動画は別途貼り付けました。
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だいたい、このクイズを見て最初のヒントだけで「分かった! その国は~です」と正解出来る日本人が何人いるでしょうか? このすばらしい国が滅ぼされ、なぜ滅ぼされたかをわれわれはなぜ知らなかったのでしょうか? このクイズは、ヤマタイコクがヤマトによって滅ぼされ、滅ぼされた理由は完璧に隠蔽されたこととかぶります。 この情報を見てもわれわれがいつも完璧に欺されていることが見えてきます。 また、今日も欺されるのでしょうか? 『よろず屋寸話禄』情報です。 |
クイズです初めての企画ですが、訪問者の方々にクイズを出したいと思います。 以下に列記した項目は、ある国の施政として実際に行われたものです。その国とはいったいどの国でしょうか、というのが問題です。 ①新婚夫婦には米ドル換算で5万ドルの住宅購入補助金を支給。失業者には無料住宅を提供。 ②車を購入する際には、政府が半額を支給。 ③税金はゼロ、さらに電気代も無料。 ④教育、医療は質の高いサービスが無料で受けられ、もし国内で必要条件に合うものが見つからなければ、政府が外国へ行けるように手配。 ⑤大家族の食料費は固定相場。 ⑥すべてのローンは無利子。 ⑦ガソリンは格安。 ⑧農業を始めたい国民には土地、家、家畜、種子まで全て政府が無料で支給。薬剤師になりたい場合も必要経費は無料。 信じ難いような高福祉国家です。 こんなことが実際に可能とは、日本に住んでいる私達には信じられないものがあります。日本では福島原発事故の影響で、電気代がこの夏にも値上げという話があり、生活を圧迫すると心配されています。その電気代自体が無料というのですからうらやましい限りです(その国の人々は、電気代の請求書を見たことがないといいます)。また税金がゼロなうえに、無職の人間には国が住宅を無料で提供するなんて、日本に住んでいる限りはありえない話です。ただでさえ日本政府は、消費税を増税して、さらに国民から金を搾り取ろうと算段している有り様なのですから。車を買う際には国が半分を支払うのも驚きですが、なんといっても凄いのは、教育、医療がすべて無料という点です。日本では医療費の伸びが著しく国家財政を圧迫する大きな要因となっています。そうしたものをすべて無料にするというのは、日本から見れば夢のような話です。どこかのユートピアの話ですか、と問いたくなる方もおられるかもしれません。 しかしこれは架空の話ではないのです。実際に存在している国です。こうした国の施政が数十年続いた結果、10%以下だった識字率は90%を超えるものになったというのですが、それは当然と言えるでしょう。私はもし可能ならば、この国に移住したいとすら思ってしまいますが、そう思われる訪問者の方もおられるかもしれません。 さて、どの国でしょうか。 ある方はブルネイではないかと言われるかもしれません。 たしかにブルネイは税金や学校、病院などが全部無料です。でもブルネイではありません。ブルネイは人口43万の小さな国ですが、この国は人口が600万人とある程度の規模がある国です。 おわかりにならない方にヒントを出したいと思います。 こうした高福祉を可能にしたのは、この国の持つ高品質で莫大な天然資源(石油)のおかげです。 しかしこの国にとって極めて不幸だったことは、近隣の強力な軍事力を持った外国が、その軍事力でその富を奪おうと侵略を開始したことです。 まず外国は、傭兵を訓練してこの国に密かに運び入れ、各地で暴動を起こさせました。これを受けて外国のメディアは、世界に向かって「独裁者による長年の圧制に苦しんだ民衆が、ついに立ち上がった!」と一斉に報道しました。そして傭兵による暴動を鎮圧しようと政府が軍隊を繰り出すと、「独裁者が市民を虐殺している!」と報道しました。そして傲慢にも「市民を守る」とか「民主化」といった自分達に都合の良い勝手なスローガンを掲げて、この国を直接空から爆撃し始めたのです。その数、なんと8千回。 当然ながらこれまで平和に暮らしてきた市民は怒り狂います。 突然、外国の軍隊が空から雨あられのように爆弾を投下してきたのです。2011年7月1日には、空爆に抗議するデモが首都の広場で開かれました。その数は170万人にのぼり、首都の人口の95%、この国の人口の約3分の1に達しました。いかに市民の怒りが大きいものであったかわかります。しかし外国のメディアはこのデモを一切報道しませんでした。かわりに、ある都市で政府軍が6千人の民間人を殺害したと報じたのです。もちろん何の証拠も示さずにです。こうした外国の侵略に反対するある国が、衛星写真を示してそんな証拠はないと言ったにもかかわらず、外国メディアはそれでも撤回しませんでした。 もうおわかりだと思います。 この国はリビアです。 8千回の空爆を行った外国の軍隊とはNATO軍で、ベンジャミン・フルフォード氏によると、陸上部隊としてCIAの軍隊が入ったそうです。外国のメディアとは、西側諸国のメディアです。もちろん日本も、NHKを含め大手民放はすべて、リビア国民が独裁者から自由を勝ち取ったという西側メディアの視点で報道しました。 今回私はクイズ形式で、リビア国民からの視点で記事を書いてみました。 私の目から見れば、リビア国民からの視点の方が、真実に限りなく近いと思ったからです。 では今回のクイズの元になった本を紹介したいと思います。 『政府は必ず嘘をつく』(堤未果著、角川SSC新書)です。 文中に出てくるコーポラティズムとは、“想像を絶する資金力をつけた経済界が政治と癒着したもの”の意味です。 ・・・<『政府は必ず嘘をつく』、p114~p125から抜粋開始>・・・ 2011年10月、リビアのカダフィ大佐が殺害されたニュースを聞いた時、何とも言えない違和感を覚えた。同年5月に報道された、米国特殊部隊によるウサマ・ビンラディン殺害と重なったからだ。両者ともハーグ国際刑事裁判所などの国際法廷で裁かれる代わりに、拘束直後に殺害され、真相は闇に葬られている。 NATO軍は3月に「カダフィ大佐の反政府軍に対する容赦なき弾圧から人民を救うために、あらゆる措置を容認する」という国連安保理決議を受け、以来2万回以上の出撃と8000回近い爆撃を行った。これはどう考えても、不自然な決定だった。国際社会は強権的な政権であっても、自治国家に軍事介入することを許していない。中国やロシア、ブラジルはNATOの「無差別攻撃」は安保理決議の枠を超えていると批判したが、爆撃はそのまま続けられた。 反米・反イスラエルを掲げ、数々のテロに関与し“アラブの狂犬”と呼ばれたカダフィ大佐。カダフィ大佐殺害を伝える日本や欧米の報道には、「独裁者がついに死亡」「民主革命である〈アラブの春〉がリビアにも拡大」というような見出しが躍り、歓喜するリビア国民の写真が掲載された。 「あなたたち日本人は、リビアのことを何もわかっていない。西側のマスコミしか見ないからです」 チリ出身で東京在住のヴェロニカ・ランソデールは、リビアについての間違ったイメージが日本に広がっていることに警鐘を鳴らす。 「私はリビアにたくさん友人がいるけれど、彼らは高学歴・高福祉の国であるリビアを誇りに思っています。アフリカ大陸で最も生活水準が高いリビアでは、教育も医療も無料で、女性も尊重されている。日本の人たちは、そういうことを知っていますか? 国民は、電気代の請求書など見たことがありません。42年間も政権を維持できたことには、ちゃんと理由があるんです」 西側の新聞やテレビは、チュニジアやエジプトで反政府の動きが出た時と同じように、「高騰した食料価格と、貧富の差に苦しむ民衆からカダフィへの不満が出た」と報道している。だが、ヴェロニカが言うように、リビアはNATOの侵攻前までブラジルやロシアよりも高い生活水準を持つ国だった。 カダフィは全ての国民にとって、家を持つことは人権だと考えており、新婚夫婦には米ドル換算で約5万ドルもの住宅購入補助金を、失業者には無料住宅を提供し、豪邸を禁止していた。車を購入する時は、政府が半額を支払う。電気代はかからず、税金はゼロ。教育、医療は質の高いサービスが無料で受けられる。もし、国内で必要条件に合うものが見つからなければ、政府が外国へ行けるよう手配してくれる。 大家族の食料費は固定相場、全てのローンは無利子でガソリンは格安。農業を始めたい国民には土地、家、家畜、種子まで全て国が無料で支給、薬剤師になりたい場合も必要経費は無料だ。42年前、カダフィが権力の座に就く前に10%以下だった識字率は、今は90%を超えている。これらの政策を可能にしていたのは、アフリカ最大の埋蔵量を誇る石油資源だった。 「カダフィが残した功績は、あなた方が西側メディアから見聞きしたような、国民の犠牲の上に立つ専制君主国家ができることではありません。もちろん、他の国と同じように全く問題がないわけではなかったでしょう。ですが、外国の軍が上空から2万回もの爆撃を行うような軍事行動が、正当化されるような事態は一切なかった。リビアは、どんな行動も騒乱に結びつくことのない、珍しい国でした」 ロサンゼルス在住のロシア人ジャーナリスト、イアン・ブリューソフもまた、リビアという国の実態と西側メディアの報道の差を批判する。 「西側メディアはNATO軍の攻撃を、まるで暴力的な独裁者から民を救う救世主のように描いてみせましたが、7月1日にトリポリの広場であったような事実は、決して見せようとしないのです」 2011年7月1日、リビアのトリポリにある「緑の広場」では、大勢のリビア国民が集まり、NATOの爆撃に抗議した。その数、およそ170万人。トリポリの人口の約95%、全リビア国民の約3分の1だ。 「日本でも、カダフィが反政府軍に対して爆撃を仕掛けたというニュースが、繰り返し流れていましたが」 「日本のニュースの中身は、アメリカの通信社からくる情報でしょう? BBCやCNN、アルジャジーラが報道したあの内容に、ロシアは反論しました。市民の暴動を初めから衛星中継で記録していたロシア軍高官は、カダフィによる非武装抗議者に対する空爆は断じて行われていないと断言したのです。これについては米国国防総省でさえ、そうした攻撃は確認されていないと認めています。日本の人たちは優秀なのですから、そろそろ政府やマスコミの言うことを自分で調べたらどうですか? あの映像自体を見て、違和感を覚えないほうがどうかしている。日本のマスコミも専門家に検証させることすらせず、ロイターからのものをそのまま流していたのでしょう」 日本でも繰り返し流されていた「カダフィによる非武装の市民への無差別空爆」映像は、すでにユー・チューブから削除されている。イアンが指摘するように、戦闘機もなければ爆音も聞こえない、不自然な映像だ。 私たちが日本国内で得る情報の大半は、西側の大手メディアやアルジャジーラなどの報道がベースになっている。だが、(コーポラティズム)がメディア支配を強める21世紀、大手マスコミの報道を鵜呑みにすれば、大きなリスクが伴うだろう。 だからこそ、ニュースは常に、現場の声や企業の息のかかっていない独立ジャーナリストの報告と比較することが重要になる。 2011年8月22日。リビアのトリポリで2か月間取材を行った29歳のカナダ人記者、マディ・ナゼムロヤは、NATO関連国のメディアから取材内容に関する脅迫を受けた事実を告発している。 「英国とフランスの記者たちから、アルカイダに関する報道をしないよう脅されました。彼らはもはやジャーナリストじゃない、西側メディアが流すリビアの報道は検閲されています」(CBC,August 22,2011) リビア国内からの現地報告も、貴重な比較材料だ。 2011年9月。リビアで現地取材を行ったフランス人ジャーナリストのチェリ・メッサンは、トリポリの占拠はNATOによって行われたことを証言している。 「カダフィ大佐が殺害された時、群衆が反政府派を歓声を上げて迎えたという報道は事実ではない。あの時、トリポリの民衆はNATOの爆撃に怯えて、家の外にすら出なかった。現場では、NATOの爆撃と外国人傭兵からなる反政府グループが民間人を標的にし、部族間の対立を煽っていた。私がユーゴやチェチェン、アフガニスタンで見たのと同じ光景だ。リビアは今後、ソマリアのような混沌に陥るだろう」 同じように、トリポリ陥落の直前にリビア入りしたというイギリス人ジャーナリストのリズィック・フェランは、リビア危機に関するメディアの報道を批判する。 「西側メディアとアルジャジーラは、ベンガジで何千人もの人々が殺されそうになっていると報道しましたが、そんな証拠はどこからも出ていません。6000人の民間人が政府軍の攻撃で殺されたという話は、ロシアの諜報衛星によってそれが不可能であることが明らかになった後でも訂正されませんでした」 「この騒乱に対する国民の反応はどうでしたか?」 「7月1日に、600万人の国民のうち170万人がNATOの爆撃に反発して緑の広場に集まりました。8月22日には、カダフィ支持を示す緑の旗を掲げた国民が、トリポリやバブ・アル・アジザの通りを埋め尽くしたのです。スパやバニ・ワリド、シルトなど、国内各地でカダフィ支持がはっきりと明言された。でも、西側メディアはそういう事実は全く報道しませんでした」 NATOの爆撃で犠牲になった50人以上の民間人の葬儀に立ち会ったというリズィックは、事実を無視して〈独裁者VS民主化を求める純粋な市民〉というリビア像を描く西側メディアの報道に、ジャーナリストとして強い怒りを感じると言う。 「リビアは、アフリカ諸国でも最高の生活水準を持った国でした。少数民族である黒人に聞けばわかります。40年の間、北アフリカと中東の国々の中で、彼らを最も平等に扱った国がどこだったかを」 元フランス大使のクリスチャン・グレフは、リビア騒乱がカダフィの殺害によって幕を閉じた時、NATOによる軍事介入を激しく批判している。 「NATOは、いつから国家元首を殺すようになったのか? これは国連決議1793をはるかに超えた暴力行為だ。NATOはリビアで、〈戦争のメディア化〉を行ったのだ」 ブッシュ前大統領が「対テロ戦争」というコンセプトを打ち出した時、21世紀の戦争はそれまでとは違う新しい形態に入れ替わった。巨大な軍事予算を背景にアメリカ政府が手にしたものは、国境を超えた無制限の戦線拡大と、国を無期限に緊急事態下における大義名分だ。〈コーポラティズム〉はたちまち〈戦争の民営化〉を加速させ、空前の利益を上げていった。 そう、歴史を振り返ればいつも、戦闘行為の裏には巨大な利権の存在がある。冷戦後、〈共産主義の脅威〉に代わり、そうした行為を正当化する新たな理由となったのが〈テロとの戦い〉だ。 ではなぜ、リビアは標的になったのか。 前述したイアンは、メディアが描く〈民主化〉という単純な図の裏にある、もうひとつの側面を語る。 「リビアは144トンもの金を保有していました。カダフィはその金を原資に、ドルやユーロに対抗するアフリカとアラブの統一通貨ディナの発行を計画していたのです。そこにはIMFや世界銀行の介入から自由になる〈アフリカ通貨基金〉と〈アフリカ中央銀行〉の創設も含まれていました」 統一通貨であるディナが実現すれば、アラブとアフリカは統合される。だが、石油取引の決済がドルからディナに代われば、基軸通貨であるドルやユーロの大暴落は避けられないだろう。これについて、フランスのサルコジ大統領もまた、リビアを「人類の金融安全保障への脅威」と呼び、危機感をあらわにしていた。 私は、ずっと頭の中で引っかかっていた疑問を口にした。 「ひとつだけわからないことがあります。アルジャジーラはイラク戦争の時、現地からの声に基づいた素晴らしい報道をして有名になりました。そのアルジャジーラが、リビアについてはNATO関連国と同じ報道をするのはなぜでしょうか?」 「アルジャジーラの代表であるワダー・カンファー氏は、告発サイト『ウィキリークス』にかつてCIA(米国中央情報局)の部下だったことを暴露されて辞任しています。カンファー氏の後任に就いたアフマッド・ピン・ジャッシム・アッターニ首長は、カタール王家の一人です。 パズルのピースが、カチリと音を立ててはまった。カタールには中東最大の米軍基地がある。 「2000年に石油取引をドルからユーロ決済に変えたサダム・フセインも、大量破壊兵器所有と9・11テロ首謀者との関係という根拠のない二つの理由から攻撃され、同じ運命をたどりました。通貨や資源の動きと戦争は、決して無関係ではありません。こういうことを言うと、偶然だと反論する人もいるでしょう。ですが、ひとつだけ言えることは、大勢の命を奪ったどちらの爆撃にも、正当性がなかったということです」 リビアで起きた出来事は、〈独裁者VS市民の民主革命〉というわかりやすい図に当てはめただけでは、来ては去るニュースのひとつとして、やがて忘れられてゆくだろう。 2011年3月20日。松本剛明(たけあき)外相(当時)は「日本政府は、リビア当局による自国民に対する暴力の即時停止を求め、リビアにおける攻撃の脅威下にある〈文民とその居住地域を保護する目的〉で、国連加盟国が軍事的措置を取ることを支持する」と発表した。リビアで起きた一連の出来事を別な角度から検証する間もなく、実はそこに関わっていた国の国民である私たちは、メディアの流す次のイベントを見せられてゆく。 NATOと国際NGOによって作り上げられた、〈保護責任〉という新しいドクトリン。国連憲章に違反してもいない、自治国家への軍事行動を正当化したこの手法に、世界から多くの批判の声が上がっている。 イアンやヴェロニカの話を聞きながら、私は1989年にメディア王であるルパート・マードックが言った言葉を思い出していた。 「衛星放送が、多くの閉鎖的な社会に住む情報弱者の世界を開くだろう。西側からの、統制されていない自由な情報を受け取れるようになるからだ」 その言葉をイアンに伝えると、彼は唇をゆがめて笑った。 「ロシアの暗部を見たければ、欧米のニュースは有効でしょうね。反面、欧米メディアが絶対に伝えないニュースについては、ロシアのニュースが教えてくれる。重要なのは、どちらか一方のメディアだけを鵜呑みにせず、比較しながら真実を探すことです」 経済グローバリゼーションの波が、世界のメディアを次々に統合させている。ひとつのニュースを見る時も、国内、海外という2種類だけでは見えなくなってしまう。受け手である私たちは、立ち位置の違うメディアの発信する内容を比べることで、真実に近づいてゆくしかない。 そして、イアンの言うように、どんな戦争もその背景には〈資源〉や〈通貨〉といった巨大な利権に対する、各プレイヤーの思惑が絡んでいるのだ。 豊かな国有資源を持つイラクが、フセイン転覆後に大資本の“特売場”と化したように、リビアの富もまた開かれた市場に“新商品”として並べられるのだろうか。カナダ人ジャーナリスト、ナオミ・クラインが著書『ショック・ドクトリン』で指摘した〈戦争と債権の民営化モデル〉が、ここにも見え隠れしている。 ・・・<抜粋終了>・・・ リビアがNATO軍から侵略を受ける前、日本のマスコミに報道されていたように、食料価格の高騰や失業に対する不平等感が高まっていたのは事実のようです。しかしこの世界はユートピアではないのですから、そうした問題はリビアに限らず、どこの国でも起こっていたことです。報道する側として大事なことは、独裁体制に対する民衆の不満が反政府暴動を起こしたかどうかをきちんと検証し、報道することのはずです。高学歴・高福祉を享受してきたリビア国民にそれを問えば、「気は確かか?」という返事が返ってきそうです。 日本のマスコミ報道は、偏向報道というレベルを通り越して、極めて悪質なものと断じざるを得ないものでした。 私がこうした記事を書くのは、さらなる次の犠牲者が生まれようとしているからです。 シリアです。 現在NHKを含め日本の大手民放は、シリアのアサド政権が市民を弾圧していると盛んに報道しています。リビアと全く同じパターンです。アメリカのクリントン国務長官は、「シリア政府の市民への弾圧を非常に憂慮している」という声明を発表しました。ついこの前見た光景と、全く同じものが繰り返されようとしています。 ・・・<『政府は必ず嘘をつく』、p125~p132から抜粋開始>・・・ これは「メディア戦争」です リビアの政権転覆直後にターゲットになった、シリアのケースはどうだろうか。 「シリアの反政府運動を煽っているのは、アルジャジーラ、アル・アラビヤ、BBCアラブ、フランス24などの欧米メディアです。暴力を起こしているのは武装勢力と騒乱分子であり、一般の国民ではありません。リビアの時と同じパターンです」 ロンドンのIT会社に勤務するシリア人、イサム・アリー・カトゥラミーズは、シリアで起きている反政府デモと、リビアの政権転覆の共通性を指摘する。 「アサド政権は独裁的な性質を持っていますが、大統領は自由な選挙で選出された指導者であり、国民の人気が高い人物です。私たちシリア国民が彼を支持するのは、彼の父親が抵抗運動で有名だったことと、欧米の支配に屈しない姿勢からです。西側メディアとアルジャジーラが、アサド大統領をエジプトのムバラク大統領と比較するような報道をしているのは“印象操作”ですね。リビアのカダフィ転覆の時と報道パターンが共通していることに、注意しなければなりません」 「報道の内容については、他にどんな疑問がありますか?」 「反政府軍に対するシリア政府の弾圧が大げさに報道されていますが、武装勢力側の攻撃や、市民が巻き込まれている銃撃戦については取り上げられません。非常に一方的な内容になっていることが疑問ですね」 「報道の仕方以外に、リビアとの共通点はありますか?」 「反政府軍のメンバーです。いったい反政府軍とは誰なのか? どこまでが本当に民衆の反乱なのか? ということです。リビアでは2011年3月まで、国民の間からカダフィへの大規模な不満など聞かれませんでした。西側メディアやアルジャジーラは、以前からシリア内の反政府勢力に対し、政府側が強権的な弾圧を行い数千人の死者が出ていると言って騒いでいますが、高性能の武器を使い武力行動をする武装グループに対し、通常の政府なら鎮圧を行います。〈平和的デモを血祭りに上げる政府〉というフレーズを訳知り顔で言うジャーナリストは、まず現地を直接取材するべきでしょう。しかも、その武器を供給しているのは他国なのです」 2011年12月5日。トルコのメフメト・アリ・エディボグル議員は、シリアに密輸された武器がイスラム同胞団系のグループに流れている事実を指摘し、シリアの反政府デモについて西側メディアが事実ではない報道を流していると批判した(“Turkish Weapons being Smuggled to Syria” National turk, Decembery 5,2011) カナダのオタワ大学経済学部に所属し、中東情勢に詳しいミッシェル・チョスドフスキー教授もまた、シリアの反政府行動は、ヨルダンからダラアを通りシリアに入国した武装傭兵による「組織化された反乱」であり、国内で始まったものではないと指摘している(Michel Chossudovsky, SYRIA: Who is Behind The Protest Movement? Fabricating a Pretext for a US-NATO“Humanitarian lntervention”, Global Research, May 3,2011)。 2011年4月19日、ワシントンポスト紙にシリアの反政府デモに関するスクープが掲載された。米国務省が2006年以降、総額6000万ドル規模の資金援助をシリアの反政府グループに対して行っていたという、「ウィキリークス」から出た公電内容だ。 資金が渡っていたのは、2009年にロンドンで開局し、反政府デモをメインに報道しているシリア反体制派の衛星テレビ局「バラダテレビ」、そしてシリア国内の反体制派だった。 「若者たちが、フェイスブックやツイッターを通じて起こした〈アラブの春〉が、リビアやシリアに広がったという報道がありますが」 フェイスブック、と聞いてイサムは顔をしかめた。 「実は今回のデモが起き始めた頃、フェイスブックである情報が拡散されたのです。『生活給付金に関する政府の公式発表』というものです。私のところに回ってきたのは、『職に就いていない事実を証明する文書』があれば、全ての母親に5000シリアポンド(約8000円)が支給されるという内容でした。 まるで政府からの通達のような書き方でしたが、なんとなく変だなと思い、そのままにして いたのです。通知の最後には、『給付金を受け取りたい方は、以下の場所にこの時間帯に来るように』とありました。現地にいる私の親戚の一人は実際に指定された場所に行きましたが、給付金の配布はなかったとのことです。ですが奇妙なことに、彼女を含めそこに集まった人々の映像が、ビデオカメラを持った数人によって録画されていたそうです」 「シリア国内では、それについてどんな反応があったのでしょう?」 「現地の日刊紙であるアル・ハヤート紙が、この通知について取り上げました。シリア国内で、生活補助金を受け取るために特定の場所に集まるように呼びかける情報が出回っていると。ある勢力が架空の噂を流し、集まった民衆を反体制派のデモとして撮影し報道する意図が見えるので、十分注意するようにと」 ウォール街デモが世界各地に広がった時、フェイスブック上では「○○の日」と名前をつけたデモの呼びかけが数多く出回った。呼びかけていたグループの身元を、私たちは確認しただろうか。 「しかし、アル・ハヤート紙が注意をうながすまでもなく、シリアの国民の大半はこうした呼びかけに反応しませんでした。各宗教指導者たちも、クルド人組織も、アラブ各国の首脳も、アサド政権の支持を表明したのです。 シリアの首都・ダマスカスでは、反政府ではなく、政府を支援する大規模ラリーが行われています。欧米メディアの報道を鵜呑みにする前に、イスラム教の9割近くを占めるスンニ派が、1割程度の少数派であるアラヴィ派に経済的、政治的、軍事的に支配されてきた経緯を考えなければなりません」 リビアのカダフィが殺害された時、カダフィ政権の独裁体制に苦しんでいた国民が解放されたといった内容の報道が日本でも数多く流れた。メディアは同じ構図をシリアにも当てはめている。 「確かにシリア人の生活は、他のアラブ産油国に比べればまだまだ貧しいかもしれません。しかし、経済的に豊かでないということは、単なるひとつの側面にすぎないのです。政治面に目を向ければ、シリアは非常に安定している。シリア人はこの騒ぎの本質が、外国からの干渉、または別の意図で仕掛けられているものであると認識しています」 「政府は、例えば民主化に対する国民の要求に、どのようにこたえていますか?」 「アサド政権は、国民からのそうした要求に耳を傾けながら、いくつもの改革に着手してきました。長期にわたる非常事態宣言を解除し、憲法改正の国民的議論への取り組みも進めています。2011年6月にダマスカスで行われた政府側の治安部隊の葬儀には、約200万人のシリア国民が参加し、欧米の干渉に抵抗する団結を表明しています。国民はイラクやアフガニスタン、あるいは今回のリビアのように自国を破壊されたくない、自分たちの安定した生活を守りたいのです。アメリカ型グローバル資本主義の価値観はいらない、イスラムにはイスラムの幸せがあるのです」 「チュニジアやエジプトのように反政府運動がなかなか政権転覆まで盛り上がらないのは、国際メディアの報道と現場の温度差が大きいからでしょうか?」 「そういうことです。嘘だと思うなら現地に直接行って見て下さい。これは〈メディア戦争〉なのです。独裁体制が“悪”、民衆の自由が保障された民主体制が“善”という、作られた構図が幻想であることがわかりますよ」 リビアやシリアで起きていることは、遠い海の向こうの出来事ではない。私たちは、進化するIT技術とグローバル化に後押しされた〈コーポラティズム〉が、かつてないほどの力を持った世界に生きている。 〈アラブの春〉に〈ツイッター革命〉、アメリカにおける9・11後の〈失われた10年〉。かつての直接的暴力による侵略と違い、〈メディア化された戦争〉は、洗練されたマーケティングのように、私たちの承認を勝ち取ってゆく。この新しい手法がもたらす効力は、中東やアフリカといった特別な場所に限らず、世界中で広がっているのだ。 ・・・<抜粋終了>・・・ 私は、強大な軍事力にものを言わせて中東の人々を虐殺し、富を奪い生活を破壊するのは、いい加減にもう止めたらどうかと言いたくなります。中東の人々には彼らの価値観があり、社会生活があるのです。中東の人々の生活を破壊し富を略奪する権利を、西側諸国は誰から与えられたというのでしょうか。 偏向報道を通してそうした侵略行為を民主化と言い換え、人々を欺き続ける日本のマスコミは、間接的に侵略行為に加担しているといえるのです。 (2012年4月25日) |
私は知らないことばかりなので
これからも勉強させていただきますね。
お体に気をつけてこれからもがんばってください。