社会科学者の随想さんのサイトより
http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1072017808.html

気候を操ることが出来ますから、オリンピックの時は冷夏になる可能性もありますね。

<転載開始>
 【JOC会長には,明治時代に創設された元皇族家の子孫竹田恆和・日本馬術連盟副会長(公社)が就いているが,この人と,そして以下に連なる人たちが,

 炎天下に開催される予定の国際競技大会を「どのように過ごしていくか」を,『下々のわれわれ』の側では,実はよくしらないのではないか?】
 付記)画像には「Amazon 広告」へのリンクあり。

 【IOC会長トーマス・バッハは,オリンピックという「事業経営」を担当する『オリンピック貴族』界の代表か?

 この貴族たちが「厚遇・高給を食むための国際競技大会」は,ただ働き:無料奉仕を体よく提供させられるだけの「ボランティア(とはいえないもの)」を,それも11万人も動員させて酷使(黒使)する計画である】

 【2020年東京オリンピックで,もしも選手・観客・ボランティアから熱中症による死者が出たら,誰がどのように責任をとるのか?】


 ①「東京五輪,競泳決勝は午前 IOCコーツ氏『最終結論』」(『朝日新聞』2018年7月20日朝刊17面「スポーツ」)

 1) 前  論-日本の盛夏にオリンピックを開催する最悪の愚昧
 この記事を読んで「?」がいくつか浮かんだ。競泳というのはたしか水泳の競技という意味だが,水泳の選手は泳いでいるときでも「汗が出るものだ」と,メダリスト自身が先日語っていたのをテレビで観たことがある。それでも水泳競技は,冷たい水中での体力消耗となる。

 だが,つぎのごとき「2020年東京オリンピックの競技日程」は,日本の夏の真っ盛り(盛夏たぶん酷暑にもなる可能性のある時期)に,あえてこのような予定を組んでいる。(記事から引用,画面 クリックで 拡大・可)
『朝日新聞』2018年7月20日朝刊17面「スポーツ」五輪日程

 この競技日程を観たとき,まさか「狂気のなせる〈五輪の日程設定〉」だと感じた。昨日〔7月19日〕夜のニュースですでに伝えられていたが,新聞紙に掲載されたこのような「東京オリンピックの競技日程」は,もしかしたら選手や観客,ボランティアからわざわざ死者を出しかねない恐怖を,2年前のいまであっても「想定させている」からである。

 だが,この記事(『朝日新聞』の)にかぎらず,大手主要紙を中心にどの新聞も,日本の盛夏のなかで,つまり,東京で開催されるこの2020年のオリンピックがこの「危険な時期」に実施される “非常な異様さ” をまともに伝えようとしていない。

 昨日〔2018年7月19日〕,たまたまとりよせたばかりの本,本間 龍『ブラックボランティア』(KADOKAWA,2018年7月10日)を読みはじめた。本書が深く懸念するのは,以上に指摘したごとき,それも以前から心配されている「日本の東京の盛夏」に国際競技大会を開催することの「異常なまでの危険性」である。ところが,この問題がほとんどといっていいくらいまともに意識されていない。オリンピックという国際競技大会を舞台に迎えて発現されようとしている〈この国的な異様さ〉」は,いまから強調して警告されてよいのである。

 2)  記事の引用
 「2020年東京五輪の主な競技日程」表は前段に紹介してあった。この記事を引用する。

 --2020年東京五輪の競技日程の大枠が固まった。〔7月〕18日の国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で水泳以外の日程が承認された。結論が先延ばしとなった競泳決勝の実施時間については,国際水泳連盟(FINA)が19日,「午前中に開始することで合意した」と発表した。

 競泳については,18日の理事会終了時点でIOCのコーツ調整委員長に一任となっていた。そのコーツ氏は19日,「FINAの決定が最終結論だ」と述べた。大会組織委員会も了承する方向で,午前中の決勝実施が事実上決まった。

 競泳の午前決勝は2008年北京大会以来。多額の放映権料を払う米テレビ局NBCに配慮したIOCの意向が働いた結果となった。7月24日から8月9日までの17日間に,史上最多の33競技339種目をおこなうだけに,大会組織委員会の複数の幹部は「(日程編成は)まるでパズルのようだった」と話した。
 補注)この段落は,問題の核心となる点を指摘している。日本の東京でなぜ,それも非常に危険な時節である盛夏に,あえてオリンピックを開催するのかに関した事情・理由が書かれている。それは「米テレビ局NBCに配慮したIOCの意向」であった。

 いま,この段落の記述:「補注の部分」は『朝日新聞』の引用中になっているが,『日本経済新聞』が今年1月30日に掲載していた記事のほうかからさらに挿入するかたちで,ひとまず,つぎの引用もしておく。こちらの記事は,人ごとみたいであるかのように関連の報道をしていた。だが,実際には,自国で2020年の盛夏に開催予定である「東京五輪にもそのまま妥当する疑問」を報道していた。

 今年2月,「平昌で開催された冬季五輪」は真冬の開催であった。一方の「東京五輪」(2020年予定)は盛夏の開催になる。前者は冬季オリンピックだから「雪や氷」がなければ困るし,大いに寒くても大きな支障にはならなかった。だが,後者は通常のオリンピックであって,それも盛夏の時期に実施するといい,日本の気候条件を完全に無視した日程の設営なっている。
★  平昌五輪なのに「時差」? 米TVが影響力 ★
nikkei.com 2018/1/30 0:30 =

 〔2018年〕2月9日の平昌冬季五輪開幕まであと10日となった。日本と時差のない久々の五輪は選手にも観戦するファンにも「優しい大会」と思いきや,午前に始まるフィギュアスケートのように「昼夜逆転」のスケジュールが少なくない。欧米の五輪離れが進むなかで2年後に東京,4年後にも北京とアジア開催が続くが,舞台裏では米国のテレビマネーが糸を引いている。

 「やっぱりNBCの発言力は大きい」。平昌五輪の日程をみながら,日本の放送関係者はつぶやく。フィギュア,スノーボード,フリースタイルスキー。連日午前から昼すぎにかけて北米で人気の競技がおこなわれる。いずれも普段は夜の開催も少なくない競技だ。

 冬季五輪の華であるフィギュアは米国でも人気が高く,羽生結弦選手や宇野昌磨選手とメダルを争うネーサン・チェン選手もいる。五輪連覇のショーン・ホワイト選手がいるスノーボードやフリースタイルスキーは「Xゲーム」でもおこなわれ,国際オリンピック委員会(IOC)がマーケット層として重視する若い世代に絶大な人気を誇る。

 逆に欧州で人気のスピードスケートやジャンプは,通常と違って夜の遅い時間帯におこなわれる。スピードスケートの金メダル候補,小平奈緒選手を指導する結城匡啓コーチは「時差のない国でおこなわれるけど,競技としては時差のある大会と受けとめている」と対策の必要性を語る。

 「いまの五輪はテレビの意向を無視して開催できない」。元NHKで五輪放送に関わってきたスポーツプロデューサーの杉山 茂氏は指摘する。放送権料と協賛料を収入の二本柱とするIOC。なかでも傑出した “スポンサー” が米NBC(NBCユニバーサル)だ。

 同社は,2014年ソチから2032年夏季まで10大会分の米国向け放送権を,約120億ドル(約1兆3千億円)で獲得済み。全世界放送権料の約50%,IOC全収入の約4割を1社で支払っている計算だ。NHKと民放の日本連合が2018年平昌から2024年パリの4大会分で契約した放送権料が1100億円だから,いかに巨額かが分かる。

 膨らむ開催経費,施設の後利用のむずかしさが嫌気され,欧米では五輪の招致熱が冷えこんだ。アジアで3連続開催は「五輪冬の時代」の産物ともいえるが,NBCの影響力は市場としての米国が存在感を失っていないことも示している。

 2020年東京も影響を受けるのは必至だ。日本水泳連盟は競泳決勝の夕方実施を求めている。2008年北京がそうだったように,午前決勝がささやかれているからだ。大会組織委員会の室伏広治スポーツ局長は「会場で生でみる人よりも世界中でテレビをみる人の方が多い。バランスよく決めていく必要がある」と話している。
 補注中の補注)この室伏広治の発言は奥歯にモノがはさまったかのように聞こえるが,その「バランスよく」とはあくまで,最終的には,オリンピックに対する「傑出した “スポンサー” 」である『米NBC(NBCユニバーサル)』様のご意向には逆らえないかっこうでの「その〈バランス〉」であった。

 要は,オリンピック競技大会として競技者(アスリート)たちが最高の条件(コンディション)を与えられたうえで,なおかつ自分の身体能力を最高度に発揮できる状態で,競技に挑めるように準備するのが,IOCの基本的な任務=仕事である。

 ところが,そのような条件はアメリカの放送会社資本の金力によって,どこまでもアメリカ・ファーストの勝手でしかありえない,いいかえれば,金持の尻尾が貧乏な胴体を振りまわすような体裁で,オリンピックが開催されるようになった。この現象は1980年代に起こりはじめた現象である。

 〔朝日の記事に戻る→〕 競技者が実力を出せる環境をどう作るかを,組織委は重視。立候補時にIOCは「7月15日から8月31日に開催すること」を求めており,1964年東京大会のように10月にずらせなかった。マラソンは「午前5時開始にするべきだ」との声も出たが,調整の結果,立候補時から30分早めて7時開始に落ち着いた。ただ,競泳の午前決勝が正式に決まると,「アスリートファースト」とはいえない側面も生まれたことになる。
 補注)この紙面の文字はずいぶん遠慮がちにモノをいっている。アスリート・ファーストでもって,最高の演技・記録を出してもらうのが,オリンピックの舞台でなくとも,どの競技会でも基本的に要請される競技のために「必要かつ十分な条件」である。

 その大事な点が,どうしたわけか,というよりも五輪大会にかかる経費を一番多く,圧倒的に出しているアメリカ放送資本の〈ご意向〉ばかりが,一方的にまかり通っている。これでは,五輪が完全に営利・商業化したというほかなく,そのために叙上のごとき現象が論理必然的に起きている

 〔記事に戻る→〕 IOCが求める「都市型五輪」「男女平等」を実現するため,東京臨海部でほぼ毎日競技を実施し,バスケットボールやラグビーなどの決勝の順番を「男子,女子」とすることにもなった。
 補注)この段落の意味がよく理解できない。「決勝の順番を『男子,女子』とする」と表現しているけれども,どういう意味か分かりにくい。「男子⇒女子⇒男子⇒女子」ということか? ならば「女子⇒男子⇒女子⇒男子」でもいいし,この最初を男子(女子)とするか女子(男子)とするかについては,開会式のときに貨幣(コイン)でも投げて決めてもいいのでは? 誰が投げる?(男か女か)とまでは,もういわないことにするが,このときはジャンケン……。

 ②「酷暑続く 京都39.8度…各地で搬送次々」(『朝日新聞』2018年7月20日朝刊30面「社会」
『朝日新聞』2018年7月20日朝刊酷暑記事

 厳しい暑さは〔7月〕19日も続き,全国927の観測地点のうち,206地点で最高気温が35度以上の猛暑日となった。(▼経済面=経済への影響は)

 気象庁によると,19日の最高気温が全国でもっとも高かったのは京都市中京区の39.8度。熊本県菊池市は38.8度,山口市は38.7度で,いずれも観測史上最高と同じか,上回った。暑さは7月下旬まで続くとみられる。

 熱中症が原因とみられる死者も相次いだ。福岡市南区の住宅で18日夜,「家族が自宅で倒れている」と119番通報があり,60代女性の死亡が確認された。部屋の冷房はつけられていなかったという。

 19日昼には岡山県総社市で草刈りをしていた男性が死亡。愛媛県では大洲市の青島沖で底引き網漁をしていた男性(66歳)と,自宅近くの畑で倒れていた八幡浜市の80代男性が死亡した。

 東京消防庁は,18日の管内(稲城市と島嶼〈とうしょ〉部を除く都内)の1日あたりの救急出動は3036件で,2日連続で過去最多を更新したと19日に発表した。東京都教育委員会は19日,エアコンがない体育館では終業式を控え,空調が利く教室などで実施するよう都立高校に通知した。(引用終わり)

 先日,この酷暑のなかであるマラソン大会が開かれていたが,途中で止める人たちが続出していた(テレビのニュースでしった出来事である)。最近ではどんどん熱くなるばかりである日本の夏の時節において,オリンピック(夏期)を開催するなど〔強行〕したら,ここまで記述した関連の説明からだけでも十二分に理解できる「懸念」が発生すると予測しておくほかない。

 ③「日本の夏はジメ暑日が続いていた!? 真夏の東京はインドネシアのジャカルタよりもジメジメして過ごしにくかった!?」(『tenki.jp』2015年7月,http://www.tenki.jp/labo/vol_6

 日本の夏がどのような特徴をもつのか? もちろんこの国に住んでいて,分かりやすくいえば「⇔ 東京 ⇔ 名古屋 ⇔ 京都 ⇔ 大阪⇔九州」の線上一帯に暮らす人びとであれば,いうまでもなく知悉している「日本の夏の気候・天気」である。

 だが,この夏をどのように過ごしていくかと悩まされる,それも通常であれば,梅雨明けあとに到来する「夏日(最高気温25度以上)」「真夏日(30度以上)」が連続する(酷暑となりがちな時期)期間を,わざわざ狙ってオリンピックを開くなどというのは,それこそ「狂気の沙汰」であり,いい方によっては気違いにひとしい “開催期間の設定” とまでいってもいい。
 補注)いうまでもないが,「猛暑日」は35度以上の最高気温の日である。このところ全国各地の多くでこの猛暑日になっていたが,昨日〔7月19日〕の最高気温は,こうであった。

  第1位    40.7度 岐阜県多治見(14時30分)
  第2位    40.6度 岐阜県美濃 (14時19分)
  第3位    39.7度 岐阜県美濃加茂(14時57分),愛知県豊田(13時42分)
 
 参考にまでいえば,同日の東京における最高気温は「34.8度(14:08)」であった。

 この『tenki.jp』の記述を以下(次段)に引用する。大事な説明をしているので,少し長くなるが,全文を紹介する。図解も適切に用意されている。

 1) そろそろ夏本番! 「暑さ」のピークは?
 夏休みを迎え,そろそろ夏本番がやってきます。やはり夏は,暑いイメージがありますが,いつごろ暑さのピークを迎えるのでしょうか?

 暑さのきびしい7月・8月の最高気温の推移をみてみました。主要都市として東京,名古屋,大阪,福岡の2ヵ月間について,〔2005年から〕過去10年間の日平均最高気温データをグラフ化しました。梅雨明け後の7月20日あたりから8月25日くらいまで,どの都市でも最高気温の高い日が続いています。これからの約1ヶ月間,日本が最も暑い期間を迎えることになります。
 補注)2020年東京オリンピックの開催期間は,7月22日(24日が開会式)から8月9日(閉会式)までである。よりによって,この一番暑い時期を当てて五輪をやるといった神経からして,そもそも理解の域をはるかに超えている。だから,あえて「狂気の沙汰」「気違いに等しい」と断定・形容してみた。
最高気温の過去10年間記録

 2) なぜ日本の夏は過ごしづらい?
 夏は,海へ山へとアウトドアを楽しめる季節でもありますが,一方で,暑くて過ごしづらいなぁ,と感じる方も多いかと思います。通常,夏の暑さは気温で表わされることが多く,日最高気温を基準として,日最高気温が「25度以上の日=夏日」「30度以上の日=真夏日」「35度以上の日=猛暑日」と,されています。

 しかし,日本特有の “蒸し暑い” 夏には,気温だけでは表わすことのできない体感温度や不快感による “体感的な暑さ” があります。人は気温が高くなると,汗をかいて体を冷やそうとします。汗は蒸発するときに体の熱を奪って体温を調節してくれるのですが,湿度が高いとなかなか汗が乾きません。そのため,汗によって体がベタつき不快感が上がるうえ,体温も下がりにくくなり,さらに体感温度を上げてしまうのです。

 日本気象協会では,このように暑さだけではなく,湿度の高い状態が続くことでもたらされる「過ごしづらい暑さ」を表すための新たな指標として,気温と湿度を用いた「ジメ暑指数」を新たに定義いたしました。
 補注)日本気象協会が表だって,2020年東京オリンピックの開催期間に難色を示したり,反対したりする意思表示をしたという情報に接したことがない(本ブログ筆者はまだしらない)。これは実に摩訶不思議な現象である。日本気象協会が認定する資格をもつ気象予報士が,毎日テレビなどに出演しては天気予報を解説するさい,暑さ対策どうだの・こうだのと頻繁に,それも微にいり細にいり注意し警告してくれている。

 だが,この2020年東京オリンピックの開催期間について,気象学の観点から議論してみて異議・反対はないのか? しかし,事態は・問題は「ないのかどころ」に留まってはいない。スポーツ競技にとってみれば非常に危険な気候条件のなかで,いいかえれば,気象条件としては最悪である,それもまったく不適だといほかない酷な自然環境のなかで,オリンピックを開催する予定が決められている。それゆえ「狂気の沙汰であり,気違いに等しい」日程の設定だと非難・批判されて,当然も当然である。

 ちなみに,この2018年7月10日から19日までの10日間,東京において記録してきた最高気温を列記しておくと,こうなっている。

  7月10日 32.8度
    11日 34.2度
    12日 30.0度
    13日 33.8度
    14日 35.4度

    15日 34.5度
    16日 34.4度
    17日 34.8度
    18日 35.3度
    19日 34.8度

 ところで,本ブログ筆者の聞けた範囲内では,以上のように東京の盛夏の時期は「非常に危険な天候になるという〈警告〉」を,オリンピックの開催に関連づけて語り,そして批判する気象予報士は,まだいない。また,日本気象協会じたいは,どう対応しているのか。なにも見解を掲示していない様子であるが,盛夏の開催でいいと思っているわけか。

 つぎの項目の記述では環境省の見解を参照するが,この環境省も同じであるのか。さらに厚生労働省はどうみているのか? この官庁の組織図は,つぎの図解のとおりである。2020年東京オリンピックの開催期間における「盛夏に予想しておくべき猛暑の問題」から必然的に発生するに違いない「危険性」について,関心を向ける部署は,いったいどこに存在するのか?(画面 クリックで 拡大・可)

厚生労働省組織図
  出所)https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/saiyou/ikei/dl/soshikizu.pdf

 〔記事本文に戻る→〕 さらに,このジメ暑指数が85以上になると,ほとんどの人が暑くてたまらず,ジメジメとした不快さを感じると考えられることから「ジメ暑指数が85以上の日=ジメ暑日(じめあつび)」と命名しました。なお,ジメ暑指数85は,たとえば気温32度,湿度74%の場合に相当します。(目安:東京8月上旬の平年値,最高気温31.1℃,平均湿度73%)このような条件になると体感温度は実際の温度より約3℃も高く感じます。
最高気温じめじめした日本の夏画像

 さきほどの4都市についてジメ暑指数を計算してみたところ,気温が高くなるのと同様にジメ暑指数が急上昇していることが分かります。東京では8月初旬から8月中旬まで,名古屋・大阪・福岡では7月下旬から8月下旬にかけてジメ暑日が続いており,さらに名古屋では,8月中旬に非常に厳しいジメ暑日が続いていることも分かります。この7月下旬から8月下旬はちょうど夏休みです。ジメ暑日に負けず,熱中症に気をつけながら夏休みを楽しみたいですね。

 3)   世界と比較!  日本の「ジメ暑」レベルは?
 前(章)では日本の夏が「ジメ暑」であることを解説しましたが,とはいえ「ジメ暑日」がどれくらい不快な暑さであるか,まだイメージが湧きにくいかと思います。そこで,日本と世界のジメ暑指数を比較してみてみましょう。
    ケッペンの気候区分
   出所)http://chiri-tabi.com/category1/entry12.html
 ケッペンの気候区分によると,沖縄は亜熱帯気候,北海道では冷帯気候となりますが,日本の大部分は温暖湿潤気候に属します。乾季がなく,比較的過ごしやすい地域に分類されます。たしかに年間を通してみると過ごしやすいのかもしれませんが,ジメジメする梅雨が過ぎ,夏真っ盛りになると,ムワッと暑く,はやく涼しくならないかな,と思ってしまいますよね。

 また,この時期いえば,夏休み(!)ということで,長期のお休みをとって海外へ足を延ばす方も多いかと思います。バカンスだ(!)という方には,旅行先が暑かろうが寒かろうが,ワクワクの気持だけでオールOKかと思いますが,実は気持だけではなく科学的にも爽快感を味わえていたのです。

 その結果をご覧ください。これからの夏休み期間を含む7,8月に注目して,2014年の世界各地の都市と東京のジメ暑指数を比較してみました。ピックアップした都市は,tenki.jp「世界天気」のトップページに天気予報マークを掲載している都市から12都市と東京です。
最高気温じめじめの日本は世界一流

 ジメ暑指数をグラフ化した結果,やはり東京には,7~8月にかけて厳しいジメ暑日が続く期間があることがわかりました。7月初めはジメ暑指数80以下だったのが,7月下旬からお盆にかけてジメ暑指数が急上昇し,非常に過ごしづらい期間が続いていました。

 さらに注目したいのは,世界各地の都市に比べて「急上昇」するこの変動の大きさです。アジアでみると,7月上旬はソウルや北京の方がジメ暑指数が高いのに対し,夏真っ盛りになると東京の方が高い指数を出しているのも特徴です。

 また,ロサンゼルス,ケアンズは,この時期安定してジメ暑指数が低く,過ごしやすそうです。旅行に涼しみを求めるのであれば,このあたりにいくのもよいかもしれません。もっとも,南半球では冬ですので,寒いくらいがよければ,南半球でスキーも楽しそうです。

 4) カイロ・ジャカルタ・ホノルルを抑えてジメ暑 No.1の東京
 そしてグラフをよくみると,東京がジメ暑指数のトップを記録している期間がありました! つぎのグラフに東京(日本)・カイロ(エジプト)・ジャカルタ(インドネシア)・ホノルル(ハワイ)を抜粋しました。
最高気温じめじめの日本は世界一である

 期間を通して高いジメ暑指数を記録していた,高温多湿な熱帯モンスーン気候のジャカルタは,気温・湿度ともに高くジメジメして暑そうです。一方,砂漠気候のカイロでは,ジメジメの部分よりも気温による暑さが強く影響し,こちらも期間を通して高い指数となっていました。ところがなんと,2014年7月28日~8月1日にかけて,この2都市を抑え,東京のジメ暑指数がピックアップした都市中1位になっていたのです。

 また,海外旅行の王道ハワイ(ホノルル)と比べてみると,常夏のイメージですがこの期間,東京よりもジメ暑指数が低いことが分かりました。暑いときに暑いところへいくなんて,と思われていた方もいたかと思いますが,実は,この時期のハワイはとても快適な気候で,ジメ暑国日本からみてとても魅力的な場所だったのです。ちなみにホノルルはサバナ気候,カラッと暑いビーチをお楽しみください。

 このようにジメ暑日が続くころの日本は,砂漠や熱帯を超えるくらい,世界的にみても「暑くてジメジメして過ごしづらい」特有な気候であることがわかります。
 註記)http://www.tenki.jp/labo/vol_6

 ここまで「日本の〈ジメジメしたとても蒸し暑い夏〉」に関する説明を聞いたら,2020年の盛夏(7月下旬から8月上旬)において開催されるオリンピックの各種競技なのだから,ときには家でくつろぎながら生ビールでもグイッと飲みしつつテレビを観るかっこうで,日本の選手などを応援でもするのはいい。ところが,出場している選手が暑さに当てられてしまい,熱中症などの打撃を受けて倒れたり,もしかすると死亡する事故が発生しないという保証は「全然ない」のである。

 またさらには,世界各国からも大勢来日して観戦にくる人びとのなかからも,同じように倒れたり,暑さのせいで熱死する人たちが出ないともかぎらない。ともかく,危険がいっぱいだらけになるとしかいいようがない「2020年東京オリンピックの開催時期」である。いまから分かりきっていることだが,そこではたいそうな危険性が待ちかまえている。

 ④「暑さ指数(WBGT)とは?」『環境省熱中症予防情報サイト』から)

 1)暑さ指数とは?
 暑さ指数(WBGT;Wet Bulb Globe Temperature,湿球黒球温度:)は,熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。 単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが,その値は気温とは異なります。

 この暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で,人体の熱収支に与える影響の大きい,「湿度」「 日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境」「気温」の3つをとり入れた指標です。
環境省熱中症予防情報サイト図表1

 上図のグラフからも,暑さ指数(WBGT)が28℃(厳重警戒)を超えると熱中症患者が著しく増加する様子が分かります。
 註記)上図のグラフは,平成17〔2005〕年の主要都市の救急搬送データをもとに,1日のうちの最高WBGTと熱中症患者発生率の関係を示したものです。

 2)暑さ指数の使い方
 暑さ指数(WBGT)は労働環境や運動環境の指針として有効であると認められ,ISOなどで国際的に規格化されています。(公財)日本体育協会〔日本スポーツ協会のこと〕では「熱中症予防運動指針」,日本生気象学会では「日常生活に関する指針」を,下記のとおり公表しています。

 労働環境では世界的には ISO7243,国内では JIS Z 8504「WBGT(湿球黒球温度)指数にもとづく作業者の熱ストレスの評価-暑熱環境」として規格化されています。
 補注)ここでは日本体育〔スポーツ〕協会の名が出ていた。2020年東京オリンピックの開催期間に関して,なにも意見をいっていないのか? もっとも「日本スポーツ協会」のホームページには,当然のように『スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック』という項目も設けられている。
 その『熱中症を防ごう』という項目がこう書いている。

 熱中症とは,暑熱環境で発生する障害の総称で,「熱失神」,「熱疲労(熱ひはい)」,「熱射病」,「熱けいれん」に分けられます。スポーツによる熱中症事故は,適切に予防さえすれば防げるものです。

 しかしながら,予防に関する知識が十分に普及していないため,熱中症による死亡事故が毎年発生しています。とくにこの数年,猛暑の夏が続き熱中症の危険性も高くなっています。

 日本スポーツ協会では,熱中症予防の原則を「熱中症予防5ケ条」としてまとめ,熱中症事故をなくすための呼びかけをおこなっています。

  ☆-1 暑いとき、無理な運動は事故のもと
  ☆-2 急な暑さに要注意
  ☆-3 失われる水と塩分を取り戻そう
  ☆-4 薄着スタイルでさわやかに
  ☆-5 体調不良は事故のもと

  この☆-1を承知のうえでというか,完全に無視したかたちで,2020年東京オリンピックの開催期間が決められていた。これはいわば暴挙である。それこそ「死人が出なければ分からないのか」とまで,事前に批判しておくべきである。
 出所)http://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid523.html

 日本スポーツ協会は2020年東京オリンピックの開催期間については,猛烈に反対してもいい本来の立場と思われるが,いったいどのように対応しているのか? それともだんまりを決めこんでもいるのか?     
 3)日常生活に関する指針 (画面 クリックで 拡大・可)    
    夏期温度日常生活に対する注意1
 4)運動に関する指針 (画面 クリックで 拡大・可)
   夏期温度日常生活(運動)の注意
  補注)2020年東京オリンピックの開催期間「設定」は,ムリを承知で設定されたとしか解釈できない。小細工的に各競技によって時間帯を変更させる対応が講じられているけれども,しょせん,小手先の工夫である。

 5)作業者に関する指針(一般の労働に関することがらなので,ここでは割愛しておく。こういった項目が設けられていた)
 註記)以上,http://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php

  ⑤『結 論』
 

 2020年に開催予定である「東京オリンピックの競技日程(7月下旬から8月上旬)」を “変更しようとする意思” がIOC側にはないのであれば,この大会は中止にしたほうがよい。下手をすると,選手や観客,ボランティアから死亡者が10名単位で発生してしまう恐れがないとはいえない。(画面 クリックで 拡大・可)
本間龍引用箇所

 「後悔先に立たず」である。いまの計画のまま,つまり,以上に議論してきた「開催時期」に関する「危険な問題点」についてはトボけつづけたまま,その予定で開催するというのでは,この国際競技大会は「あまりにも危険(リスク)性が多く・高い」。いまからでもいい事前に,「後悔する目」に遭わないように,日程は変更したほうが無難である。

竹田とバッハ画像   ※-1 JOC会長の竹田恆和君,あなたその(死者が出た)とき,責任をとれますか?

   ※-2 IOC会長のトーマス・バッハ君に対してもまったく同じに,「竹田君に対する何乗かの,その倍の倍の……責任をもつ当事者」として,問うておきたい。
 出所)画像はバッハと竹田,http://bunp.47news.jp/news/2016/08/000082.html

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<転載終了>