アルさんのサイトより
http://blog.livedoor.jp/artevita/archives/9827493.html
<転載開始>
市のスペースを提供してもらって超ミクロな絵画教室で絵を
教えています。生徒は入れ代わり立ち代わり、多い時で
3人ぐらいです。本気で習得したい人もいれば描いてリラックス
したい人もいるので、そのつど生徒さんの用途に応じて対応しています。
去年は3人生徒がいて男の子を2人、無事美大に合格させる
ことが出来、今現在絵画教室の生徒は一人の女の子だけです。
彼女は40歳なんですが女の子に見えます。
今まで子供から大人まで色んな人に描かせてきましたが、
彼女は後にも先にもおそらく一番特別な生徒です。
Eちゃんといい、車椅子に乗っています。
生まれた時から重度な障がいを持っていて、立つことは勿論、
腕を上げることさえままならず、付き添いがなければ殆ど何も
出来ません。生まれる時に脳に酸素が行かなかったため若干
知的障害もあり口もよくまわりません。
この子の付き添いの女性から教室に来させても良いかと最初に
問い合わせがあったとき、正直ちょっと不安でした。
でも実際Eちゃんに合ってみると、この明るさと笑顔は一体
どっから沸いて来るのか!と思うほど、お花のように可愛く純粋で、
こっちの不安は全く無くなりました。
レッスンは、レッスンと言うよりも手のリハビリに等しく、
私がぴったり横について筆洗いや色を作ってあげて、
そのよく動かない手に筆を握らせてあげます。
彼女がゆっくり懸命に描いた鉛筆の下描きに、色をつけさせる
作業を一緒にやるうちにEちゃんと一体感が生まれてきて、
2時間はあっという間に過ぎていきます。
彼女は何にでもよく笑う子で、私が混ぜている絵具を見ては
「チョコレートみたい、イチゴクリームみたい、美味しそう!」と
大きな声で笑います。
Eちゃんは毎週金曜日のレッスンをとても楽しみにしていて、
クリスマス休暇でお休みしていた時はずっとレッスンを待ちわびて
いたと言ってくれました。
Eちゃんとのレッスンを始めてから早くも一年経とうとしています。
付き添いの女性Rさんは、Eちゃんを教室に連れてくるとすぐ、
トイレ掃除へ直行します。市のスペースに障がい者用のトイレも
あるのですが、一般の人も使っているので常に汚れているのです。
Eちゃんがもしトイレに行きたくなっても大丈夫なように、持参した
洗剤やアルコールで公共のトイレをピカピカにしてくれます。
その後、Rさんは外に買い物に出かけたり、私達の傍らで何か読んだり
しています。

Eちゃんがレッスンの時にトイレに行ったのは今まで一回しかなくて、
昨日は2回目でした。
彼女らがトイレに行っている間、後片付けをしていると、
「トイレの中で誰かあなたのこと呼んでるわよ」と、市の職員が
呼びに来てくれたので行ってみると、Rさんが私にSOSしてました。
呼ばれるまま中に入ると、トイレに座らせたときにEちゃんのおしりが
便器にすっぽり嵌ってしまったらしく、Rさん一人じゃ引っ張り上げる
ことが出来ない状況が一目瞭然で、慌てて私もEちゃんの脇に腕を入れ、
いっせいのせでRさんと両脇から持ちあげて座らせなおしました。
イタリアの公共トイレは便座が無いから、深く座ったらお尻が
下に落ちてしまいます。それにEちゃんは食いしん坊でまるまる
してるから、女性一人の力では持ち上げるのは到底無理。
生まれて初めて介護の現場に居合わせ、介護人の大変さを
目の当たりにしました。
Eちゃんが無事に用を足すのをRさん(さっきまで奮闘してたから
顔が真っ赤になってる)と一緒に見守る間、思いもよらず、
”愛しい”という感情が胸に湧き上がっていて、こんな気持ちに
なっている自分にもびっくりだし、こんな気持ちにしてくれた
Eちゃんに感謝したいくらい、心に愛が満ちていました。

トイレの時Rさん一人じゃ大変だから、Eちゃんは家の外では
なるべくオシッコを我慢しているということを聞き、
「これからは私もいるから、お教室ではいつでも好きな時に
トイレに行って大丈夫だよ」と言ったら、
「あなたみたいな天使がいてくれるから幸せよ」って二人から
満面の笑みで返され、いやいやあなたちこそ天使なのよ!
と思いました。

Eちゃんは身体を殆ど動かせないのに、常に明るくて感情豊か、
純粋なので些細なことで笑顔になります。その姿を見ると、
些細なことで文句たれちゃう自分を反省してしまいます。

<転載終了>