なわ・ふみひとさんのサイトより
http://www.h2.dion.ne.jp/~apo.2012/browse1005-2.html#20
<転載開始>
早く肉をやめないか?
船瀬俊介・著  三五館  2001年刊
輸入牛肉がドンドン増えているニッポン
  日本人は、どれくらい肉を食べているのか?
  日本人が胃袋におさめた肉類の総量は559万トンにものぼる(2000年度)。その肉類の内訳は国産が53.5%、輸入が46.5%とほぼ半々。最も多く食べている肉は、①豚肉39%、つぎが②鶏肉32%、③牛肉28%……。これらが“三大食肉”で、残りの④その他は1%に過ぎない。
  問題の③牛肉は、年間156万トンを消費している。うち三分の二が輸入牛肉である。
  世界的に急速に牛肉離れが進む中で、なんと日本だけは牛肉輸入量が年を追うごとに上向いている。2000年度の牛肉消費量は、対前年比で3.3%増加して、過去最高となった。
  この背景には、65円ハンバーガー、牛丼戦争、食べ放題焼き肉チェーン……などの「安売り競争」がある。2001年度の消費量は、さらに最高記録を伸ばすことだろう。
  昨今なぜ、これだけ安く牛肉が食べられるのか? などと日本の消費者は、そんなムズカシイことは考えない。「安けりや、いいじゃん!」と安売りハンバーガー店にあふれ、昼食代を切りつめるために牛丼屋に列をつくる。

安売りハンバーガーと牛丼のウラ側
  イギリスの狂牛病禍のとき、EU諸国をはじめ世界中は、即座に禁輸措置をとった。しかしもう、禁輸措置ほど信用できないものはない。
  「飼料には、闇輸出がつきまとう」。専門家は、その闇ルートの存在を認める。これは、食肉自体にも言える。谷氏は、「肉の闇ルートほど、奥が深いものはないです」と言っていた。
  かつて、オーストラリアの大ネズミ(ヌートリア)の肉が日本に闇輸出されている、という話を聞いたことがある。しかし、食肉の闇ルートを調べることは、アンタッチャブルであるらしい。その話をしてくれた人からも谷氏と同様に、「私の名前を出さないで、怖いから」と念を押された。
 谷氏は言う。「いま、食べ放題や低料金の焼き肉店が、続々オープンしています。牛丼屋が超安売りサービス。ハンバーガーは半額65円。なぜだと思います?」
  私は首をひねった。
  「いま日本に、牛肉は(100)グラム10円から20円で入っているんです」
  あまりの安さに、ヘエーッと驚いた。それなら、65円ハンバーガーも、85グラムの牛肉が入っているという吉野屋の牛丼も可能なわけだ。

世界で“一番安い牛肉”を原料に
  私はかつて、『買ってはいけない』という本で日本マクドナルドを取り上げた。その項で、熱帯雨林の破壊の恐れ、さらに狂牛病感染などを指摘した。
  それに対して日本マクドナルドから抗議が届いた。「オーストラリア産のみの牛肉を使用しているので、熱帯雨林破壊とは無関係」「狂牛病は、人間にはうつらない」などというものだった。
  これが、まったくの嘘であった。
  日本マクドナルドの藤田田社長が『週刊ポスト』誌(2000年2月4日号)で「わが65円ハンバーガーに勝算あり」とぶち上げているからだ。その中で、同社の食材調達法を「グローバル・パーチェシング(注‥世界一括購入)といって原材料の世界調達です。牛肉、タマネギ、ポテトは、今どこが安いのか、瞬時に全世界からの価格情報を集めて、一番安いところから大量に仕入れます」と明言。「オーストラリア産のみの牛肉を使用している」という同社広報部の抗議は、嘘八百デタラメだったのだ。担当者も誤りであることを、のちに私に認めた。
  つまり、瞬時瞬時で(インターネット等で)判断して、その都度、世界で一番安い牛肉や原料を輸入して材料にしていると、日本マクドナルドの総帥みずからが公言しているのだ。
  この「世界で一番安いところ……」というくだりを読んで、背筋が寒くなった。
  かつて、第一次狂牛病パニックのとき、イギリスは9割の牛肉市場を失った。EUはじめ世界中の国々が、イギリス産の牛肉の輸入を禁止したからだ。延べ18万頭も狂牛病が発病している国の牛肉など、恐ろしくて食べられない。それが正しい反応だ。
  当然、イギリス産牛肉の価格は、大暴落してタダ同然となる。はたして、これら“世界で一番安い牛肉”はどこへ消えたのだろう?

ルーツ隠しの“三角貿易”
  むろん世界中の先進諸国はイギリス産牛肉の禁輸措置を講じているから、直接輸入は絶対不可能だ。輸入審査の段階で「不許可」となる。
  しかし、世界の食肉ルートには表があれば、裏もある。アジア、アフリカなど規制のゆるい第三世界の会社が輸入した“ことにする”のだ。
  そこで私は谷氏に、三角貿易の実状について率直に尋ねてみた。
  「イギリス産牛肉は使ってない」と表示があっても安心できない。素人でも考えつくのは三角貿易。たとえばアフリカのギニアとか、第三国に輸入させ、さらに、それを輸入すれば「ギニア産牛肉」に化ける。いわゆる三角、四角貿易。そういうテクニックは可能でしょう? さらに「原産地証明」など、ハンバーガーのパティのように、混ぜてしまえばわからない。とくに通関審査のズサンな国を使えばフリーパスでしょう?
  「可能性はあります。抜け穴ですね。ちょっと気がつかない。ただし確認は業界内部の人でないとわからない。『やってます』とは言わないでしょうが(笑)」

加工品は「原産地表示」が不要
  谷氏は鶏肉の例をあげる。
  「鶏肉の場合、アメリカから骨のついたもも肉が香港に輸入されます。それが中国に行って、中国で骨をとって、焼き鳥やカラ揚げに加工される。それが日本にやってくる。揚げた状態で冷凍され輸出される」
  ──揚げたのを冷凍して?
  「そう、そういうこともできる。この骨をとったヤツは、そのまま日本に入ってくることもある。加工品は『原産地表示』なんかいらない。だから、食肉はいろいろ形が変わるとルーツ不明になる」
  同じように、牛肉も塊のまま動くわけではない。ミンチに刻んでハンバーガー用パティにしたり、現地でどんどん加工し、混ぜたりしたら、もうわからない。第三国で加工してさらにX社からY社に輸出。ギニア産がインドネシア産に、あるいはオーストラリア産に……。日本は、輸入した最終国を言えばいい。だから「オーストラリア産肉のみを使用」といっても、まったく信用できない。谷氏も「現実的にありうる」と、これらルーツ隠しの“裏技”を認める。

肉食に関してはこちらをぜひ → フツーの人が書いた黙示録~「肉食編」
<転載終了>