高橋清隆の文書館さんのサイトより
http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/1906555.html
<転載開始>
角栄ブームの最中、40年前の真実を白日の下にさらす書が出た。1976年の「ロッキード国会」当時、衆院議長を務めた前尾繁三郎の秘書だった平野氏が、対米隷属症候群に冒されたわが国の権力者たちが田中を葬ったことを論証している。

ロッキード事件は、米上院の多国籍企業小委員会の公聴会で明かされた違法な政治献金疑惑が発端。ロッキード社の対戦哨戒機P3Cとトライスターの売り込みをめぐって、丸紅や児玉誉士夫らに賄賂が流れたというものである。
お金の流れには、児玉が窓口となった「児玉ルート」と小佐野賢治が窓口の「丸紅ルート」があった。「児玉ルート」に流れた額は21億円、「丸紅ルート」では5億円が流れたとされる。田中は後者の受託収賄罪と外為法違反で起訴され、有罪判決を受ける。
http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/1906555.html
<転載開始>
角栄ブームの最中、40年前の真実を白日の下にさらす書が出た。1976年の「ロッキード国会」当時、衆院議長を務めた前尾繁三郎の秘書だった平野氏が、対米隷属症候群に冒されたわが国の権力者たちが田中を葬ったことを論証している。

田中角栄を葬ったのは誰だ [単行本(ソフトカバー)]
ロッキード事件は、米上院の多国籍企業小委員会の公聴会で明かされた違法な政治献金疑惑が発端。ロッキード社の対戦哨戒機P3Cとトライスターの売り込みをめぐって、丸紅や児玉誉士夫らに賄賂が流れたというものである。
お金の流れには、児玉が窓口となった「児玉ルート」と小佐野賢治が窓口の「丸紅ルート」があった。「児玉ルート」に流れた額は21億円、「丸紅ルート」では5億円が流れたとされる。田中は後者の受託収賄罪と外為法違反で起訴され、有罪判決を受ける。
しかし、「児玉ルート」は、ロッキード社とコンサルタント契約を交わしていた児玉が報酬として受け取った5000万円が所得税法違反にされただけで、幕を引いた。その先には、当時自民党幹事長の中曽根康弘がいた。
児玉は国会への証人喚問を求められたが、体の不調を理由に拒否する。国会医師団が派遣されるが、脳梗塞による意識障害という主治医の診断を追認する。こうして「児玉ルート」は永遠に闇に包まれた。
国会運営の裏方として推移を見守った平野氏は、児玉の突然の体調変化を不審に思っていた。それが平成13年になって、主治医の下にいた助教授が週刊誌に衝撃的な事実を明かす。主治医が児玉にフェノバールとセルシンを注射したというのである。いずれも、強力な睡眠作用と全身麻酔作用がある。
世田谷にある児玉の自宅には直後、セスナ機が突っ込む。長い月日を経て、平野氏は一連の出来事のつじつまがあったという。児玉は強大な権力によって口封じされ、田中は疑惑のスケープゴートにされたのだと。
同書の題名への答えは、197ページに書かれている。「誰が田中角栄を葬ったかといえば、主役は当時の三木首相であり、共演が中曽根幹事長であった。そして彼らと共謀した検察であった」。「児玉ルート」もみ消しのキーマンは、児玉の秘書で中曽根の書生だった太刀川恒夫である。
平野氏が謀略を確信したのは、近年である。平成18年に同書の基となる『ロッキード事件——葬られた真実』(講談社)を上梓した際、朝日新聞社会部から取材を受け、ゲラまで示されたが、掲載前夜になって取りやめにされた。太刀川へのインタビューが不調になったと聞かされたため、中曽根からの圧力と分かった。
ロッキード事件の詳細や、前尾議長がなぜ国会を閉めなかったのかなどの理由はぜひ同書を読んでほしいが、私が目を見開いた点を挙げておく。第1は、中曽根と太刀川が存命であることだ。太刀川は現在、東スポの会長を務める。彼らはこの指摘に、何と答えるのか。
第2は、巣鴨釈放組でCIAの工作員として働いていたはずの児玉を、なぜ米国が見捨てたのか。平野氏は有馬哲夫早大教授の著書を引用し、米国の意思を超えたからだと推論する。児玉は日本を独立させ、アジアの盟主として復活させるという目的を持っていた。
第3は、昭和30年以降、25人の衆院議員が逮捕されているが、東大法卒はゼロとの指摘だ。ここにも「正義と公正」を唱える検察の偽善が表れている。田中は真っ先に葬る対象だったのだろう。
第4は、石原慎太郎の偽善性である。巻末の対談で佐高信が触れているが、石原が都知事選に出るとき、田中にあいさつに砂防会館へ行く。『文藝春秋』に「君、国売り給うことなかれ」という論考を寄せ、田中氏の金権政治を批判した直後だった。それでも田中は招き入れ、軍資金を渡す。帰り際には「足りなくなったらまた来いよ」と励ましたと秘書が証言している。ところが、石原は『天才』という本で「金をもらわなかった」と書いている。石原の神経が理解できない。
平野氏は、全章を通じ、「対米従属シンドローム」の打破を訴えている。つまり、米国に軍事・外交や経済の重要な決定を委ね、許された中で国内政治を行えばいいとの姿勢である。現在の角栄ブームは、対米隷属政権の下での閉塞感からきているのではないか。
同書は主権国家を望む日本人が教訓にしなければならない魂の告発本である。
<転載終了>
児玉は国会への証人喚問を求められたが、体の不調を理由に拒否する。国会医師団が派遣されるが、脳梗塞による意識障害という主治医の診断を追認する。こうして「児玉ルート」は永遠に闇に包まれた。
国会運営の裏方として推移を見守った平野氏は、児玉の突然の体調変化を不審に思っていた。それが平成13年になって、主治医の下にいた助教授が週刊誌に衝撃的な事実を明かす。主治医が児玉にフェノバールとセルシンを注射したというのである。いずれも、強力な睡眠作用と全身麻酔作用がある。
世田谷にある児玉の自宅には直後、セスナ機が突っ込む。長い月日を経て、平野氏は一連の出来事のつじつまがあったという。児玉は強大な権力によって口封じされ、田中は疑惑のスケープゴートにされたのだと。
同書の題名への答えは、197ページに書かれている。「誰が田中角栄を葬ったかといえば、主役は当時の三木首相であり、共演が中曽根幹事長であった。そして彼らと共謀した検察であった」。「児玉ルート」もみ消しのキーマンは、児玉の秘書で中曽根の書生だった太刀川恒夫である。
平野氏が謀略を確信したのは、近年である。平成18年に同書の基となる『ロッキード事件——葬られた真実』(講談社)を上梓した際、朝日新聞社会部から取材を受け、ゲラまで示されたが、掲載前夜になって取りやめにされた。太刀川へのインタビューが不調になったと聞かされたため、中曽根からの圧力と分かった。
ロッキード事件の詳細や、前尾議長がなぜ国会を閉めなかったのかなどの理由はぜひ同書を読んでほしいが、私が目を見開いた点を挙げておく。第1は、中曽根と太刀川が存命であることだ。太刀川は現在、東スポの会長を務める。彼らはこの指摘に、何と答えるのか。
第2は、巣鴨釈放組でCIAの工作員として働いていたはずの児玉を、なぜ米国が見捨てたのか。平野氏は有馬哲夫早大教授の著書を引用し、米国の意思を超えたからだと推論する。児玉は日本を独立させ、アジアの盟主として復活させるという目的を持っていた。
第3は、昭和30年以降、25人の衆院議員が逮捕されているが、東大法卒はゼロとの指摘だ。ここにも「正義と公正」を唱える検察の偽善が表れている。田中は真っ先に葬る対象だったのだろう。
第4は、石原慎太郎の偽善性である。巻末の対談で佐高信が触れているが、石原が都知事選に出るとき、田中にあいさつに砂防会館へ行く。『文藝春秋』に「君、国売り給うことなかれ」という論考を寄せ、田中氏の金権政治を批判した直後だった。それでも田中は招き入れ、軍資金を渡す。帰り際には「足りなくなったらまた来いよ」と励ましたと秘書が証言している。ところが、石原は『天才』という本で「金をもらわなかった」と書いている。石原の神経が理解できない。
平野氏は、全章を通じ、「対米従属シンドローム」の打破を訴えている。つまり、米国に軍事・外交や経済の重要な決定を委ね、許された中で国内政治を行えばいいとの姿勢である。現在の角栄ブームは、対米隷属政権の下での閉塞感からきているのではないか。
同書は主権国家を望む日本人が教訓にしなければならない魂の告発本である。
<転載終了>