気象予報士Kasayanのお天気放談さんのサイトより
http://blog.livedoor.jp/kasayan77/archives/48314495.html
<転載開始>
 1、台風10号の今後の進路と影響は?

 天気予報番組だけでなくニュースでも、上陸が濃厚になってきた台風10号の進路や影響が伝えられるようになっています。

 気象庁発表の台風進路図を見ても、米軍(JTWC)が発表している進路図を見ても・・・

JTWCとGMS160827
(進路予想は頻繁に変わります。最新の情報を以下のURLで必ずチェックしてください)

     気象庁台風情報: http://www.jma.go.jp/jp/typh/
     米軍(JTWC)台風情報①:   https://metoc.ndbc.noaa.gov/web/guest/jtwc
    米軍(JTWC)台風情報②:  http://www.nrlmry.navy.mil/tc_pages/tc_home.html
    (米軍の予想は世界標準時で記載されています。日本時間換算には+9時間してください) 

 情報更新のたびに若干東寄りに進むコースも発表されていますけど・・・予報円の中心を進んだとすれば、概ね関東周辺に上陸する可能性が高いことがわかります。
 では、具体的にどのような影響があるのか??
 気象庁が普通の天気予報(短期予報・週間予報)の作成に用いているGSMモデル(スーパーコンピューターのシミュレーション)の最新データをチェックしておきました。

GSM6コマ160827
(図をクリックすると注釈の書き込みのない図が拡大します)

 上段の図は、地上の空模様の骨格といえる上空約5500mの気圧配置
 下段の図は、普通の天気図の原図といえる地上の予想気圧配置に、降水量と風の予測が表示したもの。
 
 上段の図を見ると・・・・
 台風10号は、朝鮮半島-10℃以下の寒気とともに南下してくる寒冷渦(寒気を運ぶ偏西風が大きく蛇行し、ついには流れから切り離された寒気の渦)南東側の偏西風強風帯(水色の矢印)に流され、関東南東海上まで進み・・・
 その後、寒冷渦の渦巻く風に引き込まれ、日本海へと北西進することが分かります。

 また下段の図を見ると・・・
 明日にも台風10号北側の暖かく湿った東寄りの風西日本に流れ込み始め・・・
 対馬海峡付近では(上段の図でチェックした)寒冷渦南東側の-5℃以下の上空寒気の下にも流れ込むことが予想されています。
 このため西日本の西部では大気の状態が不安定になり、降水域が活発化
 台風の東進に伴い活発な降水域も次第に近畿方面へと東進し、晴天と猛暑が続いていた西日本に、反動のような大雨を降らせることがわかります。

 そして、台風が上陸する頃には、全国的に等圧線が大混雑
 台風を中心に反時計回りの風が強まり関東甲信~東北を中心に、横殴りの激しい雨になることが予想されています。

 ちょっとリアルな感じで書いてしまいましたけど・・・気象庁や米軍が発表している予想進路図通りに台風が進んだ場合には、概ねこんなカタチで空模様が変化していくと思われます。


 2、進路予想の鍵を握るのは「寒冷渦」の位置??

 ただ・・・台風がノロノロ進んでいる段階や、台風が大きく方向を変えるタイミングで、予想が大きく変化することが多々あります。
 例えればエスカレーターに乗る際、タイミングを失って予定していたステップ(偏西風)に乗れず、一段下のステップ(偏西風)に乗ってしまうようなイメージ。

 となると・・・他国が発表しているモデル(スーパーコンピューターのシミュレーション)も気になります。

 まずは、最近テレビでおなじみのヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)のモデル

ヨーロッパ中期予報センター160827

 ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF): http://www.ecmwf.int/en/forecasts/charts/catalogue

 これは地上の気圧配置と地形の影響を受けにくい上空約1500mの風速を表現したものなので、雨の様子はわかりませんけど・・・
 気象庁発表のGSMモデルとほぼ同様のコースを、ほぼ同様のタイミングで通過し、上陸する頃から強風のエリアが全国的に広がることが予想されています。

 ということは・・・現時点で台風の影響は、気象庁発表のGSMモデルを素直に読み取って、進路図の予報円の範囲内で安全マージンを考えておけば良さそうですが・・・

 ただ、一昨日から独自の??見解を示し始めたアメリカの気象機関(NOAA)が発表しているGFSモデルは、今日も一貫して独自の道を歩んでいます。

GFS6コマ160827

 アメリカ気象機関(NOAA)GFSモデル: http://mag.ncep.noaa.gov/
 アメリカ海軍 HP GFSモデル: https://www.fnmoc.navy.mil/wxmap_cgi/index.html?tab=global#global

 下段の図・・・GFSモデルは3日連続、台風10号が本州の東海上に進むことを予測。
 昨日までは関東東岸付近に停滞したり、三陸方面に北上することを示唆していましたが、今日にいたっては関東沿岸にチョッピリ停滞した後、そのまま東に遠ざかることを予測しています。

 というのも・・・上段の図・・・気象庁のGSMモデルと寒冷渦の位置を比較してみると、気象庁のGSMモデルでは寒冷渦を山陰沖まで南下させているのに対し、アメリカのGFSモデルでは寒冷渦を北朝鮮付近に停滞させていることが分かります。

 したがって、寒冷渦の位置(大きさも?)が台風を北西に引き込むチカラの差になって、台風進路に大きな相違をもたらしていると思われます(Kasayanの勝手な見解ですけど)。

 そもそも寒冷渦は、偏西風が蛇行し過ぎて、本来の偏西風の流れから取り残されたはぐれ者?
 フラフラとゆっくり進む傾向がありますから、位置の予測が変化することもしばしばです。
 ということは・・・台風が(寒冷渦に引き込まれて)北西に転向するタイミングで、予想進路に大きな変化が生じ・・・予想される影響にも大きな変化があるかもしれません。

 現時点では台風が北寄りに進路を変え始める29日(月)の日中がそのタイミング?
 拍子抜けになるのか?ガチンコの防災モードになるのか??・・・とても気になるところです。
 
      府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm
     府県週間天気予報(マークの予報): http://www.jma.go.jp/jp/week/     
      (マークの予報は府県週間予報の括弧内(テロップ番号)をマーク表示したもの)


 3、今日の空模様・・・寒冷前線の影響注意!夜遅くには西日本でもボチボチ・・?

 では、ここから今日の空模様

菅平160827

 Kasayanの住む長野市雨模様
 午前7時過ぎから止み間が多くなっています。

 最低気温は20.7℃(06時11分)。
 大陸の冷涼な空気を運んでくれる北東の風が吹き込んで、ちょっぴり涼しく感じられます。

 そんな今朝の実況・・・予報のスタートラインですが・・・

実況160827

 気圧配置は昨日とほぼ同様
 昨日は寒冷前線として解析されていた前線が、停滞前線に姿を変えて太平洋側に抜けようとしています

 このため、山陰~北陸~東北南部~道東にかけて雨雲の帯がかかり、北日本中心に活発な雨が降っているようですが・・・
 この前線・・・北側にそこそこ冷涼で乾燥した空気がありますから、都合よく解釈すれば秋雨前線?とも言えるかもしれません?

 衛星の水蒸気画像を見ると・・・日本海に偏西風の大きな蛇行域があって、偏西風強風帯(水色の矢印)の北側には冷涼で乾燥した空気(白くないクリアなエリア)が流れ込んでいることが分かります。
 この乾燥した空気と、偏西風強風帯南側の水蒸気(白いエリア)がぶつかって前線の雨雲が活発化しているわけですけど・・・

 北陸付近では、悪天パワー(地上の低気圧や雨雲を活発にするチカラ)を持った上空の気圧の谷(赤の点線:偏西風の南側への蛇行域)が東進中
 北日本ではもうしばらく前線の雨に注意をする必要がありそうです。

 ということで、今日これからの空模様・・・こちらも気象庁発表のGSMモデル(スーパーコンピューターのシミュレーション)を使って、詳しくチェックしていきましょう。

GSM27日160827
(図をクリックすると注釈の書き込みのない図が拡大します)

 まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・午前中-5℃以下の寒気を伴った上空の気圧の谷山陰~北陸~北日本を通過
 午後は同じく-5℃以下の寒気を伴った上空の浅い気圧の谷が、北陸付近を通過することが予想されています。

 一方、南の海上は風の弱い状態
 台風10号は、上空の太平洋高気圧の縁をノロノロ東進することになりそうですが・・・

 このような空模様の骨格に対応して地上では・・・下段の図・・・午前中前線の降水帯活発なまま東海上へ
 上空の気圧の谷との対応が悪くなり、夜にかけて次第に弱まることが予想されています。

 ただ、上空の浅い気圧の谷が通過し、前線(黄色の点線)の延長線北側に位置するはずの中部地方・・・夜になってもしっかりと降水域が予想されています。

 どうしてなんだろう??
 雨の原料といえる暖かく湿った空気(暖湿気)の流れ込みの様子もチェックしてみると・・・

相当温位160827
(図をクリックすると注釈の書き込みのない図が拡大します)

 どうやら、中部地方・・・台風北東側の南東風と、東海上の低気圧西側の北東風がゆるやかに収束する場所にあたって、南から局地的に暖かく湿った空気が流れ込むようです。

 この暖かく湿った空気の上を、寒気を伴った上空の浅い気圧の谷が通過するわけですから・・・大気の状態は不安定傾向
 いったん雨が弱まっても、上空の気圧の谷が通過するタイミングで再び雨(雷雨?)が活発化することになりそうです。


 それでは最後・・・以上のチェックポイントを確認しつつ、解像度の高いMSMモデル(スーパーコンピューターのシミュレーション)を使って、今日~明朝の空模様を具体的にイメージしておきましょう。

全国流線アニメ160827
(スマホ版のブログではアニメが動きません。PC版に設定してご覧ください)
 
 紫色は下層雲。

 詳しいことはアニメ中に書き込んでおきましたけど・・・
 Kasayanの住む長野県付近だけ最後まで雨が残ってしまいそうです。

 そして、いよいよ明日未明・・・対馬付近では、台風北側の暖かく湿った下層南東風と、朝鮮半島に南下してくる寒冷渦の上空寒気による不安定性の降水域が活発化することが予想されています。

 西日本では大望の雨・・・降り過ぎないことを祈るしかありません。

     府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
     府県天気予報(マークの予報 天気分布をチェック: http://www.jma.go.jp/jp/yoho/
       気象庁時系列予報: http://www.jma.go.jp/jp/jikei/
      (マークの予報は府県天気予報の括弧内(テロップ番号)をマーク表示したもの)

      府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm
     府県週間天気予報(マークの予報): http://www.jma.go.jp/jp/week/     
      (マークの予報は府県週間予報の括弧内(テロップ番号)をマーク表示したもの)

 アメリカ気象機関(NOAA)GFSモデル: http://mag.ncep.noaa.gov/
 アメリカ海軍 HP GFSモデル: https://www.fnmoc.navy.mil/wxmap_cgi/index.html?tab=global#global
 ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF): http://www.ecmwf.int/en/forecasts/charts/catalogue

     専門の天気図は以下のURLで、無料で入手可能です。
                 http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxfe502&cat=e2

  KasayanのYouTubeチャンネル(雲映像): https://www.youtube.com/user/kasayangw

拡大GSM6コマ160827 拡大GSM160827 拡大相当温位160827
(図をクリックすると注釈の書き込みのない図が拡大します)



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