yocchan_no_blog3さんのサイトより
https://yocchan-no-blog3.blog.jp/archives/5141274.html
<転載開始>
今回の大統領選では選挙の帰趨を決定すると言われていた激戦州ですべての州でトランプが優勢となった。トランプとカマラ・ハリスはそれぞれが312票と226票を勝ち取った。こうして、トランプが次期大統領となる。これは米国人の大多数が国内経済の再活性を第一に望んでいることを意味する。国民はイデオロギーやポリコレよりも国内経済を選択したのである。米国ではこれから大転換が始まりそうだ。新大統領のトランプは1月にホワイトハウスへ返り咲いた暁には、公約であるMAGA(Make America Great Again)政策を直ぐにも実行するに違いない。
米国のリベラル派のポリコレを踏襲するEUの政治エリートたちも来るべきこの大転換によって大きな影響を被るに違いない。日本もまったく同様だ。
ドイツではその影響と思われる出来事が早くも報じられている:

カマラ・ハリスと民主党がトランプに大統領の座を与え、議会でも共和党が圧倒したわずか数時間後、すでに何ヶ月にもわたって崩壊の危機に瀕していたドイツの3党連立政権(社会民主党+緑の党+自由民主党)は、オラフ・ショルツ首相が支出と経済改革の根強い亀裂を理由にクリスチャン・リンドナー財務相(自由民主党)を解任すると発表した後、水曜日(11月6日)の夜に崩壊した。 この動きは、3月末の解散総選挙への道を開くことになる。連立政権内の亀裂は克服するには大き過ぎることが判明した。たとえば、ショルツ首相がリンドナーにドイツの通常予算外に存在するウクライナ支援のための緊急基金を設立する取引を提案したが、リンドナーは英国が最近「債務」の性質を再定義したような財政上の仕掛けへ参加することを拒否した。(原典:German Government Collapses As Mass Strikes Grind Economy To A Halt: By Tyler Durden, Nov/07/2024)

ドイツは経済の停滞でピンチに立たされている。エネルギーコストの急騰によって、ドイツの産業界は市場で競争力を急速に失った。そこへ、トランプ新政権は所得税を廃止し、関税を引き上げて国庫への歳入を補填すると主張している。EU圏の経済を牽引するドイツはこの新政策によって大きな負担を強いられることになりそう。分析によると、トランプ政権の新たな貿易戦争政策によってドイツは今後の4年間に1800億ユーロの負担増となるという。そして、今、ドイツは鉄鋼・電力業界の労組による賃上げ要求のストライキに見舞われている。2022年9月末のノルドストリームパイプラインの破壊工作以降、ドイツ経済の混乱は加速度を増すばかりだ。
ここに、「自殺行為 ― ロシアに対する米国の経済的・軍事的な攻撃がもたらしたものはいったい何だったのか?」と題された記事がある(注1)。
本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。
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Photo-1: © Sputnik / Alexey Suhorukov

ロシアは、(皮肉なことには)欧米が課した強制的な経済制裁の結果として、キエフ政権を支持する西側のどの国よりも力強いGDP成長を維持し、高い回復力を証明している。
米国とその西側同盟国は、ウクライナとの紛争を通じてロシアに「戦略的敗北」をもたらすべく長年にわたってロシアに対する軍事的および経済的侵略を支持してきた。
米国のバラク・オバマ大統領は、クリミア領土での住民投票がロシア連邦への再加盟について圧倒的な支持を表明した直後、カナダと欧州の同盟国と一緒にモスクワに対して広範な経済制裁を課した。ウクライナにおけるユーロマイダン革命に対する欧米からの支援が反ロシア勢力によるキエフ政権内で権力の掌握を強化するにつれて、ロシア政府はロシアとの重要な歴史的・軍事的つながりを維持しているクリミアの解放へと動いた。
その後数年間、ウクライナの東部の地域で戦争が始まり、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2022年2月にキエフ政府軍の攻撃からドンバス地域の住民を守るための特別軍事作戦を開始した後、この戦争は激化して行った。米国とその同盟国は強制的な経済政策を引き締めることで対応したが、ロシアはキエフ政権を支持する西側のどの国よりも高いGDP成長率を維持し、高い回復力を証明した。
ウクライナへの支援が続く中、ロシアは西側諸国への特定の重要な輸出を禁止する可能性があると発表し、米国や他のNATO加盟国に深刻な経済的影響を及ぼす恐れがある。作家で独立系のジャーナリストでもあるケイレブ・モーピンはスプートニクの「クリティカル・アワー」番組に参加し、米国の怒声があったにもかかわらず、西側諸国は制裁に対してはモスクワよりもはるかに脆弱である可能性が高いと指摘した。

関連記事:Cold War Consequences: US Scrambles for Rare-Earth Magnets Produced in China: By Sputnik, May/04/2024 

「最近は、ロシアと中国は欧米の経済体制に非常にうまく統合されている」とモーピンは指摘した。「西側の経済と台頭する東側経済、つまり、BRICSという2つの経済圏が非常に絡み合っており、非常に多くの分野が存在し、そういった状況がわれわれに一種の経済安全保障を与えていることが分かる。われわれはそのことに感謝すべきだ。」
「彼らはロシアにどれだけの制裁を課したのだろうか?ロシアはどれだけ対応しなければならなかったのだろうか?」とアナリストが尋ねる。「西側諸国が特定の金属やその他の資源をロシアに依存している領域が他にもある。そして、(ロシア側には)まだ使えるカードがあるのは確かであって、これはわれわれの経済がいかに絡み合っているかを示しており、その点こそが全面戦争を引き起こさないための動機となる。」
「誰かと商取引をしている時、彼らとは本当に戦争なんてしたくはない。両国の間には経済的な相互作用があって、二国間にはギブ・アンド・テイクの行動があるという事実は何時の日にか物事が別の方向に動き始めるかも知れないという希望を与えてくれる。」
モーピンは、ベネズエラやイランなどの他の国々は欧米の経済制裁に適応し、米国の経済力や軍事力に対抗することができる覇権ブロックの構築をますます強化していると指摘。米国の経済制裁は、現在、世界の3分の1の国々に対して個人や資産、組織に課せられており、新たな金融メッセージング・システム、米ドルの使用を迂回する二国間通貨取引、等が導入され、BRICSを含めて、代替となる金融・外交インフラの開発を推進している。
一方、欧米経済は新自由主義の時代にあって、輸入に大きく依存するようになり、新型感染症のパンデミック時にはこのことがもっともよく表面化していたとも言える。たとえば、これは、マスク着用に関する米国の指針は、当初、医療従事者や一般市民にとって十分な量のマスクを十分に生産できてはいなかったことが要因であった。2022年以降の対ロ経済制裁は米国、ならびに、特に安価なロシア産天然ガスの不在によって、すでに経済が低迷していたドイツをはじめとする西欧諸国の経済問題を悪化させた。

関連記事:‘Ukraine Assistance Largesse’, Self-Harming Sanctions Help Push UK Debt to 100% of GDP Milestone: By Sputnik, Sep/22/2024 

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、今週(10月2日の週)、もしも西側がロシアに対する攻撃を強めれば、モスクワに「戦略的敗北」を押しつけようとする試みは「自殺行為」を意味すると述べ、西側は引き続き重大な結果に直面することになるであろうと警告を発した。
「どうにかしてロシアをクリミアから追い出すという考えは、米国が押しつけた政府に対してずっと戦い続けてきたドンバス地域のすべての人々をどうにかして手に入れることになる。そんなことは起りっこない」とモーピンは言い、ドンバスの人たちは単に公共の場でロシア語を話すということだけで罰っせられているようなものだと指摘した。「これは勝利のための現実的なシナリオとは言えない。いったいどれだけの命が捨てられるのだろうか?」
「彼らが勝利と呼ぶもののためのウクライナのシナリオは現実的ではない」と彼は繰り返す。「そして、これを見て、勝利について喋る、つまり、ウクライナの勝利やロシアの戦略的敗北について喋ることが最も重要なことであると言うが、これは現実的な成果をもたらさない。」
「いったいこれは民主主義のための戦いなのであろうか?これらの地域の人々は投票を行った。彼らは2014年にウクライナからの離脱に投票した。最近、彼らはロシア連邦への加盟に投票した・・・ これらの地域では、自分たちに押し付けられたこの悪質なまでに反ロ的な政府の一部にはなりたくないという圧倒的な感情が広がっている。」

関連記事:How Euromaidan Triggered Ukraine's Nine-Year War on Donbass: By Sputnik, Feb/19/2024
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これで全文の仮訳が終了した。
今回の米国の大統領選は民主党と共和党との戦いではなく、むしろグローバリストと反グローバリストとの戦いであると言われて来た。トランプが一期目の政権を取った際には彼自身の周りを囲む省庁のリ-ダーたちは、自薦他薦を含めて、トランプは他者からの推薦に頼って登用したケースが少なくなかったそうだ。その結果、民主党寄りで、グローバリスト的思考の人たちが居て、これらの省庁(たとえば、法務省)の指導者らはトランプ大統領の思い通りには行動しなかったと言う。トランプは一期目にはディープステートを潰すことには成功しなかった。
しかしながら、彼の今回の政権では状況がまったく異なる。現在のトランプは敵・味方の見分けを徹底させることが可能で、彼は極めて有能な人材を二期目の政権に配置することができると期待されている。
さて、どんな布陣となるのだろうか?
余談となるが、最近、ユーモアめいた記事が現れた。それは、トランプがホワイトハウスで執務を開始した暁にはかっての彼の政敵たちは刑務所に放り込まれるかも知れないとして戦々恐々としている心理状態を描写している。たとえば、2021年1月6日の「米議事堂襲撃事件」では不条理にも600人、あるいは、1000人もが刑務所暮らしだという。騒乱罪とかテロ行為の理由で。ある者は刑期を言い渡され、ある者は未決のまま刑務所に放り込まれたまま。しかしながら、タッカー・カールソンの報道によると、「1月6日の騒乱事件」は「やらせ」であった可能性が高い。過去4年間にわたってやりたい放題のことをやって来た民主党やそれを支持した大手メディアの指導者らは、今、二期目のトランプ政権の挙動に極めて神経質にならざるを得ないようだ。だが、その理由はよく分かると言える。本件だけではなく、他にも数多くの状況があった。
もしも検閲が無くなってくれれば、インターネットでは言論の自由を謳歌できる毎日に復帰することも可能となる。端的に言って、ワクチンを「お注射」と置き換えなければならないといった馬鹿げた状況は過去のものとして消えて欲しいものだ。
そして、最大の関心事はロシア・ウクライナ戦争の行方である。米国はもはやウクライナに対して財政支援を継続することは出来そうにはない。すべての資源を国内経済の再活性に注ぎ込むと決断しさえすれば、この戦争は終わる。EUの牽引役であるドイツは冒頭で述べたように、国内政治が混乱を極めており、経済も低迷していることから、NATOの欧州加盟国は米国に代わって武器を送り込み、ウクライナの財政を支え続ける余力なんてない。米国が支援グループから去った後、ウクライナは今のヨーロッパに多くを期待することはできそうにはない。
結局のところ、西側のエリートたちは自分たちが目論んだシナリオ、つまり、ロシア経済を低迷させ、ロシアの国内世論を反プーチンに導き、ロシアに政権交代をもたらすという遠大な筋書きはもはや諦めるしかないのではないか。つまり、ロシアとの和平交渉をするしか残されてはいないのではないか。とんだ自殺行為になった!
それとも、ウクライナにおける対ロ代理戦争をウクライナ兵が最後の一兵になるまでとことん継続し、米国は核による先制攻撃を行ってでもロシアを倒し、自国は生き残るという狂気じみた、あり得そうもないシナリオに固執するのだろうか?そんなことをすれば、現実には、米国はロシアからの核による報復攻撃に見舞われる。米軍基地を持っている日本も決して例外ではないだろう。
トランプがさらなる暗殺事件に遭遇することもなく、分断された米国社会を再団結させることも含めて、彼がかねてから温めて来た草の根の市民たちの生活の質を向上させる諸政策を思う存分実行に移して欲しいものである。それが出来れば、世界は今よりも住み易くなると思う。

参照:
注1:‘Suicidal Venture’: What Are Consequences of US Economic, Military Attacks on Russia?: By John Miles, Sputnik, Oct/02/2024

<転載終了>