社会科学者の随想さんのサイトより
http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1054177532.html
いずれ政治家の経歴とかは個人情報保護法とか、秘密保護法等で隠されるんでしょうね。
<転載開始>
【人はなぜ,それほどにまで学歴を詐称し,偽・創称したがるのか?】

 【ショーン・
マクアードル・川上,アベ・シンゾウなど】


 本日の題名のうち「 」内の文句は,http://togetter.com/li/950986 から借用したが,麻生太郎と高市早苗はひとまず〔小者(こもの)あつかいで〕放置しておき,安倍晋三〔中者(半人前)あつかいしてあげておき〕に関する記述からはじめる。

 ①『自由民主党 安倍晋三』(http://www.s-abe.or.jp/profile)に掲示されている。安倍晋三の「プロフィール」は,こう書かれている。右側の画像は「画面 クリックで 拡大・可」。

安倍晋三プロフィール 1954年     安倍晋太郎,洋子夫妻の二男として生まれる
 1977年     成蹊大学法学部政治学科卒業
 1979年     株式会社神戸製鋼所入社
 1982年     外務大臣秘書官
 1993年     衆議院議員初当選
 1999年     衆議院厚生委員会理事
          自由民主党社会部会長
 2000年     内閣官房副長官(第二次森内閣)
          内閣官房副長官(第二次森改造内閣)
 2001年     内閣官房副長官(第二次森改造内閣)
          内閣官房副長官(第一次小泉内閣)
 2002年     内閣官房副長官(第一次小泉改造内閣)
 2003年     自由民主党幹事長
 2004年     自由民主党幹事長代理・党改革推進本部長
 2005年     内閣官房長官(第三次小泉改造内閣)
 2006年     第90代内閣総理大臣
 2007年     内閣総理大臣を辞任
 2012年     自由民主党総裁
 2012年     第96代内閣総理大臣

 ②「フジ “新ニュースの顔” ショーンK に学歴詐称疑惑」(『週刊文春』2016年3月15日(火)16時01分配信)
 フジテレビが社運を賭けて4月4日からスタートさせる平日深夜の大型報道情報番組「ユアタイム~あなたの時間~」のメインキャスター,ショーン・マクアードル・川上氏(47歳)に学歴詐称疑惑が浮上した。
  ショーンK画像
    出所)http://geinou-news-news.hatenablog.com/entry/2016/03/15/182048

 川上氏は現在,「とくダネ!」(フジテレビ),「報道ステーション」(テレビ朝日)のコメンテーターとしても人気を集める国際派経営コンサルタント。「『ユアタイム』キャスター就任にあわせて『報ステ』は降板しますが,テレ朝とサイバーエージェントが共同で4月に開局するインターネットテレビ局『Abema TV』の看板ニュース番組の金曜MCにも内定しています」(スポーツ紙デスク)。
 補注)MCとは master of ceremonies のことで,司会者・進行係・式場係の意味。

 川上氏の公式ホームページ「SEAN K」の英文プロフィールには長年にわたり,下記の記述があった。「高校卒業まで日本で教育を受け,大学で米国に戻り,フランスで2年間を過ごした。 --中略--   テンプル大学でBA(学位),ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得。パリ第1大学に留学をした」(編集部訳)。
 補注)BAとは Batchelor of Arts で「学部・卒業」,MBAとは Master of Business Administration で「経営学修士・修了」(とくに経営〔専門職〕大学院修了を意味する)。

 川上氏は『週刊文春』の取材に対して「学位はとっていない」「パンテオンソルボンヌ(パリ第1大学)には入っていない。オープンキャンパスのなかで聴講した」「ハーバード・ビジネス・スクールには,オープンコースの3日くらいのコースに1回いった」などと回答。「ホームページはしらないうちに間違った文章が載っていた」などと釈明した。現在ホームページのプロフィールは削除されている。
 註記)『週刊文春』2016年3月24日号『スクープ速報』より。引用は,http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160315-00005971-sbunshun-ent

 --関連しては,こういう記述もみつかる。
 ◆-1 学歴偽造の他にも混血がなく,本名が川上伸一郎である純粋日本人であり,異国的にみえる外見は,整形手術でおこなわれたものだと付けくわえました。

 波紋が拡散すると,ショーン・K氏は,自分もしらないあいだにホームページに誤った内容が記載されたと主張し,謝罪文を発表したが,日本のすべての放送局が彼の出演を中止させました。

 日本では2年前,日本版「ベートーベン」と呼ばれ,国民的賞賛を受けた聴覚障害の作曲家が実際には,聴覚が正常なうえ,代理作曲家を動員した曲を書いたことが明らかになり衝撃をもたらした。
 註記)http://blog.livedoor.jp/sekaiminzoku/archives/47111826.html

ショーン・K画像3 ◆-2 いったいなにが嘘で,なにが本当だったのか。……錯綜する情報をまとめ,真実を分かりやすく,以下の8つにまとめられる。
 出所)画像は,http://kanarikinic.com/851.html

 1.テンプル大学卒 → 日本の高卒。

 2.ハーバード大学院(MAB)卒 ⇒ オープン授業を3日受けただけ。

 3.パリ大学留学 ⇒ オープンキャンパスにいっただけ。

 4.経営コンサルタント ⇒ 実態のないペーパーカンパニー。
  ※ ただし,ショーン・Kは自身のHPにおいては,経営コンサルタント事業は下請けというかたちでやっていたので,クライアントからの証言はえられないが,本当に仕事はしていたと主張している。

 5.米国人親から生まれたハーフ ⇒ 純粋な日本人。

 6.ショーン・マクアドル川上 ⇒ 川上伸一郎。
  ※ 昔,熊本で同級生だった人物は当時の川上氏のあだ名が「ホラッチョ川上」だったと語っている。ホラッチョというのはホラ吹きを意味する言葉だ。

 7.世界7ヶ所にコンサル会社 ⇒ 実態なし。具体的に語れる実績もなし。渋谷にあるオフィスは月3万円のレンタルオフィスと判明。

 8.共同経営者にジョン・G。マクガバン氏 ⇒ 無関係な人物の写真を無断使用していた。

 ◆-3『ショーン・Kさんのプロフィール』( http://kanarikinic.com/851.html  )
 -なお,これはショーン・Kの素性が発覚し,暴露される以前,2015年5月1日の記述である-

☆ ショーン マクアードル 川上の身長や結婚は?
 鼻(眉間)が気になる! ☆


  本 名 :ショーン・マクアードル・かわかみ
  生年月日:1968年3月21日
  出身地 :アメリカ
  血液型 :B型
  身 長 :170cm
  出身校 :アメリカ・テンプル大学
       ハーバード・ビジネス・スクール(MBA取得)
  肩 書 :経営コンサルタント,コメンテーター,声優
 
 お名前でわかるようにショーン・Kさんはハーフ,と思いましたが,父親がアメリカ・日本のハーフで母親が日本人なのでクオーターということですね。クオーターでもかなり和のテイストが薄いタイプです。

 私の友人にもクオーターがいますが,絶対に外国人に英語で話しかけられるほど日本人要素ゼロです。でも英語は話せないし,外国にいったことがない!w だからほんの少しの遺伝子配分であっても,みた目に大きく影響することがあるようです。
ショーン・K画像2
出所)http://netgeek.biz/archives/68189
 
 そして,和の遺伝子を引き継いでしまったのは身長。170cmとあまり大きくないですね。モデルもできそうなんですが,170cmだとちょっと低いですね。イメージだと185cmくらいありそうなので意外でした。
 
 ショーン・Kさんは生まれはアメリカですが,10代のほとんどは日本で過ごしていたみたいです。だから日本語は問題なく話すことができるんですね。
 
 その後どういう経緯なのかは不明ですが,27歳の時に外資系企業向けの経営コンサルタント会社を設立します。テンプル大学では経営学を専攻していたので,勉強はしていたと思いますが,27歳という若さで独立ってスゴいですよね??
 
 日本をはじめ,ニューヨーク,パリ,シンガポールなど世界7都市を拠点に事業を展開しているとか。
 
 事業内容は
 
  ・企業戦略コンサルティング
  ・M&A
  ・投資ファンド運営事業
  ・地方自治体,各国政府・行政団体へのアドバイザリー・サービス

となっていますが,こういう系に疎い私には「うさんくさい」イメージがw。なんか実態がみえないというか。そんなにみなさんアドバイス的なものって必要なんでしょうか?

 でも,経済やビジネスに関してテレビでもコメントしていますし,本も出版されていますから,しっかりと勉強してニーズに応えているんだと思います!
 
 ワールドワイドに仕事ができるということは,有能なスキルも必要ですが,コミュニケーション能力も高くないとムリなので,ショーンさんはみた目も中身もイケてる人なんでしょう。

 --ここで,本ブログ筆者から一言,くわえておきたいことがある。それは,どうしてこの人物が日本のマスコミ界に登場するようになったのか? そのきっかけ・事情をしりたい,という点ある。

 テレビ朝日のニュース番組『報道ステーション』に出演した彼の姿を,なんどかみかけているが,その解説ぶりはいちおう「それらしかった」。そのせいか,いままでは,いともたやすく欺されてきたらしい。だが,日本のマスコミ界の実力:真贋識別力は,その程度であったのか?

 ③ 安倍晋三君の学歴表記から消えた項目など

 以下に紹介するツイートから,まず聞いてみる。

 a mold@lautrea    2015-05-20 18:07:07
     安倍晋三自民党幹事長の「留学経歴」に重大疑惑,南カリフォルニア大学(USC)政治学科在籍は虚偽。
  註記)web.archive.org/web/2004021605… 

 b)  mold@lautrea    2015-05-20 18:08:15
     安倍氏の公式の経歴書には,成蹊大学を卒業後,南カリフォルニア大学政治学科に2年間留学したとされているが,USC広報者担当者によると,安倍氏が政治学部に在籍したことはなく,1978年の春期,夏期,秋期にのみ在籍し,取得した6コースのうち,3つは外国人のための英語コースであり,……(ツイートなので,ここで文章終わり,以下にも同じに文章が切れているものがある)。

 c)  mold@lautrea    2015-05-20 18:10:36
     そこには政治学は含まれていない。しかも安倍氏は,2年間留学といいながら,実際には1年間にも満たないことがこれで判明した。安倍事務所は「南カリフォルニア大には1978年1月から1979年3月まで在籍しています。政治学は履修したが,途中でドロップアウトしたため,記録が残っていないだけで,……。
 補注)ドロップ・アウトなら中途退学であり,学歴(卒業)としての履歴(この実績の記録)にはなりえない。むろん,卒業の証書もないわけである。したがって,具体的な記録の存在を踏まえたうえで,正式なその「記録が残っていないだけで,留学の実態はあったと考えています」という説明ではない。

 これは,非常に不可解な弁解である。そこまでいうのであれば,南カリフオルにア大学の事務局から,その旨を証明できる書類をとりよせればよいだけのことである。
「記録が残っていない」というさい,安倍晋三の手元にそれがないというのか,それとも留学したという大学にもともと,それに相当するものがないというのか不分明である。

 もとより,そのような説明=理屈(弁明)は通るものではない。単なる架空の話題である。安倍晋三側は,留学ということばの定義を溶融させている。

 「留学」ではなく,せいぜい「個人的に遊学してきた」,南カリフォルニア大学の「外国人のための英語コースで勉強したことがある」と表現(表記)するのが,より正確な表現である。そもそも「留学」したといえないのは,「卒業」していない(学部の学位を取得し,卒業証書もえていない)からである。結局は,そう理解されるほかない。

 今日〔2016年3月18日〕現在でも,https://ja.wikipedia.org/wiki/安倍晋三 には,つぎのように解説されている。

 1977年3月 成蹊大学法学部政治学科卒業。

 1977年4月 米国カリフォルニア州ヘイワードの英語学校に入学。その後,ロングビーチの語学学校に転校した。

 1978年4月 南カリフォルニア大学に入学。政治学を専攻し春・夏・秋学期を履修し,1979年に中退。


 要は,② のショーン・マクアードル・川上(ショーン・K)の話題にも通じるような,それとあまり変わりのないと受けとれるような「自分の学歴」に関する表記法を,安倍晋三はついこのあいだまで,自身のホームページに掲載していた。

 d)  mold@lautrea    2015-05-20 18:11:31
     安倍晋三側は「留学の実態はあったと考えてい」ると答えている。そういうことであるならば,卒業したと思っていたという古賀〔潤一郎〕氏とは,主観的な思いこみだけは共通しており,卒業か在籍かという冷静な事実において,両方とも厳しい審査に耐えられない。
 補注)ここで古賀氏とは,別件の学歴詐称事件を起こしていた,古賀潤一郎を指している。10年以上も昔に,こういう話題があった。
    民主党を除籍された古賀潤一郎衆院議員(46歳)(福岡2区)の学歴詐称問題で,古賀議員が福岡県警と福岡地検の事情聴取に対し,「(米ペパーダイン)大学を卒業していないことは初めからわかっていた」などと供述していることが〔2004年9月〕22日,分かった。

 古賀議員はこれまで,「卒業したと認識していた」と主張していた。県警は当選目的で事実と異なる学歴を公表した疑いが強いと判断,今月中にも公選法違反(虚偽事項の公表)容疑で福岡地検に書類送検する。

 古賀議員は昨〔2003〕年11月の衆院選のさい,報道機関の調査に対し,米ペパーダイン大卒と回答した。1月に学歴詐称疑惑が浮上すると,「弁護士から卒業証書を受けとった」と説明。渡米し,同大から単位不足で卒業していない事実を告げられても,主張を変えなかった。
 註記)2004/09/22 読売新聞 [Archive],http://www.lunchsoon.org/log/2004/09/23.html

 ネット上にみつかる関連資料は,以下のものである。(画面 クリックで 拡大・可)
古賀潤一郎画像
 ④「〈TWPスクープ3連発 PART1〉安倍晋三自民党幹事長の『留学経歴』に重大疑惑,南カリフォルニア大学(USC)政治学科在籍は虚偽」(『週刊ポスト』
http://www.weeklypost.com/jp/040213jp/brief/opin_1.html)

 前民主党代議士の古賀潤一郎氏は,カリフォルニア州のペパーダイン大学を卒業したと学歴を偽ったことから,民主党は彼を除名し,なおかつ,政府・連立与党を挙げて,学歴詐称問題を民主党攻撃の材料とし,肝心の自衛隊のイラク派遣問題をカモフラージュすることに躍起である。

 なかでも,自民党幹事長・安倍晋三氏は,与党最高指導者として,初めての通常国会を指揮する立場にあるとあって,やや空回りながら大張りきりだ。安倍氏は,古賀問題について,本人を議員辞職に追いこむまで追及の手をゆるめない姿勢をみせ,自民党内に調査委員会を発足させる方針を明らかにしている。

 ところが,本誌の調べによると,安倍氏自身の留学経歴にも重大な疑惑が発覚した。同氏の公式の経歴書には,成蹊大学を卒業後,南カリフォルニア大学政治学科に2年間留学したとされているが,USC広報者担当者によると,安倍氏が政治学部に在籍したことはなく,1978年の春期・夏期・秋期にのみ在籍し,取得した6コースのうち,3つは外国人のための英語コースであり,そこには政治学は含まれていない。しかも安倍氏は,2年間留学といいながら,実際には1年間にも満たないことがこれで判明した。

 安倍事務所は「南カリフォルニア大には1978年1月から1979年3月まで在籍しています。政治学は履修したが,途中でドロップアウトしたため,記録が残っていないだけで,留学の実態はあったと考えています」と答えている。

 そういうことなら,卒業したと思っていたという古賀氏と「留学の実態はあったと考えている」という安倍氏サイドのいいぶんには主観的な思いこみだけは共通しており,卒業か在籍かという冷静な事実において,両方とも厳しい審査に耐えられない(この段落は前段にさきに出ていた)。安倍氏は,古賀氏追及の前に,みずからの疑惑をはらす必要に迫られそうだ。
 註記)http://www.asyura2.com/0401/senkyo2/msg/344.html

 --ということで「目くそと鼻くそ」的話題から再度,最初 ③ のツイートの続きに戻り,さらに聞いてみる

 e)  mold@lautrea    2015-05-20 18:14:22
     で,結局いまの安倍の経歴からは留学の記述はそっくり削除されました,と。

 f mold@lautrea  2015-05-20 18:17:34
   2ちゃんの書きこみより:
     >あと,安倍が11年間秘書をやっていたのも嘘
     >去年になって急に書きくわえられた経歴だよ
     >野党が安倍の学歴詐称を調べてたときに,
     >安倍麻生は公式サイトから留学の部分を削除し,空白の11年に秘書を加えた

 安倍晋三の履歴(学歴)にかかわる  “疑惑問題”  について本ブログは,2014年10月14日「教育政策で亡国への道を整備する安倍晋三(学歴コンプレックス)」で,既述であった。その時期から1年と5ヶ月が経過してきたが,ショーン・マクアードル・川上(ショーン・K)に関して暴露された「履歴詐称」発覚にともない,いま一度関心を向けるべき対象として〈安倍晋三の履歴関係〉が思い出させられることになった。

 ⑤ 本日の『日本経済新聞』「春愁」と『朝日新聞』「天声人語」
 
    『日本経済新聞』「春 秋」☆

 ひとは制服に弱い。ぴかぴかと輝けば,周りに立派そうな空気が立ちのぼる。思わず敬意を払いたくなる。明治25年2月,東海道線国府津駅に白面の美青年が降り立った。帝国大学の制服制帽からは後光が差すようだったという。全村を巻きこんだ騒動の始まりだった。

 ▼ 青年は村役場を訪れた。全国の大学や高等中学などが合同運動会を催すので,と協力を求める。村長は光栄の至りと旅館や民家や寺社に宿舎を手配する。ところが,ぜんぶウソだった。ニセ学生は消え,用意した3000人分の食事が残飯となる。独文学者の種村季弘さんが紹介する,ぺてんの実例だ(『贋物(にせもの)漫遊記』)。

 ▼ 制服制帽はもう古いが,学歴の後光はいまも健在のようだ。端正なマスクで人気の経営コンサルタントは,米ハーバード大の経営学修士という学歴を売り物にラジオやテレビで企業家や企業経営について語っていた。その学歴も経歴もでたらめだったとわかり,4月から予定していた番組の司会などを降りることになった。

 ▼ 村長は初めてみた角帽の演技にたぶらかされた。だが,明治の人を笑えない。クラウドやソリューションなどのカタカナを操り,低音の美声でまくし立てられたら,つい耳も傾く。感心もする。こちらにしらないという不安や引け目があるからかもしれない。いつの時代も弱みをみつけて,つけ入るニセモノはいるものだ。

 --以上の記述に出てきた「端正なマスクで人気の経営コンサルタントは,米ハーバード大の経営学修士という学歴」を引っさげて登場し,すでに日本のマスコミ界では活躍中であった。いうまでもなく,ショーン・マクアードル・川上(ショーン・K)である。

 この人は,真相:素性を暴露されてしまい,退場が決まっている。しかし,同じような履歴(学歴)の詐称的掲示をしていた,それも,あとで引っこめったほうがよいような〈遊学の体験〉を〈留学的な履歴〉だと称しておき,公開していたわが首相は,問題にならないのか? このまま許され,済まされるのか? まさか首相の地位に居る人間(政治家)だから,それでいいのだというわけではあるまいに。 

  『朝日新聞』天声人語-閣僚たちの失態と傲り- ☆

 ものごとがうまくいって得意の絶頂にある人が,自分を過信し,神をも恐れぬほど傲(おご)り高ぶる。こういう状態をギリシャ語でヒュブリスというそうだ。傲慢などと訳される。古代ギリシャの神は嫉妬し,怒り,その人に天罰を下す,とされた。

 ▼ 大臣の座を射止めた政治家が,わが世の春を謳歌(おうか)しても不思議はない。大勢の官僚に世話を焼かれ,警護官がつき,つねに言動が注目される。しかし,そこには同時に,ヒュブリスという落とし穴が待ちかまえていることも確かである。
 補注)ここでウィキペディアの解説に聞く。ヒュブリス Hubris, hybris)とは,神話に由来した言葉で,神に対する侮辱や無礼な行為などへと導く〈極度の自尊心や自信〉を意味する。通常はあとで厳しく罰せられるという。

 この「神話上の言葉」は,
古代神話(例:エディプス)において説明されている一行動を想起させるような「非常に受け容れがたく傲慢で侮辱的な行動」というものが「道徳的規範と向き合わせられること」を示すために,しばしば用いられる。

 安倍晋三君の首相としての言動などをみていると,国会(議会・委員会)におけるその姿勢からは,以上のようなヒュブリスをいつも横溢させている。以前からなんども触れているように,小沢一郎が安倍晋三のことを「幼稚と傲慢」だと決めつけて非難した理由も,いまさらながらのように十二分に納得がいく。
マーティン・ファクラー表紙
 マーティン・ファクラー『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』(双葉社,2016年2月)は,こう批評している。右側(画面 クリックで 拡大・可 ⇒ )。

 安倍「政権がニューヨーク・タイムズとのコミュニケーションを遮断したことは一度もない。取材拒否などやり始めれば,ニューヨーク・タイムズのみならず,アメリカのメディアをすべて敵に回すことになると〔安倍〕政権も理解している」。

 だが,日本のメディアに対する「安倍政権のメディア対策をみていると,どうも好き嫌いといった感情論に左右される印象だ。冷静な戦略という点では,まだいくぶん子供っぽさが残っている」(43頁)と指摘する。

 ところが,日本のメディアのほうは,この安倍晋三の幼児性を完全に認容する対応に終始している。それどころか,愚かなことに「読売新聞・産経新聞」が政権側のお先棒担ぎの役目を担い,競争紙(朝日新聞)に対するバッシングに邁進してきた。

 その2紙は,安倍晋三とこの政権を喜ばすための大手紙である。だから,こちらのジャーナリズムの一群は,政府御用紙みたいな新聞社の性格を遺憾なく発揮している。つまり,読売新聞や産経新聞は「安倍政権のための〈ヒュブリス状態〉」を常時維持しつづけている。

 ましてや「社会の木鐸」としてのあり方とは
おおよそ無縁である。というのも,それとは逆の機能しか発揮しえていないからである。日本社会における反動的な言論機関であるこの新聞2社は,最低限の業界用行動倫理基準さえ備えていないのだから,権力・支配体制側にとってみれば,とても好ましい言論機関である。

 (『朝日新聞』天声人語本文に戻る  ↓ )
 ▼ 少し前の丸川環境相の発言を思い出す。講演で福島の原発事故に触れ,「反放射能派」が「わーわー,わーわー騒いだ」などと語った。揶揄(やゆ)なのか侮蔑なのか。その口ぶりに悪乗りという言葉が浮かんだ。

 ▼ 今度は林経産相である。原発政策に関する野党議員の質問に窮し,みずからの「勉強不足」を認めてしまった。素直ともみえるが,それでも閣僚が務まるという認識なら思い上がりの裏返しともみえる。石破地方創生相ら,他の閣僚の失態も続く。得意淡然の戒めを守るのは難しい。

 ▼ ちなみにヒュブリスは『イソップ寓話(ぐうわ)集』にも登場する。ここでは女神の名前として。彼女は神々の結婚式で伴侶をえられず1人だけとり残され,遅れて来たポレモスと一緒になる。ギリシャ語で戦争を意味する彼はヒュブリスを一方ならず恋い慕い,どこにでもついていったという。

 ▼ 短いお話はこう結ばれる。民衆に笑顔を振りまく傲慢のあとから,たちまち戦争がやって来る,と。

 --この天声人語,安倍〔自民党政権〕に対する痛烈な皮肉を放っている。もちろん,まじめないい方でもって,安倍晋三を批判している。しかし,幼児性をまだ色濃く残す安倍晋三自身が,このような政治批判の基本精神を,まともに理解できるか・受けとめられるかといえば,相当にあやしい。いずれにせよ,とても心もとない宰相が舵とりしているのがこの国である。

 つぎに紹介する風刺マンガは,本日と昨日(『朝日新聞』2016年3月18日・17日朝刊)のものである。
  朝日新聞2016年3月18日朝刊風刺マンガ
       『朝日新聞』2016年3月17日朝刊安倍晋三風刺マンガ
 それにしても,あのアベノミクスはいま,どのあたりを漂流しているのか? それはすでに,行方しれずに等しい経済政策にまで落ちこんでおり,影も薄い。 “安倍のミクス”  などと呼称できるほどの「経済政策」の実体など,もともとほとんどありえなかった。

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 【参考資料】 今日〔3月18日〕のこの議論については,つぎの『日刊ゲンダイ』2016年3月17日の記事が参考になる。下の出所にはリンクが張ってあり,こちらまで入れば「活字で読める」。
 出所)http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/913.html なお,画面をクリックして独立の画面にさせてから,これを100%以上に拡大して活字を大きめにすれば,少し読みやすくなる。
『日刊ゲンダイ』記事2016年3月18日その1
『日刊ゲンダイ』記事2016年3月18日その2