In Deepさんのサイトより
http://oka-jp.seesaa.net/article/329926130.html
<転載開始>


gun-kids.jpg

▲ アメリカでは、昨年のサンディフック小学校銃乱射事件以降、むしろ銃を子どもに教える家庭と学校が急増。「撃たれる前に撃て」という風潮は以前よりも強くなっているようです。写真は米国メイン州でハイスクールの生徒に「正しい銃の扱い方」を教える風景ですが、ご覧のように拳銃ではなくライフル。Should Public Schools Teach Kids How to Handle Guns? (学校は子どもに銃の扱い方を教えるべきなのか?)より。
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今回は、書いているうちに話がグチャグチャに長くなってきまして、どの話がメインの話かわからなくなってきたのですけれど、アメリカの銃の翻訳記事は一番下にあります。




キッカケはロシアのプラウダから


引退を表明された第 111代ローマ法王に関して、「最後の法王と呼ばれ続けたベネディクト16世」というタイトルでいくつか記事を書いていました。




これはもう少しだけ続きを書こうと思っていて、法王関係の見だしの記事で目立つものはよく読むのですが、2月22日のロシアのプラウダに、
Benedict XVI resigns due to homosexuality in Vatican?
ベネディクト16世が引退したのはバチカンでのホモセクシャル行為が原因?

poavada-pope-scandal.jpg

というものがありました。
まあ、読むと、単なる噂レベルの話で、

・法王は同性愛で有罪とされたバチカンの高い地位の人々から脅迫を受けていた

・複数の枢機卿たちの汚職疑惑の証拠がバチカンに不利な情勢となっている

・法王が理由としている健康問題は存在しない。


などのことが書かれてある記事で、いわゆるゴシップ記事のたぐいでしたが、そんなプラウダのその日の「リーダーズベスト20」という、よく読まれている記事を見てみると、上位3つが下の記事でした。

pravda-redear-top-01.png


どれも見だしは刺激的ですが、上のローマ法王の記事と同じように誇張されたものが多いです。

それぞれ一応書いておきますと、1位の「超能力者(サイキック)がカルマの浄化のために複数のモデルを殺害」という記事は、犯人たち(複数犯)は被害者から多額のお金を盗んでいて、オカルトではなく、単なる金銭目的の犯罪だと知ります。犯人の職業がヒーラーだというだけです。ちなみに、ロシアはヒーラーと民間療法師にも国家資格が与えられるので、世界で一番、民間治療の施術者が多い国です。


3位の「オバマ政権がカトリック教会に宣戦布告」というのも異常に刺激的な記事ですが、どんな記事かというと、


オバマ大統領が進めている医療保険改革は避妊や中絶にも費用の負担をするとしている。これは避妊や中絶を認めていないカトリックに対しての宣戦布告と同じだ。同性愛を支持し、中絶を支持するアメリカ政府は私たちカトリック教徒の敵だ!



というもので、まあ、やはり大げさなんですが、しかし、記事には以下のような文章もあり、笑えない部分もあります。


ロシア政府は(アメリカ政府と違い)カトリックを擁護している。昨年のプッシー・ライオット騒動のように、ロシア正教を冒瀆する動きが出て以来、ロシア政府は法律を厳格化し、同性愛向けの宣伝を禁止、また、中絶への政府の資金援助を停止した。これはロシアには明るい兆しだ。



というような論調となっています。

昨年、同じプラウダの記事をご紹介した、

「西側の大衆文化は悪魔に牛耳られており、米国はキリスト教を滅ぼそうとしている」: ロシアメディア

 2012年09月06日

にもありましたように、ロシアの保守は今や「キリスト教の守護者」という概念の下にあり、もし仮に今後、ロシアが独裁政権などになったとしても、その象徴はキリストになりそう。

どうして、「今後、ロシアが独裁政権になったとしても」なんて書いたかというと、オカルト話ですが、昨年の記事「極東ロシアで発見された「白いシャチ」から浮かび上がるエスキモーの予言」の中に出てきた、「エスキモーの女性の予言」というものの中に、


ロシアは共産主義に戻ります。
民主主義は一掃されて、2000万人以上が強制収容所で亡くなります。
スターリンの像がロシアの国にもう一度建てられることでしょう。
核戦争の恐怖が地球をしばしば脅かします。



という記述があったというだけの理由ですが。

そして、なぜこのエスキモーの予言なんかを気にしていたかというと、その中に「太陽の輝きが氷のように冷たくなった時」というような、太陽活動が弱くなることを表現するような部分があったからで、マウンダー極小期のような「太陽活動の縮小時代」に突入するかもしれないということが、わりと現実化してきた最近、たまにこのエスキモーの女性のことを思い出します。



▲ その過去記事より 2012年に詳細が確認されたカムチャッカの白いシャチ。



ヨアニ・サンチェス

ところで、上のプラウダの読者に読まれているページの2位に「ヨアニ・サンチェスはプロガーなのか傭兵なのか、国賊なのか」という記事があります。

このヨアニ・サンチェス( Yoani Sánchez )という人はご存じない方が多いかと思います。私も今回のこのプラウダの記事ではじめて知りまして、どうやらキューバ出身の反体制派のブロガーの女性のようです。

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▲ ヨアニ・サンチェスさん。


スペイン語版の Wikipedia によると、サンチェスさんのブログ「Generacion Y (Y世代)」は、1ヶ月に 1700万のアクセスがあるそうで、ボランティアによって 17の言語に翻訳されているのだそう。

「17語もあるのならば、日本語もあるのでは?」と、ブログに行ってみましたら、サイトの上には日本語マークがあり、そこから日本語版の「ヘネラシオン・イーグリエガ」に行けます。

ちなみに、日本の報道も調べてみましたら、昨年10月の産経ニュースに彼女の名前を見ることができました。


反体制派の37歳女性ブロガー逮捕 キューバ
msn 産経ニュース 2013.10.06

キューバの警察当局は5日までに、ブログを通じてキューバ政府批判を続けている女性、ヨアニ・サンチェスさん(37)を逮捕した。ロイター通信が伝えた。(中略)サンチェスさんのブログは日常生活をつづりながら体制を批判。反政府派のほか、国外の人権団体などから高く評価されている。オバマ米大統領が激励のメッセージを寄せたこともある。



とあり、国際的には大変な評価を得ているようなのですが、しかし正直、私などは上の「ボランティアによって 17の言葉に翻訳されて」というのを見た時、「いろいろ組織的な背後はあるのだろうなあ」とは思いました。

これだけの言語に翻訳する人を集めるというのは、個人どころか、一般企業でも無なかなか難しいレベルだと思います。英語などなら操る人はいくらでもいても、17カ国語となると、それぞれの翻訳の人材を探すだけでも大変そう。まして、ボランティア。


ちなみに、インターネットの媒体の中で、私が読んでいる中で最も多くの言葉に訳されて配信されているのは、「ロシアの声」で、数えてみましたら、34カ国語に翻訳されていました。

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▲ ロシアの声の言語の選択欄。


いずれにしても、米大統領から激励のメッセージをもらったりしているヨアニ・サンチェスさんは、ロシアなどの言う「西側」からは人気のあるプロガーですが、ロシアや南米諸国などからは、下の写真に見られるように「米国の手先」と揶揄されることが多いようです。

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▲ アメリカ国旗とサンチェスさんを重ねて「メイド・イン・USA 」と書かれた写真。Cambios en Cubaより。


それにしても、ことの善し悪しやその背後などの実態はわからないものの、ロシアやウクライナ、あるいは南米などには「女性の反体制家」というものが多くメディアに取り上げられます。過去記事でも、

・チリのカミラ・バジェホさん(過去記事
・ロシアのプッシー・ライオット(過去記事
・ウクライナの FEMEN(過去記事


などがあり、それぞれ過激です。



▲ プッシー・ライオットが逮捕されたことに抗議して、ロシアの記念十字架を切り倒すウクライナの女性活動グループ FEMEN のメンバーの女性。



というわけで、プラウダの記事から思ったことを書いていましたら長くなってしまいましたが、ここまでは実は前振りなのでした。


今回のテーマは、「銃社会と呼ばれるアメリカ」についての最近についてです。





何が起きても銃の購買量が増え続けるアメリカ


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▲ 「左手に聖書、右手には銃」というのがアメリカの保守層の一般スタイルになりつつあるようです。Praying While Packing Heat and Other Unwieldy American Traditions より。ちなみに、聖書の上に乗っているのは「グロック26」という世界最軽量の拳銃で、弾丸を装填しても 500グラム程度しかなく、缶ジュースが片手で持てるのなら、女性や子どもでも十分に片手で撃てる重さ。
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昨年の 2012年 12月 14日に、米国コネチカット州の小学校でサンディフック小学校銃乱射事件という乱射事件が起きました。内容の真偽を含めて、犯人が死亡したこともあり、詳細はわかっていない部分も多いとはいえ、小学生など二十数名が亡くなるという大変に悲惨な事件でした。

この事件を受けて、アメリカの「銃の規制への動き」は当然高くなりました。

たとえば、上にリンクした Wikipedia のサンディフック小学校銃乱射事件には下のような記述があります。


犠牲者追悼集会に参加した大統領は、再発防止に全力を挙げる決意を表明。演説では、このような悲劇に終止符を打つためにも「全権限を使う」と強調、この演説の草案を大統領自身が書くほどの力の入れようだった。

また民主党のファインスタイン議員も、AK47などの殺傷力の高い「攻撃用武器」の販売や所持、譲渡を禁じる法案を提出する考えを表明。



さて、この大統領たちの「決意の表明」の後、実際には何が起きたか?

下の記事は、サンディフック小学校銃乱射事件後の「わずか数日後」の 2012年 12月の米国の報道です。

get-gun.jpg

Annie, Get Your Gun! School Shooting Sparks Run on Firearms Sales
「アニー、銃を取れ!: 小学校銃乱射事件以降、銃の売り上げが爆発的に伸びている」


つまり、銃乱射事件を契機に、むしろ「子どもを銃で守ろうとする動き」が顕著になったことと、また、皮肉なことに、アメリカ政府が銃の規制に乗り出すのではないかという危機感のため、我先にと銃を買うということになったようなのです。

昨年12月の米国フォーブス誌によれば、アメリカの銃の売り上げは過去最高となり、これにより、アメリカ人の人口の 47パーセントが銃を持つ計算になると書かれてありました。

アメリカの2012年の人口は3億1300万人なので、アメリカ国民の1億5千人が銃を持つという計算になります。


とはいっても、赤ちゃんや寝たきりのご老人が銃を手にしているわけではないと思いますので、「一家に複数の銃がある」ということになるようです。

最近では、いろいろなデザインの銃などもあり、今年 2月の頭には「3歳の子どもがピンク色の本物の拳銃をオモチャだと間違い自分の頭を撃って死亡する」という事件がアメリカのサウスカロライナ州で起きています。


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A3-year-old S.C. boy killed after mistaking pink handgun for toy
「サウスカロライナで3歳の子どもがピンクの銃をオモチャだと間違い撃ち死亡」


3歳の子どもに本物の銃の引き金が引けるのか、と思われるかもしれないですが、種類はあるでしょうけれども、銃のトリガーは相当軽いもので、私は以前、タイのプーケットで本物の拳銃と小銃をさわったことがありますが、アメリカで子どもによる銃の事故が多発するのもわかるほど、トリガーは軽いです。今の日本のチャッカマンのトリガーより軽いと思います。

銃の軽量化も進んでいて、また、デザインもピンクのようなものはいくらでもあり、下のような銃が実際に売られています。

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▲ 米国のカスタムメイド銃のメーカー 7.62 precision のサイトより。


なので、上のような事故は今後もたくさん起きるようにも思います。何しろ、後述しますが、アメリカには「億」単位の銃が各家庭に存在します。

それでも、米国民たちの銃の購入意欲はまったく衰えません。今年初めだったか、ウォルマートでは「歴史的な銃の売り上げを達成し、売り切れ店が続出」というような報道もありました。




オバマ大統領就任以降、アメリカの銃の所持者は倍増
そしてこの「急激な銃の売り上げは、2009年以来急上昇を描いた」ということがあります。つまり、オバマ政権になって以来、急激に米国民の銃の所持率が上がったのでした。

いろいろな皮肉な話ばかりのような米国ですが、それを象徴するかののような話が数日前の CNN で報道されていました。それは「米副大統領「自衛には散弾銃を」 ライフルよりも効果的と主張」という記事です。

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日本語の記事ですので、内容は読んでいただければわかると思いますが、この中にある、

イベントは子育て雑誌が主催した

という部分と、

「妻のジルにもこう言っている。『万が一の場合には、バルコニーに出て、家の外に向けて散弾銃を2発撃ちなさい。』」と語った。


あたりは、むしろ何だか苦笑しました。特に「妻のジルにもこう言っている」などの下りは、冗談が冗談ではない「アメリカ」という国の現実を見ます。


さて、そんなわけで、ずいぶんと長くなってしまいましたが、その銃の所持者の増加に関しての記事を翻訳してご紹介しておきます。

本題はとても短い記事です。




65 Million Guns Bought Since Obama Took Office, 91% More Than Bush

オバマ大統領就任から、米国では 6500万人が新たに銃を購入。ブッシュ時代より 91パーセント増加
Daily Bail 2013.02.14


FBI(アメリカ連邦捜査局)が集計したデータによると、バラク・オバマ氏が大統領に就任した 2009年2月以来、アメリカ人の銃の購入者は 6537万 6373人となり、 FBI ではそのすべての人々の過去歴調査が完了したという。

この数から計算すると、オバマ大統領の就任以来、アメリカでは1日に 44,748人が銃を購入したことになる。

この 6537万 6373人という数は、ジョージ・ブッシュ大統領の最初の任期中の 3421万 4066人より 91.1パーセント高い数値になる。


<転載終了>