社会科学者の随想さんのサイトより
http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1062087157.html
<転載開始>
【万世一系の天皇・天皇制のイロハを弁えない極右人士の近視眼的かつ視野狭窄の立場は,基本的な錯誤を犯した主張をしている】
【皇統連綿であるはずの「皇室の歴史」をないがしろにする八木秀次・百地 章など国粋・反動・保守の天皇観は,あまりにも「日本の歴史」全貌をしらない,それも旧式の明治帝国主義「観」だけを墨守・執心する偏執】
①「〈時時刻刻〉公務軽減に議論限定〔20〕18年退位想定、急ぐ 有識者会議」(『朝日新聞』2016年10月28日朝刊2面)
この解説記事には図解が挿入されている。この図解(画面 クリックで 拡大・可)をみると一見それらしき「ひとつの分類」にはなっている。しかし,これは天皇退位をめぐる「賛否いかんに関した評価基準」による分類であって,天皇・天皇制問題に関しては,より重要である,それも政治思想的な,いいかえれば日本国憲法にかかわる価値判断を,どのように秘めている人士たちであるのかに関心がもたれていいのである。
その意味でいえば,天皇退位問題に対するその肯定・否定の姿勢じたいよりも,これら人士たちが政治思想において左右のどちらに,あるいは,そのなかのどのあたりに足場を置いているかにほうに関心が向けられていいのである。
http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1062087157.html
<転載開始>
【万世一系の天皇・天皇制のイロハを弁えない極右人士の近視眼的かつ視野狭窄の立場は,基本的な錯誤を犯した主張をしている】
【皇統連綿であるはずの「皇室の歴史」をないがしろにする八木秀次・百地 章など国粋・反動・保守の天皇観は,あまりにも「日本の歴史」全貌をしらない,それも旧式の明治帝国主義「観」だけを墨守・執心する偏執】
①「〈時時刻刻〉公務軽減に議論限定〔20〕18年退位想定、急ぐ 有識者会議」(『朝日新聞』2016年10月28日朝刊2面)
この解説記事には図解が挿入されている。この図解(画面 クリックで 拡大・可)をみると一見それらしき「ひとつの分類」にはなっている。しかし,これは天皇退位をめぐる「賛否いかんに関した評価基準」による分類であって,天皇・天皇制問題に関しては,より重要である,それも政治思想的な,いいかえれば日本国憲法にかかわる価値判断を,どのように秘めている人士たちであるのかに関心がもたれていいのである。
その意味でいえば,天皇退位問題に対するその肯定・否定の姿勢じたいよりも,これら人士たちが政治思想において左右のどちらに,あるいは,そのなかのどのあたりに足場を置いているかにほうに関心が向けられていいのである。
つぎには,時事通信の記事から,今回ヒアリングされる人士16名に関する図表2点を,上に紹介しておく。今日の論題については,議論したい問題点がいろいろたくさんある。② 以下はだいぶ長い記述となる。
出所)http://www.jiji.com/jc/article?k=2016102700823&g=soc


②『有識者ヒアリングの実施について(案)』2016年10月27日
官邸が公表した,この 『有識者ヒアリングの実施について(案)』を,のぞいてみたい。① の『朝日新聞』の記事本文の引用はあとまわしになる。
註記)以下は,http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koumu_keigen/dai2/shiryo1.pdf
1.聴取項目
以下の項目について,ヒアリング対象者から20分程度意見の陳述を受け,10分程度の意見交換を行う。
① 日本国憲法における天皇の役割をどう考えるか。
② ①を踏まえ,天皇の国事行為や公的行為などの御公務はどうあるべきと考えるか。
③ 天皇が御高齢となられた場合において,御負担を軽くする方法として何が考えられるか。
④ 天皇が御高齢となられた場合において,御負担を軽くする方法として,憲法第5条に基づき,摂政を設置することについてどう考えるか。
⑤ 天皇が御高齢となられた場合において,御負担を軽くする方法として,憲法第4条第2項に基づき,国事行為を委任することについてどう考えるか。
⑥ 天皇が御高齢となられた場合において,天皇が退位することについてどう考えるか。
⑦ 天皇が退位できるようにする場合,今後のどの天皇にも適用できる制度とすべきか。
⑧ 天皇が退位した場合において,その御身位や御活動はどうあるべきと考えるか。
2.ヒアリング対象者及び開催日程
皇室制度,歴史,憲法などの専門的な知見を有する方々(別紙)から ヒアリングを行う。ヒアリングを行う日程は,下記のとおりとする。
・第3回会議(11月7日14時30分開催予定)
・第4回会議(11月14日15時30分開催予定)
・第5回会議(11月30日9時00分開催予定)
3.ヒアリングの公開
・意見の陳述については非公開とする。
・会議終了後,直ちにヒアリング対象者の説明資料を公表するとともに,座長代理のブリーフィングを行う。
・当日の議事録は,ヒアリング対象者の確認後,意見交換部分の発言者名は削除して 公表する 。
・ヒアリング終了後の各ヒアリング対象者への取材は可とする。
補注)以上のうち,第1項「非公開」は納得がいかない。ふだんよりここに登場する人士の意見(立場・思想)は自明といっていいほど聞かされている。「分かりきっている意見の持主たち」である。要は,国民の側から聞かれるとき,あまり教えたくない可能性のある意見が出てきたら「どうしよう,なるべくそのへんについては,予防措置を講じておきたい」と受けとれる思惑が感じられなくもない。それにしても,ずいぶん小心者の予防線の設営だと受けとっておく。いずれにせよ「国民世論向け公表」を,いまから用心深く意識したらしい事前規制であり,いわばご都合主義がチラホラしてもいる。
つまり,このメンバーの半分ほどの人数はほぼ,ゴリゴリの極右思想の持ち主である。前段のなかに#印を付しておいた人士がそうである。安倍晋三政権が指定する陣容なのだから,当然といえば当然の傾向(偏り)である。明仁天皇にとっては迷惑というか懸念を抱くほかない人たちが多い,というほかない「有識者」(?)の構成である。
また,この16人中9人が小泉,野田両内閣での皇室制度に関する有識者会議やヒアリングにかかわっていた。ここではさきに,『日本経済新聞』2016年10月28日朝刊の報道が,「生前退位 来月3回ヒアリング-慎重派交え16人から」という見出しを出して,こう説明していた点を紹介しておく。
ところで「皇室典範」とは,皇位継承順位など皇室に関する制度・構成等について規定していた家憲である。大日本帝国憲法と同格の法規とみなされていた。昭和22年5月2日に廃止され,新たに法律として制定された皇室典範(昭和22年1月16日法律第3号)が,同年5月3日の日本国憲法と同時に施行された。
話を戻す。『彼ら』は,もっと端的にいえば,日本全体史における天皇・天皇制に対する歴史的な位置づけやこれに対する眺望とは無関係に,すなわち明治帝政時代だけにおける天皇・皇室像しか念頭に置かないで発言してきた人士である。大日本帝国主義史が敗戦に至るまでの大失策をまったく認められずに,それでもなお意地を張って「その時期における天皇・天皇制」が無条件によかったと懐旧する時代錯誤--これには二重の意味があり,明治以前と敗戦以後の両時期に関してこの深刻なアナクロニズムに陥っている--を犯している。
ところで,旧・皇室典範は第1章「皇位繼承」で「第1條 大日本國皇位ハ祖宗ノ皇統ニシテ男系ノ男子之ヲ繼承ス」「第2條 皇位ハ皇長子ニ傳フ」と規定し,女性天皇を排除した。
さらに第2章「踐祚卽位」で「第10條 天皇崩スルトキハ皇嗣卽チ踐祚シ祖宗ノ神器ヲ承ク」「第11條 卽位ノ禮及大嘗祭ハ京都ニ於テ之ヲ行フ」「第12條 踐祚ノ後元號ヲ建テ一世ノ間ニ再ヒ改メサルコト明治元年ノ定制ニ從フ」と規定するというふうに,それまではなかった「践祚=即位」および「一世一号」を新たに置いた。
『彼ら』〔再度断わっておくが,八木秀次や桜井よしこ,百地 章のこと〕は,そうした歴史の関連を視野に入れて評価するならば,日本における天皇制全体史からは恣意的に離れたまま,ただ明治帝政史において近代帝国主義国家体制の疑似近代性(半封建主義体制のこと)を発揮するために造作された「天皇・天皇制」の,極論すれば,その明治謹製であった天皇制観を21世紀のいまになっても,。なおもちだしている。
同じ「皇室の伝統」をいうのであれば,なにゆえ〔2016年で紀元で〕2千6百7十6年もの悠久の歴史を有する「ヤマト天皇史」の全史を展望に入れたうえで,「生前退位(譲位)」問題に対する,しかも「賛否両論」のいずれでもあってもたがいに議論しあったうえで,自説の立場を主張しようとしないのか。こういう疑念が『彼ら』に向けて差し向けられてよい。
要するに『日本経済新聞』が『彼ら』のごとき,今回問題に対する基本姿勢を「慎重派」などと呼ぶのは,きわめて不適切な呼称であり,またいえば方向違いでもある。より適切に彼らの思考方式を呼称するためには,天皇・天皇史を視野狭窄的に考えようとしかできない「その立場・思想のこと」であるからには,「慎重派」と呼ぶ修辞は完全に逆さまであった。むしろ「明治帝政時代からの旧套思想に囚われた『〈畸型・異種〉の「異端・突出派」だ』とみなすのが,より妥当性のある評定である。
③『朝日新聞』2016年10月18日朝刊・記事本文の紹介
以上の議論を踏まえて,この『朝日新聞』の記事を読んでみることにしたい。
--天皇陛下の退位をめぐり,政府が設けた有識者会議がヒアリングする専門家16人の顔ぶれが〔10月〕27日,決まった。この日は三笠宮崇仁(みかさのみや・たかひと)さまが亡くなられ,皇位継承資格者は4人に減少。ただ,会議は皇位の安定した継承をめぐる問題には踏みこまず,天皇の負担軽減策にテーマを絞る方針だ。
「今上陛下が82歳とご高齢であることも踏まえ,公務負担軽減にしぼって議論してもらう」。菅 義偉官房長官は27日の記者会見で,天皇陛下の退位をめぐる有識者会議では,女性・女系天皇を認めるかなど皇室の安定的な継続への対応は検討しない考えを示した。
有識者会議は年明けにも論点整理を示す。政府は,来〔2017〕年の通常国会に天皇陛下の退位を可能とする法案を提出したい考えだ。恒久的な制度設計はせず,いまの天皇陛下に限って退位できるようにする特例法を軸に法整備の検討を進める。この日,三笠宮さまが亡くなり,皇位継承権のある男性皇族は4人となった。天皇陛下の弟・常陸宮さまは80歳と高齢で,現実的な後継者は皇太子さま(56歳)と秋篠宮さま(50歳),それに次世代にあたる秋篠宮家の悠仁さま(10歳)の3人だけだ。
だが菅氏は,有識者会議は陛下の公務負担軽減に絞る考えを強調した。皇室のあり方については,退位を可能とする法整備にめどがついたあと,議論を始める2段階方式で臨む構えだ。一方,宮内庁は天皇を支える皇族が減っていることに問題意識をもってきた。現行の皇室典範は,女性皇族が結婚で皇籍を離れると規定している。現状のままでは,悠仁さまが成年に達するころには,皇族が激減する可能性が濃厚だ。同庁の山本信一郎長官は同日の定例会見で「大きな課題と認識している」と述べた。
高森明勅(あきのり)・国学院大学講師(神道学)は「譲位を一代限りとするか制度化するかだけでなく,皇室制度全体を見直し,皇族減少に関する対策をたてなければならない」。皇室への関心が高まっていることや,皇位継承権のある男性皇族が4人となったことを受け,「政府は有識者会議の論点に『皇室の安定的な存続』を盛り込むべきで,誠実に検討していく必要がある」と話す。
横田耕一・九州大学名誉教授は,政府が女性・女系天皇などの議論を棚上げにしている状況について「天皇の発意をきっかけに退位にテーマを絞って,きわめて短時間で動こうとしていることじたいがおかしい。もっと時間をかけて,皇室の問題全体について考えるべきだ」と訴える。
1)16人,半数近く特例法に理解
「自分の見解が明確な専門家を選定した。非常にバランスがとれているのではないか」。27日の有識者会議後の記者会見で,座長を務める今井 敬・経団連名誉会長はヒアリングする16人の専門家をそう評した。だが,専門家の顔ぶれをみると,少なくとも半数近くは,濃淡こそあれ特例法の容認に言及している。特例法への理解を深めたい政府の思惑が透ける。
園部逸夫(そのべ・いつお)・元最高裁判事は27日,朝日新聞の取材に「退位の制度化には退位を強制される恐れなどさまざまな問題があり,基本的には反対だ。今回は高齢となった陛下のお気持に応えるため,特例法で退位を可能にすればいい」と語った。
皇室典範の改正が本筋だが,まずは特例法から,という立場の識者もいる。
所 功(ところ・いさお)・京都産業大学名誉教授(日本法制文化史)は27日の取材に対し,「典範改正が望ましいが,そのためには高齢以外の理由も想定し,退位の要件を定める必要がある。まずは入り口として特例法で対処し,典範改正という出口に向け議論を続けるべきだ」と主張。
百地 章(ももちあきら)・日本大学教授(憲法)も「今回は典範に根拠を置いたうえで特例法で応急的に対応し,典範改正の是非は中長期的な課題として検討するのがいい」と述べる。
安倍晋三首相に近いジャーナリストの櫻井よしこ氏も専門家に選ばれた。櫻井氏はこれまで「陛下の思いを尊重しつつ,どのように日本国の伝統を守るか。双方を両立させる工夫としては,特措法も一つの選択肢だ」などと話している。
専門家の人選から漏れた政治学者は「今回の有識者会議は,特例法の結論ありきという印象が否めない」と語る。
一方,退位に反対する論者も一定数を選び,もともと退位への反対論が根強い首相の支持層への配慮をうかがわせた。保守派の重鎮,大原康男・国学院大学名誉教授(宗教行政論)は「譲位が政争の具とされたり,皇位継承をめぐる対立で血が流れたりした悲史を反省し,明治時代に皇位継承は天皇崩御の場合に限るとされ,それを昭和の皇室典範も受け継いだ」と歴史の重みを強調し,摂政制度の利用を主張する。
補注)「歴史の重み」とはまた,ずいぶん重宝なことばに受けとれる。筆者はさきほど「歴史の長さ」のもつ意味を無視するのはまずいと意見してみたが,こんどは「歴史の重み」を重くみるべきだという立場が強調されている。ただし,ここでものをいっている大原康男は,旧皇室典範⇒現皇室典範のほうを重くみるあまり,この典範が背負ってきた,それも「限られた時代」がどのように「日本の歴史」を展開してきたかという問題(明治帝国主義史と敗戦後史という「歴史の展開」そのもの)には無関心であるかのように映る。
八木秀次(ひでつぐ)・麗沢大教授(憲法)は「一回でも退位の前例を作れば皇位継承の安定性が揺らぎ,天皇制度の終わりの始まりになってしまう」とし,国事行為の臨時代行で対応する方策を提案している。
補注)この教授はかなり奇妙奇天烈な見解を披露している。「一回でも退位の前例を作れば皇位継承の安定性が揺らぎ,天皇制度の終わりの始まりにな」るというのは,相当におおげさな解釈である。だからこそ,この八木秀次などに対して指摘した問題点があった。つぎにかかげるのは『週刊ダイヤモンド』2016年9月17日に特集された記事「日本人なら知っておきたい皇室」からの引用である。( ↓ 画面 クリックで 拡大・可)
このように,二千六百年以上の皇統史においての退位(譲位)の発生,この政治の事態に関した「歴史の事実」を,いったいどのように受けとめているのか? 八木秀次は,この事実についていえば,無知でなければ故意に無視している。あくまで,明治帝政時代史=東アジア侵略史時代に限定された天皇・天皇制史しか念頭にない思考であって,その思考方式には疑念しかもてない。それでも憲法学者だというのだから,驚くほかない。
2)「お気持」意識(記事本文の引用に戻る)
今回の有識者会議は,過去の有識者会議と比べてもかなりの短期集中型だ。6人の会議メンバーによるヒアリングは11月7日に始め,月内に3回おこなう。1日に5~6人の専門家を呼び,1人につき約30分ずつ意見聴取する。計3時間におよぶ日もあり,首相周辺は「11月中にめどをつけるには,ほかにやりようがない」と語る。
日程を詰めこんだのは,陛下が8月のお気持ち表明で「戦後70年という大きな節目を過ぎ,2年後には,平成30年(2018年)を迎えます」と言及したことがある。政府はその2018年をめどとする退位を想定しており,来年の通常国会で法整備をしなければ準備が間に合わなくなる可能性がある。このため,今〔2016〕年11月中にヒアリングを終わらせ,年明けに論点整理を公表,来春にも提言をとりまとめるスケジュールを描く。
補注)「敗戦」後70年目という節目は理解できる。だが,平成が30年といった「特定の人間のもつ寿命の経過時期・区分」に関する意義づけは,日本に特有である性格つけであるにせよ,苦しい評価をともなうはずである。この段落の記事で2018年と書いてあった数字は,実はもとは18年と書いてあった。これでは平成18年と混同されないという保証はない。このあたりのくわしい説明はしないが,平成30年だとか平成50年(この年数だと完全に非現実的な元号の表記)だという年次の表現が,役所関係では使われていないわけではない。どうみても,西暦で表現したほうがよほどすっきりする。
2012年に民主党の野田佳彦政権が行った女性宮家の創設に関する有識者ヒアリングでは,招いた専門家は12人。ただ,意見聴取は2人ずつとし,約4カ月間をかけて計6回おこなった。その後,有識者会議が論点整理を公表するまで,さらに約3カ月をかけた。
2005年に女性・女系天皇を議論した小泉純一郎政権の有識者会議は,2回にわたり専門家を4人ずつ,計8人からヒアリングした。意見聴取にかけた期間はわずかだったが,その前に約4カ月間をかけて計5回の会合を開催。皇位継承の時代的な変遷や,諸外国の王位継承制度などを検討した。意見聴取の後も計10回の会合で5カ月余りをかけ,報告書をまとめた。
今回の有識者会議の出席者の1人が語る。「すでに天皇陛下のお気持が直接示されており過去の会議とは状況が違う。いまできることを『これだ』と提示するしかない」。
3)三笠宮さま,譲位容認論 敗戦直後「新憲法の精神」引き主張
天皇の退位をめぐる議論は70年前,皇族や政治家ら体制内で指導的地位にあり天皇制を支持する論者から,たびたび提起された。日本の敗戦を受けて,昭和天皇の戦争責任問題に端を発したものだった。10月27日に逝去した三笠宮さまも当時,天皇譲位についての意見を表明していた。
1946年11月,皇室典範改正を審議していた枢密院に対し,三笠宮さまは「新憲法と皇室典範改正法案要綱(案)」と題する意見書を提出。「『死』以外に譲位の道を開かないことは新憲法第18条の『何人も,いかなる奴隷的拘束も受けない』という精神に反しはしないか?」と主張。天皇が皇室会議に対して譲位を発議できるとの規定をくわえるよう提案した。
翌12月,天皇の譲位を認めない皇室典範改正案について「ふにおちない点もある」などと発言し,朝日新聞などに掲載された。「自由意志による譲位を認めていない,つまり,天皇は死なれなければその地位を去ることができないわけだが,たとえ百年に一度ぐらいとしても真にやむをえない事情が起きることを予想すれば必要最小限の基本的人権としての譲位を考えたほうがよいと思っている」と語っている。
当時の心境について三笠宮さまは,1983年出版の「古代オリエント史と私」で「最大の問題は皇族という身分に止まるかどうか。天皇退位の問題や戦争責任の論議などもあり,幾夜も,幾月も熟考した」と振り返っている。
--皇族自身が自分の利害にかかわる現実の問題をあれこれ言及し,主張することは,敗戦後に日本国憲法にしたがえば「基本的な人権」がないとされた立場からのものとしては,相当に違和感をもたざるをえない。敗戦国となった日本がGHQから押しつけられた新憲法ゆえ,三笠宮1人がいくら抗ったところで,どうにもなるものではなかったが……。しょせんは,特権階級に位置する人間からの発言であった。この付近の問題ついてはさらにつづけて議論していくつもりである。
④『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』における関連の批判記事
1)まず,『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』の2016年10月22日の記事,「『生前退位』有識者会議が天皇の希望も世論も無視,官邸の意向で “一代限り特別法” にすでに決定済み!」を引用しておく。
やっぱりそうなったか。天皇の「生前退位」をめぐり,17日,都内で有識者会議の初会合が開かれたが,新聞各社は翌18日朝刊で一斉に “一代限りの特別法制定が基本線” と報じた。座長の今井 敬経団連名誉会長は会合後の会見で,「よく聞いていろいろな判断をするのでこれからの問題」とシラをきったが, “官邸の敷いた既定路線” が存在することは誰の目にも明らか。
実際,メンバーの山内昌之東京大学名誉教授は,同日夜のBSフジの番組で「特別法を出すことで,まず(生前退位を)解決する。それが一段落してから皇室典範改正にとり組む姿勢を打ち出すことは,荒唐無稽のことではない」と,世論を無視することの予防線をはるような発言もしている。
あらためて指摘しておくが,憲法2条には《皇位は,世襲のものであつて,国会の議決した皇室典範の定めるところにより,これを継承する》という規定があり,普通に考えれば,「生前退位」実現のためには,皇室典範を改正し,恒久的な制度化をするのが筋だ。ところが,安倍首相の支持基盤である日本会議など右派勢力は皇室典範改正に対し強硬に反対。そこで,安倍政権としては,一代かぎりの特別法で茶を濁し,支持層からの批判をかわそうとしているのだ。
だが,天皇制の根本にかかわる「生前退位」の問題を,一代かぎりの特別法で解決することに問題はないのか。憲法学者の木村草太首都大学東京教授は『AERA』(朝日新聞出版)10月3日号のなかで,「生前退位」じたいは合憲とする一方,特別法の制定については「憲法2条から,特別法を許さないという趣旨も読みとれる」と,違憲の可能性を指摘している。
前述したように,憲法2条は《皇位は,世襲のものであつて,国会の議決した皇室典範の定めるところにより》と規定されているから,「生前退位」という皇位の問題については,やはり皇室典範の改正が必然的に要求されるというのだ。さらに木村教授はこのようにも述べている。
つまり,立法府を数の力でねじ伏せることで,その時々の天皇の強制退位や皇位継承の順位変更を導きかねない。ゆえに,誠実に「生前退位」について議論するならば,退位等をめぐる明確な基準や手続を精査したうえで,恒久法である皇室典範を改正して,しっかりと明記するのが当たり前なのだ。
一方,安倍政権が一代かぎりの特別法制定に躍起になっているのは,皇室典範に手をつけてほしくない右派勢力への “配慮” 以外に,もうひとつの理由があるとみられている。それが,安倍首相の悲願でもある改憲との兼ねあいだ。
各社報道によれば,政府筋は皇室典範の改正には時間がかかり,天皇が望む早急な退位を難しくさせると説明しているが,これは政権側のいいわけに過ぎない。
実のところ,安倍首相はなによりも憲法改正の政治日程を優先し,「生前退位」の議論がその足かせとなることを拒んでいるのだ。〔10月〕19日,自民党は党の政治制度改革実行本部の役員会で,無期限案をも視野に入れた総裁任期の延長を事実上決定したが,これもその “改憲スケジュール” を邪魔されたくないという首相の意思が強くにじみ出ているといえる。
そして,マスコミもこの流れに追随しつつある。なかでも,安倍政権の意向をもっとも忖度しているのがNHKだ。もともと天皇の「生前退位」の意思をめぐる議論の発端は今〔2016〕年7月のNHKによるスクープだったが,これに官邸は激怒。直接,NHK幹部に猛烈なクレームをつけたともいわれており,いまNHK内部は「生前退位」の報道に非常にナーバスになっているという。
事実,〔10〕17日放送の『ニュースチェック11』は,こうした “官邸への配慮” が顕著。番組の冒頭から有識者会議の初会合をとりあげたのだが,その扱い方はあからさまに政権の顔色を伺うものだった。
たとえば,スタジオでは皇室典範改正には課題が山積しているとして,桑子真帆キャスターが「いろいろ考えなければならないので時間がかかりそうですね」とコメント。あからさまに典範改正という方法にネガティブな解説をする一方,専門家の談として,小泉政権時に「皇室典範に関する有識者会議」の座長代理を務めた園部逸夫元最高裁判事の「特定の天皇について考えるほうが良いのではないか」という話をフリップで紹介。有馬嘉男キャスターが「これは特別法の制定ということになります」「政府内でも陛下がご高齢なので迅速に対応する必要がある,と有力視されています」と続け,露骨に特別法が好ましいという印象づけをおこなった。
さらに呆れたのが,『ニュースチェック11』が「現制度で対応」という方法があると強調したこと。これは摂政などの現行制度を指していると思われるが,なんとここで,番組では専門家のコメントとして,あの八木秀次麗澤大学教授の話を紹介したのだ。 八木氏といえば,安倍首相の右派のブレーン中のブレーンとしてしられる。
安倍政権下で教育再生実行会議委員を務め,日本会議系の講演なども多数行う,いわば “日本会議御用学者” だ。2014年,天皇・皇后の護憲発言に対し「安倍政権批判だ」と攻撃したことも記憶に新しい八木氏だが,「生前退位」についてもこの間,「正論」(産経新聞社)などで大反対キャンペーンを牽引してきた。
要するにNHKは,むりやり「現行制度で対応」などという無理筋な話をもち出し,さらに安倍首相とべったりの日本会議御用学者のコメントを放送することで,官邸におべっかを使ったというわけである。まったく, “安倍様のNHK” といわざるをえない。
安倍政権の意向を叶えようと世論の地ならしに躍起になる有識者会議に,それを批判するどころか追従する大マスコミ。憲法は天皇の地位を《主権の存する日本国民の総意に基く》としているはずだが,どうやら現実には私たちの声は届かず,政権の思いどおりに進んでいるようだ。
註記)http://lite-ra.com/2016/10/post-2639.html
http://lite-ra.com/2016/10/post-2639_2.html
http://lite-ra.com/2016/10/post-2639_3.html
2)さらに,『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』2016年8月20日の記事,「天皇の生前退位で右派が内ゲバ! 小林よしのりは日本会議や渡部昇一に『天皇を奴隷化する国賊』」と激烈批判」も引用しておく。本日の記述中,つまり「天皇の生前退位(譲位)」にかかわる有識者意見聴取被対象者として氏名の出ている人びとが,槍玉にあげられている。これも長い参照となるが,意見としてまっとう中身である。
天皇の「生前退位」の意向を受け,「保守派」と呼ばれる人たちの間で “大分裂” が勃発している。本サイトでもレポートしてきたが,まずは7月,天皇が「生前退位」を希望しているという情報が公になって以降,安倍政権を支える「日本会議」界隈を中心に,反対の大合唱が起こった。
たとえば,日本会議副会長の小堀桂一郎氏は〈事実上の国体の破壊に繋がるのではないかとの危惧は深刻〉(『産経新聞』7月16日付)などといい,日本会議理事の百地 章日本大学教授も朝日新聞など各媒体で「摂政を置けばすむ」「皇室典範改正は一時的なムードや私的感情だけで結論を急ぐようなことは慎むべき」という “生前退位反対論” を繰り返し主張している。
これはつまり,「現人神」たる天皇を頂点とする国家神道のイデオロギーを利用した大日本帝国価値観の復権を狙う極右界隈からみれば,天皇は「生涯在位」でなければならず,皇室典範の改正,ま
してや「生前退位」などもってのほかというわけだが,しかし,保守派のなかでもこうした “反対論” を真っ向から批判している人たちがいる。
出所)画像は,http://best-times.jp/articles/-/2597?page=2
その代表例が,漫画家の小林よしのり氏だろう。よしりんは『週刊ポスト』(小学館)8月19・26日合併号によせた「ゴーマニズム宣言スペシャル 生前退位論」のなかで,〈政府は速やかに皇室典範を改正し,陛下のご意向を叶えてあげてほしい。それが常識ある国民の願いなのだから〉としたうえで,このように論じている。
よしりんが怒りを爆発させるのも,こうした,天皇の「お気持」などまったく考えず,ましてや自分たちの偏狭なイデオロギーのために正面から踏みにじるような論調が,保守派のなかで跋扈しているからなのだろう。よしりんは自身のブログでも,立てつづけにこう批判している。
昨〔2015〕年,脱右翼を宣言した民族派団体・一水会の木村三浩氏が,かつて刊行されていた雑誌『宝島30』(宝島社)で,「保守派」あるいは「右翼」と呼ばれる人たちの皇室に対する姿勢の違いをわかりやすく分類している(1994年1月号)。
ひとつ目は,〈天皇陛下と皇室の尊厳は絶対である。たとえどんな形態になろうとも,陛下御自身が選ばれた道なのだから,最後まで忠誠を誓ってついていこうという立場〉であり,これを「尊皇絶対派」と呼ぶ。
ふたつ目は,〈天皇陛下がみずから選ばれたことでも,それが伝統と大きくかけ離れているとすれば,諌めて正すべきだという考え〉だ。これを「諫言・諫諍派」あるいは単に「諫言派」という。
そして,みっつ目が,〈一生懸命に諫言しても,聞き入れていただけなかったらどうしたらいいのか。天皇陛下の御意志についていけない〉という考え方で,これを木村氏は儒教で君主を変えることを意味する「放伐」に近い,と語っている。
この分類で考えると, “天皇を皇居に閉じこめろ!” “ 摂政を置け!” と主張する加地氏らは「諫言派」あるいは「放伐派」となり,反対によしりんは「尊皇絶対派」ということになるだろう。
だがまあ,本サイト(『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』のこと)としては,今回の天皇の「生前退位」をめぐって,保守派がそうした思想分類すら当てはまらない “大混乱期” に移行しているのが興味深いところだ。
櫻井よしこ氏などその典型だろう。櫻井氏は産経新聞8月9日付で,「お気持」のビデオメッセージについて語っているのだが,その内容は〈多くの国民の共感を呼ぶ〉〈個人として話されたことであるが,軽んじてはならない〉と,天皇の意向を大事にせねばならないという口調の一方,こんな意味不明な読解をもってして皇室典範改正や生前退位に反対している。
補注)パラノイアとは偏執狂と訳されている。
その最たるものが,産経新聞のオピニオンコラム「産経抄」だ。NHKが天皇の「生前退位」の意向の第一報を報じた翌々日にあたる,7月15日付「産経抄」では,〈責任感の強い陛下は,なにより公務の削減にもどかしさを感じられているようだ。皇后さまと,ゆっくり過ごしていただきたい。心から願うとともに,もうひとつの思いも消えない。たとえ公務がかなわなくなっても,天皇陛下のままでいていただきたい〉と,退位に否定的だったにもかかわらず,「お気持」のビデオメッセージ公開翌日の8日9日付では,前言を翻してこう述べている。
本サイトでもお伝えしたが,フジ産経はこの世論調査で, “「生前退位」が可能になるように制度改正を急ぐべきか?” という趣旨の質問をし,70.7%の同意の回答をえている。問題はその直後,こんな設問を置いていた。「今後,天皇の「生前退位」が可能となるように,憲法を改正してもよいと思いますか,思いませんか」。
何度でも指摘しておくが,「生前退位」を可能にするためには皇室典範を改正すればよい。そして,皇室典範は一般法だ。つまり,憲法改正はまったく必要ない。にもかかわらず,産経は恣意的に設問を置いて,なんと「思う」に84.7%も誘導したのである。完全に「生前退位」の議論を改憲に援用するためのミスリードだ。
まったく詐欺としかいいようがないが,しかも,恐ろしいのは,永田町でも憲法第5条に「生前退位」に関する文言を挿入しようという計画が浮上しているとも漏れ伝わってくることだ。要するに,安倍政権は大真面目に「生前退位」を改憲のために政治利用しようとしているのである。
これはもはや,先の分類における「諫言派」とか「放伐派」とか,そういう次元を遥かに超越している。いわば,「積極的政治利用派」とでもいうべき考え方が,いま,保守派のなかで蠢いているのだ。もちろんそのためには,表向き天皇の「お気持」に賛同し,そして内心では裏切るさまざまな具体的手段を講じる必要がある。前述した櫻井氏や産経抄は,まさにそれを地でいっているというわけである。
その意味において,われわれは「生前退位」をめぐる保守派の “内ゲバ” を,全然笑ってみているわけにはいかないのだ。むしろ,国民世論に配慮しながら,日本会議など極右支持勢力にもいい顔をしなければならない安倍政権の性質を考えると,現実的な落としどころとして “「生前退位」を実現する代わりに,なんらかのかたちで改憲につなげる” というシナリオはかなり可能性が高い。
もしかすると,国民は天皇の「お気持」以上に,これを改憲イデオロギーに利用しようとする連中の “策謀” に気を払わねばならないのではないか。そんな気がしてならないのである。(編集部)
註記)http://lite-ra.com/2016/08/post-2509.html
http://lite-ra.com/2016/08/post-2509_2.html
http://lite-ra.com/2016/08/post-2509_3.html
http://lite-ra.com/2016/08/post-2509_4.html
http://lite-ra.com/2016/08/post-2509_5.html
⑤ ごく簡単なまとめ
以上の記述・議論で問題の焦点に上るのは,日本という国家の中心に据えられている天皇・天皇制である。この制度を利用(悪用)を企んでいる政治家たちがいる。憲法学者もいる。経営者・実業家もいる。GHQは敗戦後の日本に対して,なにを考えて天皇・天皇制を残置したか,もう一度再考しなおす機会としなければなるまい。「民主主義と天皇・天皇制」とは両立するといえるのか? 自信をもってそういえる人もいるかもしれないが,それは信念の問題であって,けっして民主制政治そのものの課題とはなりえない。
<転載終了>
出所)http://www.jiji.com/jc/article?k=2016102700823&g=soc


②『有識者ヒアリングの実施について(案)』2016年10月27日
官邸が公表した,この 『有識者ヒアリングの実施について(案)』を,のぞいてみたい。① の『朝日新聞』の記事本文の引用はあとまわしになる。
註記)以下は,http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koumu_keigen/dai2/shiryo1.pdf
1.聴取項目
以下の項目について,ヒアリング対象者から20分程度意見の陳述を受け,10分程度の意見交換を行う。
① 日本国憲法における天皇の役割をどう考えるか。
② ①を踏まえ,天皇の国事行為や公的行為などの御公務はどうあるべきと考えるか。
③ 天皇が御高齢となられた場合において,御負担を軽くする方法として何が考えられるか。
④ 天皇が御高齢となられた場合において,御負担を軽くする方法として,憲法第5条に基づき,摂政を設置することについてどう考えるか。
⑤ 天皇が御高齢となられた場合において,御負担を軽くする方法として,憲法第4条第2項に基づき,国事行為を委任することについてどう考えるか。
⑥ 天皇が御高齢となられた場合において,天皇が退位することについてどう考えるか。
⑦ 天皇が退位できるようにする場合,今後のどの天皇にも適用できる制度とすべきか。
⑧ 天皇が退位した場合において,その御身位や御活動はどうあるべきと考えるか。
2.ヒアリング対象者及び開催日程
皇室制度,歴史,憲法などの専門的な知見を有する方々(別紙)から ヒアリングを行う。ヒアリングを行う日程は,下記のとおりとする。
・第3回会議(11月7日14時30分開催予定)
・第4回会議(11月14日15時30分開催予定)
・第5回会議(11月30日9時00分開催予定)
3.ヒアリングの公開
・意見の陳述については非公開とする。
・会議終了後,直ちにヒアリング対象者の説明資料を公表するとともに,座長代理のブリーフィングを行う。
・当日の議事録は,ヒアリング対象者の確認後,意見交換部分の発言者名は削除して 公表する 。
・ヒアリング終了後の各ヒアリング対象者への取材は可とする。
補注)以上のうち,第1項「非公開」は納得がいかない。ふだんよりここに登場する人士の意見(立場・思想)は自明といっていいほど聞かされている。「分かりきっている意見の持主たち」である。要は,国民の側から聞かれるとき,あまり教えたくない可能性のある意見が出てきたら「どうしよう,なるべくそのへんについては,予防措置を講じておきたい」と受けとれる思惑が感じられなくもない。それにしても,ずいぶん小心者の予防線の設営だと受けとっておく。いずれにせよ「国民世論向け公表」を,いまから用心深く意識したらしい事前規制であり,いわばご都合主義がチラホラしてもいる。
③『日本経済新聞』2016年10月28日朝刊の報道をさきに参照する資料1『有識者ヒアリングの候補者の選定について(案)』
第1 有識者ヒアリングの開催趣旨
有識者会議において,天皇の公務の負担軽減等を図るため,どのようなことができるのかを検討するにあたり,様々な専門的な知見を有する人々からヒアリングを実施し,今後の検討の参考とする。
第2 選定の基本方針
今回の問題に深く関わる分野である皇室制度,歴史,憲法の3分野を中核とし,これらの分野の権威である専門家を基本として選定する。その際,今回の問題が報じられて以降,有識者の見解が報道等で多数引用されていることから,それらの報道等での引用頻度も参考とする。予断を持つことなく議論を進めるため,様々な専門家の意見を幅広く聴取することができるように選定を行う。このため,今回の問題に係る自己の見解が明確な有識者を選定する。別紙『有識者ヒアリングにおけるヒアリング対象者』
石原信雄 (元内閣官房副長官)
今谷 明 (帝京大学特任教授)
岩井克己 (ジャーナリスト)
大石 眞 (京都大学大学院教授)
大原康男 (國學院大學名誉教授)#
笠原英彦 (慶應義塾大学教授)
櫻井よしこ(ジャーナリスト)#
園部逸夫 (元最高裁判所判事)
高橋和之 (東京大学名誉教授)
所 功 (京都産業大学名誉教授)#
平川祐弘 (東京大学名誉教授)#
古川隆久 (日本大学教授)
保阪正康 (ノンフィクション作家)
百地 章 (国士舘大学大学院客員教授)#
八木秀次 (麗澤大学教授)#
渡部昇一 (上智大学名誉教授)#
*所属及び役職は平成28年10月27日現在
つまり,このメンバーの半分ほどの人数はほぼ,ゴリゴリの極右思想の持ち主である。前段のなかに#印を付しておいた人士がそうである。安倍晋三政権が指定する陣容なのだから,当然といえば当然の傾向(偏り)である。明仁天皇にとっては迷惑というか懸念を抱くほかない人たちが多い,というほかない「有識者」(?)の構成である。
また,この16人中9人が小泉,野田両内閣での皇室制度に関する有識者会議やヒアリングにかかわっていた。ここではさきに,『日本経済新聞』2016年10月28日朝刊の報道が,「生前退位 来月3回ヒアリング-慎重派交え16人から」という見出しを出して,こう説明していた点を紹介しておく。
専門家の意見は最終的な提言も左右する。座長の今井〔敬〕氏は,人選の方針について「報道などでの引用頻度」「自己の見解が明確な有識者」をあげた。「さまざまな専門家の意見を幅広く聴取できるように選定した。非常にバランスがとれているのではないか」と語った。〔 〕内の分類・名称は本ブログが用意して注入したものであるが,天皇退位(譲位)問題に「慎重派」だという八木秀次や桜井よしこ,百地 章の立場が極右の憲法思想に位置することは,自明といえる。『彼ら』の立場は,天皇史・皇室史に対する千年単位の視座とはまったく無関連の,つまり,明治以来にのみ「創られた天皇・天皇制」,いいかえれば『旧・皇室典範』 (明治22年2月11日~1947年5月2日廃止)にこだわった,しかもこれしかみようとしない〔みえない〕基本姿勢である。
〔肯定派〕 園部氏のほか京都産業大名誉教授の所 功氏,元内閣官房副長官の石原信雄氏らは皇室制度に詳しい専門家だ。生前退位への賛否をめぐっては園部氏,所氏は容認の構えをみせている。
〔否定派〕 一方,八木氏やジャーナリストの桜井よしこ氏,国士舘大大学院客員教授の百地 章氏ら保守派の論客も並んだ。いずれも皇位継承の伝統や安定性などの観点から,これまで生前退位に否定的な姿勢を示してきた。
〔中間派〕 「生前退位の実現には保守派をいかに抑えられるかがカギになる」。政府高官の1人はこう語る。女性宮家の創設を議論した2012年の野田内閣でも,八木氏や桜井氏,百地氏らは政府の意見聴取に招かれ,女性宮家に慎重な意見を述べた。
ところで「皇室典範」とは,皇位継承順位など皇室に関する制度・構成等について規定していた家憲である。大日本帝国憲法と同格の法規とみなされていた。昭和22年5月2日に廃止され,新たに法律として制定された皇室典範(昭和22年1月16日法律第3号)が,同年5月3日の日本国憲法と同時に施行された。
話を戻す。『彼ら』は,もっと端的にいえば,日本全体史における天皇・天皇制に対する歴史的な位置づけやこれに対する眺望とは無関係に,すなわち明治帝政時代だけにおける天皇・皇室像しか念頭に置かないで発言してきた人士である。大日本帝国主義史が敗戦に至るまでの大失策をまったく認められずに,それでもなお意地を張って「その時期における天皇・天皇制」が無条件によかったと懐旧する時代錯誤--これには二重の意味があり,明治以前と敗戦以後の両時期に関してこの深刻なアナクロニズムに陥っている--を犯している。
ところで,旧・皇室典範は第1章「皇位繼承」で「第1條 大日本國皇位ハ祖宗ノ皇統ニシテ男系ノ男子之ヲ繼承ス」「第2條 皇位ハ皇長子ニ傳フ」と規定し,女性天皇を排除した。
さらに第2章「踐祚卽位」で「第10條 天皇崩スルトキハ皇嗣卽チ踐祚シ祖宗ノ神器ヲ承ク」「第11條 卽位ノ禮及大嘗祭ハ京都ニ於テ之ヲ行フ」「第12條 踐祚ノ後元號ヲ建テ一世ノ間ニ再ヒ改メサルコト明治元年ノ定制ニ從フ」と規定するというふうに,それまではなかった「践祚=即位」および「一世一号」を新たに置いた。
『彼ら』〔再度断わっておくが,八木秀次や桜井よしこ,百地 章のこと〕は,そうした歴史の関連を視野に入れて評価するならば,日本における天皇制全体史からは恣意的に離れたまま,ただ明治帝政史において近代帝国主義国家体制の疑似近代性(半封建主義体制のこと)を発揮するために造作された「天皇・天皇制」の,極論すれば,その明治謹製であった天皇制観を21世紀のいまになっても,。なおもちだしている。
同じ「皇室の伝統」をいうのであれば,なにゆえ〔2016年で紀元で〕2千6百7十6年もの悠久の歴史を有する「ヤマト天皇史」の全史を展望に入れたうえで,「生前退位(譲位)」問題に対する,しかも「賛否両論」のいずれでもあってもたがいに議論しあったうえで,自説の立場を主張しようとしないのか。こういう疑念が『彼ら』に向けて差し向けられてよい。
要するに『日本経済新聞』が『彼ら』のごとき,今回問題に対する基本姿勢を「慎重派」などと呼ぶのは,きわめて不適切な呼称であり,またいえば方向違いでもある。より適切に彼らの思考方式を呼称するためには,天皇・天皇史を視野狭窄的に考えようとしかできない「その立場・思想のこと」であるからには,「慎重派」と呼ぶ修辞は完全に逆さまであった。むしろ「明治帝政時代からの旧套思想に囚われた『〈畸型・異種〉の「異端・突出派」だ』とみなすのが,より妥当性のある評定である。
③『朝日新聞』2016年10月18日朝刊・記事本文の紹介
以上の議論を踏まえて,この『朝日新聞』の記事を読んでみることにしたい。
--天皇陛下の退位をめぐり,政府が設けた有識者会議がヒアリングする専門家16人の顔ぶれが〔10月〕27日,決まった。この日は三笠宮崇仁(みかさのみや・たかひと)さまが亡くなられ,皇位継承資格者は4人に減少。ただ,会議は皇位の安定した継承をめぐる問題には踏みこまず,天皇の負担軽減策にテーマを絞る方針だ。
「今上陛下が82歳とご高齢であることも踏まえ,公務負担軽減にしぼって議論してもらう」。菅 義偉官房長官は27日の記者会見で,天皇陛下の退位をめぐる有識者会議では,女性・女系天皇を認めるかなど皇室の安定的な継続への対応は検討しない考えを示した。
有識者会議は年明けにも論点整理を示す。政府は,来〔2017〕年の通常国会に天皇陛下の退位を可能とする法案を提出したい考えだ。恒久的な制度設計はせず,いまの天皇陛下に限って退位できるようにする特例法を軸に法整備の検討を進める。この日,三笠宮さまが亡くなり,皇位継承権のある男性皇族は4人となった。天皇陛下の弟・常陸宮さまは80歳と高齢で,現実的な後継者は皇太子さま(56歳)と秋篠宮さま(50歳),それに次世代にあたる秋篠宮家の悠仁さま(10歳)の3人だけだ。
だが菅氏は,有識者会議は陛下の公務負担軽減に絞る考えを強調した。皇室のあり方については,退位を可能とする法整備にめどがついたあと,議論を始める2段階方式で臨む構えだ。一方,宮内庁は天皇を支える皇族が減っていることに問題意識をもってきた。現行の皇室典範は,女性皇族が結婚で皇籍を離れると規定している。現状のままでは,悠仁さまが成年に達するころには,皇族が激減する可能性が濃厚だ。同庁の山本信一郎長官は同日の定例会見で「大きな課題と認識している」と述べた。
高森明勅(あきのり)・国学院大学講師(神道学)は「譲位を一代限りとするか制度化するかだけでなく,皇室制度全体を見直し,皇族減少に関する対策をたてなければならない」。皇室への関心が高まっていることや,皇位継承権のある男性皇族が4人となったことを受け,「政府は有識者会議の論点に『皇室の安定的な存続』を盛り込むべきで,誠実に検討していく必要がある」と話す。
横田耕一・九州大学名誉教授は,政府が女性・女系天皇などの議論を棚上げにしている状況について「天皇の発意をきっかけに退位にテーマを絞って,きわめて短時間で動こうとしていることじたいがおかしい。もっと時間をかけて,皇室の問題全体について考えるべきだ」と訴える。
1)16人,半数近く特例法に理解
「自分の見解が明確な専門家を選定した。非常にバランスがとれているのではないか」。27日の有識者会議後の記者会見で,座長を務める今井 敬・経団連名誉会長はヒアリングする16人の専門家をそう評した。だが,専門家の顔ぶれをみると,少なくとも半数近くは,濃淡こそあれ特例法の容認に言及している。特例法への理解を深めたい政府の思惑が透ける。
園部逸夫(そのべ・いつお)・元最高裁判事は27日,朝日新聞の取材に「退位の制度化には退位を強制される恐れなどさまざまな問題があり,基本的には反対だ。今回は高齢となった陛下のお気持に応えるため,特例法で退位を可能にすればいい」と語った。
皇室典範の改正が本筋だが,まずは特例法から,という立場の識者もいる。
所 功(ところ・いさお)・京都産業大学名誉教授(日本法制文化史)は27日の取材に対し,「典範改正が望ましいが,そのためには高齢以外の理由も想定し,退位の要件を定める必要がある。まずは入り口として特例法で対処し,典範改正という出口に向け議論を続けるべきだ」と主張。
百地 章(ももちあきら)・日本大学教授(憲法)も「今回は典範に根拠を置いたうえで特例法で応急的に対応し,典範改正の是非は中長期的な課題として検討するのがいい」と述べる。
安倍晋三首相に近いジャーナリストの櫻井よしこ氏も専門家に選ばれた。櫻井氏はこれまで「陛下の思いを尊重しつつ,どのように日本国の伝統を守るか。双方を両立させる工夫としては,特措法も一つの選択肢だ」などと話している。
専門家の人選から漏れた政治学者は「今回の有識者会議は,特例法の結論ありきという印象が否めない」と語る。
一方,退位に反対する論者も一定数を選び,もともと退位への反対論が根強い首相の支持層への配慮をうかがわせた。保守派の重鎮,大原康男・国学院大学名誉教授(宗教行政論)は「譲位が政争の具とされたり,皇位継承をめぐる対立で血が流れたりした悲史を反省し,明治時代に皇位継承は天皇崩御の場合に限るとされ,それを昭和の皇室典範も受け継いだ」と歴史の重みを強調し,摂政制度の利用を主張する。
補注)「歴史の重み」とはまた,ずいぶん重宝なことばに受けとれる。筆者はさきほど「歴史の長さ」のもつ意味を無視するのはまずいと意見してみたが,こんどは「歴史の重み」を重くみるべきだという立場が強調されている。ただし,ここでものをいっている大原康男は,旧皇室典範⇒現皇室典範のほうを重くみるあまり,この典範が背負ってきた,それも「限られた時代」がどのように「日本の歴史」を展開してきたかという問題(明治帝国主義史と敗戦後史という「歴史の展開」そのもの)には無関心であるかのように映る。
八木秀次(ひでつぐ)・麗沢大教授(憲法)は「一回でも退位の前例を作れば皇位継承の安定性が揺らぎ,天皇制度の終わりの始まりになってしまう」とし,国事行為の臨時代行で対応する方策を提案している。
補注)この教授はかなり奇妙奇天烈な見解を披露している。「一回でも退位の前例を作れば皇位継承の安定性が揺らぎ,天皇制度の終わりの始まりにな」るというのは,相当におおげさな解釈である。だからこそ,この八木秀次などに対して指摘した問題点があった。つぎにかかげるのは『週刊ダイヤモンド』2016年9月17日に特集された記事「日本人なら知っておきたい皇室」からの引用である。( ↓ 画面 クリックで 拡大・可)
このように,二千六百年以上の皇統史においての退位(譲位)の発生,この政治の事態に関した「歴史の事実」を,いったいどのように受けとめているのか? 八木秀次は,この事実についていえば,無知でなければ故意に無視している。あくまで,明治帝政時代史=東アジア侵略史時代に限定された天皇・天皇制史しか念頭にない思考であって,その思考方式には疑念しかもてない。それでも憲法学者だというのだから,驚くほかない。
2)「お気持」意識(記事本文の引用に戻る)
今回の有識者会議は,過去の有識者会議と比べてもかなりの短期集中型だ。6人の会議メンバーによるヒアリングは11月7日に始め,月内に3回おこなう。1日に5~6人の専門家を呼び,1人につき約30分ずつ意見聴取する。計3時間におよぶ日もあり,首相周辺は「11月中にめどをつけるには,ほかにやりようがない」と語る。
日程を詰めこんだのは,陛下が8月のお気持ち表明で「戦後70年という大きな節目を過ぎ,2年後には,平成30年(2018年)を迎えます」と言及したことがある。政府はその2018年をめどとする退位を想定しており,来年の通常国会で法整備をしなければ準備が間に合わなくなる可能性がある。このため,今〔2016〕年11月中にヒアリングを終わらせ,年明けに論点整理を公表,来春にも提言をとりまとめるスケジュールを描く。
補注)「敗戦」後70年目という節目は理解できる。だが,平成が30年といった「特定の人間のもつ寿命の経過時期・区分」に関する意義づけは,日本に特有である性格つけであるにせよ,苦しい評価をともなうはずである。この段落の記事で2018年と書いてあった数字は,実はもとは18年と書いてあった。これでは平成18年と混同されないという保証はない。このあたりのくわしい説明はしないが,平成30年だとか平成50年(この年数だと完全に非現実的な元号の表記)だという年次の表現が,役所関係では使われていないわけではない。どうみても,西暦で表現したほうがよほどすっきりする。
2012年に民主党の野田佳彦政権が行った女性宮家の創設に関する有識者ヒアリングでは,招いた専門家は12人。ただ,意見聴取は2人ずつとし,約4カ月間をかけて計6回おこなった。その後,有識者会議が論点整理を公表するまで,さらに約3カ月をかけた。
2005年に女性・女系天皇を議論した小泉純一郎政権の有識者会議は,2回にわたり専門家を4人ずつ,計8人からヒアリングした。意見聴取にかけた期間はわずかだったが,その前に約4カ月間をかけて計5回の会合を開催。皇位継承の時代的な変遷や,諸外国の王位継承制度などを検討した。意見聴取の後も計10回の会合で5カ月余りをかけ,報告書をまとめた。
今回の有識者会議の出席者の1人が語る。「すでに天皇陛下のお気持が直接示されており過去の会議とは状況が違う。いまできることを『これだ』と提示するしかない」。
3)三笠宮さま,譲位容認論 敗戦直後「新憲法の精神」引き主張
天皇の退位をめぐる議論は70年前,皇族や政治家ら体制内で指導的地位にあり天皇制を支持する論者から,たびたび提起された。日本の敗戦を受けて,昭和天皇の戦争責任問題に端を発したものだった。10月27日に逝去した三笠宮さまも当時,天皇譲位についての意見を表明していた。
1946年11月,皇室典範改正を審議していた枢密院に対し,三笠宮さまは「新憲法と皇室典範改正法案要綱(案)」と題する意見書を提出。「『死』以外に譲位の道を開かないことは新憲法第18条の『何人も,いかなる奴隷的拘束も受けない』という精神に反しはしないか?」と主張。天皇が皇室会議に対して譲位を発議できるとの規定をくわえるよう提案した。
翌12月,天皇の譲位を認めない皇室典範改正案について「ふにおちない点もある」などと発言し,朝日新聞などに掲載された。「自由意志による譲位を認めていない,つまり,天皇は死なれなければその地位を去ることができないわけだが,たとえ百年に一度ぐらいとしても真にやむをえない事情が起きることを予想すれば必要最小限の基本的人権としての譲位を考えたほうがよいと思っている」と語っている。
当時の心境について三笠宮さまは,1983年出版の「古代オリエント史と私」で「最大の問題は皇族という身分に止まるかどうか。天皇退位の問題や戦争責任の論議などもあり,幾夜も,幾月も熟考した」と振り返っている。
--皇族自身が自分の利害にかかわる現実の問題をあれこれ言及し,主張することは,敗戦後に日本国憲法にしたがえば「基本的な人権」がないとされた立場からのものとしては,相当に違和感をもたざるをえない。敗戦国となった日本がGHQから押しつけられた新憲法ゆえ,三笠宮1人がいくら抗ったところで,どうにもなるものではなかったが……。しょせんは,特権階級に位置する人間からの発言であった。この付近の問題ついてはさらにつづけて議論していくつもりである。
④『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』における関連の批判記事
1)まず,『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』の2016年10月22日の記事,「『生前退位』有識者会議が天皇の希望も世論も無視,官邸の意向で “一代限り特別法” にすでに決定済み!」を引用しておく。
やっぱりそうなったか。天皇の「生前退位」をめぐり,17日,都内で有識者会議の初会合が開かれたが,新聞各社は翌18日朝刊で一斉に “一代限りの特別法制定が基本線” と報じた。座長の今井 敬経団連名誉会長は会合後の会見で,「よく聞いていろいろな判断をするのでこれからの問題」とシラをきったが, “官邸の敷いた既定路線” が存在することは誰の目にも明らか。
実際,メンバーの山内昌之東京大学名誉教授は,同日夜のBSフジの番組で「特別法を出すことで,まず(生前退位を)解決する。それが一段落してから皇室典範改正にとり組む姿勢を打ち出すことは,荒唐無稽のことではない」と,世論を無視することの予防線をはるような発言もしている。
あらためて指摘しておくが,憲法2条には《皇位は,世襲のものであつて,国会の議決した皇室典範の定めるところにより,これを継承する》という規定があり,普通に考えれば,「生前退位」実現のためには,皇室典範を改正し,恒久的な制度化をするのが筋だ。ところが,安倍首相の支持基盤である日本会議など右派勢力は皇室典範改正に対し強硬に反対。そこで,安倍政権としては,一代かぎりの特別法で茶を濁し,支持層からの批判をかわそうとしているのだ。
だが,天皇制の根本にかかわる「生前退位」の問題を,一代かぎりの特別法で解決することに問題はないのか。憲法学者の木村草太首都大学東京教授は『AERA』(朝日新聞出版)10月3日号のなかで,「生前退位」じたいは合憲とする一方,特別法の制定については「憲法2条から,特別法を許さないという趣旨も読みとれる」と,違憲の可能性を指摘している。
前述したように,憲法2条は《皇位は,世襲のものであつて,国会の議決した皇室典範の定めるところにより》と規定されているから,「生前退位」という皇位の問題については,やはり皇室典範の改正が必然的に要求されるというのだ。さらに木村教授はこのようにも述べている。
「皇位の継承は非常にデリケートなもの。明確なルールでおこなわれないと国政上の大きな混乱を生むため,皇室典範でルールを定めないといけないというのが,具体的な法律名を唯一出した憲法2条の趣旨と読みとるのが自然でしょう」(前掲『AERA』より)。また,別の懸念もある。仮に一代かぎりの特別法を認めるとすれば,今後,将来的に再び天皇の退位をめぐる問題が立ち現われたとき,今回のケースが前例となり,その度に特別法で対処するというルーティーンとなるだろう。そうすれば必然的に,時の政権与党による恣意的な天皇の廃立の危険性が高まる。
つまり,立法府を数の力でねじ伏せることで,その時々の天皇の強制退位や皇位継承の順位変更を導きかねない。ゆえに,誠実に「生前退位」について議論するならば,退位等をめぐる明確な基準や手続を精査したうえで,恒久法である皇室典範を改正して,しっかりと明記するのが当たり前なのだ。
一方,安倍政権が一代かぎりの特別法制定に躍起になっているのは,皇室典範に手をつけてほしくない右派勢力への “配慮” 以外に,もうひとつの理由があるとみられている。それが,安倍首相の悲願でもある改憲との兼ねあいだ。
各社報道によれば,政府筋は皇室典範の改正には時間がかかり,天皇が望む早急な退位を難しくさせると説明しているが,これは政権側のいいわけに過ぎない。
実のところ,安倍首相はなによりも憲法改正の政治日程を優先し,「生前退位」の議論がその足かせとなることを拒んでいるのだ。〔10月〕19日,自民党は党の政治制度改革実行本部の役員会で,無期限案をも視野に入れた総裁任期の延長を事実上決定したが,これもその “改憲スケジュール” を邪魔されたくないという首相の意思が強くにじみ出ているといえる。
そして,マスコミもこの流れに追随しつつある。なかでも,安倍政権の意向をもっとも忖度しているのがNHKだ。もともと天皇の「生前退位」の意思をめぐる議論の発端は今〔2016〕年7月のNHKによるスクープだったが,これに官邸は激怒。直接,NHK幹部に猛烈なクレームをつけたともいわれており,いまNHK内部は「生前退位」の報道に非常にナーバスになっているという。
事実,〔10〕17日放送の『ニュースチェック11』は,こうした “官邸への配慮” が顕著。番組の冒頭から有識者会議の初会合をとりあげたのだが,その扱い方はあからさまに政権の顔色を伺うものだった。
たとえば,スタジオでは皇室典範改正には課題が山積しているとして,桑子真帆キャスターが「いろいろ考えなければならないので時間がかかりそうですね」とコメント。あからさまに典範改正という方法にネガティブな解説をする一方,専門家の談として,小泉政権時に「皇室典範に関する有識者会議」の座長代理を務めた園部逸夫元最高裁判事の「特定の天皇について考えるほうが良いのではないか」という話をフリップで紹介。有馬嘉男キャスターが「これは特別法の制定ということになります」「政府内でも陛下がご高齢なので迅速に対応する必要がある,と有力視されています」と続け,露骨に特別法が好ましいという印象づけをおこなった。
さらに呆れたのが,『ニュースチェック11』が「現制度で対応」という方法があると強調したこと。これは摂政などの現行制度を指していると思われるが,なんとここで,番組では専門家のコメントとして,あの八木秀次麗澤大学教授の話を紹介したのだ。 八木氏といえば,安倍首相の右派のブレーン中のブレーンとしてしられる。
安倍政権下で教育再生実行会議委員を務め,日本会議系の講演なども多数行う,いわば “日本会議御用学者” だ。2014年,天皇・皇后の護憲発言に対し「安倍政権批判だ」と攻撃したことも記憶に新しい八木氏だが,「生前退位」についてもこの間,「正論」(産経新聞社)などで大反対キャンペーンを牽引してきた。
要するにNHKは,むりやり「現行制度で対応」などという無理筋な話をもち出し,さらに安倍首相とべったりの日本会議御用学者のコメントを放送することで,官邸におべっかを使ったというわけである。まったく, “安倍様のNHK” といわざるをえない。
安倍政権の意向を叶えようと世論の地ならしに躍起になる有識者会議に,それを批判するどころか追従する大マスコミ。憲法は天皇の地位を《主権の存する日本国民の総意に基く》としているはずだが,どうやら現実には私たちの声は届かず,政権の思いどおりに進んでいるようだ。
註記)http://lite-ra.com/2016/10/post-2639.html
http://lite-ra.com/2016/10/post-2639_2.html
http://lite-ra.com/2016/10/post-2639_3.html
2)さらに,『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』2016年8月20日の記事,「天皇の生前退位で右派が内ゲバ! 小林よしのりは日本会議や渡部昇一に『天皇を奴隷化する国賊』」と激烈批判」も引用しておく。本日の記述中,つまり「天皇の生前退位(譲位)」にかかわる有識者意見聴取被対象者として氏名の出ている人びとが,槍玉にあげられている。これも長い参照となるが,意見としてまっとう中身である。
天皇の「生前退位」の意向を受け,「保守派」と呼ばれる人たちの間で “大分裂” が勃発している。本サイトでもレポートしてきたが,まずは7月,天皇が「生前退位」を希望しているという情報が公になって以降,安倍政権を支える「日本会議」界隈を中心に,反対の大合唱が起こった。
たとえば,日本会議副会長の小堀桂一郎氏は〈事実上の国体の破壊に繋がるのではないかとの危惧は深刻〉(『産経新聞』7月16日付)などといい,日本会議理事の百地 章日本大学教授も朝日新聞など各媒体で「摂政を置けばすむ」「皇室典範改正は一時的なムードや私的感情だけで結論を急ぐようなことは慎むべき」という “生前退位反対論” を繰り返し主張している。
これはつまり,「現人神」たる天皇を頂点とする国家神道のイデオロギーを利用した大日本帝国価値観の復権を狙う極右界隈からみれば,天皇は「生涯在位」でなければならず,皇室典範の改正,ま
してや「生前退位」などもってのほかというわけだが,しかし,保守派のなかでもこうした “反対論” を真っ向から批判している人たちがいる。出所)画像は,http://best-times.jp/articles/-/2597?page=2
その代表例が,漫画家の小林よしのり氏だろう。よしりんは『週刊ポスト』(小学館)8月19・26日合併号によせた「ゴーマニズム宣言スペシャル 生前退位論」のなかで,〈政府は速やかに皇室典範を改正し,陛下のご意向を叶えてあげてほしい。それが常識ある国民の願いなのだから〉としたうえで,このように論じている。
〈天皇や皇族の方々は,国民がもつ「基本的人権」のほとんどが奪われている。移動の自由,転居の自由,思想信条の自由,表現の自由から選挙で投票する自由まで,我々が持っている自由のほとんどがない。天皇は国民ではないのだ。みようによっては,天皇は国民の奴隷ではないのか? 天皇は民主主義の「自由」と「平等」という価値に反している。よってリベラル知識人のなかには天皇を「被差別者」とみて,「天皇を開放すべきだ」という意見をもつ者もいる〉そして,前述の百地氏のほか,渡部昇一上智大学名誉教授,加地伸行大阪大学名誉教授,大原康男国学院大学名誉教授,八木秀次麗澤大学教授らを名指しするかたちで,生前退位反対論者たちを痛烈に批判するのだ。
〈現にみよ! 自称保守派の者たちは,82歳の天皇の「退位」の自由すら妨害しようとしてるではないか! 彼らは天皇陛下を敬愛してはいない! 天皇の「自由意志」を封殺したがる。その根拠はなんなのか? 彼らが天皇よりも自分たちが上だと思いこめる原因は,実は憲法の「国民主権」にある! 自称保守派は,「国民主権」の名のもとに完全に天皇を奴隷化している!〉「原因は憲法の国民主権である」という主張にはまったく同意できないが,よしりんの憤慨それじたいはもっともだ。実際,生前退位反対論者のいいまわしは,明らかに天皇の人権を無視しまくったものばかりだからだ。たとえば加地伸行氏は,『WiLL』(ワック)9月号に「『生前退位』とは何事か」なるブチ切れ気味のタイトルの文章を寄稿。恫喝的な口調でこう捲くし立てている。
〈両陛下は,可能なかぎり,皇居奥深くにおられることを第一とし,国民の前にお出ましになられないことである。もちろん,御公務はなさるが,〈開かれた皇室〉という〈怪しげな民主主義〉に寄られることなく〈閉ざされた皇室〉としてましましていただきたいのである〉要するに, “天皇はしゃべるな。皇居に閉じこもっておけ” ということだが,これは明らかに今上天皇が考え抜いてきた「象徴天皇」のあり方を全否定するものだ。今上天皇は8月の『お気持』ビデオメッセージのなかで,こう語っていた。
「日本の各地,とりわけ遠隔の地や島々への旅も,私は天皇の象徴的行為として,大切なものと感じて来ました。皇太子の時代も含め,これまで私が皇后とともにおこなって来たほぼ全国に及ぶ旅は,国内のどこにおいても,その地域を愛し,その共同体を地道に支える市井の人びとのあることを私に認識させ,私がこの認識をもって,天皇として大切な,国民を思い,国民のために祈るという務めを,人びとへの深い信頼と敬愛をもってなしえたことは,幸せなことでした」。ところが,加地氏をはじめとした保守派の生前退位反対論者たちは,この天皇の「お気持」とは真反対のことを唱える。
〈何よりも留意せねばならないのは「国事行為」や「象徴としての公的行為」の次元の問題ではなく,「同じ天皇陛下がいつまでもいらっしゃる」という「ご存在」の継続そのものが「国民統合」の根幹をなしていることではなかろうか〉(大原氏,前掲『WiLL』9月号)さらに,渡部昇一氏に至っては,「生前退位」に反対しながら,この流れのなか巷間で再浮上してきた「女系天皇・女性宮家」論を牽制するかたちで,こんなことまで述べている。
〈天皇陛下は,ご自身が在位されることで迷惑をけけるとお思いであると拝察するが,国民の一人としては在位していただくだけで十分にありがたいという気持である〉(八木秀次氏,『正論』」9月号/産経新聞社)。
〈皇室の継承は,①「種」(タネ)の尊さ,②神話時代から地続きである。この二つが最も重要です。歴史的には女帝も存在しましたが,妊娠する可能性のない方,生涯独身を誓った方のみが皇位に就きました。種が違うと困るからです。たとえば,イネやヒエ,ムギなどの種は,どの田圃に植えても育ちます。種は変わりません。しかし,畑にはセイタカアワダチソウの種が飛んできて育つことがあります。畑では種が変わってしますのです〉(前掲『WiLL』9月号)人間を「種」とか穀物に見立てる感性はあまりにも下衆としかいいようがない。結局,彼らの本音は「万世一系が揺らぐようなことがあってはならない。それだけを考えればいい」(渡部氏)というものなのだ。
よしりんが怒りを爆発させるのも,こうした,天皇の「お気持」などまったく考えず,ましてや自分たちの偏狭なイデオロギーのために正面から踏みにじるような論調が,保守派のなかで跋扈しているからなのだろう。よしりんは自身のブログでも,立てつづけにこう批判している。
〈日本会議は天皇陛下を奴隷と思っているのか? これほどまでに「尊皇心」をなくすとは,極左以上! 日本会議は国賊集団である!〉 〈そもそも「日本会議」には尊皇心のひとかけらもない。125代にわたる天皇の一人ひとりを敬愛する気持など全然なくて,男系血脈というY染色体を崇拝しているのである。そんなものは単なるカルトであって,日本人の伝統ではない〉ところで,読者諸賢のなかには,本来天皇を敬っているはずの「保守派」の人たちが,こうしてバラバラになっているのを不思議に思う向きがあるかもしれない。だが,とりわけ皇室論議をめぐっては,昔からこうした “内ゲバ” は日常茶飯事だった。
昨〔2015〕年,脱右翼を宣言した民族派団体・一水会の木村三浩氏が,かつて刊行されていた雑誌『宝島30』(宝島社)で,「保守派」あるいは「右翼」と呼ばれる人たちの皇室に対する姿勢の違いをわかりやすく分類している(1994年1月号)。
ひとつ目は,〈天皇陛下と皇室の尊厳は絶対である。たとえどんな形態になろうとも,陛下御自身が選ばれた道なのだから,最後まで忠誠を誓ってついていこうという立場〉であり,これを「尊皇絶対派」と呼ぶ。
ふたつ目は,〈天皇陛下がみずから選ばれたことでも,それが伝統と大きくかけ離れているとすれば,諌めて正すべきだという考え〉だ。これを「諫言・諫諍派」あるいは単に「諫言派」という。
そして,みっつ目が,〈一生懸命に諫言しても,聞き入れていただけなかったらどうしたらいいのか。天皇陛下の御意志についていけない〉という考え方で,これを木村氏は儒教で君主を変えることを意味する「放伐」に近い,と語っている。
この分類で考えると, “天皇を皇居に閉じこめろ!” “ 摂政を置け!” と主張する加地氏らは「諫言派」あるいは「放伐派」となり,反対によしりんは「尊皇絶対派」ということになるだろう。
だがまあ,本サイト(『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』のこと)としては,今回の天皇の「生前退位」をめぐって,保守派がそうした思想分類すら当てはまらない “大混乱期” に移行しているのが興味深いところだ。
櫻井よしこ氏などその典型だろう。櫻井氏は産経新聞8月9日付で,「お気持」のビデオメッセージについて語っているのだが,その内容は〈多くの国民の共感を呼ぶ〉〈個人として話されたことであるが,軽んじてはならない〉と,天皇の意向を大事にせねばならないという口調の一方,こんな意味不明な読解をもってして皇室典範改正や生前退位に反対している。
〈今回の事柄を,現行の皇室典範の枠のなかで改定することを否定されていることも感じた。国民の側としては,よくよく考えなくてはいけない〉 〈政府は,悠久の歴史を引きつぐ,ゆったりと長い大河の流れをみるようにして,このたびのお言葉について考えなくてはならない。軽々な変化は慎むべきだ〉この人はパラノイアなのか(?)とつっこまざるをえないが,実は,こうした詭弁が前述した御仁たちも含めてかなり見受けられるのだ。
補注)パラノイアとは偏執狂と訳されている。
その最たるものが,産経新聞のオピニオンコラム「産経抄」だ。NHKが天皇の「生前退位」の意向の第一報を報じた翌々日にあたる,7月15日付「産経抄」では,〈責任感の強い陛下は,なにより公務の削減にもどかしさを感じられているようだ。皇后さまと,ゆっくり過ごしていただきたい。心から願うとともに,もうひとつの思いも消えない。たとえ公務がかなわなくなっても,天皇陛下のままでいていただきたい〉と,退位に否定的だったにもかかわらず,「お気持」のビデオメッセージ公開翌日の8日9日付では,前言を翻してこう述べている。
〈昨日の午後,ビデオで表明された「お気持ち」を聞いて,大いに反省した。なんとも,甘ったるいことを書いたものだ〉 〈皇室典範に規定がない「生前退位」の実現までには,課題が山積している。陛下はそれを十分承知のうえで,心情を打ち明けられた。日本と皇室の未来のために知恵を絞ろう。国民はこれまで両陛下に甘えすぎていた〉この “転向” はなぜ〔生じたの〕か。察するに,この産経抄の前日(8月6~7日)に産経とFNNが合同で実施した世論調査が関係しているのではないか。
本サイトでもお伝えしたが,フジ産経はこの世論調査で, “「生前退位」が可能になるように制度改正を急ぐべきか?” という趣旨の質問をし,70.7%の同意の回答をえている。問題はその直後,こんな設問を置いていた。「今後,天皇の「生前退位」が可能となるように,憲法を改正してもよいと思いますか,思いませんか」。
何度でも指摘しておくが,「生前退位」を可能にするためには皇室典範を改正すればよい。そして,皇室典範は一般法だ。つまり,憲法改正はまったく必要ない。にもかかわらず,産経は恣意的に設問を置いて,なんと「思う」に84.7%も誘導したのである。完全に「生前退位」の議論を改憲に援用するためのミスリードだ。
まったく詐欺としかいいようがないが,しかも,恐ろしいのは,永田町でも憲法第5条に「生前退位」に関する文言を挿入しようという計画が浮上しているとも漏れ伝わってくることだ。要するに,安倍政権は大真面目に「生前退位」を改憲のために政治利用しようとしているのである。
これはもはや,先の分類における「諫言派」とか「放伐派」とか,そういう次元を遥かに超越している。いわば,「積極的政治利用派」とでもいうべき考え方が,いま,保守派のなかで蠢いているのだ。もちろんそのためには,表向き天皇の「お気持」に賛同し,そして内心では裏切るさまざまな具体的手段を講じる必要がある。前述した櫻井氏や産経抄は,まさにそれを地でいっているというわけである。
その意味において,われわれは「生前退位」をめぐる保守派の “内ゲバ” を,全然笑ってみているわけにはいかないのだ。むしろ,国民世論に配慮しながら,日本会議など極右支持勢力にもいい顔をしなければならない安倍政権の性質を考えると,現実的な落としどころとして “「生前退位」を実現する代わりに,なんらかのかたちで改憲につなげる” というシナリオはかなり可能性が高い。
もしかすると,国民は天皇の「お気持」以上に,これを改憲イデオロギーに利用しようとする連中の “策謀” に気を払わねばならないのではないか。そんな気がしてならないのである。(編集部)
註記)http://lite-ra.com/2016/08/post-2509.html
http://lite-ra.com/2016/08/post-2509_2.html
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http://lite-ra.com/2016/08/post-2509_4.html
http://lite-ra.com/2016/08/post-2509_5.html
⑤ ごく簡単なまとめ
以上の記述・議論で問題の焦点に上るのは,日本という国家の中心に据えられている天皇・天皇制である。この制度を利用(悪用)を企んでいる政治家たちがいる。憲法学者もいる。経営者・実業家もいる。GHQは敗戦後の日本に対して,なにを考えて天皇・天皇制を残置したか,もう一度再考しなおす機会としなければなるまい。「民主主義と天皇・天皇制」とは両立するといえるのか? 自信をもってそういえる人もいるかもしれないが,それは信念の問題であって,けっして民主制政治そのものの課題とはなりえない。
<転載終了>


×無理解者