In Deepさんのサイトより
https://indeep.jp/carrington-sunspot-2024/
<転載開始>
2024年5月9日の太陽の表面。白く囲んだのが問題の黒点群。幅は地球の約15倍。

NASA

歴史的な大きさの太陽黒点が

現在(2024年5月9日)、太陽で結構な事象が進行しています。

太陽表面にある黒点群のひとつが、グングンと成長を続けていたのですが、ついに、「キャリントン事象の時の黒点と同サイズになった」ことをスペースウェザーが伝えています。

日本時間5月9日の太陽黒点群 AR3664

spaceweather.com

この「1859年の太陽嵐」とか「キャリントン事象」というのは何かというと、

「観測史上最大のスーパー太陽フレアが 1859年に起きた」

際のことをいいます。

このことをはじめて知ったのは、もう 15年くらい前で、当時の「1859年の規模の「超」太陽嵐がもし現代の世の中に発生したら」という記事に書いてから、たまに取り上げることかあるものでした。

Wikipedia から取り上げますと、おおむね以下のようなものでした。キャリントンというのは、当時この太陽黒点を観測して記録した人の名前です。

1859年の太陽嵐 - Wikipedia より

1859年の太陽嵐は、第10太陽活動周期の期間中の1859年に起こった強力な太陽嵐である。キャリントン・イベントとも表記される。

…1859年9月1日から2日にかけて記録上最大の磁気嵐が発生した。ハワイやカリブ海沿岸等、世界中でオーロラが観測され、ロッキー山脈では明るさのために鉱山夫が朝と勘違いして起きて朝食の支度を始めてしまうほどであった。

ヨーロッパおよび北アメリカ全土の電報システムは停止した。電信用の鉄塔は火花を発し、電報用紙は自然発火した。

wikipedia.org

しかし、この 155年前の世界では、それほど大きな問題は起きなかったのです。

理由は「世界の多くが、基本的に電気文明ではなかったから」です。

ヨーロッパと米国には送電網はありましたが、それでも、電気を使った通信インフラは電報くらいで、しかも当時、電報を使う人など、まだ一部だったのではないでしょうか。そのため、ほとんど影響はありませんでした。

ところが、今は「全部」電気です。

1859年クラスの太陽フレアが発生した場合、

「その電気システムがすべてクラッシュする可能性がある」

のです。

2010年に、アメリカ国立科学財団が、スーパーフレアによる壊滅的な影響について、警告を発したことがありましたが、そこには以下のようにありました。

変圧器を含む相互接続された送電網の機能を破壊し、停電が(米国内で)最大 1億3000万人に影響し、それらによってサポートされている下水システム、電子運輸機構を破壊し、また、システムの崩壊は、飲料水、食物、薬、および燃料の配信を止めてしまう。

1859年の太陽フレア規模の太陽嵐が地球を直撃した場合、想定される出来事(の一部)は以下のようになります。

1859年規模の太陽嵐が地球を直撃した場合に想定されること

・電力送電網のクラッシュによる完全な停電
・携帯通信を含む、すべての通信システムの崩壊
・インターネットシステムのシャットダウン
・放送網(テレビ、ラジオ)の崩壊
・飛行機の墜落
・ほぼすべての移動手段(車、電車、船舶等)の停止
・それによる食糧、エネルギー輸送の停止
・それに伴うあらゆる物流の停止
・コンピュータシステムの停止
・コンピュータに依存する軍事システムの停止
・コンピュータに依存する政治システムの停止
・コンピュータに依存する医療システムの停止
・銀行、証券システム等の完全なシャットダウン
・デジタルに依存するあらたゆるデータの破壊

などですが、もっと簡単に書きますと、

「電気で動いているすべてが止まる」

ということです。

たとえば、銀行などは、そういう対応はしているとは思うのですが、あまり対応をしていなかった場合、太陽フレアによるシステムの破壊は「根本的」となりますので、完ぺきなバックアップシステムを持たない銀行や証券会社のデータは永久に失われる可能性があります。

あるいは、現在は、マイナンバーカードなどのデジタル国民管理が進められていますが、仮に政府が、それらに対しての「完ぺきなバックアップシステム」を構築していない場合、

「国民のデータそのものがすべて失われる」

可能性があります。

アメリカ政府などは、一応とはいえ、オバマ政権に際に、巨大な太陽フレアの発生に向けての「国家宇宙天気行動計画」という行動計画を立てていますが、日本はどうなのか。

米国大統領行政府が作成した「国家宇宙天気行動計画」の表紙

(オリジナルページは現在存在せず)

 

この書類の内容を取り上げた記事は以下で翻訳しています。

米国ホワイトハウスが巨大なフレアやCMEでの太陽嵐の「地球への直撃」に備えての行動計画を全省庁と国家機関と協調して開始
 In Deep 2015年11月11日

1859年級のスーパーフレアによる停電が、通常のいわゆる停電とはまったく異なるものであるということに留意されてほしいと思います。

スーパーフレアによる停電は、

「復旧できない停電」

なのです。

自然災害用にモバイルバッテリーや小型発電機などをお持ちの方も今は多いでしょうが、「それらも全部壊れ」ます。電子回路からの根本的な機器の破壊となるので、まったく使えなくなりますし、修理もできません。

先ほどの書類、2015年10月のホワイトハウスの国家科学技術委員会の中には以下のように「被害額」を試算しています。

米国国家科学技術委員会の試算

現代社会では、そのような終末的な事象は起きてはいないが、専門家たちは、そのような「怪物レベルの太陽放射」が起きた場合のアメリカの被害額は、2兆ドル(約310兆円)を超えると想定した。

これは、歴史の中で実際に起きた最も大きな単一の自然災害の 10倍以上の被害額だ。

そして、 NASA は、次の 10年以内にそのような打撃を地球が受ける可能性が 12%あると試算している。

indeep.jp

まあ…そんな太陽フレアや太陽嵐の発生など予測はできないのですが、仮に起きると、そのようになると算定されていました。

このような太陽フレアが発生する確率としては、現在までの科学では、以下のようになっています。

グリーンランドの氷床コアのデータが集められ、この規模の太陽嵐は、ほぼ 500年ごとに起こっており、少なくともこの 5分の1の規模の太陽嵐は 1世紀に何度かずつ起きているという証拠が得られた。

wikipedia.org

いつかは起きるというものではありそうです。

現在の文明に「電気」が根付いたのは、わりと歴史的にも長くなっているかもしれないですが、「今のように何もかも電気とデジタルの時代は、人類史ではじめて」ではあるわけです。

そして、今は多くの人々が携帯通信網に過度に依存しています。

いろいろな意味で(精神的なダメージを含めて)その被害は想定できないものではありそうです。

場合によっては、それらが「全部永久に消える」わけですから。

そういうことを想定しますと、記録やデータをすべてデジタルで管理する社会というのは、ある意味狂気であると共に、終末化を促進しているとさえ言えなくもないかもしれません。

紙と鉛筆(ボールペンとかでもいいですが)で記録を残しておくのが、実は一番健全な「文明」だといつも思います。

もちろん、今回の太陽黒点群が、そのような太陽フレアを発生させるということではなく、「いつかは必ずある」という話です。

そのような時の「ささやかな対処」に関しては、2年ほど前の「太陽、食糧、そして準備」という記事の後半に記しています。

今回のタイトルに「…暴力? 戦争? そして地震? あるいは?」というような文言を入れましたが、それぞれが強い太陽フレアと関係しているものです。関係する記事をリンクしておきます。

暴力、革命、戦争、病気、そして大量死…。太陽活動と共に過激化する世界で生きる
 In Deep 2023年3月25日

太陽フレアは大地震を誘発する : 太陽と地震の関係を過去20年のデータ分析から「確定させた」2020年のネイチャーの論文を、黒点活動が過激化している今再び読み返してみる
 In Deep 2022年3月29日

最新のスペースウェザーの記事をご紹介して締めさせていただきます。


キャリントンクラスの黒点

spaceweather.com 2024/05/09

黒点群 AR3664 は非常に大きくなり、1859年の壮大なキャリントン黒点に匹敵する大きさになった。それらの類似性を説明するために、 NASA の今日の太陽の写真にキャリントンの有名なスケッチを以下に追加した。

AR3664 は端から端まで約 20万km にわたって広がり、その幅は地球の 15倍だ。通常の日食メガネを使用すると、倍率をまったく上げることなく見ることができる。

キャリントンの黒点は、1859年 8月と 9月に一連の激しい太陽フレアと CME (コロナ質量放出)を噴出したことで有名だ。結果として生じた磁気嵐は電信局に火を放ち、キューバからハワイまでオーロラを引き起こした。

それ以来、 「キャリントン事象」は、宇宙天気の試金石となり、最近の見出しでは、同じことが繰り返されれば「インターネット黙示録」が起きるのではないかとの懸念が煽られることもある。

確かに、(いつかは)キャリントン事象が繰り返される可能性はある。

研究によると、キャリントン級の嵐は 40年から 60年に 1回発生する。しかし、現在地球へ向かている CME (※ 今現在、太陽フレアにより地球に向かっている磁気嵐で、5月11日頃にやって来るもの)は、新たなキャリントン現象を引き起こすことはない。

今向かっているものは 1859年の CME に比べれば微々たるものだ。それでも、地球がこの黒点群 AR3664 の直撃ゾーンにある間は、この成長する黒点の活動領域に注目しておくことが賢明だろう。

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