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maomaoさんのメール

千成さん御役お疲れ様です。

戦後、アメリカは世界で一番豊かな国で、私もテレビでアメリカの漫画を見ては憧れを抱いたものでした。

ところが、何故、アメリカではあれだけ多くの中流家庭が没落し、貧富の差が拡大したのでしょうか。

インド生まれの経済学者で米国サザンメソジスト大学教授であるラビ・バトラ著「貿易は国を滅ぼす」という1993年に発行された本やウィキペディアに興味深いことが書いてありました。

今の日本にとって、大いに参考になるように思いました。

(以下は、ラビ・バトラ著「貿易は国を滅ぼす(光文社)」からピックアップしたものです。 )

・1973年、アメリカは3世紀に及ぶその歴史で初めて自由貿易国となり、それ以後ずっと変わっていない。

・自由貿易はアメリカ人の大多数の実質賃金を引き下げた。

・アメリカが封鎖経済であるかぎり、実質賃金は毎年上昇した。

しかし、アメリカが1973年に互恵貿易経済になったとき、実質賃金はピークに達し、長期の低下が始まった。

・生産性の伸びは - もちろん、自由貿易がなければ - 1973年以前のアメリカの歴史で、生産性が上昇したのに賃金が下がったことは一度もなかったのだ。

・労働者の実質賃金は貿易GNP比率が上がるにつれて下がった。

・1930年代の大恐慌のさなかでも、アメリカがまだ高い関税をかける封鎖経済だったから、賃金は生産性とともに上がった。

だが、1973年以来、生産性が上昇しつづけているのに、賃金は下がった。

つまるところ、自由貿易は大恐慌さえもおよばぬ破壊的影響を及ぼしているのである。

・農業にとって最良の年は、農業所得がこれまでで最高の780億ドルを記録した1945年だった。

アメリカの農業は世界で最も機械化され、最も効率がよい。

それなのに、おびただしい農民が貧窮して農場を放棄した。

テクノロジーは有難迷惑になることもあるのだ。

・どこの都市でも工業の中枢が荒地になり、それに代わってサービス業が生まれるという事態が起こった。

ゼネラル・モーターズ(GM)、IBM、ゼロックス、AT&T、アップル、ウェスチングハウスのような会社からレイオフされた人びとは、いまやバーガー・キング、マクドナルド、ブルーミングデールズ、メイシーズ、Kマート、シアーズ、ウォルマートの様なところにしか職を見つけられず、給料はしばしば以前の何分の一に下がる。

サービス業の仕事が製造業にとってかわった。

そこに自由貿易の悲劇がある。

・40年におよぶ政府の無謀な政策のお陰で、いまやわが国は他国の高い成長による収奪を防ぐすべのない自由貿易経済になった。

こうして、貿易自由化は、アメリカン・ドリームにかかる呪いとなったのである。

不可解なのは、アメリカ政府がこの現象を十分に認識していながら、過去の政策に固執することである。

・これまで分析してきた11ヵ国の経済のうちで、9ヵ国 ー カナダ、メキシコ、ドイツ、日本、韓国、台湾、イタリア、フランス、イギリス ー がアメリカの貿易相手国である。

その九ヵ国のうちで、メキシコとイギリスを除く七ヵ国は、戦後に実質賃金が急上昇するとともに、生活水準が目ざましく向上した。

これらの国のすべてがアメリカの自由貿易の転換により利益をこうむった。

・アメリカを除いて、主要な全ての相手国はアメリカが自由貿易を採用したことから利益をこうむっているのである。

・自由貿易によってアメリカ人の時間当たりの生産量はたしかに増えはしたが、その製品にたいする世界の需要が減少したために、彼らの収入は1973年の給与を下まわっており、場合によっては1950年の給与よりも低くなっている人間もいるのだ。

一方、アメリカの貿易相手国では時間当たりの生産量が増えたばかりか、賃金も1973年以降増えている。

アメリカのエコノミストたちは自由貿易のもたらす弊害を見抜くことができなかった。

彼らは生産性ばかりに注目して収入の方を見落としていたからである。

彼らは現状を正当化することにかまけていた。

ところで、あなたは高い生産性と高い収入のどちらを取るだろうか。

・アメリカのように貧富の差のはなはだしい経済社会では、投資からまとまった収入を得ている人間は、人口のわずか5%にすぎない。

エコノミストたちは、貿易は国をうるおすが、労働者の生活を圧迫する場合もあると述べているが、実は彼らが言っているのは、儲かるのは資本家だけであり、富める者はますます富み栄えるということなのだ。

総労働人口の80パーセントを占める貧困労働者のことは放っておこう、少なくとも金持ちは自由貿易で得をするというわけだ。

これはつまり、自由貿易によって確実に豊かになるのは金持ちだけであって、人口の大半を対象とすべき社会福祉はかならずしもうるおわないということなのである。

したがって、世界中に自分たちの産業基盤をもつ多国籍企業とその最高経営責任者(CEO)が自由貿易を擁護するのは当然のことなのである。

・自由化がこれほど高いものにつけば、平均的なアメリカ人が自由貿易の効用にたいして疑念を持ち続けるのも無理はないだろう。

平均的なアメリカ人は、賃金が高くなった製造業が海外に移転し、国内では賃金の安いサービス業の労働者ばかりが増えるという方針が取りつづけられれば、アメリカは負けつづけるほかないと、常識的に考えている。

・ウィリアム・グレーダーは憤慨してこう述べている。

「マスコミ、産業界、学会、政界のエリートたちは、こうした問題について既に決意を固めてしまっている。

彼らはすでにグローバルな経済システムを推進する気でいるのだ。

そして、損害をこうむっている一般市民が怒りにかられてこのシステムを攻撃すれば、それを守る側につくのだ」いずれは真理が明らかにされて、アメリカが自由貿易のもたらす害を理解し、こうしたエリートたちが見解をあらためざるをえなくなる日がやってくることを願わずにはいられない。

(以下は、ウィキペディアの「ラビ・バトラ」の記事からの引用です。 )

・(ラビ・バトラは)数々の著書で「資本主義は花火のように爆発する。」という彼独特の言い回しで資本主義崩壊の形態を予測している。

すなわち彼の予測によれば、資本主義の崩壊はあたかも風船が弾けるように一瞬で起こるということである。

・資本主義を根本的に崩壊させる主因となるものとしてラビ・バトラは「富の過剰な集中」と「自由貿易」という2つの要因を挙げている。

彼は「現在の世界ではごく少数の資産家に富が偏り、その偏った富が世界の金融経済を動かしている。

そして、その一方では明日の生活の糧を得ることもままならない貧しい人たちが数多く存在している。

富の集中しているごく少数の資産家たちは、自分たちが大量に貯めた金を使おうとせずに、より金持ちになろうとするがためにただひたすら貯蓄に励み、消費活動をあまり行わず、その一方で貧しい人たちはもともとお金がないため、無い袖は振れず、消費活動を活発に行うことが出来ない。

消費活動が鈍化すれば、いくら供給を喚起しても無駄なのである。」と主張している。

・現にラビ・バトラによると「現在の日本では1%の資産家が、日本の25%の富を所有し、アメリカでは1%の資産家がアメリカの40%もの富を独占している。 」という。

・更にラビ・バトラは「国際間の競争が激しくなると、生産者は競争力をつけるためにコストを下げざるを得ない。

コストを下げるためには人件費、つまり労働者の賃金を低く抑えざるを得なくなる。

労働者の賃金を低く抑えれば、無い袖は振れないので結局消費活動は鈍化してしまう。

消費活動が鈍化すると不況の原因になる。 」と述べ、自由貿易に反対の姿勢を示している。

・更にラビ・バトラは「健全な経済は需要と供給のバランスを必要とする。

需要=供給。

このバランスが失われると、高い失業率や高いインフレを引き起こす。

供給の主要な源泉は労働生産性であり、需要の主要な源泉は賃金ないしは購買能力である。

生産性が上がり、賃金が上がり、消費が増大して、投資が拡大する。

この投資と生産性の拡大によって、供給が増大する。

故に、経済バランスを維持するためには、需要も比例して、増大しなくてはならない。

つまり、生産性に比例して、実質賃金が増大しなくてはならない。 」と述べており、この経済の根本を無視して、借金経済を作ったのがグリーンスパンであると指摘し、彼を手厳しく批判している。

彼のグリーンスパンに対する批判は、彼の著書『グリーンスパンの嘘(GREENSPAN’S FRAUD)』(2005年出版、和訳本:あうん出版)等で顕著に見られる。

・資本主義崩壊後に誕生する経済社会システム、とラビ・バトラが予測している「プラウト主義経済」とは、大まかに言えば均衡貿易、賃金格差の縮小、均衡財政、自国産業保護、終身雇用、環境保護、銀行規制等による「所得格差の少ない安定した共存共栄の社会」のことを指す。

彼は昭和30年代中盤頃~昭和40年代頃の日本社会がプラウト主義経済に最も近い理想的な社会だったと述べており、当時「一億総中流社会」を実現していた日本を絶賛している。

彼は恩師サーカーと同様に、数々の著書で「必ずやプラウト主義経済は過去に一億総中流社会を実現していた日本から始まるだろう。」と述べている。



(追申、maomao)

これらを読むと、アメリカ政府は自国の産業や国民の生活を保護せずに、自由貿易によって恩恵を受ける資産家や多国籍企業の利益を優先する政策をずっと取り続けて来たようなのです。

そして、他国との熾烈な競争に晒された製造業の多くが潰れ、多くの雇用が失われて行ったのです(逆に、日本は製造業など輸出産業を中心に恩恵を受けてきた訳ですが...)。

そして、貧富の差が拡大し、富める者はますます富む一方、多くの国民は所得が下がって購買力が低下し、経済が停滞して行ったそうです。

ラビ・バトラ博士は、資本主義を根本的に崩壊させる主因となるものとして「富の過剰な集中」と「自由貿易」という2つの要因を挙げています。

博士の予測が正しいとすると、グローバル化による自由貿易の促進は、人々から雇用を奪い、富の過剰な集中を招いて貧富の差を拡大させ、景気の停滞を招くもののようです。

したがって「TPP」で経済が発展するなどあり得ないということになります。

現在、日本は「超円高」によって産業の空洞化が進んで国内の雇用が失われ、派遣労働など不安定な非正規雇用が増え、景気も低迷しています。

いくら企業が効率を上げてコスト削減の努力を行っても、円高や韓国など海外のメーカーとの過当競争に晒され、利益が上がらず損失を計上する企業が増えています。

今まさに、アメリカの中流家庭を襲ったような悲劇が日本でも繰り返されようとしているのだと思います。

博士が資本主義経済の崩壊後に誕生すると予測している、「プラウト主義経済」という社会経済システムに希望が見えます。




千成のメール

maomaoさん、情報ありがとうございます。

この情報が大衆に広まれば、大衆は国に対して自由貿易を止めて鎖国するように政府に要求するでしょうね。

もっとも、大衆がこの情報を読む時間が無くなるように、資本家は大衆を奴隷のようにこき使って大衆から時間を奪う作戦を使うでしょうけど。



博士が資本主義経済の崩壊後に誕生すると予測している、「プラウト主義経済」という社会経済システムに希望が見えます。

ひょっとしたら、日本は経済崩壊によって資本主義経済が消滅し、「プラウト主義経済」に転換するのかもですね。