、必要な措置を講ずることができる。 |
一 | 事業主が、船員の採用又は労働条件その他労働関係に関する事項について人種等を理由としてする不当な差別的取扱い(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第八条第二項に規定する定めに基づく不当な差別的取扱い及び同条第三項に規定する理由に基づく解雇を含む。) | |
二 | 船員に対し、その職場において、第四十二条第一項第二号に規定する不当な差別的言動等をすること。 |
2 | 船員労働関係特別人権侵害に関する紛争については、次に掲げる法律の規定は、適用しない。 |
一 | 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第十三条第二項、第十四条第二項及び第二十七条第三項、同条第一項の規定により読み替えて適用される同法第十二条、第十三条第一項及び第十四条第一項並びに同法第二十七条第四項の規定により読み替えて準用される同法第十七条から第十九条までの規定 | |
二 | 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第四条第三項、第五条第二項並びに第二十一条第三項及び第五項(同項中同条第一項の規定により読み替えられた同法第三条の権限の委任に関する部分を除く。)、同法第二十一条第一項の規定により読み替えて適用される同法第四条第一項及び第二項並びに第五条第一項、同法第二十一条第四項の規定により準用される同法第十二条第二項、第十三条、第十五条及び第十六条並びに同法第二十一条第四項の規定により読み替えて準用される同法第十七条から第十九条までの規定 |
(人権委員会に対する報告) | |
第 | 六十八条 厚生労働大臣及び国土交通大臣は、毎年、それぞれ労働関係特別人権侵害及び船員労働関係特別人権侵害に関する事務の処理状況についての報告書を作成し、人権委員会に送付しなければならない。 |
第二節 労働関係特別人権侵害に関する特例 |
(救済手続の総則規定及び一般救済手続) | |
第 | 六十九条 第三十七条第一項、第三十八条、第三十九条第一項、第四十条及び第四十一条第一項の規定は、厚生労働大臣が行う労働関係特別人権侵害に関する相談、救済手続の開始及び一般救済手続について準用する。この場合において、これらの規定中「人権委員会」とあるのは、「厚生労働大臣」と読み替えるものとする。 |
2 | 前項において読み替えて準用する第三十七条第一項、第三十八条第二項及び第三項、第三十九条第一項並びに第四十一条第一項に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県労働局長に委任することができる。 |
(特別調査) | |
第 | 七十条 第四十四条の規定は、労働関係特別人権侵害について準用する。この場合において、同条第一項中「人権委員会」とあるのは「厚生労働大臣」と、「第四十二条第一項第一号から第三号までに規定する人権侵害(同項第一号中第三条第一項第一号ハに規定する不当な差別的取扱い及び第四十二条第一項第二号中労働者に対する職場における不当な差別的言動等を除く。)又は前条に規定する行為(以下この項において「当該人権侵害等」という。)」とあるのは「労働関係特別人権侵害」と、同項第二号及び第三号中「当該人権侵害等」とあるのは「当該労働関係特別人権侵害」と、同条第二項中「人権委員会」とあるのは「厚生労働大臣」と、「委員又は事務局の職員」とあるのは「その職員」と、同条第三項中「人権委員会の委員又は事務局の職員」とあり、及び「当該委員又は職員」とあるのは「当該職員」と読み替えるものとする。 |
(調停及び仲裁) | |
第 | 七十一条 厚生労働大臣は、この条の定めるところにより、労働関係特別人権侵害に係る事件について、調停又は仲裁の申請を受理し、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項に規定する紛争調整委員会(以下この条において「紛争調整委員会」という。)に調停又は仲裁を行わせるものとする。この場合において、紛争調整委員会による調停又は仲裁は、調停委員会又は仲裁委員会を設けて行う。 |
2 | 第四十六条、第四十七条及び第五十条から第五十九条までの規定は、労働関係特別人権侵害について準用する。この場合において、第四十六条第一項及び第四十七条中「特別人権侵害」とあるのは「労働関係特別人権侵害」と、「人権委員会」とあるのは「厚生労働大臣」と、第五十条第一項及び第五十七条第一項中「人権委員会の委員長若しくは委員又は人権調整委員」とあるのは「紛争調整委員会の委員」と、「人権委員会の委員長が指名する」とあるのは「当該紛争調整委員会の会長が指名する」と読み替えるものとする。 |
3 | 第一項に規定する厚生労働大臣の権限及び前項において読み替えて準用する第四十七条に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県労働局長に委任することができる。 |
4 | 第一項の調停委員会は、当事者からの申立てに基づき必要があると認めるときは、当該事件の調停を行う紛争調整委員会が置かれる都道府県労働局の管轄区域内の主要な労働者団体又は事業主団体が指名する関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者から当該事件につき意見を聴くものとする。 |
5 | 紛争調整委員会は、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の調停及び仲裁の状況について報告しなければならない。 |
(勧告及びその公表) | |
第 | 七十二条 第六十条及び第六十一条の規定は、労働関係特別人権侵害について準用する。この場合において、第六十条第一項中「人権委員会」とあるのは「厚生労働大臣」と、「特別人権侵害」とあるのは「労働関係特別人権侵害」と、同条第二項中「人権委員会」とあるのは「厚生労働大臣」と、同条第三項中「人権委員会」とあるのは「厚生労働大臣」と、「特別人権侵害」とあるのは「労働関係特別人権侵害」と、第六十一条第一項中「人権委員会」とあるのは「厚生労働大臣」と、同条第二項中「人権委員会」とあるのは「厚生労働大臣」と、「特別人権侵害」とあるのは「労働関係特別人権侵害」と読み替えるものとする。 |
2 | 厚生労働大臣は、前項において読み替えて準用する第六十条第一項の規定による勧告をしたときは、人権委員会に対し、速やかにその旨を通知するとともに、厚生労働大臣が保有する当該勧告に係る労働関係特別人権侵害に関する資料の写しを送付するものとする。 |
(資料の閲覧及び謄抄本の交付等) | |
第 | 七十三条 第六十二条の規定は、労働関係特別人権侵害について準用する。この場合において、同条第一項及び第二項中「人権委員会」とあるのは「厚生労働大臣」と、「特別人権侵害」とあるのは「労働関係特別人権侵害」と、同条第五項中「人権委員会」とあるのは「厚生労働大臣」と読み替えるものとする。 |
2 | 厚生労働大臣は、前項において読み替えて準用する第六十二条第一項又は第二項の規定により資料の閲覧をさせ、又はその謄本若しくは抄本の交付をしたときは、人権委員会に対し、速やかにその旨を通知するものとする。 |
3 | 人権委員会は、第六十三条第一項の規定により労働関係特別人権侵害に関する請求に係る訴訟に参加しようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣の意見を聴くものとする。 |
(厚生労働省令への委任) | |
第 | 七十四条 この節に規定するもののほか、厚生労働大臣による労働関係特別人権侵害に係る人権救済手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。 |
第三節 船員労働関係特別人権侵害に関する特例 |