http://blog.goo.ne.jp/hatatomoko1966826/e/28f2a98b2e06f6b53d574d771fd2be21?fm=rss
<転載開始>
はたともこPPPAで、NHKガッテン!の肺炎球菌ワクチン大宣伝を取り上げましたが、この高齢者肺炎球菌ワクチン「ニューモバックスNP」は、子宮頸がんワクチン「ガーダシル」の製造販売元であるMSD社(米国メルクの日本法人)が製造販売するワクチンです。
このワクチンは、2006年10月20日に、萬有製薬株式会社(MSD社の前身)に対して、製造販売承認されました。この承認のためのPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の審査結果(2006年7月12日付)には、驚くほど、トンデモない内容が書かれています。
審査結果の冒頭の文章は、以下の通りです。
本剤はニューモバックスの製造方法、規格及び試験方法等が変更された製剤であり、本剤とニューモバックスとの同等性を主張して申請された。提出された資料及び回答からは、本剤の有効性は十分明確に示されていないが、否定されるものではないと考える。
本剤が肺炎球菌による感染症を予防する効果をどの程度有するのか明らかではないが、ニューモバックスは既に生産が終了しており、今秋以降供給できないこと、他に本剤と同様の効能・効果を有する予防薬が無いことから、社会的必要性に鑑みて、以下の対応が適切にされれば本剤をニューモバックスの代替品として臨床現場に供給することが妥当と考える。
すなわち、本剤の有効性について臨床現場に適切な情報提供が行われること、本剤の有効性・安全性を確認する市販後調査が迅速かつ適切に実施されること、追加提出予定の品質に関する情報及びGMP(註:製造管理・品質管理)調査において問題がないことが確認されることが必要と考える。
(引用終)
更に、トンデモ事実のオンパレードの記述があります。呆れる他はありません。一部、紹介します。
(P.5)「2.品質に関する資料」
申請時に提出された資料は、審査する上で必要な情報が十分記載されておらず、全篇において本文と図表の不整合、翻訳間違い、誤字・脱字等の不備が多数認められ、米国メルク社の資料を単に機械翻訳したままと思われる記載も散見された。
著しく内容の理解が困難であったことから、資料の修正に関して150項目を超える指摘/照会事項を作成し、平成17年6月24日、資料の全面的な修正及び再提出を要求した。
平成18年1月12日に修正版が提出されたが、修正された資料においても上記の問題が解決されていなかったことから、再度、100項目を超える指摘/照会事項を作成し、資料の再修正を要求した。
また、照会事項に対する回答についても同様の問題が認められ、審査に多大な支障を来した。
このような事態を招いた原因は、申請者の日本法人である萬有製薬株式会社において品質に関する資料の内容を正確に把握することなく、米国メルク社が作成する資料及び回答を単に翻訳して提出していたこと、また、申請資料の信頼性に対する社内監査体制が機能していなかったことにあると推察される。
(引用終)
点数をつけるなら0点で、カンニングもあったが、合格させたみたいな話で、これでは、萬有製薬(現MSD)や米国メルクに、PMDAが甘く見られても仕方ありません。現に、2007年11月に承認申請された、子宮頸がんワクチン「ガーダシル」の申請資料にも不祥事が続出し、製造販売承認をいったん取り下げる事態になりました。再度、承認申請されたガーダシルの審査結果にも、社内体制の整備の必要性が指摘されています。
もちろん、サーバリックスとガーダシルの勧奨が中止されている時の承認などあり得ませんが、PMDAは、現在審査中のガーダシル9の審査を厳正に行っているのでしょうか。
ガーダシルの審議結果報告書で指摘されたことを、MSD社はきちんと実行しているのか。特に、ガーダシルの「国内臨床試験は不十分」と指摘したのですから、ガーダシル9の国内臨床試験が十分に行われて、有効性と安全性が確認できたのか。それらが確認されない限り、PMDAはガーダシル9の承認をしてはならないと思います。
9~15歳女子100例の免疫原性臨床試験論文は、岩田敏慶応大感染症学教授(感染症・小児科が専門)以外は、全てMSD社員。study concept and designはMSD担当。慶応ブランドの名義貸し?!これでは、納得できません。
●「ニューモバックスNP」審議結果報告書
●ガーダシル9「9~15歳女子100例の免疫原性臨床試験」論文
●はたともこPPPA「NHK ガッテン!肺炎球菌ワクチンは、ガッテンできません! 」
●はたともこメールマガジンの登録はこちら
<転載終了>