In Deepさんのサイトより
https://indeep.jp/genes-that-are-activated-only-after-death/
<転載開始>


死後にだけ活性化する人間の遺伝子

今日、「宇宙を存続させている生者と死者の人間たち」というタイトルのメルマガを発行させていただいたのですが、それを書いていて思い出したのは、もう 10年前ですが、

「人間によって観測されるまでは、この世の現実は存在しない」

という 1978年の量子力学の理論が、オーストラリアの量子学研究チームにより実験で証明されたという報道をご紹介したことがありました。

《特報》「人間によって観測」されるまでは「この世の現実は存在しない」ことを、オーストラリアの量子学研究チームが実験で確認
In Deep 2015年06月06日

これは、その後も実験で確かめられていまして、もう、ガチガチのグリの理論であって、この世というのは、つまり、この通りの話なのですね

私たちが認識(観測、記録)しない限り、宇宙は存在しないのです。

しかし、この科学的論拠に対しては、まったく異論はないのですけれど、ずっと以前から不思議に思っていたことがありました。

それは、

「でもさあ、地球も宇宙も、生きた人類がいない期間の方が長いんじゃないの?」

ということでした。

一般的な考古学的な記録でも、宇宙学でも、生きた人間のいない時期のほうがずっと長い。

「なんで、この世は存続していた?」

ということについて考えることがたまにありましたが、最近、続けて書かせていただいています、ボー・イン・ラーという人の文章を読んでいるうちに、

「ああ、死者の意識だ」

と思うに至りまして、個人的に納得した次第です。

生きた人間のいない間、死者の意識がこの世を存続させていたと (意識はおそらく、生者のものも死者のものも同じ)。

まあ、それはいいとして、量子論と関係する 2020年の記事を読み直していまして、この記事の後半で、

「人間の死後に初めて活動を始める遺伝子がある」

ことが、アメリカのワシントン大学の研究者によって突き止められたことについての記事にふれていました。

この遺伝子は、「人間が生きている間はずっと休眠している」のです。

そして、

「人が死んだ後に、初めて活性化する」

のです。

しかも、ひとつではなく、そういう遺伝子が複数あることがわかったのです。

なぜ、死後に「だけ」活性化するのかはまったくわかっていません。

しかし、人間の体というのは、死後にも「仕事をしなければならない」機能を持った部分があるということです。

これはディスカバー・マガジンの記事なのですが、以前に翻訳していたよなあと思っていたのですが、見当たらないのです。

ですので、改めて翻訳しました。

私たちの肉体は「死の瞬間と死後にさまざまに機能している」ことがわかってきていて、その具体的な役割はわからないままですが、

「死は生体としてのすべての機能停止ではない」

ということは言えるのだと思います。

「死後に対しての何かの準備をしている」という感じでしょうか。

ディスカバー・マガジンの記事をご紹介します。

これらの遺伝子は死後に生き返る

After You Die, These Genes Come to Life
Discover Magazine 2019/08/02

私たちは死とは何かを知っているようなつもりになっている。少なくとも、そう思ってはいるはずだ。

しかし、死を「体が機能しなくなる」という単純な定義で捉えるのなら、それは、私たちの体が実際にはどれほど奇妙な存在であるかが考慮されていない。

「人が死んだら何が起こるのか、私たちは本当に何も知らないのです」と、アラバマ大学の元教授、ピーター・ノーブル氏は言う。

ノーブル氏は、生命の終わりを研究する科学者たちに驚くべき出来事が待​​ち受けていることを身をもって知っている。彼は、生物が死んでから数時間、あるいは数日後に、長い間休眠状態にあった遺伝子が突然活性化する可能性があることの発見に貢献したのだ。

 

不気味な遺伝子

遺伝子とは、DNA でできた化学的な指示の集まりで、体に何かをする方法を指示する。

遺伝子が活性化されると、その化学的な指示は RNA によって転写され、細胞はコピーされた配列を足場として複雑な分子を構築できるようになる。遺伝子を料理本のレシピだとすると、活性化とは材料のリストを書き留め、それを買ってすぐに料理を始められるようにすることといえる。

ワシントン大学のノーブル氏たちは、遺伝子活性を測定する技術を試験していた。

対照として、細胞活動が徐々に低下するにつれて遺伝子の新規コピーが着実に減少することを期待し、最近死んだゼブラフィッシュの組織を分析した。

そして、まさにその通りの結果が出たが、いくつかの注目すべき例外があったのだ。それは、ゼブラフィッシュが死んだ後、約 1%の遺伝子が活性化し、まるで細胞が何かを作り始めようとしているかのようだった。

生物の死後に遺伝子が活性化するという考えは前代未聞だったため、研究者たちは機器の不具合だと片付けてしまった。

しかし、魚類、そしてマウスを用いた実験を繰り返した結果、 あり得ないことが次々と証明された。生物の死後数時間、あるいは数日後に遺伝子が活性化するというのだ (論文)。

科学者たちのこの発見は懐疑的な反応を招いたが、バルセロナのゲノム制御研究所のロデリック・ギゴ氏率いる研究グループが、 今度はヒトにおいて死後遺伝子活性を発見した (論文)。

「バルセロナ・ゲノム研究所のグループがヒトに関する論文を取り上げてくれたおかげで、私たちは救われました。なぜなら、彼らも同じことを証明してくれたからです」とノーブル氏は語る。

ギゴ氏と彼のチームは、死後に遺体を提供した人々の組織を分析することで遺伝子発現制御を研究していた。

ノーブル氏の論文が発表された時点ですでに研究は進行していたため、ノーブル氏の研究結果に驚きはしなかった。「私たちが見ていたものとほぼ同じでした」とギゴ氏は言う。

 

死後の洞察

これらの発見は、私たちが生きている間に遺伝子がどのように機能するかをより深く理解することを可能にし、臓器移植などの医療処置の改善に役立つ可能性がある。

「死後、臓器が分子レベルでどのように変化するかを知ることは、臓器移植や臓器保存の実践を改善するのに役立つかもしれません」とギゴ氏は言う。

ギゴ氏とノーブル氏によると、彼らの研究のもう一つの大きな応用分野は法医学だ。

研究者たちは、死後、異なる遺伝子が異なる時間間隔で活性化することを発見した。ある遺伝子は死後 6時間で活性化するのが一般的だが、別の遺伝子は 24時間後に活性化する可能性がある。法医学者はこの情報を活用することで、死亡時刻をより正確に推定できる可能性がある。

この発見は医学に新たな可能性を開く一方で、研究によって提起された最大の疑問、つまり、なぜ一部の遺伝子が死後に活性化するのかは依然として謎のままだ。

ノーブル氏は、その手がかりは蘇生する遺伝子の種類にあるのではないかと考えている。

これらのゾンビ遺伝子は死後、身体的な変化を起こさないように見えるが、その多くは、通常は厳密に制御または抑制されている活動に関連している。これには、細胞に脊柱の起源を作り出すよう指示する遺伝子も含まれる。一度脊柱が出来れば、新しい脊柱を成長させる必要はない。

死後に活性化する他の遺伝子はガンと関連している。おそらく、通常は抑制する他の遺伝子が存在しない状況で、これらの遺伝子は、両親が留守の間にパーティーを開くティーンエイジャーのように、再活性化の機会を捉えるのだろう。

これらの遺伝子が再活性化する理由は依然として不明だが、死はこれまで考えられていたよりも微妙なプロセスであることは明らかだ。

死とは、私たちの体にある何十億もの細胞がすべて機能を停止することを意味するのではなく、単にそれらが連携して機能しなくなることを意味する。これらのつながりが崩壊し、生命が消滅していく数時間、数日間は、科学にとって新たな挑戦分野だ。

「私はこれを『死の黄昏』と呼んでいます。生物全体の死と個々の細胞に何が起こるかという視点から見ていきたいと考えています」とノーブル氏は言う。

「細胞と機能する生物全体の間の崩壊はどこにあるのでしょうか? これは大きな疑問です。そして、誰もその答えを知りません」

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