株式日記と経済展望さんのサイトより
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<転載開始>

「“安い、便利だ! 3割も4割もコスト削減できます!お任せ
ください!”。これが派遣事業社が打ってる広告ですよ!」


2016年1月16日 土曜日

悪法「契約3年ルール」で増える“会社の自殺”「入れて、切って、はい、入れて」が会社に与えるダメージ 1月12日 河合薫

 「“安い、便利だ! 3割も4割もコスト削減できます!お任せください!”。これが派遣事業社が打ってる広告ですよ! 総理、『正社員化と言っていたのは嘘でした』と謝ってください!」

 こう石橋通宏民主党議員が安倍首相にブチギレ、激怒したのは4カ月前。(このやり取りはかなりおもしろいので、ご覧になりたい方はこちらをどうぞ!)

 なんでこんなにおもしろいやり取りを、メディアはあまり放送しなかったのだろう。ふむ。オトナの理由……ってヤツだろうか。

 いずれにせよ、反対派の必死の攻撃はあえなく撃沈。労働者派遣法の改正は昨年9月11日に成立した。その約3週間後の9月30日には施行日を迎え、新しい法律の下での運用が開始している。

法の“改悪”で派遣社員は職場を転々

 改めて説明するまでもなく、改正派遣法では、同一事業所での契約期間をマックス3年に定めている。

 一方、4年前には労働契約法が改正され、同じ職場で5年を超えて働く有期契約のパートや契約社員について、本人が希望した場合に契約期間を限定しない「無期雇用」、すなわち、正社員に転換することが盛り込まれた。

 もともと労働契約法は有期雇用について、1回の契約で働ける年数を原則3年以内と定めているが、法案が改正されるまで「契約更新を重ねた場合の上限」はなかった。そこで「永遠に契約状態」を無くすために、と作られたのである。

 が、当初からこの法律は問題山積で、悪法以外の何ものでもなかった。

 予想どおり、契約期間マックス3年で「延長はなし」との条件で採用するケースが増え、契約社員は転々と職場を渡り歩く事態に追い込まれているのだ。

「契約期間は3年。派遣法の改正のせいで、それ以上はもうないね」
「これからって時に送り出さなきゃでしょ。現場は正直キツい」
「契約延長できないかって、散々上にも交渉するんですけど、ダメですね」
「契約社員のほうが能力高いんですよ。とにかく一所懸命。それを3年で手放すって、どれだけロスになっているか、上はわからないんだよね」
「結局、なんやかんやいっても、上にとってはコストでしかないんだよ」

 これらはすべて大手企業、あるいはその関連会社で働く部長職の方たちの嘆きだ。

 そうなのだ。その“3年”という時間を巡って、現場と経営層の間にギャップが生じているのである。

「企業を儲けさせないと賃金は上がらない」のウソ

 そもそも組織に適応し、いちメンバーとして組織に役立つには、最低でも3年はかかる。組織心理学の専門用語でいえば、組織社会化。「どれだけロスになっているか」と嘆く先の現場の言葉どおり、3年ごとに「入れて、切って、はい、入れて」は、“会社の自殺”だ(参考コラム:“会社の自殺”が進むこの国の愚行とANA正社員化の英断)。

 要するに部長さんたちが指摘するとおり、「結局はコスト」。

 派遣会社が「私たちにお任せください!」と謳うように、派遣社員も、直接契約の契約社員も「安くて、便利!コスト削減にはもってこい!」。

 「非正規雇用、遂に4割!」で話題になった、昨年公表された厚生労働省の調査(平成26年「就業形態の多様化に関する総合実態調査」)でも、正社員以外を雇用する理由のトップは「賃金の節約」(38.6%)だった。

 その抑制分は人材派遣会社に流れ、ホクホク顔。主要人材派遣会社の97%が黒字で(帝国データバンク)、2015年上半期の労働者派遣事業の倒産件数は、年度上半期では過去8年間で最少だったのである(東京商工リサーチ)。

 なんでこんなにも、企業ばかりが優遇される仕組みになっているのだろう。

 「そりゃあ、企業を儲けさせて景気よくしないと、社員の賃金アップにはつながらないし。正社員の賃金アップなしに、非正規の賃金アップはないでしょ?」

 ふ~~ん。果たしてそうなのだろうか。

 んじゃ、なんで「日本の労働分配率は、過去20年間で最低水準まで低下」しているんだ。非正規社員を増やし人件費を抑制し、企業が利益を優先しているだけじゃないのか。

 それを知ってか知らぬか、安倍首相、さらには黒田日銀総裁まで、「賃金を上げろ!」と企業にオーダーはする。

 けど、「非正規との賃金格差をなくせ!」とか、「正社員化しろ!」とオーダーすることはない

 結局のところ、

「正社員化は、企業の判断でやるべき」(By 安倍首相 冒頭の国会での答弁より)であり、
「正社員をなくしましょう」(By 某大手派遣会社の会長であり、経済学者)だから、仕方がないってことなのか?

 たとえ、その煽りを現場が受けようとも、契約社員が3年ごとに就活を余儀なくされようとも、「そのうちそれがノーマルになりますから、待っててね!」ってことなのか?

 ……それっておかしくないですか?

 というわけで、今回は「3年問題」についてアレコレ考えてみます。(後略)



(私のコメント)

小泉構造改革のおかげで、人材派遣法が改正されて適用される業種が大幅に増えました。その後人材派遣会社に有利に働くような法改正が次々行われている。それは民主党政権でも変わらなかったのは何故なのでしょうか? 結局民主党は正規社員の労働組合は守っても非正規社員は見捨てられているのでしょう。

現代では大卒か高卒かよりも、正規社員か非正規社員かの違いの方が大きい。私の経営しているビルのテナントでも、若い人がアルバイトで働いているが、アルバイト従業員の入れ替わりが激しい。学生アルバイトならわかるが、社会人も多い。

時給が900円から1000円程度であり、勤務時間も不規則で、週に5日間フルに働いているのは美容師さんくらいで、飲食店やリラクサロンのアルバイト従業員は週に2~4日程度働く程度で、学生アルバイトなら分かるが社内人だと手取りも少なくどうやって生活しているのだろう。

飲食店もリラクサロンも美容院も競争が激しく、近隣には同業の店舗が軒を並べている。経営者に聞くと経営も厳しいが人手不足でメンバーをそろえられない。時給を上げたくても売り上げが伸びないから上げられない。

アルバイト従業員もマイナンバー制度で副業などがばれやすくなりましたが、それでアルバイトを辞めた人もいたようだ。しかし派遣社員だけでは給料が安いからアルバイトで稼いでいた人もマイナンバーで税金を取られるようになった。

このように低賃金の人ほど税金の縛りがきつくなり、企業や高所得層は節税で税金を払わないで済む税制改正が進む。国会議員には企業サイドからの働きかけばかりが入って非正規社員の声が届かない。何故届かないのかと言うと非正規社員は政治無関心層であり選挙に行かないからだ。

昭和の頃は20代の投票率が60%くらいあったのに今では30%そこそこしかないのは異常だ。政治不信になればなるほど彼らの政治的意見が通らなくなる。なぜ若い人が政治に無関心かと言うと学校教育に原因があるのではないかと思っている。

今や4割が非正規社員となり、国会議員が彼らの票が取れれば労働環境も変わるだろう。しかし彼らの代表と言えるような国会議員はおらず、杉村太蔵は落選してしまった。だから予算委員会でも非正規社員に成り代わって質問できる議員がおらず、記事にある石橋通宏民主党議員も父は国会議員であり非正規社員の経験がない。

自民党の宮澤博行議員は工場の派遣社員の経験があるそうですが、若い国会議員がいたとしても二世議員のボンボンばかりだ。選挙権は18歳まで引き下げられましたが、被選挙権はそのままであり若い派遣社員がそのまま国会議員選挙には出られない。第一300万円も供託金を取る選挙に出られるわけがない。

「株式日記」でも、派遣法に対していろいろと書いてみても、彼らは「株式日記」のような硬派のブログは読まない。コメント欄も解放しているのですが派遣労働者の書き込みは少ない。まさに貧すれば鈍するで貧しいから政治にも関心が無くなりスマホばかりに見入っている。

派遣労働や契約社員の問題は少子化問題と密接に結びついており、低賃金では結婚も出来ないし、結婚しても女性ならば3年の派遣契約で産休はとれないだろう。最近は男性の国会議員が産休を取る議員のニュースがありましたが、いかに国会議員が世間とずれているかを物語っている。

派遣社員から正社員の道には厳しい壁があり国会議員が考えているほど簡単ではないようだ。本来の派遣社員は特殊な技能を身に付けた業種の派遣だったのですが、製造業や一般事務などの代替がきく業種に広げられたことで企業は一斉に派遣労働者に切り替えるようになった。派遣企業も切り替えれば3割も4割もお得ですよとセールスしている。

企業は300兆円も内部留保を貯めこんでいますが、従業員への給与に反映させるつもりはないようだ。バブル崩壊前は日本こそ最も進んだ社会主義国と言われましたが、バブル崩壊後は市場原理主義化に流れが出来ているようだ。もはやサラリーマンは現代の奴隷であり、学生時代から起業を目指して人生プランを立てるべきだろう。

私のような不動産業は、多額の資本と借金が必要ですが、美容室やサロンなどは500万円もあれば開業できるだろう。ダメだったらまた元の従業員に戻ってカネを貯めて再起に備えればいい。どうせ派遣社員になるくらいなら独立できるような業種に就職した方が良いだろう。

<転載終了>