株式日記と経済展望さんのサイトより
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/a7a329ef01d4628e81eec4c30103c6ea
<転載開始>

ピーク時には都内に40拠点、3600室、開発物件が16カ所に及び、
総資産が1000億円超。現在の収入は月約13万円の年金だけ


2016年6月22日 水曜日

元ツカサ代表の川又三智彦さん 自己破産して月収13万円に 6月20日 日刊ゲンダイ

1980年代のバブル経済の真っただ中、「さんの! よんよんまるまるわんわんわん、ツカサ~のウィークリーマンション!」というテレビCMが頻繁に流れていたのを覚えている読者は多いだろう。社長自らがCMに登場して話題になり、その後、「ツカサ」の川又三智彦さん(68歳)はバブルにまみれる名物社長として名前を売った。さて、今どうしているのか。

「多世代の家族が同居し、近所付き合いが濃密だった昭和30年代のような村をつくりたい。かねてそんな考えを抱いてたところ、09年、会津若松の『水織音の里』という施設から同じような構想を持ち込まれましてね。で、早速、会津若松に移り住み、半ボランティアアルバイトの若者を28人集め、デイサービスの会社や農園を立ち上げようとしたんです。ところが、あの東日本大震災ですべてのプロジェクトがおじゃんになっちゃった。で、2年前の5月、磐越西線猪苗代駅前の廃虚同然だった敷地面積430坪の民宿を買い取り、そこを『会津昭和30年代村企画株式会社』のベースにして計画を再スタートしました」

 電話で取材を申し込むと、「東京に行く用事があるから」と川又さん。かくて有楽町駅に近い喫茶店で会うことになった。

「東京に出てくる時は新幹線じゃなく、高速バスを利用してます。新幹線だと片道9000円ぐらいかかるのに、高速バスなら往復で7000円。午前7時に猪苗代を出れば、11時には東京に着きますよ」

 ピーク時には都内に40拠点、3600室、開発物件が16カ所に及び、総資産が1000億円超。“日本の金満家”の代表のひとりといわれたのが、ずいぶん質素になったものだ。

「ウイークリーマンションをやってた頃は、銀行がおカネをジャブジャブ貸し付けてきて、次から次と持ち込まれる不動産を勧められるままに買った。しかし、ですよ。会社はずっと有限会社のまま。ワタシの年収も1000万円を超えたことはなかったし、住まいだって目黒区祐天寺の100平方メートルの借地に立ってた木造家屋。乗ってたクルマも三菱のミニカでした。生活自体、今も昔もあんまり変わった気がしませんね」

 ちなみに、例のCMも最初は「とてもじゃありません、ウチがテレビCMだなんて」と断ったのだとか。

「でも、CMのおかげで問い合わせがそれまでの5倍になった。結果、バブル一直線です、ハハハ。バブル崩壊後はリーマン・ブラザーズにウイークリーマンションの経営権を譲渡して支援してもらい、救われました。でも、2008年にそのリーマン・ブラザーズが倒産し、ワタシも830億円の負債を抱えて自己破産してしまいました」

 破産管財人にはパスポート、印鑑など仕事に関わるものをすべて取り上げられ、「これだけの負債額だと、収監されるかもしれない」と脅かされた。だが、債権者も倒産などでほとんどいなくなっていたため、免責となったそうだ。

実はその後、脳梗塞を2回経験して介護の必要性を痛感したのも、目下進行中のプロジェクトの軸にデイサービスを据えた大きな理由です。猪苗代町の高齢者福祉計画などによると、高齢者は4980人(平成26年度)、要介護認定者は967人います。デイサービスは絶対的に必要とされてるんです」

 現在の収入は月約13万円の年金だけ。とてもそれではプロジェクトをまかなえず、私募債を募って活動資金に充てている。

今の日本の都市には貧困にあえぐ若者があふれてる。そんな彼らを少子高齢化に悩む地方都市に呼び、地方都市の活性化と雇用創出を図る。具体的には住む場所と食事はワタシが提供し、デイサービスや畑仕事、建物の修理保全などで収入を得、採算が合ったところで報酬を払うシステムをつくり上げたいと考えてます。それができたら、次は猪苗代駅周辺の再開発。ワタシの頭の中は新しいプランでいっぱいですよ、ハハハ」



(私のコメント)

不動産王と言えば、アメリカの大統領候補のドナルド・トランプ氏が有名ですが、日本にもバブル時代には多くの不動産王がいた。しかし今ではそれらの人々は消え去って行った。日刊ゲンダイの記事にもあるツカサのウィクリーマンションの社長だった川又氏も不動産王の一人だった。

ピーク時には資産額が1000億とも言われましたが、借金も同じくらいあったのだろう。しかしバブル崩壊で土地は暴落して借金だけが残った。そうなると企業では債務超過で倒産してしまう。住宅ローンなども住宅の土地の暴落で実際には債務超過になりますが個人は返済できれば差し押さえは免れた。

私なども、不動産暴落で債務超過状態になり、追加担保などを求められましたが、この頃は金融庁も銀行潰しに走っており、銀行への厳格査定は異常なものだった。これでは銀行も債権回収に走り、貸し剥がしなどで多くの不動産業者が倒産していった。

川又氏も不動産王から借金王となり、850億円の負債を抱えて倒産した。しかしウィクリーマンション自体の事業は順調であり、倒産させる必要があったのだろうか? 今でも観光客の増加で長期滞在にはウィクリーマンションは需要がある。しかし金融庁の厳格査定で、銀行は強引な債権回収をはかり、倒産させなくてもよい業者を倒産に追い込んで行った。

このような記事は、90年代の「株式日記」によく書いていましたが、アメリカのハゲタカファンドの陰謀論として見ていた。日本の銀行や企業を倒産させることはアメリカの金融資本の命令であり、金融庁や日銀は彼らの手先であった可能性がある。

事実韓国では、97年のアジア金融危機でほとんどの銀行や財閥企業がアメリカの金融資本に買い取られて行った。しかし日本では銀行の含み資産があって何とか倒産は免れた。しかしそのハゲタカファンドも2008年のリーマンショックではハゲタカファンドが倒産して投資銀行は無くなった。

問題なのは日本政府のバブル潰しに対する対応のまずさであり、金融庁の厳格査定がバブル潰しのハードランディングを招いてしまった。そのおかげで20年以上が経っても不況は収まらず、銀行には借り手のいないカネがうず高く積まれてる。事業意欲のある人材をバブル潰しで壊滅させてしまったからだ。

今では若者の人気職業の一番は公務員であり、実業家を目指す若者はいなくなってしまった。婚活などのアンケートでも一番の人気は公務員であり、公務員には嫁のなり手が殺到している。しかし実業家にはリスクがあって嫁のなり手が居ない。これでは若者は実業家になりたがらない。

私と川又氏は同じ不動産業者であり、私が生き残れたのは単に幸運であったにすぎない。多くの不動産業者が討ち死にして消えて行った。アメリカや中国が行っているように、バブルを潰すのではなく資金供給しながらソフトランディングで土地価格の高騰を抑えるべきであった。中国も何度もバブル崩壊と言われながら政府からの資金供給でバブルの再発が起きている。


<転載終了>