https://ameblo.jp/drminori/entry-12875894311.html
<転載開始>
今日は医師サイトに掲載されていたコラムをご紹介。
なんとサプリメントによって貧血になっていた症例が提示されていました。
飯塚病院・津田麻理子先生の記事です。
なんと、亜鉛サプリメントの過剰摂取による銅欠乏性貧血の症例でした。
抜粋・要約してお届けします。
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48歳 女性
主訴:ふらつき
生来健康だったが、2週間前からふらつき、息切れが出現した。
近医を受診したところ、HgbやRBCの値の低下から高度貧血を認め、WBCも低値だったため血液内科へ紹介となった。
経過:骨髄穿刺上は骨髄異形成症候群が疑われた。
しかしその後本人から、長年健康維持のため、市販の亜鉛サプリメント(推奨量1日1錠)を1日12錠内服していると申告を受けた。
追加で血清亜鉛、血清銅を測定したところ、亜鉛は測定可能範囲以上、銅は14 μg/dL(正常下限 60 μg/dL)であった。
亜鉛過剰症が引き起こした銅欠乏による白血球低下・貧血と判断し、亜鉛内服中止の上、経静脈的に銅を補充したところ、血球数は回復した。
解説
サプリメントは1日量を守って摂取することが重要
亜鉛を過剰に内服したため銅欠乏性貧血になった症例です。
そのメカニズムとしては、亜鉛の過剰により、腸管の金属結合タンパクであるメタロチオネインの発現が亢進するためだと言われています。
さらには、メタロチオネインは亜鉛よりも銅に親和性が高く、亜鉛よりも先に銅の吸収をブロックしてしまうようなのです。
銅欠乏が血球減少を引き起こす機序についてはまだ全貌は解明されていませんが、銅含有酵素活性の低下などが提唱されています。
臨床的な銅欠乏性貧血の特徴としては、白血球と赤血球が減少しても、血小板数は維持されやすいことが挙げられます。
骨髄では赤芽球に空胞を伴い、鉄染色で環状鉄芽球を伴うのがポイント。
この骨髄像は骨髄異形成症候群と鑑別が難しいことがしばしばあり、患者さんへの問診が鑑別には重要と言えましょう。
治療としては、軽症なら亜鉛内服中止だけで軽快するようですが、上記のように腸管での銅吸収が低下しているので、経静脈的な銅補充が必要なことも多いと推察されます。
現在、本邦ではなんらかの栄養補助食品やサプリメント製剤を使用している方が約2割いると報告されており、特に亜鉛は筋トレをする人々に愛用されているようです。
成人女性の場合、亜鉛の摂取推奨量は8 mg/dayで耐容上限量が35 mg/dayとなっているのですが、例えばドラッグストアで売っているD社の亜鉛は1日1錠15 mgとなっており、「たくさん飲んだらより体に良いのでは?」と欲張って1日3錠内服してしまうと、あっという間に上限量を超えてしまう計算になります。
まさに、過ぎたるはなお及ばざるがごとし。
サプリメントは1日摂取量を守ることが重要だと言えます。
また、亜鉛製剤といえば近年、肝硬変患者への治療として使用される機会が増えてきていることもトピックとなっています。
実際、治療としての亜鉛製剤投与中に銅欠乏性貧血になった症例も報告されています。
亜鉛製剤を使用される先生方には、「亜鉛製剤を長期に続けていると銅が足りなくなるかも……」と、少し心に留めておいていただけると、いつか役立つかもしれません。
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亜鉛と銅は拮抗して働きます。
つまり亜鉛を摂り過ぎると銅が下がり、銅を摂りすぎると亜鉛が下がる。
だからバランスが大事。
ところが日本人の食事では銅のほうが多く、亜鉛が吸収されにくい傾向にあります。
つまり日本人は亜鉛不足気味。
だから銅のサプリではなく亜鉛のサプリがあるわけです。
亜鉛のサプリは人気で、筋トレをしている男性や、また男性機能を高めることを期待して服用している人も多いです。
亜鉛はヒトの健康と栄養維持に重要な必須微量元素。
多くの酵素に含まれており遺伝子発現、タンパク質合成など細胞の成長と分化に重要な役割を果たしています。
これが不足すると味覚障害や皮膚炎、食欲不振などが起こります。
近年の若年女性の味覚障害は亜鉛不足が原因と言われています。
特に小児で不足すると成長障害や性腺発育障害が見られるので注意が必要です。
また皮膚粘膜症状とも密接に関係しており、なかなか治らない肛門の湿疹の患者さんに亜鉛を投与したら治癒したケースもたくさんあります。
亜鉛については以前記事を書いてますので是非お読み下さい↓
それにしても1日12錠は飲み過ぎです
12倍量も飲んでいたら過剰摂取になりますよ
亜鉛は少々摂りすぎても害のない栄養素なんですが、12倍量も摂ったら過剰症状が出て当然。
普通の飲み方をしている分には大丈夫です。
もしも心配であれば血液検査を受けて下さい。
血中亜鉛濃度を測って上がりすぎていたら中止すればいいだけ。
でも、今まで患者さんで亜鉛濃度を測ってきましたが、1人も過剰摂取だった人はいませんでした。
低めの人が多かったですね。
特に女性は。
マルチビタミン&ミネラルの中にも亜鉛が15mg入っているので、これを服用されている患者さんは亜鉛が不足していない限り、わざわざ亜鉛のサプリを足す必要はありません。
とにかく体にいいからと過剰に摂りすぎないことですね。
たかがサプリと言えど要注意です。
受診される患者さんのサプリも全部チェックしているのですが、中には10種類以上のサプリを服用されている方がおられて、成分を確かめると重複していて過剰摂取になっている場合があります。
だから自己判断であれもこれもとサプリを増やさないことです。
もし分からなければ診察の時にご相談下さい
<転載終了>
genkimaru1
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