https://earthreview.net/china-successfully-tests-artificial-rain-using-drones/#google_vignette
<転載開始>
降雨実験に使用されたとみられるドローン

scmp.com
ヨウ化銀1キロだけの使用でプール30杯分の降雨
香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が、
「中国がドローンを使った降雨実験に成功した」
ことを報じています。
しかし、これがまたどうにも信じがたい「成果」で、報道にはこうあります。
> 一般的な人工降雨剤であるヨウ化銀 1kgを使用し、7万立方メートル以上の追加の降水量が発生した。これは、オリンピックサイズの深さ 2メートルのプール 30個を満たすのに十分な量だ
ヨウ化銀というのは、もともと一般的な人工降雨に使用されているもので、以下のようなものです。
人工降雨 - Wikipeida より
…強制的に雪片を作るような物質を散布してやれば雨を降らせる可能性ができるわけで、これが人工降雨の考えである。このような方法は、クラウドシーディング(雲の種まき)、あるいは単にシーディングとも呼ばれる。
その材料として、ドライアイスやヨウ化銀が用いられる。…ヨウ化銀の場合は、その結晶格子が六方晶形と言って氷や雪の結晶によく似ているため、雪片を成長させやすい性質がある。
しかしですね。人工降雨というのは、先ほどの Wikipedia に、
> 人工降雨はある程度発達した雨雲がある場合に有効であり、かつ成功するもので、雲の無い所に雨雲を作って雨を降らせるのは現在の技術では不可能である。
とありますように、
「まったく雨が降らないような場所に雨を降らすことは基本的にできない」
のです。
それなのに、「たった 1キロのヨウ化銀」を使って、「オリンピックプール 30個を満たすほどの雨」を降らすというのは、元来の技術からは、ちょっと想像しにくいものです。
まあ、中国は以前から、非常に大規模な地上の人口降雨システム(スペインの国土の3倍に相当する)を構築していまして、それとの連動ということになるのでしょうか。
それにしても、やや信じがたい成果です。
ここから考えられるのは、以下のどれかでしょうか。
・中国が何らかの画期的な降雨技術の開発に成功した
・成果を誇張している
・ウソをついている、あるいは何らかのトラップ
トラップについては、以前「気象操作というトラップ」という記事で書いたことがあります。要するに「我々は気象さえも支配できるのだ」というプロパガンダですね。
それと、中国は広大な面積を持ちますから、干ばつに苦しむ地域が多いことも確かでしょうけれど、最近の中国の自然災害で最も深刻な被害を出しているのは「洪水」です。
・洪水をはじめとする異常気象が続く中国で、2024年上半期だけで「自然災害による損失額が2兆円を超えた」と公式に報告される
地球の記録 2024年7月18日
そのあたりを考えても、ちょっと違和感はあるのですが。
ともかく、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙の報道を取り上げていた記事をご紹介します。
中国、ドローンによる気象制御を試験
China Tests Drone-Based Weather Modification
Jon Fleetwood 2025/05/08
中国政府の科学者たちは、新疆ウイグル自治区西部に雲散霧消のドローンを配備し、ヨウ化銀の粉末を散布した。その結果、1日で 3,089平方マイル以上の範囲で降雨量が 4%以上増加したという。
サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)の報道によると、中国の気象改変実験で、わずか「カップ一杯の雲の種」が使用され、「プール 30個分」の雨を生み出すことができたという。
以下のように報じられている。
「この作業では、一般的な人工降雨剤であるヨウ化銀 1kgを使用し、7万立方メートル以上の追加の降水量が発生した。これは、オリンピックサイズの深さ 2メートルのプール 30個を満たすのに十分な量だ」
ヨウ化銀は炎の棒で包まれ、煙として大気中に放出された。
各飛行では、それぞれ 0.2ポンドのヨウ化銀を含む 2本の炎バーが使用された。
粉末は毎秒 0.28グラムの速度で分散された。
2023年7月9日、中型ドローン 2機が高度 18,000フィートまで上昇した。ドローンはバヤンブラク草原の上空を4 回飛行し、ヨウ化銀を散布した。
2021年から衛星とドローン群を備えた 24の自動化された地上局と連携してきた気象改変プロジェクトチームは、中国気象局(CMA)の上級エンジニアである李斌氏が率いている。
中国気象局は中国の国立気象局であり、北京に本部を置いている。
テスト結果は、4月10日に中国語の学術誌「砂漠とオアシス気象学」に掲載された査読済み論文に詳しく記載されている。
同様の気象操作訓練は「貴州省、上海市、甘粛省、四川省など中国の多くの地域や他の国でも実施されている」とサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は報じている。
中国共産党が一杯のヨウ化銀をオリンピックプール 30個分の雨に変えることができるのなら、政府がそれを誰にも言わずに何ができるか想像してみてほしい。
<転載終了>