浮世風呂さんのサイトより
http://blog.goo.ne.jp/yamanooyaji0220/e/771c3dc19dc0effa60241bc2cd2c87a6
<転載開始>
習近平訪米を冷ややかに待つワシントン

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)9月10日(木曜日)
         通算第4653号 
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 冷ややかに習近平の訪米をまつホワイトハウス
  米中間にこれほど冷たい風が吹いたことは国交回復以後なかった
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 習近平は9月22日から28日まで訪米する。
 23日にワシントン入りし、25日にホワイトハウスでオバマ大統領と懇談をはさんで各種歓迎行事に出席するが、習近平が希望した議会での演説は米側がやんわりと「拒否」した。
習は28日に国連で演説する。安倍首相の国連演説は27日の予定という。

安倍首相訪米は大歓迎され、議会での演説は議員が総立ちとなって拍手した。対照的に習近平を待ち受ける米国の空気は冷たい。
まるで氷のように議会、ホワイトハウス、マスコミが凍てついている。
 「国賓待遇をやめろ」、「訪米そのものをキャンセルせよ」、「ハッカーを止めない中国に制裁を!」という声は巷のナショナリストが叫んでいるのではない。れっきとして大統領候補が堂々と中国批判を繰り返しているのだ。

 第一に9月3日の軍事パレードで、新型兵器、とりわけミサイルを陳列示威したが、米国東海岸に届くDF21のほか、通称「空母キラー」、「グアムキラー」と呼ばれるミサイルが多数ならび、米国を苛立たせた。
「この軍事パレードは『反日』『抗日』ではない。明らかに米国を攻撃するミサイルの展示であり、米国を敵視している」というのが米国の実直な感想なのである。

 第二にアラスカの米国領海に中国軍艦五隻が航行した。しかも北京の軍事パレードとタイミングを合わせていたことは、米国の反中国感情に正面から火を付けた。中国が言っている「平和」「覇権を求めない」なんて嘘じゃないか。ならば、米国は控えてきたが、南シナ海への軍艦派遣もありうると反応した。

 第三に上海株暴落に連鎖したかたちで、ウォール街の株価暴落に、老人年金、自治体年金が悲惨なほどの被害を被り、アメリカ人個人投資家がむくれていることが、世論のバックにある。しかも上海暴落を中国メディアは「米国が悪い」とすり替えたことにも米人投資家らは怒りを覚えた。

 第四に主要マスコミも、ハッカー攻撃に苛立ち、これまでの中国重視をすっかり変節して、中国非難の合唱に加わっていることだ。
9月7日付けニューヨークタイムズの五面に「習首席訪米大歓迎、熱烈歓迎」という異色の広告がでたが、これは中国の出版社がだした『習近平時代』という600ページもの新刊書の広告だった。
どうみても中国がお家芸の対米世論工作であり、政治宣伝工作の一環である。中文と英語版が同時発売というのも、なにやら政治工作の匂いが強い。

 ▲米国はマスコミも民間人も議会も総立ちで中国きらい

 米国マスコミは、ことしにはいってからでも自由民権派弁護士の大量逮捕など、米国の政治原則を揺るがす人権弾圧を強く糾弾し、同時に中国のしかけているハッカー攻撃に強い怒りを表してきた。なにしろニューヨークタイムズも、ウォールストリートジャーナルも編集部が中国のハッカー攻撃をうけた。

 共和党の大統領候補として名乗りを上げているドナルド・トランプは『人民元切り下げはドル体制を脅かすものであり、習近平訪米の国賓待遇をとりやめろ』と演説した(8月24日)。

 同スコット・ウォーカーはもっと過激で「訪米そのものを中止させよ」と叫び、『市場の混乱はすべて中国に責任がある』と獅子吼した。
 
米国内で中国を褒めているのは前世界銀行総裁のロバート・ゼーリックくらいである。かれは『米中関係はステーク・ホルダーだ』と提議し、ブレジンスキーとともにG2関係と持ち上げた親中派である。

 英国マスコミは『習訪米はトウ小平以来の重要な外交行事となる』などと、変な持ち上げ方をしているが、これは米国マスコミ論調と百八十度ことなる。英国はAIIBに真っ先に参加表明するなど、このところドイツとともに、その対米協調路線が大幅に修正されている。

 ならば貿易・通商関係で米中関係の重要性を説く人はいないか、と言えば米国実業界でも少数派である。
 理由は貿易において、米国の対中国依存度は7%台であり、重視する必要性がなくなっているからである。
巨額を投資してきた米国の投資銀行も中国の提携銀行や証券会社への出資をとうに引き上げた。
ちなみに対中国輸出の国別ランキングを一覧してみょう。

対中国輸出依存度ランク
~~~~~~~~~~~
(1)モンゴル       90%
(2)北朝鮮        76
(3)コンゴ        53・8
(4)アンゴラ       44・7
(5)コンゴ共和国     43
(6)オマーン       38・2
(7)豪州         36・1
(8)南アフリカ      32
(9)スーダン       31・5
(10)イエーメン     29・4

(11)台湾       27・1%
(12)イラン      26・8
(13)韓国       26・1
(14)ラオス      25・1
(15)チリ       24・9
(16)ミャンマー    24・5
(17)カザフスタン   22・7
(18)ニュージーランド 20・8
(19)イラク      19・7
(20)ブラジル     19


(21)日本       18・1%
(22)キューバ     15・2
(23)マレーシア    14・2

欄外
  米国         7・7%
  ロシア        6・8
  ドイツ        5・4
  カナダ        4・4 

 なるほど北京の軍事パレードに親日国である筈のモンゴルが参加した理由も、よく分かる。中国がお得意様という資源国が上位十傑に並んでいる。
つづいて工業中進国と資源国がつづき、あれほど中国依存が高いと言われた日本は21位でしかないことも歴然とするのである。
 
 習近平は権力基盤を急ぎ、軍事力誇示という拙速行動にでたことにより、外交的に大きな失敗を演じる結果を招いたのである。
           
http://melma.com/backnumber_45206_6258243/

◆中国、南シナ海に3本目の滑走路を建設か

2015.09.16  CNN

香港(CNN) 米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)はこのほど、中国が南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島にある岩礁に3本目の滑走路を建設している可能性を指摘した。

 

中国が南シナ海に造成する人工島


今月8日に撮影された衛星画像を分析した結果だという。

CSISの専門家、グレッグ・ポーリング氏によると、中国は南シナ海のミスチーフ礁に長さ約3000メートルに及ぶ長方形の埋め立て地を作ったとみられる。すでにファイアリークロス礁、スービ礁の人工島で工事を始めている滑走路と同じ形に見える。

ポーリング氏は「新たな滑走路だとしたらこれで3本目になる」と述べた。いずれも、中国の人民解放軍が保有するすべての戦闘機に対応できる規模とされる。

「これらの場所はわずか1年ほどの間に、支柱の上の前哨基地から滑走路が作れる規模の島に変化した」と、ポーリング氏は指摘する。3本の滑走路はどれもまだ稼働していないが、ファイアリークロス礁では仕上げのペンキ塗り作業に入っている模様だ。

南シナ海では中国と東南アジア諸国が領有権を争っている。中国が昨年、岩礁の埋め立てを加速したことに対し、近隣諸国は強い警戒感を表明。米国も工事の即刻中止を求めてきた。

中国は今年6月、埋め立て作業はほぼ完了したと発表したが、埋め立てた島に各種施設を設ける工事は続けるとの方針を示していた。

ポーリング氏によれば、ベトナムやフィリピン、台湾、マレーシアもこの海域に滑走路を建設しているが、現在主流となっている第4世代ジェット戦闘機には対応していない。

中国の習近平(シーチンピン)国家主席は来週、米国を訪問する。オバマ米大統領との会談では、南シナ海での埋め立て工事が主要議題のひとつとなる見通しだ。ポーリング氏によると、3本目の滑走路建設が両首脳の間の溝をさらに深める事態も懸念される。

http://www.cnn.co.jp/world/35070600.html?ref=rss

◆日本だけではない脱中国、しかし米大企業は進出加速
デルは15兆円投資、IBM、インテル、シスコ、アップルも

2015.9.15 堀田 佳男 JB PRESS

中国への超大型投資を決めたマイケル・デルCEO〔AFPBB News〕

中国市場でこのところ、不可思議とも思える動きが見られる。

 数年前から日本企業だけでなく、米企業も中国市場に見切りをつけて撤退するところがある一方、新たに1兆円を超す資金を中国に投資する企業が相次いでいるのだ。

 中国はいまでも世界最大の市場だが、利益が見込めないと見限った企業と、市場の可能性を今後も信じる企業の違いがある。差違は何なのか。

シアトルの米中会談に企業トップも

 9月下旬、中国の習近平国家主席が米国を公式訪問する。23日には西海岸シアトルで、米中両国の大手企業トップが顔を合わせる円卓会議が開かれる。

 そこに招かれるのは、複数のメディアを総合すると米アップルのティム・クック経営最高責任者(CEO)、IBMのバージニア・ロメッティCEOなど大手15企業のトップ。中国側も大手15 企業のCEOが顔を揃える。

 両国企業は互いの市場へのアクセス問題やサイバーセキュリティー問題などについて話し合う予定だ。

 ただ中国市場から撤退を決めた企業を眺めると、中小だけでなく大手企業も含まれる。例えば、今年だけでもシチズン・ホールディングズの合併会社「西鉄城精密(シチズンセイミツ)」が広東省の工場を閉鎖したし、パナソニック、ダイキン、TDKなども工場閉鎖や生産の一部を移転すると発表した。それだけ撤退の波は大きいのだ。

 企業幹部たちは努力不足というより、中国市場のビジネス環境の変化が大きいと口を揃える。しかも、理由は1つや2つではない。大きく5点にまとめてみた。

 1つは中国市場での人件費の高騰だ。工場で働く作業員の平均月給は、日本では福利厚生を含めて約25万円だが、中国では約8万円である。

 単純比較すると、中国の方がまだ3分の1に収まっているが、10年前までは10分の1だったので約3倍も人件費が上がったことになる。特にリーマンショック後の高騰が目立つ。

 2つ目は人民元高による生産コストの上昇だ。中国は8月に人民元の切り下げを実施したが、それでも人民元高は続いている。2011年秋には1人民元が約12円だったが、今春には約20円まで元高が進んでいた。

 切り下げ後は18円前後だが、依然として元高は変わらず、日系企業の利益を圧迫することになる。

外国企業狙い撃ちの法人税アップ

 3つ目は中国の法人税率の上昇である。実は中国の法人税は2007年末まで、外資系企業に対しては15%だった。一方、同時期の中国系企業の税率は33%で、外資系企業に優遇税制がとられていた。

 ところが2008年から中国系も外資系も一律に25%となったのだ。低率の法人税を期待して中国市場に進出した企業は、計算が違ったと落胆したに違いない。

 しかも突如として15%から25%に上げるとの通達を出したのだ。大規模な事業を見込んでいた企業にとっては大きな痛手になった。

 4つ目は中国国内の製造業の生産過剰が深刻化していることだ。つまり供給過多に陥って製品が売れにくくなっているのだ。例えば2014年の中国国内の粗鋼生産量は8.2億トンで、世界市場(16.3億トン)のほぼ半分を占めていた。

 8.2億トンの約3割は生産過剰と言われている。さらに平板ガラスやセメントなども生産過剰の状態にあり、採算が取れなくなっている企業もある。

 5つ目は中国政府による環境規制の強化である。企業によっては環境規制を守るため、コストを割いてかなりの企業努力を強いられている。負担だけ増して採算が合わなくなる企業が出てきた。外国企業が狙い打ちにされているとの声もある。

 中国市場から撤退しているのは日米企業だけでない。韓国企業も精算・売却をする動きを加速させている。韓国輸出入銀行によると昨年、撤退する韓国企業は新しく中国市場に参入する企業の3倍に達したという。

 しかし冒頭で記したように、撤退の波と相反するように、いくつかの米大手企業、特にハイテク企業は中国市場への大規模な投資を加速させている。

 例えばパソコンメーカーのデルは9月10日、今後5年間で中国市場に1250億ドル(約15兆円)もの巨費を投資すると発表した。単年度ベースでは約3兆円である。

米国でリストラ、中国へは投資

 パソコンメーカーとして世界シェア第3位の企業であっても、年間3兆円を中国に投資するという決断は勇断と言って差し支えないし、他の企業とあまりにも戦略が違うように見える。

 マイケル・デルCEOは10日、会見で「中国国内で、中国のために」という同社の格言を持ち出しながら、中国への思い入れが強いことを強調した。さらに「ハイテク企業として、中国の技術革新と経済発展、さらには産業界の技術変革を後押していくことを約束する」とはっきりと述べたのだ。

 デルは単に中国で事業を拡大するだけでなく、人口知能(AI)の研究施設を作るため、中国科学院と連携していくことも公表。さらには中国国内で100万の雇用を創設するとも述べた。

 しかも米テキサス州の工場に勤務する作業員1万4000人のうちの1700人を解雇し、中国で研究開発に携わる上級エンジニアを2000人雇用するという。

 多くの外国企業が中国から撤退するなかで、中国への忠誠とも思える巨額投資を発表したのはデルだけではない。

 コンピューター・ネットワーク機器の世界最大の開発企業シスコシステムズ(シスコ)も7月、中国のハイテク産業に100億ドル(約1兆2000億円)の投資を公表した。また世界最大の半導体メーカー、インテルも巨大投資を発表している。

 これは何を意味するのか。ハイテク産業の中でも巨額の利益を上げている大企業だからこそ、中国で冒険ができるということなのか――。

 前向きな見方をすれば、一党独裁体制をとる共産党と積極的に折り合うことで、ビジネスの成功をつかもうとしているかに見える。大企業だからと言って兆円単位の冒険がやすやすとできるわけではない。

共産党と手を結んだ?

 むしろ流れは逆で、多額の調査・研究費をかけて徹底した市場分析を行うと同時に、政治的な「手綱」を巧みに使って、これから進む企業の針路を定めたということだろう。

 そのあたりの詳細はメディアに出てきていないが、語弊を怖れずに記すならば、共産党とタッグを組んだと捉えられる。

 しかし中国が国外からの投資を快く受け入れるのは、すべて自国企業と政府のためになることが前提であるはずだ。

 米ハイテク企業は本当にそれを見越して巨額の投資を決めたのだろうか。中国経済が陰りを見せるなか、いくつもの巨大企業が爆音を立てて倒れないことだけを祈りたい。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44780

◆星条旗新聞5月13日号

「アメリカの4万人兵員削減と安保法制がセット、海外と空軍に集中するため陸軍は自衛隊に肩代わりさせる方針」

↑シナへの地上戦はないな。すぐ降伏する。駐留は日本がやるのか。毛唐は統治する気はないんだな。海の利権だけか。。。

http://www.nikaidou.com/archives/71314 

◆安倍談話に沈黙する北京と対中懸念強めるワシントン
戦後70年安倍談話~中国株式会社の研究(268)

2015.8.17  宮家 邦彦  JB PRESS

首相官邸で会見し、戦後70年談話を発表する安倍晋三首相〔AFPBB News

 今回の原稿は週末ワシントンからの帰国便の中で一気に書き上げた。安倍晋三首相による戦後70年談話の発表は米国東部時間で8月14日早朝。米政府関係者とワシントンの日本大使館館員には朝早くから「ご苦労様」としか言いようがない。

 というわけで、今回のテーマは戦後70年談話をめぐる米中の温度差から垣間見える米中関係の行方である。

ホワイトハウス報道官声明

 安倍首相による戦後70年談話の発表は東京時間で8月14日午後6時、ワシントン時間では同日早朝5時だった。さらに、日本政府による諸外国に対する事前通報は、閣議決定である以上、東京時間で同日午後5時(ワシントン時間午前4時)から開かれる臨時閣議の後とならざるを得ない。

 そのような時系列の中でホワイトハウス報道官が「歓迎声明」を関係者にメール送信したのはワシントン時間の午前9時56分だった。たまたま同日10時過ぎに旧知の米政府関係者と雑談する機会があったが、その人物も既に同声明を持っており、早速筆者にもコピーをくれた。やはり持つべきは友人だ。

 さて、ホテルに帰ってこの一見素っ気ない米政府の短い正式声明を読み直してみた。元公務員の性なのか、行間から多くのことが読み取れた。10年前までこんなことばかりやっていたからか、どうもこの種の文書は行間が気になるのだ。筆者が注目した声明の内容と筆者のコメントをご紹介しよう。

●我々は、第2次大戦中に日本がもたらした被害に対し安倍首相が痛切な反省を表明したこと、および歴史に関する過去の日本政府の声明を引き継ぐというコミットメントを歓迎する。

We welcome Prime Minister Abe’s expression of deep remorse for the suffering caused by Japan during the World War II era, as well as his commitment to uphold past Japanese government statements on history.

【筆者コメント1】

 安倍首相の「痛切な反省の表明」を歓迎するということは日本に対し「お詫び」までは求めないということ。「過去の政府の声明」を引き継ぐことを歓迎するということは、米国政府の理解として、これらの声明の中に村山・小泉談話だけでなく、いわゆる河野談話をも含むことを暗示している。

●この(70年間の日本の平和・民主主義・法の支配へのコミットメントという)記録は世界のあらゆる国家にとってモデルとなるものだ。

This record stands as a model for nations everywhere.

【筆者コメント2】

 ここで重要なことは、名指しこそしないものの、戦後の日本を模範とすべき国家として中国や韓国を念頭に置いていると思われることだ。

中国の沈黙

 以上の通り、今回の米政府の反応は前向きかつフェアだったと思う。その点は同様の声明を発表した豪州なども同様だ。これに対し、今のところ中国側は静かで、安倍談話の内容そのものについて直接の批判は控えている。報じられている範囲内で中国側の反応をご紹介すれば以下の通りだ。

●中国側は日本の指導者の関連談話に注目している。外交部の張業遂副部長は日本の木寺昌人大使に対し中国側の厳正な立場を表明した。(14日、外交部報道官の応答内容)

●張副部長は、「日本軍国主義が戦争を発動したことにより、中国とアジアの被害国人民が深刻な災難をこうむったこと」や「歴史を銘記し、正義の要求を守ることが、日本とアジア隣国の関係を改善する重要な基礎であり、未来を開く前提になる」と主張した。(同上)

●日本は軍国主義の侵略戦争の性質と戦争の責任に対して明確に表明し、被害国人民に対し誠意ある謝罪をし、軍国主義の歴史と徹底的に決別すべきだ。この重大な原則問題については、いかなる覆い隠しもすべきでない。(同上)

●談話にある「お詫び」や「反省」は、歴代内閣の歴史認識を間接的に引用したにすぎず、日本側は(お詫びについて)直接の表明は避けた。(14日、新華社)

●「侵略」「植民地支配」「反省」と「お詫び」などキーワードはあるが、文脈、とりわけ誠意の面で「村山談話」とは大きな違いがある。日本が侵略と植民地支配の歴史に誠意を持って向き合わず、心から反省とお詫びをしなければ、国際社会から信頼を得られず、平和への貢献もない。(15日、人民日報)

【筆者コメント3】

 これは事実上の沈黙にも等しいのではなかろうか。報道官は「日本の指導者」にのみ言及し、安倍首相を名指していない。中国側の「厳正な立場」にも目新しい点はない。談話の個々具体的内容には批判を控えている。これには最近の中国側の対日政策の変化が関係しているのかもしれない。

 そもそも中国が対日政策を戦術的に変更したのは昨年の夏のことであり、中国側は安倍談話が村山談話と同じ内容にならないことをある程度覚悟していたはずだ。もし中国側にとって村山談話の完全踏襲が政治的に不可欠であれば、昨年11月と今年の4月の日中首脳会談はそもそも実現しなかっただろう。

 冒頭の米政府の「歓迎声明」が極めて明確かつ力強いものであったことも、中国側が的外れな対日批判を控えている理由かもしれない。やはり中国の最大関心事は日本などではなく、ワシントンが中国を見る目なのだ。当然だろう、9月には習近平国家主席の訪米が控えているのだから。

ワシントンポスト社説

 そのワシントンの中国に対する雰囲気を象徴すると思われるのが8月15日付ワシントンポスト社説だ。

 「安倍首相の平和の申し出(Mr. Abe’s peace offering)」と題するこの社説、副見出しこそ「明白な謝罪はないものの、日本の首相は日本がもたらした損害を認めた(Without outright apologizing, the Japanese premier acknowledges the damage his nation inflicted.)」だったが、その真の対象は中国のようだ。

●アジアでの歴史の直視には二重基準がある。中国政府関係者はその国民が、日本軍と実際には誰が戦ったか、大躍進時代に何百万の中国人が犠牲になったか、1989年天安門でいかなる弾圧があったかなどの20世紀の真実を学ぶことを許さない一方、日本政府の第2次大戦に関する公式声明の一言一句に注文を付ける権利があると考えている。このことは安倍談話を考えるうえで念頭に置くべきだ。

●日中両国には安倍首相がより明確に謝罪すべしという声もあるが、そう主張する日本人は、中国とは異なり、自らの指導者を批判する際、少なくとも政府による法的措置を恐れる必要はない。

●安倍首相が謝罪を繰り返さなかったことは悲しいことだが、同時に、今回の安倍談話は彼の批判者たちが懸念したよりも、はるかに和解志向であり、かつ非民族主義的である。

●どの国にとっても過去の醜い歴史を直視することは容易ではない。米国ですら南北戦争終了後150年経っても南軍関係者の銅像に是非について議論があるではないか。

●安倍首相と同様に、もし中国が過去の歴史の議論についてより開放的になれば、中国の隣国も南シナ海での中国の拡張主義的活動への疑念を減らすことができるだろう。

【筆者コメント4】

 米国ではワシントンポストよりもニューヨークタイムズの方が日本に批判的だが、それにしてもこの社説には驚いた。題材は安倍談話だが、主眼はむしろ中国批判だとすら思える。ちなみに8月16日現在、ニューヨークタイムズの安倍談話関連社説はない。批判が難しいからか、理由は不明だ。

米国アジア村の反応

 最後に、米国のアジア専門家について一言。今回のワシントン出張は別件だったため、あまり多くのアジア村住人と意見交換をする機会はなかった。総じてい言えば、今回の安倍談話は事前の予想以上に内容面でバランスが良く取れており、談話を厳しく批判する向きはごく少数だと感じている。

 最近筆者は米国のアジア関係識者に対し、次のように言い続けてきた。

(1)従来から歴史問題で日本は国論が割れていたため中国や韓国の介入を許してきた。

(2)1995年に作られた村山談話は国論を収斂させるどころか、逆に左右の亀裂を深めてしまった。

(3)そのような亀裂を修復し、国論を収斂させることができるのはリベラルではなく保守の政治家だ。

(4)サダトと握手したイスラエルのベギン首相も、毛沢東と握手したニクソン大統領も、いずれも保守強硬派だったからこそ、国論の分裂が収斂し、新たなコンセンサスが生まれたのだ。

(5)されば、日本で歴史問題に関するコンセンサス作りが可能なのは保守強硬派の安倍首相である。

(6)今回の安倍談話をリベラル派が批判し、保守派が歓迎するようならば、歴史問題に関する国民的コンセンサス作りの第一歩となるかもしれない。

 そのことを理解し、将来の中国との競争に備えるべしと考える米国人識者は沈黙を守っている。これに対し、それを理解できないアジア専門家の一部は安倍政権を批判し続けるだろう。米主要紙の若いアジア特派員の大半は後者だが、幸い今回のワシントンポスト社説は前者を代弁する声なのかもしれない。 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44547

◆中国との対立を避け 台湾に屈辱と困難を強いる米国

2015年08月26日 WEDGE Infinity

 米下院軍事委員会シーパワー・戦力投射小委員会のフォーブス委員長が、7月16日付けウォールストリート・ジャーナル紙への寄稿にて、米国は種々の対台湾軍事交流等に係る制約を撤廃し、台湾を合同演習に参加させる等米の安全保障体制の中に含めていくべきである、と主張しています。

 すなわち、中国の「平和台頭」論は不誠実なスローガンとなってしまった。中国は隣国の領有権主張を無視して南シナ海では人工島を造り、大砲や滑走路を設置している。南シナ海でも国防識別圏を設定すると見られている。隣国漁船の威嚇や領海、領空の侵犯は恒常的になっている。

 豪州、日本、越などは、米国の強い対応を求めるとともに、米国との関係強化を図ろうとしている。しかし、米国は、中国との対立を避けるため、台湾に種々の屈辱と困難を強いて来ている。台湾が必要とする武器の供与を定める台湾関係法が成立して36年が経つというのに、米国の指導者達は、つまらない、逆効果を招く台湾政策を取っている。

 大佐以上の米国軍人は台湾を訪問できない。台湾の総統や高官はワシントンを訪問できない。訓練のため米に向かう台湾の軍人は、制服を着て入国することができない。台湾の海軍兵学校生はハワイやグアムを訓練訪問できない。友好国台湾に対するこのような卑劣な規制は、米国の対中関係の実体を露呈している。台湾、チベットや人権など中国が敏感な問題に対して、米国の政策立案者達は一貫して屈従的な宥和姿勢を取ってきた。かかる米国の姿勢は、中国を一層大胆にさせ、同盟国の安全と国際ルールを守るという米国の信頼性も損なって来た。

 米国の台湾政策は、安全保障上の協力関係と民主主義の進展という米国の戦略的利益を反映すべきもので、中国の指導者の怒りを買うのではないかとの恐怖を反映するものであってはならない。米国は、二国間関係の規制を撤廃し、台湾の軍事力を米の安全保障体制の中に含めていくべきだ。

 まず、空軍レッド・フラッグ合同演習などの主要訓練への参加を招請すべきだ。米台は、先進レーダーデータの共有、損傷滑走路の修繕、人道支援などの分野で軍事協力を進めているが、高度な協力には依然慎重である。

 米国の対中関係は複雑かつ多面的である。しかし、過去の経験を見れば、こちら側が弱い立場を見せた時、中国が決して前向きに反応しないことは明白である。台湾につまらない屈辱を強いたり、必要な訓練への参加を認めないことにより、事実上中国に拒否権を与えている。米国は友邦を守りアジア太平洋の国際秩序を堅持することを中国に見せるべきだ、と論じています。

出典:J. Randy Forbes,‘Taiwan Needs a Strong Ally’(Wall Street Journal, July 16, 2015)
http://www.wsj.com/articles/taiwan-needs-a-strong-ally-1437066509

* * *

 この論説から、軍人の交流や総統の訪米などについて、米台関係が種々の規制を受けていることがよく分かります。フォーブスが中国配慮に基づくつまらない屈辱的な規制は撤廃すべきだと主張するのは、下院軍事委海軍力等小委員長としては当然でしょう。フォーブスはこれらの規制は「米国の指導者達」の一貫した政策の結果だとして批判していますが、具体的にどの政権ということは明言していません。米国の台湾政策は、共和、民主党政権を問わず、基本的には72年の米中共同声明とその後の両国のやり取りを通じて、積み重ねられたものだからでしょう。しかし、その中でも1998年のクリントン大統領の3つのノー政策(台湾の独立不支持、二つの中国及び一中一台の不支持、台湾の国連等国際機関への加盟不支持)の発表は、米国内で批判されました。

 フォーブスは、中国に弱さを見せると中国は益々大胆な行動を取ってくると対中警戒論を述べています。少なくとも今までの中国の行動を見れば、正しい指摘です。我が国も、この点を十分認識しておくことが重要です。世界で経済力をつけ、責任も持つようになった中国と協調することは結構ですが、中国に「弱さ」と誤解されないようにしなければなりません。

 他方、中国は、一つの中国の原則に基づき、国内法や政府の発言を通じて、台湾が独立宣言をすれば、武力行使を辞さないと宣言しています(2005年の反国家分裂法により明文化)。中国が、過去3回、台湾海峡で武力行使を含む危機を起こしたことを考えると、あながちブラフと片付ける訳にはいきません。米国は、台湾海峡で紛争が起きることは避けるべきだと考えています。中国に対する過度に強硬な姿勢によって武力紛争が起きるようなことは避けつつ、中国に「弱さ」とみられないよう、ぎりぎりのラインを追及していく他ないでしょう。台湾問題は、「現状維持」以外に現実的な解はありません。米国は、中国については関係発展と行動の牽制、台湾については防衛支持と行動の抑制という2つのゲームを同時にやっているのです。

 なお、台湾問題は基本的に国家間の関係の問題として議論されますが、この問題の議論に当たっては、もっと台湾住民の考えを重視することが必要だと思います。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5273

                 目覚めよ日本!


<転載終了>