In Deepさんのサイトより
https://indeep.jp/hostages-by-a-death-cult/
<転載開始>


どう転んでも混乱は世界に広がる

イスラエルがイランに対して、事実上の宣戦布告となる攻撃を実施し、イランもすぐに報復攻撃を実施しました。

しかしまあ…この顛末を見ているだけでも、イランにはきわめて不利であり、それは、JPモルガンなどでもアナリストをしていたエネルギー専門家のジョン・ケンプさんという人が、以下のように書いています。

抜粋です。

ジョン・ケンプ氏の記事より

イランのイスラエルへの報復の選択肢は依然として限られており、その対応を制約している。

イランから発射された無人機は飛行速度が遅く、飛距離も長いため、イスラエルにとって大きな脅威とはならない。

弾道ミサイルは飛行速度が速く、迎撃も困難だが、イランのミサイルは精度が低すぎ、弾頭も小さすぎるため、大きな損害を与えたり、標的を正確に攻撃したりすることはできない。

レバノンのヒズボラ、シリアのアサド政権、ガザ地区のハマスなど、イランが慎重に育成してきた抵抗軸の同盟国はすべて無力化されており、イランに代わってイスラエルに対する代理戦争を戦う立場にはない。

イスラエルによるイラン国内の標的への度重なる攻撃(数年にわたる暗殺、爆撃、空爆)は、イスラエルの諜報機関がイランの国家機構に徹底的に浸透し、標的を正確に特定できることを証明した。

イランは自国の空域を防衛できないことも証明してしまった。

同国の防空システムは、長らく不十分で時代遅れ、かつ非効率的だとみなされてきた。2024年に行われたイスラエルによる前回の空爆は、イランの限られた防空能力を特に標的とし、その能力をさらに低下させた。

これらの空爆は、更なる空爆のための通路を確保し、将来的に更なる、より野心的な作戦のリスクを軽減することを特に意図していた。

ある意味では、2025年の今回の軍事作戦と 2024年の前回の軍事作戦は、ダブルタップ、すなわちより壊滅的な追撃のための条件を作り出すための最初の作戦と特徴づけられる。

jkempenergy.com 2025/06/13

追い詰められたイランが「ホルムズ海峡の封鎖」という、西側諸国に壊滅的な影響を与える行動を取るかどうかはわからないですが、何となく暗雲は広がっています。

ちなみに、今回のイスラエルによる攻撃と、イランによる報復攻撃の正確な被害はわからないですが、イスラエル側の被害については、国内のメディアで、

「少なくとも 44人が負傷、2人が重体」

報じられています。

イランが報復攻撃として発射した弾道ミサイルは 100発以上とされていて、テルアビブにも「 5〜 7発が着弾した」とのこと。

イランの攻撃により破壊されたイスラエルの建物

ynetnews.com

なお、「ホルムズ海峡の閉鎖」という事態にいたった場合、JPモルガンは、原油価格が、

「 1バレル 120~ 130ドルになる可能性がある」

と述べたことが報じられています。

今の倍近くということですね。

しかし、もっと過激な意見としては、2023年10月のガザ戦争が始まったときに、フィンランド・ヘルシンキ大学の経済学准教が、

「イランがホルムズ海峡を封鎖した場合、原油価格は、 1バレルあたり 300ドルに達する」

という予測を出していました。

そして、その後、

「金融市場と世界の銀行セクターは崩壊する」

という予測にまで進んでいましたが、これは、2023年10月の以下の記事で全文翻訳しています。

イスラエル・パレスチナ戦争による全世界への「経済と市場のカタストロフ」がもたらす劇的な「終末の時代」に突入した可能性
 In Deep 2023年10月15日

いずれにしても、原油価格がそういう極端な上昇を示した場合、エネルギー価格全般も急激に上昇し、個人の負担も大きいかもしれないですが、工業や、あるいは何より農業への負担が非常に大きくなると思われます。その場合、農家の廃業がさらに進むことが予測されます。

ただ、ホルムズ海峡を封鎖する以前に、先ほどのジョン・ケンプさんの書かれているように、イランは現時点で弱体化しています。

ある観点から(地政学的な観点というより、むしろオカルトの観点)、ホルムズ海峡の閉鎖があるとすれば、8月の上旬までだと思われます。それまでなければ、その後もないでしょう。

このイランとイスラエルの戦争について、地政学アナリストのペペ・エスコバル氏が文章を寄稿していました。

ペペ・エスコバル氏の記事としては、今年 3月に、ロシアとウクライナの停戦の話が出ていた頃に、

「停戦なんてことがあり得るわけがない」

ということを書いていた記事をご紹介したことがありました。

ウクライナ停戦という空想の夢舞台
 In Deep 2025年3月17日

それにしても、トランプ氏は、大統領になる前、「自分が大統領になったら、中東の戦争もウクライナの戦争も即座に停戦に持ち込むことができる」と述べていましたが、実際には、どんどん悪化していますね。

今回のペペ・エスコバル氏の記事のタイトルは、「地球全体が死のカルトに人質にされている」というものです。

ここからご紹介いたします。なお、このペペ・エスコバル氏の文章や表現には、比喩がわかりにくい部分が多いので、注釈を入れるか、一部は言葉を置き換えています。

地球全体が死のカルトに人質にされている

The whole planet is being kept hostage by a death cult
Pepe Escobar 2025/06/13

テルアビブに仕掛けられた、精神病質的で大量虐殺的な「選ばれた」民族至上主義者によるイランへの壊滅的な攻撃 --- 事実上の宣戦布告 --- は、アメリカ合衆国大統領でありサーカス団長ドナルド・トランプと綿密に調整されていた。

この幼児性に侵されたナルキッソス (※ ギリシア神話に登場する美少年)は、自らのイメージのプールに溺れ、支離滅裂な投稿で、自らその真意を明かした (※ トランプ氏のソーシャルメディアへの投稿)

そこから一部抜粋する。

私はイランに何度も取引の機会を与えた。

これは「取引」ではなく、トランプの一方的な要求だ。結局のところ、彼は当初の合意である包括的共同行動計画(JCPOA)を、彼の「取引」ではなかったという理由で破棄したのだ。

私は彼らに、彼らが知っていること、予想していること、あるいは聞かされたことよりもはるかにひどいことになるだろうと言った。

しかし、攻撃の決定はすでに下されていた。

一部のイラン強硬派は勇敢に発言したが、…彼らは皆死んでおり、事態はさらに悪化するだけだ!

得意げに書いているが、それは当然のことだ。

すでに計画されている次の攻撃はさらに残忍なものになるだろう。

彼は、イスラエルのトレードマークである「斬首」戦略に完全に同調していることがわかる。

イランは何も残らない前に取引を成立させ、かつてイラン帝国と呼ばれていた国を救わなければならない。

一応言わせてもらえば、それは(イラン帝国ではなく)ペルシャ帝国だ。結局のところ、この男は読書も勉強もしない。「外交術に気を付けろ。私の取引に応じるか、さもなくば死ぬかだ」と喚く。

この輝かしい 10年は、バグダッドでのソレイマニ将軍 (※ イラン国外でも特殊作戦を行う部隊の司令官)の暗殺によって幕を開けた。彼は外交任務に就いていた。そして、(暗殺は)当時のアメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプが自らゴーサインを出した。

激怒の 2020年代半ばは、心理的ジェノサイドを企むシオニスト組織によるテヘランでの革命防衛隊(IRGC)指導部の連続暗殺によって、西アジアにおける壊滅的な戦争の瀬戸際に突き落とされ、世界的な波紋を巻き起こしている。

巧妙な欺瞞劇の後、テルアビブへのゴーサイン --- 実行せよ --- は、アメリカ合衆国大統領トランプ2.0(彼は攻撃を「認識していた」と主張していた)からも出された。

 

BRICSに対する先制戦争

精神病理学的なジェノサイドのマスタープランは、テヘランに抵抗すらせずに屈服させることだ。

前置きの歌舞伎は見事に演じられた。オマーンでの間接的な核交渉はテヘランで真剣に受け止められ、イランの指導部(文民・軍人)を眠りに誘った。彼らは罠に落ち、文字通り眠っている間に捕まったのだ。

イスラエルがヒズボラに対して行ったのと同じ斬首作戦を遂行しているため、アヤトラ・ハメネイ師自身も身体的に危険にさらされており、非常に難しい決断を迫られている。降伏か全面戦争かだ。全面戦争となるだろう。しかも、米国が直接参戦することになる。

イラン指導部、実際には西側諸国との「妥協」を主張する人々であふれるペゼシュキアン大統領 (現在のイラン大統領)府は、連続殺人犯は外交をしないことを忘れ、誤った安心感に陥っていた。

したがって、イランが今払うべき代償は、さらに耐え難いものとなるだろう。テヘランは、能力がまだ維持されていると仮定すれば、対応するだろう。

この場合、イランの石油産業は壊滅的な打撃を受けるリスクがある。イランと並んで BRICS の主要二国、ロシアと中国が、それぞれ異なる理由で、そのような事態を許容するかどうかはまだ分からない。

そして、もし我々がこの危険な領域に踏み込もうとしているなら、イランは究極のカード、つまりホルムズ海峡を封鎖し世界経済を崩壊させるカードを切りかねない。

混沌の帝国が全面的に支持するイランへの攻撃は、何よりも BRICS のエネルギー中核への先制攻撃だ。

これは BRICS、特にロシアと中国に対する帝国主義戦争の不可欠な要素といえる。ロシアと中国は、必要な結論をリアルタイムで導き出さなければならない。

イラン、中国、ロシアは、相互に絡み合った戦略的パートナーシップによって結ばれている。

先月、私はイランを訪れ、ロシア、イラン、インドを結ぶ国際南北輸送回廊(INSTC)の進捗状況を視察した。これは、ユーラシア経済の連結性をさらに強化する一連の重要な戦略的インフラプロジェクトの一つに過ぎない。西アジアにおける壊滅的な戦争とイランの崩壊は、ユーラシア統合の進展に致命的な打撃を与えるだろう。

それはまさに帝国の設計通りの展開だ。

だから米国が全面的に関与しているのも不思議ではない。これは今やサーカス団長戦争なのだ。

 

壊滅的な対応、核兵器、あるいは降伏

イラン側のメッセージは、「我々が戦争を始めたのではないが、それがどのように終わるかはイランが決める」というものだ。

喫緊の課題は、彼らが依然として大きな抑止力、そして攻撃力を保持しているかどうかだ。

大量虐殺を行う者たちは、イラン北西部の弾道ミサイル貯蔵施設、さらにはテヘランの民間空港メヘラーバード空港までも、思うがままに攻撃している。防空システムはどこにも見当たらない。見ているのが耐え難いほど辛い。

イスラエル国防軍(IDF)の主張は、ミサイルサイロや移動式複合施設の一部が戦闘態勢に入る前に破壊されたと主張しているが、今のところその根拠は確認されていない。

しかし、実際には、イランの膨大な弾道ミサイル兵器の圧倒的多数は、大規模な空爆や過負荷の防空網にも耐えられるよう、地下深くのサイロやトンネルに保管されている。

今のところ、イラン政府は不気味なほど沈黙している。

それも当然だ。なぜなら、彼らは記録的な速さで、攻撃によって壊滅させられた統一指揮系統を再構築し、ミサイル発射装置がイスラエルの制空権によって無力化されないよう確実に配備できるようにし、先月テヘランで我々の一部が学んだように、すでに準備は整っていたものの、今や新たな状況(損失も含む)に適応した「トゥルー・プロミス 3」作戦を再編成し、イスラエルの経済インフラに痛烈な打撃を与える方法を計画する必要があるからだ。

攻撃によってイランの核インフラが破壊されたという証拠はない。それは地下深くに埋まっている。

現状では、イランの指導部は、外交 --- 委員会、国連への書簡、IAEAへの声明、閣僚会合 --- が弱肉強食の法則に突き当たれば、すべて骨抜きにされることを身をもって学んでいる。

イランは、イスラエルの攻撃を支援するために必要な情報をすべてスパイが収集していたにもかかわらず、IAEA による戦略拠点への訪問を許可するほど世間知らずだった。

北朝鮮なら決してそのような罠には陥らなかっただろう。

ハメネイ師の主要顧問であり、イランの主導的な核交渉担当者で、イスラム革命防衛隊や諜報機関全体に数十年にわたって影響力を及ぼしてきたアリー・シャムハーニ氏のようなトップ人物の排除は、深刻な打撃だ。

イランの軍事・外交指導部を数時間で組織的に抹殺することは、ハメネイ師の側近を壊滅させるという論理に合致する。

これはトランプ大統領の命令によるソレイマニ殺害からずっと以前から始まっており、ライシ前大統領とアブドッラーイアン外相の、あの怪しいヘリコプター「事故」に​​よる謎の死も当然含まれる。政権交代のための環境を作り出すことがすべてだ。

まれに幸運なことに、イスラム革命防衛隊は攻撃前に、イスラエルに対するミサイルの威力を強化するための秘密技術を開発していることを明らかにしていた。

私たちは皆、今や嵐の乗り手だ。再び、出口はない。サイコジェノサイドに壊滅的な打撃を与えるか、イランがあっという間に核兵器を組み立てるかのどちらかだ。最後の選択肢は、降伏、去勢、そして政権交代だ。

一方、地球全体が致命的な脅威の人質となっている。

アンドレア・ゾク氏はミラノ大学の道徳哲学教授であり、その卓越した分析に加え、昨年出版された私の著書『Raging Twenties』のイタリア語版の序文も執筆してくれた。

ゾク教授は、近代史において、メシア的な民族至上主義、人命の絶対的無視(「選ばれた者」以外のすべての人は、いずれにせよ「アマレク人」だ)、国際法の絶対的無視、そして致死的な火力への無制限のアクセスという有害な組み合わせを蓄積した政治構造は存在しないことを簡潔に指摘している。 

(※) アマレク人とは、後にユダヤ人に消滅させられた古代パレスチナの遊牧民族。

このような貪欲で制御不能な死のカルトをどうすればいいのだろうか?


 

ここまでです。

この「アマレク人」というのは、なかなか興味深い存在で、ユダヤ人に徹底して根絶されたことが、聖書などに記されているそう。

ここまでの話とは関係ないですが、アメリカでは今日 6月14日、前回の記事で示しました、政権による軍事パレードと、左派の大集会が同時に行われます。

軍事パレードは、現地時間の夕方からですので、日本では明日ですね。

抗議集会は、場所によっては何らかの混乱や衝突が見込まれますが、これについて、ナチュラルニュースのマイク・アダムスさんは以下のように X に投稿していました。

6月14日のマイク・アダムス氏の投稿

今日以降アメリカで解き放たれる暴力は、トランプと大量虐殺を行うイスラエルとの共謀によって引き起こされた結果だ。彼らは平和ではなく戦争を望んだのだ。

そして悲しいことに、民主党の国境開放政策により、アメリカ本土もその戦争の影響を受けずにはいられない。トランプと民主党は共に、国内テロ、汚い爆弾、インフラ破壊、自爆テロなど、あらゆる脅威を生み出す完璧な状況を作り出した。これはすべて仕組まれたものだった。

彼らは国内に警察国家を築こうとしており、大規模な政府監視、検問所、軍事化、CBDC、検閲、金融統制などを展開しようとしている。

こうしたことを支持しているあなた方愚か者たちは、警察国家での生活がどのようなものかを知ることになるだろう。

Health Ranger

アメリカを中心とした混乱と無慈悲が、この夏、世界に広がっていく可能性が高まっています。

>> In Deep メルマガのご案内
In Deepではメルマガも発行しています。ブログではあまりふれにくいことなどを含めて、毎週金曜日に配信させていたただいています。お試し月は無料で、その期間中におやめになることもできますので、お試し下されば幸いです。こちらをクリックされるか以下からご登録できます。


<転載終了>