https://news.livedoor.com/article/detail/19063921/
<転載開始>
インターネットを中心に広がったNO JAPAN運動は現在も進行中であるが、その実情を顧みると様々な問題や葛藤で満ちている。

もちろんそれらの問題や葛藤は、韓国国民に忍耐を強いるものである。
韓国では日本人の特徴について語るとき、「本音と建前」が例に挙げられる。
日本人の二重性を皮肉る言葉だが、このような特性は日本人だけでなく、韓国人や西洋人にも見受けられる。どんな世界でも本音だけで生きては行けまい。
しかし、日本と韓国、西洋を比較したとき、二重性が最も顕著な民族は韓国人だ。
愛国者ぶってはいるが、徹底的に個人の利益だけのために行動する傾向
表向き愛国者ぶってはいるが、実体は徹底的に個人の利益だけのために行動する傾向が強いからだ。

個人の特性を非難しようとしているわけではないが、このような特性が集団化して考え方の違う者にも強要するのは大問題だ。
表向きは反日、反米を謳っているが、反米デモにナイキのシューズを履いて行き、NO JA-PAN運動に賛同しても、子どもにはソニーのウォークマンやプレイステーションを買い与える親がほとんどだ。
このような購買姿勢を批判しているのではない。国際化時代に不買運動や反米、反日が果たして効果があるのかということだ。
日韓関係は非常に独特だ。
関係が良かった時期もあれば、ぎこちない時期もある。東日本大震災が発生した時、韓国はPRAY FOR JAPNAキャンペーンを行った。
良い隣人の困難な状況を助けようという動きが、わずか9年で日韓が互いに自由に行き来できないほど最悪になった。

現在の状況は、国際関係と民族的なウィークポイントを利用する文在寅政権の悪癖が招いたものだ。
もっとも、文在寅ひとりの問題ではなく、何も考えずに他人のせいにするのを好む彼の賛同者が問題だ。
「不買運動に参加」=「意識が高い人」のように見える印象操作
韓国での不買運動は非常に頻繁に起きている。
国際的なイシュー、不良品、カフェや飲食店で対応に不備があれば、直ちに不買運動を扇動する。しかしながら、その効果は期待ほど大きくない。
今回のNO JAPAN運動は、国家レベルで刺激的な謳い文句で国民を扇動し始めたが、ネットで拡散するに連れ、まるでNO JAPAN運動に参加することが「意識が高い人」のように見える印象操作が行われた。

街のコンビニや自動車には「NO JAPAN」ステッカーが溢れていたが、今はほとんど見かけない。
マスコミにも何度となく取り上げられはしたものの、NO JAPAN運動によって利益を得たのは、文在寅とその側近だけだ。
最も刺激的で敏感なテーマを利用し、支持層を結集させる集団専制主義的方式とでも呼ぼうか。
これが21世紀に通じるかも疑わしく、第二次世界大戦当時、ナチスが進めた間違った愛国心の鼓舞が想起される部分でもある。
残念ながら韓国は、国民の水準がまだ成熟しておらず、感情的な部分に偏っていることを認めざるを得ない。

最近では、ドイツのベルリンに設置された少女像が撤去される危機にさらされると、ドイツ製品(特に、自動車)に対する不買運動が始まった。
日本製への依存度が一気に高まる背景
参考までに紹介すると、ここ数年間、韓国国内輸入車販売量1位と2位は、常にBMWとメルセデスベンツが占めている。
数年前、フォルクスワーゲン排ガス不正問題によりドイツ車の不買運動が広がったが、アウディの在庫を割引処分するというニュースが伝わると、大勢の人々がアウディ販売店に詰めかけた。
NO JAPAN運動が始まって以来(昨年6月以降)、マスコミは刺激的で未確認な情報を報道し、国民感情は収拾し難いほど悪化するかに見えたが、実際に日本製品への打撃は思ったより大きくなかった。
観光やビール、ユニクロを除けば、韓国内の日本製品の依存度はそれほど減っていない。
自動車販売では日産が撤退を発表したが、これはNO JAPANとはさほど関係がなく、商品性と競争力の低下によるものだ。
その一方で、日産の撤退が公式発表されると、残っていた在庫は1週間足らずで全て完売し、トヨタやホンダの販売台数もその勢いに転じた。
先日は非常に興味深い資料が発表された。
調達庁が公開した「年度別戦犯企業外資契約現況」によると、2015年から今年8月まで韓国政府が購入した日本製品は計2372億ウォン(1ウォン=0.09円)分で、外資全体のうち日本製は5%から今年13%に大幅に増加した。
2015年以降、日立、富士通、三菱関連など日本の大企業の製品購買実績は141件287億ウォンで、大部分は質量分析機、電子顕微鏡、レーダー探知機のような超精密製品だ。
NO JAPAN運動が進行中だった昨年と今年、韓国の消費者専門調査機関であるコンシューマー・インサイトが行った自動車企画調査で、トヨタは販売サービス満足度と初期品質満足度部門で、レクサスはアフターサービス満足度と耐久品質満足度部門でそれぞれ2年連続1位を記録した。
売れまくる日本車、日本再上陸を目指すもリコールが続くヒュンダイ自動車
2年連続と言うと去年の反日、不買運動の真っ只中でさえレクサスは賞を得ていたのだ。
レクサスとトヨタ、ホンダの先月の販売台数を見ると、レクサスは701台で昨年同期比49・5%増加、トヨタ(511台)は36・6%、ホンダ(244台)は47・0%増えたことが分かった。
不買運動が盛んな反面、韓国の最大手メーカーの現代(ヒュンダイ)自動車は日本への再上陸を目論んでいる。
ヒュンダイ自動車は、韓国内でも無理な早期発売によるリコールがひっきりなしだ。
今年に入ってジェネシス・ブランドのフラッグシップとして販売されたG80、GV80のリコール問題。
また先日もヒュンダイ自動車のコナ・エレクトリック(電気自動車)の火災が相次いでいると報じられた。
2020年3月までの韓国内販売車両2万5600台と海外で販売された5万1000台のコナ・エレクトリックに関し、リコールすると発表された。
大手自動車メーカーとしてこの状況と韓国の反日、不買に関係なく現代自動車が日本に再上陸できるものかは執筆者の私もまだ疑問である。
不買運動や反日、反米はこれまでと同様に国民の賛同に依るところではあるが、韓国内の不買運動や反日、反米は次第にその規模の拡大と同時に一般人の判断を曇らせており、罪なき人々の生活まで脅かしている。
「参加しなければ何か大きな損害を被る」という社会的ムードを助長する様子を見ていると、今私たちが生きている時代が21世紀なのか疑問に思うことがしばしばある。
社会が混濁し、扇動の度が過ぎるほど被害も大きくなり、人々の判断を曇らせる。
ソウルトンボ
ソウル在住の韓国人ライター
週刊新潮WEB取材班編集
2020年10月16日 掲載
<転載終了>