地球の記録 - アース・カタストロフ・レビューさんのサイトより
https://earthreview.net/starlink-reentries-2025/
<転載開始>


毎日 4〜5基のスターリンク衛星が軌道を外れて崩壊

過去 10年ほどの間に、過去には考えられなかった数の人工衛星が世界中で打ち上げられています。

以下は、2022年までのものですが、人工衛星の運用数の推移です。

1957-2022年の人工衛星の運用数の推移

cellphonetaskforce.org

これについては、In Deep のこちらの記事でふれたことがあります。

この数年くらいでは、アメリカ民間企業スペースXが運用している衛星インターネットアクセスサービスである「スターリンク衛星」の数がものすごいペースで増加しています。

最近知ったこととして、このスターリンク衛星が「毎日、軌道を外れて落下している」ということがあります。落下、と書きましたが、地球の大気圏への再突入のことを指します。

1月だけでも「 120基以上の衛星が大気圏への再突入」しており、そして、第1世代のスターリンク衛星は、

「これまでに全 4700基のうち、500基以上が大気圏へ再突入している」

と、ハーバード大学の天文学者は述べています。

それらは全体として「ゴミ」と言えるものですが、単に消えてしまうわけではないのです。

人工衛星は、大気圏へ再突入した後、地表に衝突する前に崩壊・消滅します。そして、崩壊する際に、「大量の有毒な金属類」等を地球の大気内にばら撒きます。

その影響について、スペースウェザーが、いくつかの論文を引用して、記事にしていました。

たとえば、以下のような論文で、その影響がややわかります。

論文「メガコンステレーション時代の大気圏再突入時の衛星の消滅によるオゾン層の破壊の可能性」より

小型衛星の大規模なコンステレーションにより、地球を周回する物体の数が大幅に増加する。衛星は寿命が尽きると再突入時に燃え尽き、主な副産物として酸化アルミニウムを生成する。

これらは、成層圏のオゾン層を破壊する塩素活性化の触媒として知られている。…典型的な 250kgの衛星の消滅により、約 30kgの酸化アルミニウムナノ粒子が生成され、大気中で数十年にわたって残留する可能性があることがわかった。

2022年に大気圏に再突入するすべての衛星によって生成される酸化アルミニウム化合物は、約 17トンと推定される。

メガコンステレーションを含む再突入シナリオでは、年間 360トンを超える酸化アルミニウム化合物が生成され、重大なオゾン層破壊につながる可能性がある。

AGU

重大なオゾン層破壊につながる可能性について書かれたものですが、これとは別に、

「これらが将来的に地球の磁場を変えてしまう」

という懸念も言われていて、以下の記事で取り上げています。

最近の人工衛星の大量運営により「地球の磁場の消失と電離層の撹乱が現実的な話」に。この影響は人類滅亡レベルになりそう
 In Deep 2024年2月3日

今後数十年で「数十万基の人工衛星」が登場するとも言われており、そして、それらのかなりの部分が、いずれは軌道を外れて地球の大気中で崩壊し続けることになります。

その実際の影響は時が経たないとわからないですが、将来的には人類の生存のためには厳しい環境を作り出す可能性があります。

ここからスペースウェザーの記事です。

「前例のない」数のスターリンク衛星の再突入

'UNPRECEDENTED' STARLINK REENTRIES
spaceweather.com 2025/02/06

上昇したものは下降する宿命にある。しかし、これは、何千もの衛星を打ち上げる場合に問題になる可能性がある。

2018年以来、スペースX は 7,000基以上のスターリンク衛星を地球の軌道上に打ち上げてきたが、現在、それらは下降し始めている。1月だけでも、120基以上のスターリンク衛星が軌道を外れ、火の玉のシャワーを作った (※ 崩壊した)。

「毎日、継続的に大気圏に再突入している割合は前例がないものです」と、ハーバード大学天体物理学センターで衛星を追跡する天文学者ジョナサン・マクドウェル氏は言う。「毎日、約 4~ 5基のスターリンクが軌道を外れ、消滅しています」

計画者たちは、これが起こることをずっと前から知っていた。第 1 世代 (Gen1) のスターリンク衛星は、新しいモデルに取って代わるために退役している。「 4,700 基の Gen1 スターリンク衛星のうち 500基以上がすでに大気圏に再突入しています」とマクドウェル氏は言う。

スターリンクは再突入時に地面に衝突する前に崩壊し、大気中に金属蒸気を放出する。

2023年に発表された研究では、残留する残骸の証拠が見つかった。

2023年2月、NASAは WB-57 航空機をアラスカ上空 6万フィートに飛ばし、エアロゾルを収集した。粒子の 10%には、衛星の「燃焼」によるアルミニウムやその他の金属が含まれていた。

私たちが観察しているのは、大気化学における制御されていない巨大な実験だ。

Gen1 スターリンク衛星 1基の故障だけで、オゾン層を侵食する化合物である酸化アルミニウムが約 30キログラム生成される。新しい研究によると、これらの酸化物は 2016年から 2022年の間に 8倍に増加しており、最近の急増により汚染がさらに増加し​​ている。


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