大摩邇(おおまに)

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【伊藤 博敏】日本人が知らない「検察の恐怖」…法案反対だけでは見えてこないこと 検察人事と検察捜査、それぞれの思惑

ライブドアニュースより
https://news.livedoor.com/article/detail/18291525/
<転載開始>
【伊藤 博敏】日本人が知らない「検察の恐怖」…法案反対だけでは見えてこないこと 検察人事と検察捜査、それぞれの思惑

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本来別物の検察人事と検察捜査

「#検察庁法改正案に抗議します」というツイッター上の投稿が、政府を動かし、今国会での成立を断念する動きの裏で、検察は河井克行前法相、妻の河井案里参院議員の公職選挙法違反容疑の捜査を続けていた。

投稿数が700万件に迫ったのは5月11日深夜だが、『共同通信』や『読売新聞』は、13日朝の段階で「河井前法相、立件視野」と、報じた。

「特例措置」で、内閣が検事総長や高検検事長などの定年を延長できるというのが検察庁法改正案。検察は、人事権を握ろうとする内閣に、「法改正は、河井夫妻捜査のような都合の悪い事件に、政治権力を行使したいからではないか」と、捜査が佳境に入っていることを見せつけ、水を浴びせた。

〔PHOTO〕gettyimages

検察人事と検察捜査――。

本来は「別物」であるはずが、準司法として公平中立でなければならないという意識を持つ検察は、組織と人事に政治の側から手を入れられそうになると、異様にファイトを燃やして立ち向かう。

既視感がある。09年3月、検察は、政権交代目前の民主党において最大実力者だった小沢一郎代表の秘書を逮捕、小沢首相の芽を潰したことがある。政治主導、官僚支配からの脱却を掲げる民主党は、小沢代表のもとで検事総長の内閣同意制、検事正の公選制などを論議していた。

田中角栄元首相を師と仰ぎ、金丸信元自民党副総裁の秘蔵っ子だった小沢氏は、「2人の親父」を東京地検特捜部に逮捕され、検察には暗い情念を抱いている。

その小沢氏が、「検察人事に手を付けることで、意趣返しをしようとしている」と、検察は受け取った。それが、10年1月の再度の小沢秘書逮捕に繫がった。それだけ捜査は執拗だった。

今回、国民もメディアも松尾邦弘元検事総長ら検察OBも、一体となって拙速で身勝手な検察庁法改正を批判、政府は成立を断念した。

それは当然ながら、検察人事に対しては検察捜査で応える検察の怖さを知り、検察の正義を問わねばなるまい。

今回の流れを再確認しよう。

検察庁庁舎〔PHOTO〕WikimediaCommons;Copyrighted by っ

ゴリ押しで無理筋を通す

安倍晋三政権は、今年1月31日、「官邸の代理人」と評される黒川弘務東京高検検事長を検事総長に就けようと、定年延長の閣議決定を行った。

2月8日の誕生日に63歳の検事長定年を迎える黒川氏を検事総長(定年は65歳)に就けるには、その日までに稲田伸夫検事総長が勇退しなければならなかった。

だが、官邸が圧力をかけても、稲田氏は踏ん張った。

背景にあるのは、4月に京都で開かれる5年に1度の国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス=コロナ禍で中止)を、自分の手で仕切りたいという思いと、検事総長人事を自分の代で政治に渡してはならないという責任感だろう。

逆に検察は、河井夫妻の公職選挙法違反捜査に手を付ける。『週刊文春』が報じ、告発状が出ており、2人の選挙区を管轄する広島地検は、1月15日、強制捜査に着手した。これを官邸は、検察の挑戦状と受け止めた。

「昨年末、自民党の秋元司前内閣府副大臣を収賄で逮捕したばかり。その記憶も新しいのに、国会が始まる直前、強制捜査を急ぐ意味がわからない。総長を降ろされそうになった稲田氏の意思ではないか」(政府関係者)

そう受け取った官邸は、31日の閣議決定で黒川氏の定年を延長。「国家公務員法は検察官に適用されない」という規定を、「政府解釈を変更する」(安倍首相)と、強引に押し切った。ゴリ押しだが、定年延長の「特例措置」は、その無理筋の決定を「合法化」するための後付けだった。

徹底捜査が続いている

一方、1月15日の強制捜査は、「ウグイス嬢らに違法報酬を支払った」という公職選挙法違反容疑だったが、これは3月24日までに公設秘書らを起訴、現在、100日裁判が行われており、被告の禁固刑以上が確定すれば、案里議員の当選は無効となる。

ただ、捜査はこれで終わらなかった。同時並行の形で、克行氏が主導した買収容疑の捜査を進めた。『朝日新聞』(5月18日付)は、河井夫妻が広島の首長、県議、市議ら政界関係者30人に「700万円を超す現金を持参した」と、報じた。

捜査は、3月中旬から活発化、コロナ禍で全国的な自粛が行われていたゴールデンウィーク期間中も、徹底して行われた。

特に、否認している河井夫妻と親しい県議などは、自宅や県議会控室にも捜査が入り、渡辺典子県議は、「東京地検特捜部案件であり、(現金授受を認めないなら)河井さんと一緒に沈んでもらう」と、詰め寄られている。

克行氏は菅義偉官房長官を囲む国会議員の集まりである「向日葵の会」の代表で、法相就任は「菅枠」だった。

また、案里氏は安倍首相を「過去の人」呼ばわりした対立候補の溝手顕正元防災担当相に安倍氏が送り込んだ刺客であり、党本部は1億5000万円もの破格の軍資金を送っている。

これだけの事件を検事総長の了解抜きに仕上げることはできない。克行、案里の両氏とも否認しているので、身柄を拘束(逮捕)しての取り調べか、在宅起訴かは不明ながら、稲田検事総長の指揮の下、検察が一体となった捜査が続いている。

指揮権を発動するのか否か

小沢事件もそうだった。2回目の逮捕は、秘書から代議士になっていた石川知裕氏に対して行われたが、世田谷の3億4000万円の不動産を購入するに際し、ゼネコンからの裏ガネが使われたのではないか、として徹底的な追及が行われた。

この時、既に、民主党は政権を握り、鳩山由紀夫代表が首相に就いており、「小沢狙いの強引な捜査」を、民主党をあげて批判。一部には、法相が検事総長を通じて事件を抑える指揮権を発動すべきではないか、という声があがった。

 〔PHOTO〕gettyimages

この時の法相は弁護士出身の千葉景子氏。09年11月の衆院法務委員会で、検察の側に立ち、「指揮権を発動するのか否か」と聞いたのは、皮肉にも河井克行氏だった。法務副大臣を経験、法務行政のエキスパートとしての質問だった。

ただ、千葉氏は言質を与えなかった。「民主党の(小沢)幹事長にまつわる疑惑があり、その周辺に捜査が及んでいる。せめて、民主党の関連する疑惑については、『指揮権を行使しない』と、明言すべきではないか」という河井氏の質問に対し、「法律に基づき、そしてその趣旨に反することがないようにしたい」と、述べるにとどまった。

結局、指揮権が発動されるほどの捜査には至らず、石川氏が否認を貫いたことで、小沢氏の参考人聴取をもって終了。小沢氏は嫌疑不十分で不起訴となった。

「検察の正義」の怖さ

今回、検察OBが一丸となって反対の声をあげたように、検察には同じ方向を向いて力を合わせる「検察一体の原則」がある。

熊崎勝彦元東京地検特捜部長ら38名のOB有志が提出した「意見書」には、「定年延長規定は、民主的統制と検察の独立性・政治的中立性確保のバランスを大きく変動させかねず、検察権行使に政治的な影響力が及ぶことが強く懸念される」という一文があった。

その懸念は、おそらく国民共通で抱けるものだが、一方で「検察の正義」を捜査で貫こうとする怖さも感じる。10年前の小沢捜査、今回の河井夫妻捜査がそうで、それは「犯罪があったかどうか」とは別の思惑でなされ、緻密な攻撃が繰り返される。

国民は、その怖さも検察の持つ一側面であることを、政治に流されず公平中立であって欲しいという願いとともに、把握のうえ、行き過ぎがないように注意深く見守るべきだろう。



<転載終了> 

 コメント一覧 (1)

    • 1. ああ
    • 2020年05月26日 17:34
    • 検察だめだわー。けんさつ怖いわーけんさつ何されるかわからん。
      なんもかもだめだわ。金も利権もだめだわーこわいわー。過剰な生産消費でもう環境がだめだ。
      日本はアジアのどちらかといえば貧乏な国や地域をモデルにして再出発しよう。
    • 0
      genkimaru1

      genkimaru1

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