http://blog.livedoor.jp/mikoinrp/archives/5606168.html
<転載開始>
今回は、女性天皇、女系天皇ということについて少し考えたい。女性天皇というのは文字通り女性の天皇だが、この場合は男系の女性天皇のことを言っている。つまり例えば、現在の徳仁皇太子が皇位につき、その後愛子内親王が皇位に付いた場合のことを言う。現在の皇室典範は、女性の天皇を認めないので、現行法上はそういうことは、あり得ない。しかしこの場合、仮定の問題として愛子内親王が天皇になったとしたら、それは男系の女性天皇ということであって、女系ではない。お父さんが天皇だったからである。その後天皇になった愛子様が誰か皇族以外の男性と結婚して子を儲け、その人が天皇になると、それは男女にかかわらず女系の天皇ということになる。お父さんが皇統でなく、お母さんが天皇だったからである。
現在の皇太子の弟にあたる秋篠宮文仁親王が誕生した1965年から2006年の悠仁親王誕生までの41年間、皇室から男子が生まれなかったため、将来において皇統が断絶するのではと危惧されていた。従って2006年に悠仁親王が誕生するまで、女性天皇を認めるべきかどうか(換言すれば皇室典範を改正すべきか)盛んに議論された。もちろん弟の文仁親王がいるのだから、一代は男系男子を続けることが出来たわけだが、すぐその後どうするかの問題が起きることは目に見えていたので、女性天皇論議が起きたわけである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E7%B3%BB%E5%A4%A9%E7%9A%87
女性天皇の問題については、下記のサイトが要領よくまとめている。国防研究会というちょっとおどろおどろしい名前のサイトにある「皇室典範と女帝論」という記事だが、名前から予想するような右翼的意見の主張ではない。女系天皇について歴史や各説を紹介するだけで、特に女系天皇反対という立場ではないし、かと言って女系天皇を認めるべきだという書き方でもない。落ち着いて読める良い論考である。
http://www.kokubou.com/document_room/rance/gendai/kousitutenpan.htm
悠仁親王誕生によって、当面は問題が先送りされたために、女性天皇論議はすっかり影を潜めていた。ところが、2016年3月、国連女子差別撤廃委員会が、母方の系統に天皇を持つ女系の女子にも皇位継承が可能となるよう皇室典範を改正すべきだとの勧告をしようとした。この時に国連は日本の伝統を理解していないという批判が沸き上がって、日本政府の抗議により結局、委員会の勧告は出されなかった。
http://www.sankei.com/politics/news/160309/plt1603090007-n1.html
【国連女子差別撤廃委】産経ニュース
国連の委員会の意図は男女平等という純粋な観点からではなく、どうも中韓の思惑だった気配が濃厚である。つまり日本の皇室の権威を下げる一つの大きなよすがになるだろうという意図があったように見受けられる。では、なぜ女系天皇を認めると皇室の権威が下がるのか?
それには、西欧の王室の歴史を調べるのが参考になる。
上記のウィキペディアによると、西欧の王室も原則としては男子優先主義を取っている。しかしキリスト教文化にあっては「側室」を認めることはできないので、男系男子だけで王朝を何代も継続することは事実上不可能である。その代わりに他国の王族との結婚(国際結婚)ということで王統の断絶をしのいできたということである。イギリスでは男系男子が途切れると王朝交代というとらえ方がされているようである。
以上を要するに、女系の王というのは、西欧でも否定的に考えられているように思う。そのために、王の子が女性しかいない場合には他の国の王族から、あるいは国内の他の王朝から男性を迎えて結婚させるというやり方を取っている。そのようなやり方で女系による権威の低下を防いでいるのだと思う。つまり全くの一般庶民と結婚して、その間の子が将来王になるということは認めたくないようである。だから、日本の皇室がそれを認めれば、西欧の観点からしても皇統の継続は途切れた、あるいは著しく権威がそがれたと判断されるように思う。
私は、女性天皇を認めたうえで、天皇の配偶者が皇統でない場合は、次の天皇は臣籍降下した旧皇族から男子を養子として迎えるのが妥当ではないかと考える。女系でもいいさという考えの人も勿論いるだろう。しかし、女系では皇統の継続は途切れるという考え方の人を納得させるのは難しいだろう。
それなら女性天皇を認めずに、皇位継承者がいないまま老齢になった段階で養子を取ればいいじゃないかという考えも当然あるだろう。私は、皇室の伝統と男女平等原則の妥協点という意味で、上記のように考えるのだが、これは理論の問題というよりも感情とか感覚の問題だから、これ以上議論しても煮詰まることは無いように思う。
私は2016年3月25日の「拉致問題を考えよう その1」で、拉致問題と慰安婦問題が古くて新しい問題だと書いた。以来慰安婦問題についてもいつかは書くつもりで考えてきたのだが、どうにも気持ちが乗らない。その理由は後で述べるが、とりあえず調べた成果を手短にまとめてみる。
慰安婦問題に関する政府の見解は、Wam女たちの戦争と平和資料館というサイトに一覧表が記載されている。
http://wam-peace.org/ianfu-mondai/ianfu-doc/ianfu-doc-1/
そのうち強制連行に関するものは平成19年7月10日の政府答弁書である。
http://www.wam-peace.org/wp/wp-content/uploads/2012/09/3fe5c0d65a13545b069582ab5b4519b8.pdf
強制連行を示す事実は認められないと答弁している。
世に悪評の高い慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話(平成5年8月4日)は下記のとおりである。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/kono.html
「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。」「当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。」
これは確かに、軍が強制したとは言ってないが、軍が強制したことを認めていると理解されても仕方のないようなものになっている。軍の要請を受けた業者は朝鮮人であり、警察その他それら業者に便宜を図った官憲も、当時は日本国民とされていた朝鮮人の官憲だった、慰安所の管理も朝鮮人が行っていたものであって、軍はそれらに関与していない、とそこまで言わなければ、日本が軍として或いは国家として関与していたことを認めたのだと理解されても仕方ない。
この河野談話にはいろいろ裏話があるらしい。つまり、こういう談話を出せば以後一切慰安婦問題で騒がないと韓国側から約束を取り付けたつもりでいたところが、まんまと裏切られたということらしい。だからこそ河野洋平も国賊呼ばわりされても、談話の正当性を主張する以外にないということなのだろう。政治家としてしてやられたことを認めるのは、国賊扱いされるよりもつらいだろうと思う。国賊扱いされることは見解の相違で逃げることはできるが、韓国側にしてやられたことを認めれば、見解の相違で逃げるわけにはいかない。政治家として馬鹿だったことを認めるのに等しい。
平成27年12月28日日韓外相会談で合意が成立し、双方から記者団に対する発表がなされた。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001667.html
岸田外相の発表は、「慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している。」という文句から始まる。
これについて、オーストラリアで慰安婦像建設の動きを阻止したAJCNという団体は、次のように述べている。
http://jcnsydney.blogspot.jp/2016/01/ajcn.html
「慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」の部分の英訳は
The issue of comfort women, with an involvement of the Japanese military authorities at that time, was a grave affront to the honor and dignity of large numbers of women
と発表されているが、「この部分だけで十分アウトです」と言う。
確かに日本語文でも「軍の関与の下に」というのは「軍が衛生管理した」という意味には取れないし、英文のgrave affrontは「深く傷つけた」という日本語よりも非常に強い意味である。
オーストラリアという地で多数の韓国人に囲まれた少数の日本人として、私たち日本にいる日本人よりはるかに強い危機意識を持っているのだと思う。同胞として、まことにやるせない思いがする。
しかし、私は日本として今回の合意はやむを得なかったものとして甘受したい。河野談話は、そこまで言ってくれればもう慰安婦問題を蒸し返しません、という裏取引があって出した談話だそうだが、今回の岸田外相発表は河野談話よりも「強制」という語を使用していない分だけ幾分かましである。そして、この両外相の発表の直後にアメリカの高官が3名も歓迎の意を表明している。これは日本政府からそのようにあらかじめ要請したものだそうである。つまり、慰安婦問題が決着したことをアメリカに立ち会ってもらったのと同じ効果を演出したらしい。アメリカは国防上の理由から日韓双方に強く働きかけていた関係上、こうした日本側の要請に快く答えたのだろう。
この日韓外相会談は、まだ韓国側で国民の反対が強く、この先どうなるか分からない。とりわけ先般の韓国総選挙の結果を見ると、韓国がすんなり会談の成果を守る見込みは薄いように思う。しかし、この会談結果を壊せば韓国の姿勢が国際的に非難されるだけである。ということは、日本側としてはこれで決着したと考えてよいのではないだろうか。
<転載終了>