マスコミに載らない海外記事さんのサイトより
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2025/04/post-cab1ad.html
<転載開始>
ヴィクトル・ミーヒン
2025年4月20日
New Eastern Outlook
4月6日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はドナルド・トランプ大統領との「極めて重要な」会談のためワシントンに到着した。
ネタニヤフ首相のアメリカ訪問
アメリカによるイスラエル製品への新たな関税導入を受けて急遽設定されたこの訪問は、貿易紛争、ガザ紛争、人質解放、イランとの関係や、ICCとの対立といった重要問題に対処することを目的としていた。しかし、西側諸国とイスラエル・メディアが報じた通り、会談は具体的成果を伴わずに予定より早く終了し、両首脳間の深い溝を露呈した。
この訪問の失敗はトランプとネタニヤフの同盟の脆弱性を浮き彫りにしたと多くの評論家は主張している。
イスラエルとアメリカのメディアの初期報道は楽観的で、ネタニヤフ首相はアメリカとイスラエルの「特別な関係」が関税と人質問題の進展につながるとの期待を表明した。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2025/04/post-cab1ad.html
<転載開始>
ヴィクトル・ミーヒン
2025年4月20日
New Eastern Outlook
4月6日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はドナルド・トランプ大統領との「極めて重要な」会談のためワシントンに到着した。
ネタニヤフ首相のアメリカ訪問
アメリカによるイスラエル製品への新たな関税導入を受けて急遽設定されたこの訪問は、貿易紛争、ガザ紛争、人質解放、イランとの関係や、ICCとの対立といった重要問題に対処することを目的としていた。しかし、西側諸国とイスラエル・メディアが報じた通り、会談は具体的成果を伴わずに予定より早く終了し、両首脳間の深い溝を露呈した。
この訪問の失敗はトランプとネタニヤフの同盟の脆弱性を浮き彫りにしたと多くの評論家は主張している。
イスラエルとアメリカのメディアの初期報道は楽観的で、ネタニヤフ首相はアメリカとイスラエルの「特別な関係」が関税と人質問題の進展につながるとの期待を表明した。
西側諸国とイスラエル・メディアの反応
しかし、結果は勝利とは程遠いものだった。X(旧Twitter)とイスラエル通信社による報道では、訪問は「唐突で、いくぶん疑わしい形で」実質的合意には至らずに終わったと報じられている。NPRやFOXニュースを含む西側メディアは、トランプ大統領が関税削減について何ら約束せず、イランの核開発計画やイエメンのアンサール・アッラー(いわゆるフーシ派)に対するアメリカ軍事作戦といった、より広範な地政学的問題に焦点を当てていると指摘した。「タイムズ・オブ・イスラエル」などのイスラエルメディアは、進展のなさを「残念」と評し、ネタニヤフ首相はトランプ大統領に対する自分の影響力を過大評価していたと指摘する評論家もいる。
大統領執務室での会談中、両首脳は記者会見を行ったが、具体的成果はほとんど示されなかった。ネタニヤフ首相はハマスを壊滅させ、イスラエル人人質の解放を確保するというイスラエルの決意を改めて表明した。一方、トランプ大統領はイランとの直接交渉の可能性を示唆したものの、関税については保証しなかった。期待されていた共同記者会見は実現せず、意見の相違や進展の欠如により会談が短縮されたとの憶測が一層高まった。
西側メディアは、すぐこの訪問の欠点を指摘し、両首脳にとって機会損失だったと批判した。ニューヨーク・タイムズは、トランプ大統領とネタニヤフ首相が国内外の課題への対応に「お決まりの筋書き」に頼り、協力関係が有意義な成果を生んでいないと指摘した。同紙は、主要同盟国を一切容赦なく排除するトランプ大統領の関税政策は、外交における取り引き重視の姿勢を反映しており、イスラエルのような緊密なパートナーさえ脆弱な立場に置かれていると強調した。
ワシントン・ポストもこの意見に同調し、ネタニヤフ首相のワシントン回帰は2025年2月の前回訪問より「一層困難な時期」にあたったと報じた。同紙は、トランプ大統領による関税引き下げ拒否と、イランおよびイエメンに対する政権の強硬姿勢が相まって、ネタニヤフ首相を困難な立場に追い込んでいると指摘した。西側諸国の批評家たちは、パレスチナ人の権利や二国家共存問題に関する議論が全く行われていないことにも懸念を示し、トランプ大統領が説明責任を問うこともなく、ネタニヤフ首相の強硬政策を支持していると非難する声も上がっている。
イスラエルの報道機関「ワラ」は、イスラエル代表団に近い筋の話として、ネタニヤフ首相とトランプ大統領の会談を「おそらく両首脳間の最も失敗した首脳会談」とさらに踏み込んだ形で報じた。同紙によれば、ネタニヤフ首相は待望の貿易関税引き下げを含む主要二国間問題で何の進展も見られず、何も手ぶらでテルアビブに戻ったという。
ネタニヤフ首相の立場を「弱体化し、屈辱を受けた」と表現し、首相は積極的交渉者というより象徴的な存在だったと政治評論家のバラク・ラビッドは指摘した。「彼はトランプ大統領のより広範な政策の背景として機能した」とラビッドは述べ、トランプ大統領がイランとの再交渉を優先し、イスラエルの優先事項を意図的に脇に置いたことを示唆した。
ネタニヤフ首相を通常支持するイスラエル・ハヨム紙は、訪問中ずっとイスラエル当局者の顔に浮かんでいた緊張と苛立ちを隠そうとはしなかった。一方、タイムズ・オブ・イスラエルは、トランプ大統領がテヘランとの直接交渉に意欲を示していることを踏まえ、首脳会談を「非常に残念」と評した。エルサレムでは、アル・クドス紙がこの動きをイスラエルの安全保障上の利益に広範な影響を及ぼす可能性がある戦略的転換と解釈した。
政治的影響
すぐ反響が現れた。野党指導者ヤイール・ラピドの報道官、ニュー・ディモールは、今回の訪問を痛烈に批判し、ありのままの真実を報道するようイスラエル・メディアに強く求めた。「これはイスラエル首相にとって最も屈辱的な瞬間の一つだった」とディモールは述べた。「外交的勝利を一つも挙げられないまま、国際舞台でイスラエルは公然と恥をかかされた。」
更に「トランプ大統領は、今後の米イラン協議に象徴的な正当性を与えるための道具としてネタニヤフを利用しただけだ」と彼は付け加えた。
イスラエル人ユーザーやメディア関係者によるX投稿は、この失望感を一層増幅させた。中には、この訪問を「ネタニヤフ首相のアメリカ訪問史上最も悲惨な出来事」と呼ぶ者もいた。また彼の帰国の「疑わしいほどのせわしさ」を指摘し、水面下でトランプ大統領との緊張関係や意見の相違があったことを示唆する者もいた。イスラエルのトレンドトピックは、不満と懐疑が入り混じった感情を反映しており、ネタニヤフ首相外遊は国家利益より個人的生存を優先したものだったのではないかと疑問を呈する声が多かった。
戦略的かつ実質的な失敗
騒ぎが収まった後、この失敗に終わった訪問の影響は、単なる一回の訪問や短期的な政治的失態にとどまらない可能性がある。ワシントン情勢の変化と、アメリカ・イラン関係の雪解けの可能性により、イスラエルは更なる孤立のリスクにさらされ、地域戦略とアメリカへの姿勢の両方を再考せざるを得なくなるかもしれない。
ネタニヤフ首相のワシントン訪問は、トランプ・ネタニヤフ同盟の限界を露呈した、機会を逸したものだった。関係強化や具体的成果の達成どころか、関税や人質問題や、より広範な戦略的課題において進展が見られず、失望のうちに終わった。西側諸国メディアはトランプの交渉戦術を批判し、イスラエル・メディアはネタニヤフ首相の期待に応えられなかったことを嘆き、彼の指導とイスラエルの将来に疑問を投げかけた。
国内外からの圧力に両首脳が直面する中、今回の訪問結果は、実質より政治を優先することの危険性に関する教訓になっている。
今のところ、アメリカとイスラエルの特別な関係は健在だが、その持続性は、今後の会談が単なる言説や写真撮影以上の成果を生み出せるかどうかにかかっている。それまで、ネタニヤフ首相ワシントン訪問の唐突で疑念を抱かせるような終焉は既に緊張と不確実性に満ちた地域において果たされなかった約束と失われた機会の象徴として残るだろう。
今回の訪問失敗はトランプ・ネタニヤフ同盟の脆弱性を浮き彫りにしたと多くの評論家は指摘している。会談は関係を強化したり主要課題を前進させたりするのではなく、むしろ亀裂を深める結果となった。アメリカが新たな交渉を通じてイランとの接近を強めれば、イスラエルは脇に追いやられ、ひいては孤立化してしまう恐れがある。両国間の「特別な関係」は今のところ維持されているが、同盟の将来は両国指導者が空約束や見せかけの握手以上のものを提供できるかどうかにかかっている。ネタニヤフ首相の早すぎる出国は、既に緊張が高まっている地域における外交的敗北の象徴として残るだろう。
ヴィクトル・ミーヒンはロシア自然科学アカデミー会員、中東専門家。
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/04/20/netanyahus-failed-visit-to-the-u-s/
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The Chris Hedges Report イスラエルによるガザ医療体制根絶作戦
Chris Hedges
Apr 24, 2025
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
<転載終了>
しかし、結果は勝利とは程遠いものだった。X(旧Twitter)とイスラエル通信社による報道では、訪問は「唐突で、いくぶん疑わしい形で」実質的合意には至らずに終わったと報じられている。NPRやFOXニュースを含む西側メディアは、トランプ大統領が関税削減について何ら約束せず、イランの核開発計画やイエメンのアンサール・アッラー(いわゆるフーシ派)に対するアメリカ軍事作戦といった、より広範な地政学的問題に焦点を当てていると指摘した。「タイムズ・オブ・イスラエル」などのイスラエルメディアは、進展のなさを「残念」と評し、ネタニヤフ首相はトランプ大統領に対する自分の影響力を過大評価していたと指摘する評論家もいる。
大統領執務室での会談中、両首脳は記者会見を行ったが、具体的成果はほとんど示されなかった。ネタニヤフ首相はハマスを壊滅させ、イスラエル人人質の解放を確保するというイスラエルの決意を改めて表明した。一方、トランプ大統領はイランとの直接交渉の可能性を示唆したものの、関税については保証しなかった。期待されていた共同記者会見は実現せず、意見の相違や進展の欠如により会談が短縮されたとの憶測が一層高まった。
西側メディアは、すぐこの訪問の欠点を指摘し、両首脳にとって機会損失だったと批判した。ニューヨーク・タイムズは、トランプ大統領とネタニヤフ首相が国内外の課題への対応に「お決まりの筋書き」に頼り、協力関係が有意義な成果を生んでいないと指摘した。同紙は、主要同盟国を一切容赦なく排除するトランプ大統領の関税政策は、外交における取り引き重視の姿勢を反映しており、イスラエルのような緊密なパートナーさえ脆弱な立場に置かれていると強調した。
ワシントン・ポストもこの意見に同調し、ネタニヤフ首相のワシントン回帰は2025年2月の前回訪問より「一層困難な時期」にあたったと報じた。同紙は、トランプ大統領による関税引き下げ拒否と、イランおよびイエメンに対する政権の強硬姿勢が相まって、ネタニヤフ首相を困難な立場に追い込んでいると指摘した。西側諸国の批評家たちは、パレスチナ人の権利や二国家共存問題に関する議論が全く行われていないことにも懸念を示し、トランプ大統領が説明責任を問うこともなく、ネタニヤフ首相の強硬政策を支持していると非難する声も上がっている。
イスラエルの報道機関「ワラ」は、イスラエル代表団に近い筋の話として、ネタニヤフ首相とトランプ大統領の会談を「おそらく両首脳間の最も失敗した首脳会談」とさらに踏み込んだ形で報じた。同紙によれば、ネタニヤフ首相は待望の貿易関税引き下げを含む主要二国間問題で何の進展も見られず、何も手ぶらでテルアビブに戻ったという。
ネタニヤフ首相の立場を「弱体化し、屈辱を受けた」と表現し、首相は積極的交渉者というより象徴的な存在だったと政治評論家のバラク・ラビッドは指摘した。「彼はトランプ大統領のより広範な政策の背景として機能した」とラビッドは述べ、トランプ大統領がイランとの再交渉を優先し、イスラエルの優先事項を意図的に脇に置いたことを示唆した。
ネタニヤフ首相を通常支持するイスラエル・ハヨム紙は、訪問中ずっとイスラエル当局者の顔に浮かんでいた緊張と苛立ちを隠そうとはしなかった。一方、タイムズ・オブ・イスラエルは、トランプ大統領がテヘランとの直接交渉に意欲を示していることを踏まえ、首脳会談を「非常に残念」と評した。エルサレムでは、アル・クドス紙がこの動きをイスラエルの安全保障上の利益に広範な影響を及ぼす可能性がある戦略的転換と解釈した。
政治的影響
すぐ反響が現れた。野党指導者ヤイール・ラピドの報道官、ニュー・ディモールは、今回の訪問を痛烈に批判し、ありのままの真実を報道するようイスラエル・メディアに強く求めた。「これはイスラエル首相にとって最も屈辱的な瞬間の一つだった」とディモールは述べた。「外交的勝利を一つも挙げられないまま、国際舞台でイスラエルは公然と恥をかかされた。」
更に「トランプ大統領は、今後の米イラン協議に象徴的な正当性を与えるための道具としてネタニヤフを利用しただけだ」と彼は付け加えた。
イスラエル人ユーザーやメディア関係者によるX投稿は、この失望感を一層増幅させた。中には、この訪問を「ネタニヤフ首相のアメリカ訪問史上最も悲惨な出来事」と呼ぶ者もいた。また彼の帰国の「疑わしいほどのせわしさ」を指摘し、水面下でトランプ大統領との緊張関係や意見の相違があったことを示唆する者もいた。イスラエルのトレンドトピックは、不満と懐疑が入り混じった感情を反映しており、ネタニヤフ首相外遊は国家利益より個人的生存を優先したものだったのではないかと疑問を呈する声が多かった。
戦略的かつ実質的な失敗
騒ぎが収まった後、この失敗に終わった訪問の影響は、単なる一回の訪問や短期的な政治的失態にとどまらない可能性がある。ワシントン情勢の変化と、アメリカ・イラン関係の雪解けの可能性により、イスラエルは更なる孤立のリスクにさらされ、地域戦略とアメリカへの姿勢の両方を再考せざるを得なくなるかもしれない。
ネタニヤフ首相のワシントン訪問は、トランプ・ネタニヤフ同盟の限界を露呈した、機会を逸したものだった。関係強化や具体的成果の達成どころか、関税や人質問題や、より広範な戦略的課題において進展が見られず、失望のうちに終わった。西側諸国メディアはトランプの交渉戦術を批判し、イスラエル・メディアはネタニヤフ首相の期待に応えられなかったことを嘆き、彼の指導とイスラエルの将来に疑問を投げかけた。
国内外からの圧力に両首脳が直面する中、今回の訪問結果は、実質より政治を優先することの危険性に関する教訓になっている。
今のところ、アメリカとイスラエルの特別な関係は健在だが、その持続性は、今後の会談が単なる言説や写真撮影以上の成果を生み出せるかどうかにかかっている。それまで、ネタニヤフ首相ワシントン訪問の唐突で疑念を抱かせるような終焉は既に緊張と不確実性に満ちた地域において果たされなかった約束と失われた機会の象徴として残るだろう。
今回の訪問失敗はトランプ・ネタニヤフ同盟の脆弱性を浮き彫りにしたと多くの評論家は指摘している。会談は関係を強化したり主要課題を前進させたりするのではなく、むしろ亀裂を深める結果となった。アメリカが新たな交渉を通じてイランとの接近を強めれば、イスラエルは脇に追いやられ、ひいては孤立化してしまう恐れがある。両国間の「特別な関係」は今のところ維持されているが、同盟の将来は両国指導者が空約束や見せかけの握手以上のものを提供できるかどうかにかかっている。ネタニヤフ首相の早すぎる出国は、既に緊張が高まっている地域における外交的敗北の象徴として残るだろう。
ヴィクトル・ミーヒンはロシア自然科学アカデミー会員、中東専門家。
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/04/20/netanyahus-failed-visit-to-the-u-s/
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The Chris Hedges Report イスラエルによるガザ医療体制根絶作戦
Israel’s Eradication of Gaza’s Healthcare System (w/ Dr. Feroze Sidhwa) | The Chris Hedges Report 1:04:59Dr. Feroze Sidhwa's harrowing experiences treating patients in Gaza undoubtedly show that Israel's "war" on Gaza is not a conflict with Hamas—but a full throated attack on the civilian population.
Chris Hedges
Apr 24, 2025
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
[IMF、トランプ関税で世界経済「減速」2025年世界全体2.8(-0.5)、日本0.6(-0.5)、米国1.8(-0.9)、ヨーロッパ0.8(-0.2)、中国4.0(-0.6)。()内 年頭予測との比較
<転載終了>