ライブドアニュースより
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<転載開始>

展・その後」が中止に追い込まれた問題が尾を引いている。現在、6日からの再公開を目指して準備をしているというが、文化庁は補助金7800万円を交付しないことを明らかにした。

萩生田光一文科相がその理由を「申告通りではなかった」と強調したことから反発が起き、再び騒動に火がついている。

この企画展は、津田大介氏が芸術監督を務めていたが、今や中止に異議を唱える急先鋒は津田氏より芸術祭実行委員会会長の大村秀章・愛知県知事かもしれない。完全に頭に血が上っている感じだ。

補助金不交付に「明らかな事後検閲」

共同通信社

「表現の不自由展」を巡っては、トリエンナーレが開催(8月1日)されてから、慰安婦像の展示や、昭和天皇の写真を用いた作品が燃える映像に対して抗議や脅迫が殺到。さらに同展を訪れた河村たかし名古屋市長が「日本人の心を踏みにじるもの」と批判したこともあって、開催からわずか3日で中止に追い込まれた。

追い討ちをかけたのは菅義偉官房長官が「事実関係を確認、精査して適切に対応したい」と表明したことだった。これによって同展に対しての補助金の見直しが検討され始め、最終的に「交付しない」ことが決まったといわれる。

補助金の交付取り消しについて文化庁の説明は、まず愛知県が補助金をする段階を挙げ「展示会の安全で円滑な運営に支障があると認識していたにも関わらず、必要な事実を申告しなかった」とし、その上で「文化庁として適切な審査を行うことができなかった」。

要するに、本来「申告すべきものを申告しなかった」というわけだが、対してトリエンナーレ側は文化庁の審査を得て、今年4月に「文化資源活用推進事業」に採択されていたはずだと主張。「申告に不備があるなら、そのときに不備を指摘すべきだった。明らかな〝事後検閲〟」と反発している。

当初の予定では、名古屋市は芸術祭の費用として約2億1000万円を負担することになっていたそうで、そのうち約3400万円を閉幕後に支払うことにしていたという。だが、展示物を批判した河村市長は開催中止を訴え、今後の対応については「国との共同歩調」を明言していた。したがって、再開に対しては負担をしない方向に転じることになるだけにトリエンナーレ側にとっては大打撃であることは言うまでもない。

繰り返しにはなるが、確かに、正当に審査を経てきたものを、後になって不備を指摘されたことに対して「納得できない」というトリエンナーレ側の声も理解できなくはないが、改めて審査を行ったら「不備があった」というのももっともらしい説明ではある。だが、ここで論議されるべきは文化庁に限らず「補助金」に対する意識や基準、さらには審査方法がどうなっているのかということになる。

しかし、今回の措置について、トリエンナーレ側が「表現の自由だ!」「検閲だ!」と大騒ぎし、メディアも「異例の対応」と報じているが、本来、国民(住民)の意見が二分しているものに対して公金――補助金を出すのは極力避けるべきだ。しかも、そこに「表現の自由」だ何だと、法律や思想を持ち込まれるとややこしくなる。今回の企画展に対しては8割以上の国民が補助金を出すことに反対しているというデータさえある。

過去に「靖国 YASUKUNI」の補助金が問題に

BLOGOS編集部

過去にこんなこともあった。

文化庁は、今回のような企画展に限らず、予算の範囲内にて補助金を捻出しているが、劇映画や記録映画、アニメーション映画など日本映画についても企画から完成までの製作活動に対して、その経費の一部を「助成金」として日本芸術文化振興会を通じて交付している。

その「助成金」は、応募時の書類に基づき審査するため、提出後変更がないように求める主旨の注意書きを記している。したがって、交付については作品の内容が大きく影響すると言われている。

ところが、申請が通ったとしても、例えば、2008年公開された「靖国 YASUKUNI」などは、一部の国会議員から同作に「助成金」が交付されていたことを疑問視する声が噴出した。その結果、公開を前に映画館に右翼の街宣車がやってくるような事態となり、公開を見合わせる劇場も出てきた。

映画は助成金の交付後での公開だったが、ある意味で今回と似た部分がある。

「補助金」にしても「助成金」にしても、それは国民が納めた「税金」である。にも関わらず、使い道が曖昧になっていることは確かである。

河野太郎氏が問題視した沖縄での「AKB総選挙」

BLOGOS編集部

さらに言うなら、今回は愛知県だったが、沖縄県などは最たるところ。地域的な問題はあるにせよ、何かと言うと「補助金」である。

最近では、2年前の沖縄での「AKB48総選挙」が話題となった。この総選挙、6月の梅雨が明けるかどうかという「閑散期」の時期に開催されたのだが…。

イベントの総事業費は1億3010万円だったそうだが、このうち1億円は地元のファミリーマートがスポンサーとなり負担し、残りの3000万円は沖縄県の交付金で賄われたという。

ちなみに、この3000万円のうち2400万円は「国費」で支払われたという。その他にも、総選挙前に行われたAKB48のミニライブ&トークショーなどのイベントでも「観光誘客事業」として、会場設営費などに国費から400万円が使われ、合わせて国費から2800万円が交付された格好となった。

この事業の成果指標は、県外からの観光客数が8000人だったそうだが、総選挙自体は雨天のために室内での開催となり、メンバーの中からは「何でこの時期に沖縄で…」などと不満が続出したこともあって、終わってみれば「何だったの?」と、盛り下がる結果となった。

しかも、イベントの終了後、その交付された「国費」を、河野太郎衆院議員(現防衛相)が問題視したのだ。

名目は「観光振興」だが、政府が割り当てていた「沖縄振興交付金」からの支出となっているだけに、自民党行政改革推進本部長も務めていた河野議員は「一事が万事、こういう使われ方をされているならば問題は大きい」と指摘したのだ。一過性のイベントでは効果に持続性がないというのである。

「確かにAKB48を誘致することが目的だったら、それ以降のAKBの沖縄公演の日数や回数も成果指標とすべきでしょう。要は、補助金の交付を受けて単にイベントをやるだけなら、持続的ではないと言いたいのでしょう」(芸能関係者)。

ある意味、ごもっともな意見である。

しかし、こんなことは沖縄では日常茶飯事だった。

7年前にはK―POPコンサート「シグマフェス2012」が大きな問題になったこともあった。地元の音楽関係者は振り返る。

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「当時、韓国大統領だった李明博氏が竹島に上陸したというタイミングでの開催だったんです。しかも、このフェスには『観光リゾート地の形成』なんていう名目で沖縄県から数千万円の補助金が交付されていました。メインのアーティストはKARAだったんですが、チケットが全く売れず、スポンサーだった沖縄セルラーが招待キャンペーンを展開して何とか6000人を集めたと言われました。さすがに、県民の間からも『動員が見込みないイベントに補助金を交付するのは税金の無駄遣いではないか』と言う声が出ていました。しかも、この他にも韓国絡みのイベントに、同じ名目で補助金が交付されていたことが発覚し、県に対して批判が集まったことがありました」(地元の音楽関係者)。

いずれにしても、「沖縄振興予算」は、減った減ったと言っても3000億円だ。この巨額の予算が沖縄に何をもたらすのか改めて考えるべき時期に来ているような気もする。

強い信念があるなら公金に頼るな

共同通信社

話を、「表現の不自由展・その後」に戻す。

一旦は中止になった同展。河村市長は大反対をしているものの、6日から再び公開を予定している。しかも大村知事は再開に意欲的だ。

それにしても、どうしてこう補助金が交付されないということだけで揉めるのか? しかも補助金が出なければ「表現の自由の危機」だとか「検閲は許されない」というのは、どう見ても論議のすり替えだろう。それとも文化庁や自治体の下でやらなければ「企画展としての価値がなくなる」というわけか。

しかし、繰り返しになるが「意見が二分する」ような、こういった企画展に公金は使うべきではない。それこそ有志の呼びかけで開催すべきである。今回の騒動を見ていると単純に「そんなに補助金を欲しがらなくても…」と思ってしまう。それを、補助金が出ないからと訴訟を起こすという大村知事もどうかしている。

こういった催しこそ、クラウドファンディングで開催する方法を模索した方が、イベントとしても自然だろう。例えば、超ロングランヒットを記録しているアニメーション映画「この世界の片隅に」にしても、クラウドファンディングで完成し公開した。要は、やる気があるかないかであろう。

いずれにしても「世に訴えたい」という力強い信念があるなら、それは国や自治体などの〝公金〟なんかに頼るのではなく、それこそ草の根で呼びかけ、訴えてこそ価値があると思うのだが…。


<転載終了>