エフライム工房さんのサイトより
http://www.geocities.jp/atelier_efraym/cain5.htm
<転載開始>
 E.グリムの金の鵞鳥とガブ飲み


 昨年(04年)の年末に、今年(05年)はヨセフの年となるので、ヨセフやテーベに関するしるしを持つ人が活躍すると予言のようなことを書いた。ヨセフの母ラケルが埋葬されたエフラタはフルが語源なので、フルの字を持つヤクルト・スワローズの古田選手に注目していた。古田選手は2000本安打を目前に足踏みをし、とうとう父親の出身地である愛媛まで達成はお預けとなってしまった。けれどこれは、先祖のヨセフによる祝福なのである。なぜならば、愛媛は旧名の伊予で、アセナテとヨセフの土地となるからである。それで、同じく愛媛出身の宮出選手が巨人戦でサヨナラホーマーを放つなどの活躍を見せていたのである。神宮には琴平の中学生が修学旅行に来ていたし、風は四国の愛媛に向かって吹いていたことになる。果たして、愛媛で大記録は達成できるか?注目である。

 さて、ヨセフに関して、義父のポテペラが鵞鳥のシンボルを有していたことが分かった。詳しくは
『私だけの古代史第二部・エジプト編』第8章を参照してもらうとして、鵞鳥と言えばグリム童話の金の鵞鳥の話がある。金の鵞鳥を抱いた若者に触れると手が離れなくなってしまい、引き離そうとした人が次々と連鎖的に繋がって変な大行進に至るという物語である。物語の上っ面のストーリーはともかくとして、この話はヨセフの出世話から発展したものと考えられる。姉妹作品の金の鳥の話で、金の鳥を手に入れた若者が兄達に井戸に投げ込まれたが、ヨセフがドタンという涸れ井戸に落とされた話に一致する。だから、鵞鳥もヨセフとの関係で見直すことができる。


 まず、鵞鳥はヨセフの義理の父ポテペラのシンボルである。ヨセフがアヒルで象徴されたので、ポテペラはアヒルのお父さんのような鵞鳥で象徴とされた。その証拠に、アヒルのヒエログリフsaには息子という意味がある。鵞鳥のヒエログリフはgbと書かれ、一般にはゲブと読まれている。しかし、イスラエルの天使であるガブリエルの名前からも、ガブが適当と思われる。ガブが鵞鳥なら、ガブ飲みの語源として説明も付く。というのは、鵞鳥と言えばフォアグラであるが、フォアグラは鵞鳥の口を大きく開けておいて、無理矢理に餌を与えて肝臓を巨大にさせたものである。このように、鵞鳥は大きな口でガブ飲みできる。また、同じような言葉にガブッと噛むというものがある。これも、鵞鳥が大きなクチバシで物を挟む姿から来ているのではないか。以上から、ガブが鵞鳥のヒエログリフの正しい読みと考えられるのである。

 ガブという響きからは、相撲用語のガブリ寄りという言葉も注目される。ガブリ寄りとは、体を前後に揺さぶって押す技である。体を前後に揺らすのは、ガブのシンボルを与えられたポテペラのユーモラスな動作ではないのか。ポテペラは、鵞鳥のようにドタドタと歩くので、それで鵞鳥がポテペラのシンボルとなったのではないか。

 実は、ポテペラの姿、あるいはポテペラの近親者の姿と考えられる彫像がある。それは、クフの建築監督とされるヘムオンである。吉村先生によると、ヘムオンはスネフルの孫だが、スネフルの息子クフとは親子ではないとされる。また、神官団を巻き込んだ対立から、クフは太陽派、ヘムオンは星派と分かれていたとされる。だが、今まで見てきたように、クフはヤコブなので太陽神ヤハウェを祭る太陽派なのは当然である。対して、ヘムオンがポテペラなら、ポテペラの名前が星の語源のポティなので、名前からは星派となるのである。ここから、この物語の真相は、オンの祭る神が太陽神ラーに統一された背景を説明していると思われるのである。ヤコブが来る前のオンは、太陽と共に星も祭っていたが、イスラエルのカッバーラを移植されたことにより太陽神に統一したのである。これを、ファラオの後継者争い形式の物語としたので、その本質が見えなくなっていたのである。実際、クフの母とされるヘテプヘレスの墓からは、調度品は無傷で見つかっても遺体は発見されなかったのだから、その実在は疑わしい。

 ヘムオンがポテペラなら、ヘムオン像が堂々たる体躯で表現されていた理由となる。イスラエル系のヤコブやカフラー像の端正さと異なり、脂肪の付いた巨体で表現されている。ここには、明らかにガブを連想させる作為が感じられる。ヘムオンのヘムはhmと書くと思われるが、召使い、神官、陛下という意味がある。要するに、君という字で表される社会的な地位を指すのである。そしてどうやらこれがキミの語源で、クヌムが縮まったクンと対を成して、君という字の訓読みと音読みになる。ここから分かるように、訓読みのクンは意外にも音読みなのである。


 このように、ヘムが君(きみ)を意味するのなら、ヘムオン(多分、正しくはキミオン)でオンの君、すなわちオンの神官となる。ここから、ヘムオンの正体はポテペラであり、ヘムオンがクフのピラミッドを建てたという話は、ヤコブのカッバーラをエジプトに移植したことの象徴となるのである。

 さらに、神としてのガブにはヌトという妻がおり、娘のイシスを生んでいる。だが、イシスはアセナテがモデルなので、ここからもアセナテの父ポテペラがガブということになる。また、ガブリエルのシンボルはユリの花だが、ポテペラの住んだ下エジプトのシンボルもユリなのである。

 ヨセフがモデルとなったアメン神には、鵞鳥もシンボルとされる場合がある。これは、アメン神がガブ神と極めて近い関係であることを示唆する。義理の父と息子の関係なら、それはシンボルを受け継ぐにふさわしいし、何よりも、二人の間に神権の譲渡があった事を伺わせる。金の鵞鳥の話は、土徳で金のシンボルカラーを持つヨセフが、鵞鳥のシンボルを持つポテペラから神権の譲渡をされ、それに連なった者達が豊かになった逸話が根底にあるのではないか。ヨセフの子孫は多くの国に別れたが、ヨーロッパに渡った子孫達が、先祖の出世の物語を寓話にしたのである。


 
注意 今回用いたヘテプヘレスの参考資料、テレビ東京 黄金の古代エジプトミステリー(吉村作治監修 05.4.11放送)のWebサイトより。

     http://www.tv-tokyo.co.jp/egypt/



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