https://earthreview.net/uk-harvest-the-second-worst/
<転載開始>
bbc.com
英国で、今年の農業収穫高が異様に低かったことを英ガーディアンが伝えています。
1983年の記録開始以来、2番目に悪い収穫量だったそうで、小麦や、あるいは最近、英国でも栽培が盛んだったワイン用のブドウなどの収穫が壊滅的な低下を示したのだそう。
理由は、基本的には、春から夏、そして秋の「気温の低さと、雨の異様な多さ」だったことが書かれています。
日本にいますと、今年は気温も(異常に)高かったせいもあり、「イギリスのほうでは、そんなことになっていたんだなあ」と初めて知りますが、とにかく春から秋に関しては、「日照時間の少なさ」が、収穫量の減少にストレートに影響しますので、そういう年だったようです。
気温は日々変化するとはいえ、最近の英国周辺の気温を見ていましても、「特段に低い」ことが示されています。
10月13日のヨーロッパの気温の平年との差異
tropicaltidbits.com
これも極端ですけど、東ヨーロッパなどの気温の異様な高さと、英国を含む中央ヨーロッパあたりの気温の低さのコントラストが印象的です。
なぜ、今年の英国がこういう低い気温、雨ばかりの天候になったのかの明確な理由はわかりづらいですけれど、ただ、この冬などのヨーロッパには、「かなりの寒波が訪れる可能性」が示されています。
以下の記事にあります。
(記事)北極圏の「極渦」が40年ぶりの弱い状態にあり、秋以降の北米やヨーロッパの一部にかなりの寒波をもたらす可能性が浮上
地球の記録 2024年10月8日
冬が寒いのはともかくとして、これが春などまで続いた場合、次の時期の農作にも影響を与える可能性があります。
英国は、2022年の終わり頃からしばらくの間、非常に厳しい野菜の枯渇に見舞われましたが、日本同様、多くの食糧を輸入「だけ」に頼っている結果でした。
国そのものの農作不振に加えて、今後「戦争の拡大によるサプライチェーンの混乱」などがあった場合は、またも英国の食糧問題は再燃しそうです。
もちろん、これは英国だけの問題ではなく、日本も含めた食糧をほとんど輸入に頼っている国すべてに言えることですが。
英国の農業の深刻な不振についてのガーディアンの記事です。記事では、気候変動のためと書かれていますが、気温が高いのではなく低かったわけですので、何だか奇妙な響きにうつります。
イングランドの収穫は雨天のため過去2番目に悪かった
Harvest in England the second worst on record because of wet weather
Guardian 2024/10/10
イングランドの小麦収穫量は21%減少したと推定され、英国のワイン生産者も大きな打撃を受けている。
イングランドは、昨冬の大雨により小麦やオート麦など主要作物の生産が打撃を受け、過去 2番目に悪い収穫に見舞われ、来年への懸念が高まっている。
昨年の秋から今年の春、初夏にかけて続いた寒くて湿った英国の天候は、急速に発展している英国のワイン産業に特に大きな打撃を与えており、生産者たちは、地域によって収穫量が 75%から 3分の 1減少したと述べている。
エネルギー・気候情報ユニット(ECIU)による最新の政府データの分析によると、主食作物であるイングランドの小麦の収穫量は 2023年より 1000万トン、つまり 21%減少すると推定されている。
英国環境食糧農村省が 10月10日に発表したデータによると、冬大麦は昨年比 26%減、冬菜の収穫量は 32%減となった。
ECIU は、小麦、冬大麦、春大麦、オート麦、菜種の 5つの主要作物の生産量が合計 15%減少し、農家が 6億ポンド(約 1170億円)の損失を被る可能性があると推定している。
ECIU の土地、食料、農業アナリストであるトム・ランカスター氏は、「今年の収穫の減少は衝撃的で、気候変動が原因でしょう。輸入品が不足分を補ってくれたおかげで消費者はある程度影響を受けませんでしたが、記録上 2番目に悪い収穫の矢面に立たされたのは英国の農家です」と語った。
「気候変動が英国の食糧安全保障にとって最大の脅威であることは明らかです」
同氏は、9月の記録的な降雨により新シーズンの出だしが悪く、一部の地域では農家が作付けを延期せざるを得なくなり、春まで待たざるを得なくなったことで、より生産性の高い冬の収穫を逃したと述べた。
リンカンシャーの耕作農家、コリン・チャペルさんはこう語った。
「私たちは今、危機的状況にあります。先週、ここは 36時間以内に 2インチ近くの雨が降りました。イングランド南部の農場の中には、2年連続で作物を失ったところもあります。今年も多くの農家が春小麦に頼ることになりますが、冬小麦の半分ほどしか生産できません」
「洪水のため秋の植え付けが不可能になり、干ばつのため春の植え付けも危険という状況になりつつあります」
主食作物への懸念は、寒くて雨の多い夏がカビや病気、ブドウの実の減少といった問題を引き起こし、英国のワインの収穫が昨年の豊作から、ほんのりとした酒程度に落ち込む可能性があることが明らかになったことで浮上した。
複数の独立系ブドウ栽培業者はガーディアン紙に対し、イングランド南西部と北部、ウェールズの一部のブドウ園が特に大きな打撃を受け、今年は「厳しいシーズン」だったと語った。
収穫は寒さと雨の影響で打撃を受けており、昨年の大量生産の後でブドウの木が枯渇したとの指摘もある。
南デボン州に 16ヘクタールの畑を持つサンドリッジ・バートン社の主任ワインメーカー、ダンカン・シュワブ氏は、昨年より 70%の収穫量減少を予想していると述べた。
南西部の多くの生産者が同様の問題を経験していると彼は言う。
サセックス州のプランプトン・ワイン・エステート社は、「雨が降り続いたことで病気の脅威に直面している」ため、昨年の収穫量の半分しか収穫していないと述べた。
昨年の冬は穏やかで雨が多く、ブドウ園では病気が蔓延した。さらに 4月と 5月には大雨が降り、湿地帯のため重機の使用が制限され、植物の駆除が困難になった。シュワブ氏は初夏の雨が「開花に大打撃を与えた」と語った。
シュワブ氏は、こうした問題にもかかわらず、多くのワインメーカーが昨年の記録的な収穫から在庫を保有しており、それが供給の変動を緩和するのに役立つため、ワインの価格が上昇する可能性は低いと述べた。
<転載終了>
genkimaru1
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