社会科学者の随想さんのサイトより
http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1072040139.html
<転載開始>
 【東京五輪開会式のチケットは税込みで最高30万円とかで,一番安い席は3千円とのこと。坊主丸儲けである営利追求のための五輪開催商法】

 【盛夏の時期に開催されるこの五輪大会で熱中症などによる被害者(端的には死亡者)が出ることは想定していないのか,絶対に大丈夫だと請け負えるのか】

 【要は,2020東京五輪は「天候・気象の悪条件(猛暑・酷暑)」に対して,人間の安全(命)は「絶対に安全」だという保障はあるのか,あるとしたら誰が・どのように保障してくれるのか】



 ① 2018年の東京は観測史上初となった6月下旬での梅雨明け,その後猛暑が続く日々

 日本気象協会が「2020年東京オリンピックの開催」をめぐり,その「本来の任務」の立場から開催時期における気象条件に関して,なにか発言をしていいないかと注意して言論界の様子を観ていたら,日本気象協会の職員がつぎのように発言していた。本日,7月22日午前8時台に公表されていネット記事である。

 --「40度に迫る暑さ警戒 新たな台風発生か」(日本気象協会本社・小野聡子稿『tenki.jp』2018年07月22日08:34)

 今日22日(日曜日)も,東北から九州は最高気温35度以上の猛烈な暑さの所が多いでしょう。あす23日(月曜日)にかけて40度に迫るほどの気温になるところもありそうです。熱中症には警戒してください。一方,台風10号に続き,新たな台風の発生の可能性も。

 a) 強い日差しジリジリ 猛暑日多数
 今日22日(日曜日)も引きつづき高気圧の勢力は衰えず,関東から中国,四国にかけて朝から強い日差しがジリジリと照りつけています。東京都心では朝7時前にはすでに気温が30度を超え,朝から気温がぐんぐん上昇しています。日中は東北南部から九州にかけて,最高気温35度以上の所が多い予想です。

 都心でも今日22日と明日23日の最高気温は36度と猛暑日の予想。あす23日にかけて関東や東海を中心に40度に迫るほどの暑さになるところもありそうです。また,この気温の上昇で山沿いや内陸を中心に大気の状態が不安定となりそうです。天気の急変にもご注意ください。
40度に迫る暑さ警戒図解

 b) 日中だけでなく,夜間も熱中症対策を
 今日22日から週明けにかけても熱中症対策は欠かせません。屋外で過ごされる方は,日傘や帽子で強い日差しから身を守ることはもちろん,こまめな水分補給も忘れずに。外を歩くさいはなるべく日陰を選んで歩くとよいでしょう。また車を炎天下に停めておくと,車内の温度はかなり上昇します。乗る前にエアコンをかけたり,風通しを良くして車内の温度を下げてから乗るなど,思わぬところで熱中症にならないようにご注意ください。

 また,夕方以降も気温の下がり方は鈍く,内陸部などは夜遅くまで30度以上の気温が続くところもありそうです。日中だけでなく夜間も暑さ対策が必要です。おやすみのさいは冷却マットを利用したり,エアコンも適度にかけるとよいでしょう。エアコンにくわえて扇風機なども活用して風の循環を良くするなど,夜間も熱中症にならないようにご注意ください。

 c) 新たな台風発生か(この項目は引用はせず,省略)
 註記)https://tenki.jp/forecaster/s_ono/2018/07/22/1422.html

 ここでは「日付の7月23日」という点に注意しておきたい。2020年東京オリンピックの開催期間中は,同年の7月22・23日(水・木曜日)から「サッカー」「野球・ソフトボール」が,開会式(24日:金曜日)に先行するかたちで開始される予定を組んでいた。

 2020年の盛夏がいまから,どの程度の暑さの時期になるか予想はむずかしいが,平均の最高気温は,1981年から2010年をならして30.6度であった。だが,最近におけるこの時期の最高気温はじりじり上昇してきた。本ブログ筆者は,このあたりの問題について日本気象協会の関係者がなにか発言をしていないか注視している。

 ② 気象予報士森田正光の話

 その前に,テレビに出演して顔を売る気象予報士として,草分け的な人物の1名である森田正光が関連する発言をしているのをみつけた。これを引用しておく。

★ 2020年東京オリンピックは猛暑か!
= 森田正光,気象解説者 / 気象予報士 /
ウェザーマップ取締役会長 =
= 2013/9/8,12:01 =

 前回,東京オリンピック(1964年)の日程が天気を考慮して決まったというのは,有名な話です。 夏の暑い時期を避け,しかも秋雨と台風シーズンの終わるころということで,10月10日(土)の開会式が決まりました。

 この決定の裏では,気象庁の統計的な資料と予報官の意見も参考にされましたが,当日は実況のアナウンサーが「世界中の青空を全部集めてきたような秋晴れ・・・・」と形容するほどの晴天に恵まれ大成功でした。また,期間中の気温も16~20度くらいで,スポーツの最適温度だったといっていいでしょう。

 さらに,1988年のソウルオリンピックも,東京の成功を受けて開会式を秋にずらし,9月17日と決めました。韓国でも8月は暑いので,高温と秋雨をさけてこの時期の開会になったのだと思われます。

 そして今回,2020年のオリンピックとパラリンピックが,東京で開催されることに決まり,たいへんうれしく思います。ただ今回の日程は,そうした気象に対する条件を考えると,過酷な暑さのなかでの競技となり,選手にとっては暑さとの戦いになることは確実だと想像できます。
 補注)つまり選手は競技そのもので競うのではなく,それよりも「過酷な暑さ」との闘いに相当程度,体力を消耗させられる点を配慮しつつ参加する必要があると,森田正光は警告している。

 というのも,最近の日本は亜熱帯化しているなどとよくいわれますが,こと真夏に限っていえば,熱帯といってもいいくらいで,日によっては,世界でもっとも暑い中東並みの気温になるからです。今後2020年に向かって,さらに都市気候や温暖化が進むと,気温だけでなく,局地的な豪雨や落雷も増える恐れがあります。
 補注)森田正光は,この解説を5年前:2015年9月におこなっていたが,今年:2018年の7月上旬の日本は,西日本を中心に猛烈な豪雨に襲われ,甚大な人的・物的被害を受けていた。この傾向は最近になって年々ひどくなりつつある。

 オリンピック招致委員会の開催日程によると,開会式は2020年7月24日(金)で,翌25日~8月9日までの16日間に競技がおこなわれるそうです。
 補注)前述に触れたおいたように,開会式の前日・前々日にも競技日程が組まれている。

 実は7月下旬から8月上旬というのは,1年で一番気温の高い時期で,東京では35度を超える事も珍しくありません。しかも近年は,その猛暑日が明らかに増える傾向にあるのです。(画面 クリックで 拡大・可)
東京最高気温35度以上の日数統計

 実際に今〔2013〕年の8月上旬は,35度前後の日が1週間以上も続き,記録的な暑さになったことは周知のとおりです。

 環境省の熱中症予防情報のサイトには,気温が35度以上を超えると,特別な場合をのぞいて,運動は原則中止となっています。オリンピックは特別な場合ですから,さすがに中止ということにはならないでしょうが,熱中症リスクが高まることはたしかでしょう。

 となると,個別の競技によっては早朝や夜間におこなうなどの工夫が必要で,競技日程の作成には,気象条件を十分考慮していただきたいと思います。

 なお,※『環境省・熱中症対策』のホームページは,http://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php にあるが,この解説は,本ブログ内では,2018年7月20日の記述中に紹介・引用している。
 註記)https://news.yahoo.co.jp/byline/moritamasamitsu/20130908-00027939/
     森田正光画像    
 出所)https://ameblo.jp/aisa-shibamoto/entry-12377707364.html
 森田正光は以上のように “お手柔らかに” 警告を発していたが,最高気温が35度を超えたら競技(運動)は原則中止だと気象学的に警告された状況のときに,オリンピック大会における競技であるからといって「特別あつかいされ,無視してもいい」ということにはなりえない。

 今年2018年の7月中において東京はすでに,35度を超える最高気温を記録した日が出ている。11日以降の最高気温を書き出しておくと,つぎのとおりであった。猛暑・酷暑と呼ぶほかない猛烈な暑さが続いている。


  ⇒ 7月11日 34.2度,12日 30.0度,13日 33.8度,14日 35.4度
      15日 34.5度,16日 34.4度,17日 34.8度,18日 35.3度
      19日 34.8度,20日 34.2度,21日 34.9度,22日 35.3度(午前中)

  もしも,2020年の7月下旬・8月下旬がこれに似た最高気温になったとしたら,競技(運動)環境といえば,それもとくに野外でおこなう種目は “深刻かつ重大である危険な環境” に対面するのだから,この最悪である気象条件を承知のうえで競技を強行するとなったら,それなりになんらかの覚悟が要求される。死者が出る可能性を否定できない。選手はもちろんのこと,観客やボランティアたちのなかからそうした被害者が発生する(たくさん出る)かもしれない。

 つぎからの記述は,いったん ① の 記述に戻ってつづけることになるが,やはり日本気象協会の関係者が書いている文章を紹介したい。これは1年前の6月に執筆されていた。

 ③「毎年開催のオリンピックデーイベントで,2020東京オリンピック・パラリンピックをより身近に!?」(なかやま・さちこ稿『tenki.jp』2017年06月23日)

 梅雨に入ってようやくそれらしいお天気になるのかと思っていたら,局地的には猛烈な雨や雷などが伴って不安定な空模様ですね。毎日のお天気チェックが欠かせない日々です。

 さて,今日はオリンピックデー。1948年に国際オリンピック委員会(以下,IOC)によって,1894年6月23日のIOC創設を記念して制定された記念日です。制定後は世界各地でオリンピズムと呼ばれる「スポーツを通じて相互理解と友好の精神を養い,平和でよりよい世界の建設に貢献する」主張を広めるべくさまざまなイベントが開催されています。

 一方,さまざまな話題で世界中から注目を集めた2020東京オリンピック・パラリンピックも,開催まで約3年となりました。皆様,2020年の日本開催に対する思いはいかがでしょうか。オリンピックデーの今日は,日本オリンピック委員会によって毎年開催されているイベントのご紹介と,2020年東京オリンピック・パラリンピックをより身近でかかわる方法についてご紹介したいと思います。

 ◇ ポイント解説へ ◇  (以下は文章中の見出ししかかかげないでおくが,その内容はいずれも天候についての言及はない)

  ◇-1 世界中でオリンピックデーラン,日本独自開催のコンサートも要チェック!!

  ◇-2  2020東京オリンピックをより身近に楽しむには!?
  註記) https://tenki.jp/suppl/sachico_nakayama/2017/06/23/23021.html

 この ③ の文章を引照したのは,オリンピックのことに触れていながら,それもとくに2020年東京オリンピックの開催についても触れていながら,その開催される時期が “盛夏(猛暑・酷暑になりうる最近の気象条件)である事実” には,直接言及のない内容になっていた点が,とくに気になったからである。これも,日本気象協会の関係者の発言であった。

 ④「広範囲で酷暑,熱中症で14都道府県10人死亡」(『YOMIURI ONLINE』2018/07/21 23:25,https://www.yomiuri.co.jp/national/20180721-OYT1T50091.html

 1)記事の引用
 日本列島は〔7月〕21日も高気圧に覆われて日差しが強まり,広い範囲で酷暑が続いた。読売新聞のまとめによると,21日午後11時現在,熱中症(疑い含む)のため,14都道府県で10人の死亡が確認され,16人が意識不明の重体となっている。

 気象庁によると,全国の観測地点の約2割に当たる179地点で35度以上の猛暑日を記録した。21日の最高気温は,京都府舞鶴市と鳥取市38.2度,群馬県伊勢崎市38.1度,兵庫県豊岡市38度など。東京都心も34.9度まで上昇した。西日本豪雨の被災地も愛媛県大洲(おおず)市で35.6度,広島市で35.1度,岡山県倉敷市で33.9度など厳しい暑さとなった。

 東京都板橋区泉町では21日午前10時55分ころ,マンション4階の部屋で,住人の男性(74歳)と女性(78歳)が死亡しているのを警視庁志村署員が発見した。エアコンが作動していなかったことなどから,同署は熱中症とみて死因を調べている。(引用終わり)

 いまは,このような猛烈な暑さにならなくとも,屋外で運動をするには不適な気象条件である「真夏日の最高気温(30度以上)」が,しばらくつづく時期がある。つぎの図表は「東京地方の気候特性」(1981年~2010年の30年間での平年値)を表現したものである。前述したとおり,2010年以降の東京はさらに暑い夏を迎えていた。
東京地方の気象条件
  出所)前後の文章とともに,http://www.jma-net.go.jp/tokyo/sub_index/tokyo/kikou/tokyo_kiko.html

 気温は8月上旬ころがもっとも高く,1月下旬頃がもっとも低く,高い時期と低い時期で約20度の温度差がある。東京の年平均気温は15.4℃で,札幌(8.9℃)に比べ6.5℃高く,那覇(23.1℃)に比べ7.7℃低い。夏期の最高気温は那覇と同じく30℃を越え,この最高気温が30℃以上の日数は年間46.4日あり,那覇の96.0日に比べ約半分でである。だが,35℃以上の日数は年間2.4日に比べ那覇では0.1日と暑い日が多い。(引用終わり)

 東京だけでないが,本州の太平洋沿岸側の諸地域が夏季に味わされる蒸し暑さは,一時期とはいえ「カイロ・ジャカルタ・ホノルルを抑えてジメ暑 No.1の東京」だと指摘されている。しかも,この時期に東京で五輪を開催する(強行する!)というのだから,その事情・背景がどうであれ,選手たちなどの健康面に対しては “非常に非常識な競技大会の開催” だと批判されていい。

 2)甲子園の高校野球大会
 この暑い盛りの時期において開催されるスポーツといえば,今年(2018年)で第100回目を迎える「全国高等学校野球選手権記念大会」が有名である。今年の大会日程は8月5日から21日(決勝戦)という期間に開催される。その間,この大会が開催される甲子園球場からは,本拠地を置いている阪神タイガースが例の〈死のロード〉と形容された「遠征」を強いられる。

 阪神タイガース(阪神)の本拠地である阪神甲子園球場(甲子園球場)は,高校野球全国大会を開催するための会場として建設した球場であった。そのため,毎年8月の全国高等学校野球選手権大会(高校野球)の開催期間中,ならびにその前後に関しては,阪神は甲子園球場では主催公式戦を開催せず,他球団本拠地でのビジターゲームをおこなったり,大阪ドームで主催公式戦を開催している。

 実際に,阪神タイガースの選手のなかで,対戦相手の本拠地めぐりをしながら試合をこなしている最中に,命を落として「死んだ選手」がいたのかどうかといえば,ウィキペディアの記述を読むかぎりなかったようである。

 だが,最近の事情ついてはともかくも,まだ山陽新幹線が開通していなかった時代,阪神タイガースの選手たちは毎年,8月という一番暑い時期,相当な負担を強いられる “ビジター側の日程” =「長期の遠征試合」をこなしていかざるをえない点は,いまも変わっていない。

 もっとも,職業野球(プロフェッショナル・ベースボール)の選手たちのことであり,強健な体力の持ち主ばかりがであるはずだから,ちょっとやそっとのことでは,そう簡単にまいったりはしないとみてよい。

 だが,2020年東京オリンピックの開催期間は,阪神タイガースの選手たちに対する「死のロード」に相当する負担以上のなにかが,五輪選手のなかに発生してしまい,もしかしたら「本当に『死の五輪』となる怖れ」がなくはない。

 また,選手以外の観客やボランティアたちのなかから死者が出ないという保証もない。とくに観客としては老若男女が幅広く蝟集するはずである。この人たちのなかから熱中症が発症するだけでなく,その症状が昂じて死亡する危険性がないとはいえない。

 話を甲子園で開催される高校野球に戻すと,こちらでは高校男児が活躍する野球であるから,これまたそう簡単にはへこたれるような選手たちだとは思わない。しかし,絶対に大丈夫だという保証があるわけはない。

 いずれにせよ,甲子園のアルプススタンドなど観客席では,甲子園名物の「かちわり氷」をかじり・しゃぶりながら観戦するというけれども,2020年東京オリンピックの開催期間においては,いったいどのような風景になるのか? まさか救急車が頻繁にゆきかう五輪になってはほしくない。

 以上のような記述をしたうえで,つぎはより肝心な議論をくわえていきたい。

 ⑤「朝日新聞と高野連と夏の甲子園」(『iRONNNA』2018年7月22日 9:50:32,https://ironna.jp/theme/795

 連日,熱戦が続く夏の甲子園だが,その経済効果は350億円にも上るという。酷暑の中でプレーする球児や学校関係者の苦労は想像にかたくないが,大会を主催する朝日新聞と高野連にとってはおいしい季節である。「高校生らしさ」というアマチュアリズムを売りにする夏の甲子園は教育の一環か,それともビジネスか。
 補注)この書き出しの修辞がなかなかよい。アマチュアの高校野球であるが,特定の立場に居る人たちにとってみれば「ビジネス」になっているという指摘である。以下では,この「問題」を語っている3編の記述の見出しのみ紹介しておく。なにをいわんとしているか,よけいな説明は要らない。興味のある人は「注記の住所」から直接読んでほしい。
   1)「すべてが善意で成り立つ欺瞞 球場使用料も放映権もタダ!『高校野球ビジネス』はこんなにおいしい」(渡邉哲也稿,https://ironna.jp/article/7383

   2)「五輪にあって高校野球にないもの 朝日新聞はいっそ夏の甲子園を『ビジネス』と割り切った方がいい」(春日良一稿,https://ironna.jp/article/7387)

   3)「最大のキラーコンテンツ 夏の甲子園はやはり商業利用? 朝日新聞だけが得する3つのメリット」(杉江義浩稿,https://ironna.jp/article/7382)
 以上のごとき〈批判的な見出し〉を東京五輪のほうに適用させれば,こうなる。「朝日新聞社はIOCとJOC」に当たる。「高校生球児は五輪選手」である。そして,そのそれぞれの「観客」は同じように「観客」のそれぞれである。

 ⑥「東京五輪開会式,最高30万円 チケット価格帯,組織委公表」(『朝日新聞』2018年7月21日朝刊31面「社会」)

◆ ボランティアにはロハで奉仕させる五輪
あるのに,なんでこんなに切符の値段が高いのか ◆

 --2020年東京五輪のチケットの価格帯を〔7月〕20日,大会組織委員会が公表した。競技の最高価格は13万円で,陸上男子100メートル決勝のある時間帯を想定。最も安いのはサッカーなど8競技の2500円で,全体の半分以上を8千円以下にした。開会式は5種類の価格帯とし,最高は30万円,最低が1万2千円となった。
 補注)サッカーの2500円で5万人の入場者があれば,1億2500万円の収益が上がる。4万人ならば1億円。(画面 クリックで 拡大・可)
『朝日新聞』2018年7月12日朝刊31面「社会」五輪チケット値段

 パラリンピックのチケット価格は国際パラリンピック委員会と協議中。五輪は2019年春,パラリンピックは同年夏から組織委の公式販売サイトで販売が始まる予定だ。

 これらの一般販売とは別に,12歳以下,60歳以上,障害者を含む家族やグループ向けに1人2020円のチケットを販売。五輪とパラリンピックで計100万人以上の児童,生徒向けに低価格のチケット(五輪は2020円)も用意する。

 人気競技では,飲食サービスなどの特典をつけた高額チケットも予定。組織委は「最高額は(開会式の30万円より)高くなる可能性がある」と説明。価格にメリハリを付けることによって収益の確保を目指す。2012年ロンドン大会では,最高で約65万円の特典付きチケットが販売されたという。
 補注)まさかこの高額の切符を買った観客が,ボランティアのご奉仕で給仕を受けるなどといった構図が予定されているとは思いたくないが,「そうなるのでは」とまで想像もしたくなるような運営方法である。

 ボランティアがその高額の切符で入場した観客を,特定の場所にまで案内させただけでこれはおかしな「関係性」が発生することを意味する。ボランティアの労働奉仕(原価の補償なしのまま)が,IOCやJOCの幹部・役員・職員たちに給付されている金銭的な報酬(収益の源泉)に化けていく,と解釈されて当然である。

 高額転売を防ぐため,観戦にいけなくなった人が公式サイト上で定価でリセール(再販売)できる仕組を準備する予定。
 補注)そうである,「自分たち(IOCやJOC側)の収入」にならない「この種の不正」は予防するという努力は,一生懸命にいたしますということであった。

 『平成29〔2017〕年度 決算概要』はネット上で閲覧できるが 注記),その費目の内証がさらにどのように具体的に費消されているのかは,大雑把過ぎてなにも分かりえない程度の情報公開に終わっている。東京五輪の事業終了後の決算がどのようになり,そしてこれがどのように公表されるのか,用心深く監視する必要もある。
 注記)https://www.joc.or.jp/about/data/pdf/2017_balance_sheet.pdf
 
 ⑦『日本経済新聞』2018年7月22日の関連記事

 1)「春  秋」
 「経験がない」気象が列島を襲っている。200人以上の命を奪った先の豪雨に続き,この暑さだ。高齢者だけでなく,愛知県豊田市では小学1年生が酷暑のため亡くなった。校外学習で昆虫採集などに参加し,学校に戻ったあとで倒れたという。痛ましさに言葉がない。

  ▼ 東京都内では体育館に集められた高校生たちが熱中症で病院に運ばれた。宮城県では人文字を空から撮るため屋外で並んでいた児童が救急搬送されている。楽しい思い出や貴重な学習の経験になるはずの夏の行事だ。準備も大変だったに違いない。それでも,中止にすべき時は思い切って決断する勇気を主催者はもちたい。
 補注)「中止にすべき時は思い切って決断する勇気を主催者はもちたい」とは,よくいったものである。このような意見は,2020年東京オリンピックの開催期間においても日本経済新聞社の立場として,中止が好ましいと判断されような「なにかが起こりそうなとき」には,必らず忘れずに主張し,実現させてほしい。

  ▼ 環境省の「熱中症予防情報サイト」に,熱中症の仕組や対処法についての解説がある。目安として,気温31度以上なら激しい運動は中止すべきだという。日常生活でも外出時には炎天下を避けるよう説く。学校や自治体などでは,こうした基準を機械的に適用し中止を決めてしまうのも,命を守るには有効かもしれない。
 補注)オリンピックの諸競技に当てはめていえば「激しい運動」に相当しないものは,なにひとつないはずである。だからこそ,「こうした基準」を「目安として,気温31度以上なら激しい運動は中止すべきだ」という対処方法が採られていいのである。

 ところで,本日〔2018年7月22日〕,東京の最高気温は午前中ですでに35.3度まで上昇していた。午前7時で早くも30.0度になり,午前8時には32.5度。これでは,五輪などできる温度の状態ではない。はたして,2020年に同じような気象条件が再現されるとしたら,どうなるのか。恐ろしい。

  ▼ 昔は夏空の下で元気に汗を流した。いまの子はひ弱でいけない。そんな声も聞くが,地球温暖化や都市への人口集中で,いまの「平年並みの暑さ」は昔でいえば猛暑にあたるという。ましてや今〔2018〕年は異常事態だ。熱中症は建設現場など職場でも起こりうる。前例や経験のない事態にどう対処するか,リーダーの資質が問われる。(引用終わり)

 前段で気象予報士森田正光はこういっていた。「実際に今〔2013〕年の8月上旬は,35度前後の日が1週間以上も続き,記録的な暑さになったことは周知のとおりです」。そして現に,本〔2018〕年7月上旬も同じように「35度前後の日が1週間以上も続」いていた。

 それゆえ,2018年のこの夏だけを異常事態としてのみ形容するのは,ずいぶん〔意図的に?〕話題をズラした観方だといえなくもない。「『経験がない』気象が列島を襲っている」と表現するのも,いささかならず,あえて焦点にボケをかましたものいいである。
『日本経済新聞』2018年7月22日朝刊温暖化記事

 上の画像資料は,本日〔2018年7月22日〕『日本経済新聞』朝刊7面「総合」の記事,この見出しを「猛暑,世界的な現象 『温暖化が関係』と専門家 豪雨リスクも増大」としたものから借りている。

 今夏の猛烈に暑い気象状態をとらえて「異常事態だ」というのは,おおげさに過ぎる。

 日本経済新聞社は,2020年東京オリンピックの開催に協賛する新聞社となっている。しかも全国紙5紙,朝日・毎日・読売・日経・産経のなかではとくに, “オフィシャルスポンサー” という〈重要な役割〉を,代表して分担している。

 「あれはあれ,これはこれ」といったふうな,それも東京五輪に関する暑さの問題に対する「ご都合主義,舌先三寸的な議論」はむなしい。こうなると,本ブログ筆者のような者は,2020年夏が冷夏になるよう祈るほかない。しかし,運を天に任せるような態度を採るよりも,いまからでも遅くはない「2020東京五輪」の開催時期を秋に移動させねばいけない。

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<転載終了>