http://blog.livedoor.jp/mikoinrp/archives/5685364.html
<転載開始>
のど元過ぎれば何とやらで、近頃まったく耳にすることのなくなった特定秘密保護法について、少し勉強してみた。
特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年十二月十三日法律第百八号)
上記のサイトにある法律の条文を読んで、私が、この法律の骨格であると思った部分を抜き出して下に分かり易くまとめてみた。特定秘密保護法について何か論議をする場合には、下記のまとめに基づかないで、上に表示した法律の条文を読んで論述の基礎にしてください。分かり易くしたということは、正確性を犠牲にしたということでもあるのです。
秘密を指定する者は、行政機関の長である(3条1項)。
秘密に指定される事項は、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの(3条1項)。
指定有効期間は5年以内(4条1項)であり、30年まで延長できる(4条3項)が、内閣の承認を得た場合は60年まで延長できる(4条4項)。特定の事項については60年の期間制限が適用されない(4条4項)。つまり60年以上秘密としておくことが出来る。
法律適用上の指針(22条)
拡張解釈して国民の基本的人権を不当に侵害してはならない。
報道又は取材の自由に十分配慮しなければならない。
出版又は報道を業とする者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。
公益通報者保護法との関係(これは下記ウィキペディアから抜粋)
通報対象事実に当たる情報が特定秘密に指定される可能性がある。その場合でも、当該事実の通報者は、公益通報者保護法の適用を受ける。(政府参考人の答弁)
法律の条文をざっと一読して私なりに感じた問題はあるが、それは後回しにして、ウィキペディアにまとめて列挙されている、この法律に対する反対論の中から、私が取り上げて論じるだけの価値があると感じたものを下記に抜き出した。そしてそれに対する私の意見を述べる。
1 元外交官の佐藤優は、週刊金曜日の福島瑞穂とのインタビューの中で『今回の特定秘密保護法案は多くの公務員の「配偶者や家族が外国人かどうか」を調べる。実際は、特定の国の人と結婚している人はバツ。いまの日本の政治体制からすると、中国人や韓国人、ロシア人、イラン人などと結婚している外務省員は全員、特定秘密保護法案が定める適性評価に引っかかる。特定秘密保護法案は人種差別条項』と批判している。
私が上に骨格としてまとめたものの中には入れなかったが、法律には「特定秘密取扱業務者」とも言うべきものを定め、その適正評価について規定している。上に言う取扱業務者とは、特定秘密を有する行政機関の職員である場合もあるし、契約に基づきそういう者となる外部の人間である場合もある。
佐藤優は、なかなか鋭い目で問題点を抉り出しているように思うが、指摘のような差別は、、特定秘密事項の性質を考えると当然の差別であって、非難する方がおかしいのではないかと思う。特定秘密事項というのは、それを秘密にしないと国家の安全保障に著しい支障を与える恐れがあるものを言う。それを前提として考えると、アメリカ人と結婚している日本人と、中国人や北朝鮮人と結婚している日本人を差別することなく扱う訳にはいかないというのは当然である。それを人種差別だと非難するのは、おかしい。人種で差別しているのでなく、日本という国家とその国との政治や外交関係に関する認識や現状分析に基づいた差別である。
外国の諜報活動にはハニートラップというのがある。女性スパイが色香で男性を篭絡して情報収集するというものである。その中には結婚までして生涯を犠牲にして諜報活動する女性もいるだろう(もちろん女性に限らない)。外国人と結婚する日本人は、相手がスパイ活動するために自分と結婚すると考える人はいないだろうが、秘密に従事する公務員は外国人と結婚すれば、そのような警戒感を持たれる可能性があることを承知しなければならないし、それによって生ずる不利益は甘受して結婚するのである。
「中国人や韓国人、ロシア人、イラン人などと結婚している外務省員は全員、特定秘密保護法案が定める適性評価に引っかかる。」というのは、私からすると引っかからない方がむしろおかしい。外務省の仕事は、特定秘密を扱う仕事だけではない。それら一部の国の人と結婚すると、特定秘密にかかわる業務に付けなくなるだろうが、それを不当であるという必要は全くないだろう。
2 “知る権利や報道の自由への「配慮」”、“第三者機関の設置「検討」”という文言について「典型的霞ヶ関用語。本気でやるなら“義務”と書く。官僚たちは始めからそんな気はない」と批判している。若杉冽(仮名=現役の某中央省庁官僚であり小説『原発ホワイトアウト』を上梓したという)
これも、上記の骨格まとめには含めなかったが、法律9条は
特定秘密の指定及びその解除に関する基準等が真に安全保障に資するものであるかどうかを独立した公正な立場において検証し、監察することのできる新たな機関の設置その他必要な方策を検討すると規定している。此処で言う「検討」という語を、やる気のなさを覆い隠す誤魔化しに過ぎないというものである。鋭い指摘だと思うが、だからこの規定の意味はないというなら、それは違うと思う。実際に秘密とすべきでない事項が秘密とされてそれが問題になった場合(後で述べる)には、この規定に基づいて「新たな機関」を設置することになるだろう。この規定がなければ、この法律を改正しないと問題に対処することが出来ないのだから「検討する」という規定の仕方でも、大いに意味がある。
知る権利や報道の自由への「配慮」を「義務」としなかったのは、これも見せかけの姿勢に過ぎないというのだが、この点の指摘は具体的な条項案の対案を示さないといけない。例えば、「知る権利や報道の自由への配慮を義務とする」という主張なら、それは現行法と何ら変わりない。現行法は「十分に配慮しなければならない」と規定している。これは十分に配慮する義務があるというのと同じである。
3 元検察官の郷原信郎は、「法案自体に問題があるとは言えないが、現行の刑事司法の運用の下で濫用された場合に、司法がそれを抑制することは期待できない」
これも鋭い指摘だと思うが、やや趣旨不明なところがある。「司法がそれを抑制することは期待できない」という部分の意味である。司法というシステムはそれを抑制するのに向いていない、司法制度でそれを抑制すのはシステム上限界がある、という意味なのか?それとも司法は違憲審査権の行使と同様、この種の審査に対しては不必要に抑制的になってしまうだろうと意味なのか?前者であるのなら、元検察官である以上もう少し具体的な指摘が出来るだろうし、指摘しなければならない。後者の意味であるならば、運用に対する危惧の表明とは言えるが、法律の瑕疵を指摘していることにはならないだろう。
4 小林よしのりは、「公務員への罰則が強化されれば、(隠す必要のない映像情報を隠したために起きた)尖閣諸島中国漁船衝突映像流出事件のようなこともなくなる」という。
これは問題意識として核心を突いたものを含んでいると思うが、私は、この法律があったとしても映像流出事件はあったと思う。なぜなら流出事件の当事者で今は評論家として活動している一色正春氏は、自分が正しいことをしているという信念でやったのである。この法律があっても、やっただろう。第一、この時の映像がそれほど迅速に特定秘密に指定されるということは考えにくい。事実上秘密扱いしてその暴露を咎めても、あれほど世間を騒がせたのである。もしあれが迅速に特定秘密として指定され、それを暴露してこの法律違反で刑事責任を問われたのだとすると、問題は大きく変わってくる。世論の高まりにより、担当大臣の辞職や首相の退任にとどまらず、内閣総辞職にまで至るであろう。つまり、この法律があることは逆に秘密扱いの範囲が狭まる、少なくとも秘密扱いとすることについて慎重になるという面があると私は思う。
5 人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは、内部告発者やジャーナリストに対する保護を明示し、特定秘密の定義も安全保障に著しい脅威となる情報に限定すべきとしている。
内部告発者については、すでに述べた通り公益通報者保護法により保護される。ジャーナリストに関しては、法22条がある。「安全保障に著しい支障を与えるおそれ」という法文の規定より「安全保障に著しい脅威となる情報」という方が確かに範囲はずっと狭くなるだろう。支障と脅威は違うし、法文はさらに「おそれ」というのだから範囲は広くなる。秘密の範囲限定に関する意見の相違だが、私はこの点については法律を支持する。支障になるだけで脅威にならないものは秘密にすべきではないということなのだろうが、支障になるということはすなわち脅威であるという考えもあり得るだろう。また、そこら辺を厳密にして、秘密指定の範囲をあまりにも狭く限定するのは、この種の法律を制定する趣旨を没却してしまう。
6 弁護士の早田由布子は、ベトナム戦争に介入するきっかけになった米艦艇への攻撃は米国の自作自演だった。イラク戦争の根拠とされた大量破壊兵器の保持も実際には無かったというのが通説だ。こうした情報も特定秘密保護法にされれば漏らした役人は最高懲役10年が科せられ、市民が調べるだけで罪が問われかねず、情報が闇に葬られてしまう
そういったことを調べる人はジャーナリストだろうから、22条で保護される。内部告発なら、それについては既に述べた。
7 中日新聞の社説は、次のように言う。
チェック機関として、内閣官房に内閣官房長官をトップに府省庁の事務次官級が参加する内閣保全監視委員会を新設、内閣府には特定秘密の管理状況を検証、監察する審議官級の独立公文書管理監を新設、将来は局長級に格上げする。また情報保全監察室も設けられる。秘密指定権限を持つ19の行政機関には内部通報の窓口を設ける。しかし、行政機関の長が指定する特定秘密について、行政機関の手足が本当に独立して監視できるのか怪しい。
これは法9条に書いてないことを言っているので、法案審議過程で出た政府側答弁を述べているのだろう。しかしそこで述べているところを見ると、内閣官房に設置される内閣保全監視委員会、内閣府に設置される独立公文書管理監ということであり、情報保全観察室はどこに設置されるのか書いてないが、いずれも特定秘密を指定した行政機関ではないところに設置するようだから、行政機関の手足が監視するというのではないだろう。
私がこの法律を読んで感じたのは、むやみやたらに秘密指定した場合にそれを是正する仕組みがない点である。そのような実質的には秘密とは言えないような事項を外部に漏らした場合に、この法律違反で起訴された場合、結局裁判所で秘密事項ではないと判断して無罪とすることになるだろう。しかし、それより前の段階で秘密として指定された事項の実質的秘密性を定期的に判断する機関がなければいけないような気がする。それが即ち9条の言う「特定秘密の指定及びその解除に関する基準等が真に安全保障に資するものであるかどうかを独立した公正な立場において検証し、監察することのできる新たな機関」ということになる。
ところで、この機関の設置は非常に重要なことであり、若杉冽氏のようにどうせ政府はやる気がないことが「検討」という文言から分かる、などと呟くにとどまらず、設置のための具体的な運動をしなければならない。決めるべきことは、
この機関の構成員の選任はどのような基準で誰が行うのか、構成員の数はどれだけか、この機関は組織上どこに位置して上部機関との関係はどうなるのか、秘密性の審査はいつ行うのか、即ち定期的に会合を開くのか、それとも構成員各自は常勤で常にその作業をし、秘密の解除が必要である事例を発見するごとに会合を招集して会議体で審査するのか、新たに特定秘密として指定された事項は指定の都度審査するのか、一定期間以内に審査するのか、などを決めなければならない。
この法案は反対が強くてもめたけれども、反対勢力は数からいって法律の成立を妨げることが出来ないのは分かっていたはずである。また、この点は思想や意見の違いで見解が分かれるかもしれないが、このような一種の防諜法は、世界の多くの国にあるものである。だから、反対するなら、成立そのものに反対するよりも内容を少しでも民主的なものにするよう修正審議で尽力する方がはるかに国民のためになったのである。成立そのものに大反対するから成立した後では気が抜けてしまって、敗戦の象徴ともいうべきこの法律のことは早く忘れたい気分になってしまう。しかし、上に述べた通り、この法律は、秘密性の確認、秘密指定の解除を含む秘密の管理を担う独立機関についての定めが「検討する」と記載されたままで残っている。この法案にとっては実はその点こそが最も重要なところであり、法案に反対した勢力は今からでもこの法律に記載されている「検討」を始めるよう政府に要求しなければならない。
喉元過ぎれば熱さを忘れるということではいけない。
<転載終了>
イチイチ今までに輪を掛けて悪さをしても、俺らは捕まらんのやから逆らうなよ、奴隷国民ども(´Д`) とか、勝ち誇ったように宣言すな!
はよ、お前らは死んで無間地獄に堕ちろ。
えっ?既にそうだけど…気付かないフリしてるの( ´艸`) 乙女か何かか!ダメだ、この国。