小出裕章 (京大助教) 非公式まとめさんのサイトより
http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/09/22/tanemaki-sep21/#more-2227
<転載開始>

2011年9月21日(水)、MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。

番組内容

2011年9月21日【水】
本当に増税しかないのか!?~民主党税調会長代行・中野寛成さん
東日本大震災の復興財源を確保するための増税論議が本格化しています。与党の税制調査会といえば自民党政権時代に大きな影響力を誇りましたが、「政府税調が形骸化させている」と民主党は政権交代で党税調を廃止しました。しかし与党になると政府方針への党内の批判を押えることができず、今回党税調が復活したのです。国民からすれば「震災復興に便乗しての安易な増税は困る」ということです。党税調が政府・財務相の専横に待ったをかけることがでできるのか、それとも民主党政権時代と同様に「増税ありきの出来レース」に陥ってしまうのか厳しく見つめなければなりません。そこで党税調・会長代行でたね蒔きファミリー初の閣僚でもあった中野寛成さんに「本当に増税しかないのか」説明してもらいます。もちろん「菅内閣失敗の裏話」も聞けると思います。京大・小出先生の原発事故解説も。

録音
20110921 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章

内容文字おこし
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65765207.html

放送内で言及したニュースは以下の通り

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首相「来夏までに再稼働」 「ありき」発言 与野党批判

 野田佳彦首相が安全性確保と地元の理解を前提に、定期検査で停止している原発を遅くとも来年夏までに再稼働させる意向を表明したことに与野党から批判が出ている。
 社民党の福島瑞穂党首は二十一日、党の会合で「首相の頭の中は再稼働ありきの方向に偏っている。再稼働の前に安全基準を全面的につくり直すべきだ」と批判した。
 民主党の若手議員も「事故があったばかりなのに、安全性を確保できるとなぜ断言できるのか。具体的な道筋がない方針は、単なる願望にすぎない」と批判した。
 同党のベテラン議員は「再稼働時期を区切ったことで地元自治体が硬化し、理解を得にくくなったのではないか。原発への世論が厳しい中、来夏までに再稼働できる原発は一、二基にとどまるのではないか」と指摘した。
 藤村修官房長官は二十一日の記者会見で、首相の発言について、「来年五月には東日本大震災の前までに総発電量の三割を占めていた原発のすべてが停止し、電力供給がより厳しくなる」と、理解を求めた。
 首相は二十日の米経済紙ウォールストリート・ジャーナルとのインタビューで「来春以降、夏に向けて再稼働できるものはしていかなければ、電力不足になった場合に日本経済の足を引っ張る」と語った。
引用元:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011092202000026.html
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<リンク先より>

2011年9月21日、小出裕章氏が毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演しました。そして、原発のコストについて説明しました。話題別に2回に分けて掲載しています。

野田総理の「来年夏までの再稼働」発言を受けて、政府発表データーから原発の料金が高いことが示されていることを説明しています。

揚水発電がポイントです。

=====(文字おこし、ここから)

水野「小出さんこんばんは」

小出「こんばんは」

水野「よろしくお願いします」

小出「よろしくお願いします」

水野「そして東京には近藤さんです。」

近藤「ああ、どうもー。こんばんはー。よろしくー」

小出「こんばんはー。よろしくお願いします」

水野「ええ、今日はまずですね。アメリカを訪れています、野田総理の発言についてなんですけれども。アメリカの新聞のインタビューでこういうことを野田さん、おっしゃっております。『定期検査で停止中の原発、原子力発電所は、来年夏までに再稼動させる方針だ』ということです。で、これはですね、来年の夏の電力需給を考えると、原発再稼働が必要だと、いう意味のようなんですが。」

小出「はい」

水野「小出先生、これは小出先生が昨日おっしゃいました、今すぐ原発全部を廃炉にしても電力不足にはならないとおっしゃるのには真っ向から対立する考え方じゃないかと思いますが」

小出「そうですね。」

水野「新しい総理のこうした考え方に、どうお感じになります?」

小出「私はもともと自分でデーターを持ってるわけではなくて、政府の統計局のデーターに基づく限り原子力発電所を全て全廃しても電気が足りると主張しています」

水野「はあー」

小出「はい。野田さんのお膝元のデーターで私はモノを言ってるわけで。それを覆すようなことを言うということはどういうことなのかなと、私は思います」

水野「政府が出しているデーターから考えた結果を小出先生は仰っている」

小出「そうです」

水野「はー。じゃこれはどうでしょうか。東電の社長の今回は、見解がですね。えー、原発を稼動させるその率が低ければ、電力料金を値上げせざるを得ないと、いうような話をしてはります。」

小出「はい」

水野「これについてはどうです?」

小出「呆れた話ですね。今回の原子力発電所の事故で、一体どれだけの被害が生じるのか、それをもし原子力発電所の電気料金に上乗せするとしたら、いったいどれほどの上乗せになるのか、まずは東京電力の社長に考えて欲しいと思います」

水野「ただこれまで、よく言われておりました、原発は安いエネルギーであると。コストが非常に安く抑えられると言われておりました。これについてはいかがでしょう」

小出「それがもともと間違えていたということを、昨年だったと思いますが、立命館大学の大島堅一さんという方が、電力会社の実際の経営データー、有価証券報告書に基づいて、すでに立証してくれていますので。その議論ももうする必要がないと思います。」

水野「もうデーターで実証されてると」

小出「はい。原子力が一番高いです」

水野「え? 他のものより高いんですか」

小出「はい。一番高い」

水野「並ぶんじゃはく」

小出「並ぶのではなく一番高い、というデーターがもう立証されてしまっています」

水野「えー…。昨日小出先生とお話ししておりましたときに」

小出「はい」

水野「おっしゃったのは、原発をやめたら電力料金が下がると。」

小出「その通りです」

水野「一言おっしゃったと思うんですね」

小出「はい」

水野「で、私あの後、ずっと気になってたんです。電力料金が普通上がると皆さんお思いだと思うんですよ。」

小出「そうですね。」

水野「電力料金が下がるということはどういう事でしょう」

小出「一番高い発電方法を電力会社が好んで使ってきた結果が今になってるわけで。えー原子力発電というような一番高い発電方法をやめれば、もちろん安くなります」

水野「はあー。だけど、火力発電にすれば、石油をもっと買わなければいけない。そのコストはどうするんだって話、ありますよね」

小出「もちろん、燃料費は払うわけですけども。その燃料費を計上してもなおかつ火力発電所は原子力より安いのです」
水野「はあー。近藤さーん」

近藤「はいー。」

水野「このコストの話を近藤さんはどうみてはりますか?」

近藤「うーん。要するに、先生ねー」

小出「はい」

近藤「揚水式っちゅうことはありますよね」

小出「あります」

近藤「これはあの、結構僕キーワードなんじゃないかなーと思ってるんですが」

小出「そうですね」

水野「それは水力発電の、1つのタイプですね。揚水発電」

近藤「そうなんです」

水野「はい」

近藤「だからこれは、要するに水力発電所が、原子力発電所の夜間電力を使うという、ただそれだけのために作られてきたって、先生の本に書いてあるんだけど(笑)」

小出「そうです。そのとおりです」

水野「そうですね(笑)。あの、先生のご本に」

近藤「先生のご本っていうのも(笑)」

水野「つまりたね蒔きジャーナルで、今まで皆さんで議論し質問して、それに答えをしてくださってきた小出先生のご本にその話出てきますね」

小出「そうですね」

近藤「これで、そのー、ようするに、先生ここんところ分かりやすく説明していただけますかね」

小出「はい。今あの、近藤さんが指摘してくださったのは揚水発電所というものは原子力発電所で余った電気を使うためにのみ、作られた発電所というようにわたくしは主張してきたのですね。そのことを今近藤さんがおっしゃってくださって。

その揚水発電所というのは、えー、殆ど動かないのですね。要するに原子力発電所の電気が余ってしまった時だけに動くわけですから。あの殆ど動かない。建設費はそれなりにかかってるわけですから。発電単価がべらぼうに高いんです。

揚水発電所の発電単価は。それがまあ原子力発電をやるためにそんな発電方法が必要になってるわけですから。それも原子力発電の発電単価に上乗せすると、原子力発電の発電単価はさらに高くなるということになります」

水野「へえー。じゃあ今までの計算方法では本来必要なコストは乗っけられていなかったってことですか?」

小出「ああ、もちろん揚水発電のコストなど全く乗せられていませんでした」

水野「はあー」

小出「ただそれを乗せなくてもなおかつ原子力は高いんですよ」

水野「あっ、そうなんですか?」

小出「はい(笑)。揚水発電所の発電単価を考えないにしても、それでも原子力発電所の発電単価は、他のどの発電単価よりも高いです。」

水野「へえー。ラジオネーム、でたとこしょうぶさんって方がファックスを下さっておりましてね。」

小出「はい」

水野「原発については地元への交付金あるいは核のゴミを運搬したり、保管したり処理したりするのに、経済的にもメリットはないでしょうに。なんで、原発に熱心なのか、小出先生教えてくださいって」

小出「(笑)。私はそのかたがおっしゃったとおり、なんでこんな馬鹿げた事をやるのか、実は私もわからない、のです」

水野「はあ、経済的にもメリットは、ないんですか」

小出「ありません。ただし、電力会社は儲かるという仕組みがあった。ありました」

水野「なんで電力会社はもうかるんですか」

小出「電力会社というのは電気事業法で電気代を決めろと書かれているわけで。どんなに高い電気代でも売ることができました。そして、高い発電所を作ってしまうと、それだけで、利潤が膨れ上がるというような電気事業法の定めがあったのです」

水野「法律で…」

小出「はい」

水野「そんなふうになってるんですか」

小出「そうです」

水野「コストが高い、コストがかかる、電力を発電しても、十分に儲かるような法律になってるんですか。」

小出「そうです。電気事業法という法律がそうなっていたのです」

水野「はあー。じゃあそこを変えないと、このコストの問題っていうのは前に進まないってことですか?」

小出「でももう、歴然と原子力が高いということはわかってるわけですし。えー電力会社の経営陣としても正常な経営感覚があれば、原子力から撤退すべきものだと私は思います」

水野「はー。損得を考えても、原発から撤退したほうが得じゃないかというのが小出先生の考えだってことですね」

小出「そうです」

水野「はあー、でも東電の社長は先程もご紹介したとおりに、原発を稼動させる率が低かったら電力料金は値上げだと、言ってはるわけでこれは、全く小出先生の考えとは矛盾してますね」

小出「そうですね」

水野「なんでなんですかね?」

小出「さあー。あの、東京電力の社長にちゃんと説明して欲しいと私は思います」

水野「ほーお。1つご紹介したい数字があります」

小出「はい」

水野「九州電力の玄海原発がある佐賀県の玄海町、ですね」

小出「はい」

水野「ここで、あの原発を廃炉にした場合、町の財政はどうなるかと、いう事を計算を今試みでやってるのだそうです。」

=====(文字おこし、続く)
<転載終了>