みのり先生の診察室さんのサイトより
https://ameblo.jp/drminori/entry-12913184085.html
<転載開始>

今、外科医のなり手がほとんどいなくて、外科が存続の危機に瀕しているということをご存知でしょうか?

 

私が大学を卒業して医者になった頃は外科といえば花形の職業でした。

 

男子の憧れとでも言いましょうか。

 

カッコイイというイメージがあったものです。

 

実際、外科に入局する男子も一学年で消化器外科、胸部外科、脳神経外科など全部合わせると30人前後はいたと思います。

 

当然、外科研修は超ハードで、私は阪大で皮膚科の研修医をしていたのですが、当時、第一外科の研修医だった同期のN君とエレベーターで久しぶりに会った時に、ぽっちゃりしていたN君が痩せこけていて、「みのりちゃん、聞いて。医者になってから一度も下宿に帰ってないねん。ずっと病院に住み着いてる。ハードすぎてこんなに痩せてん」と言っていたのを今でも覚えています。

 

それが研修が始まってから10ヶ月目だったと思います。

 

帰ってない下宿の家賃が勿体ない

解約しておけば良かった

 

と言ってましたね...。

 

外科はとてもじゃないですが女子が入れる世界ではないと思ってました。

 

体力的に絶対に無理だと・・・。

 

大学や病院によるのかもしれませんが。外科研修はハードです。

 

プライベートはほぼありません。

 

 

それが研修制度ができてから一変しました。

 

卒後2年間は初期研修で全科を1〜2ヶ月ずつくらいで回るのですが、きっちりと労働管理されていて病院に何ヶ月も泊まり込むなんてことはありませんし、ちゃんと残業代もついています。

 

私が研修医の頃は月給〇〇円と固定で、何時間働こうが変わりませんでした。

 

いわゆるサービス残業ですね。

初任給は大学によりましたが4〜18万円が相場。

 

私は初任給が18万円でした。

 

サラリーマンの父が私の給与明細を見てビックリしてましたけど・・・。

 

 

研修医が労働者として扱われるようになった現在、私たちの時代ほどハードではないのに、外科に入る研修医がほとんどいないという信じられない状況に直面しています。

 

息子の学年では数名。

 

どこもだいたい同じような状況。

 

こんな状況が続いたら外科が立ち行かなくなるんじゃないの?と思っていたら消化器外科学会が市民向けにこんな講演をしました。

 

 

 

長いんですが是非とも見て頂きたい。

 

医師サイトのコメントを一部抜粋しました↓

 

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昨晩一気見しました
まずは外科医の皆さんに
尊敬と感謝

今から外科の勉強して
裏方のお手伝いをしたいくらい

外科医
診療の重圧
献身的労働
如何程のものか

厚生労働省や患者
同業者にも知らしめないと

心あるマスコミが
動いてくれると良いのだが
いろんな所で地道に
訴え続けてることが大切🦆

世論が動かないと
根本的なシステムは変わらない

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引退した自分が癌に罹患したら、手術が半年待ちになっている。

 

政令指定都市以外で下部消化管穿孔に見舞われたら、死ぬ。

10年後そうなってます。備えなければならない。

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確かに、2時間10分の動画を見るのは無理ですね。

 

AIに1000字で要約してもらいました。

消化器外科医減少の危機と未来


日本消化器外科学会は、動画「消化器外科医がいなくなる日?~外科の危機から見える,私たちの医療の未来~」を通じて、消化器外科医の減少が日本の医療にとって深刻な危機であると警鐘を鳴らしています 。

 

消化器外科医は、食道から大腸、肝臓、膵臓、胆嚢まで広範な消化器疾患を専門とし、がん・緊急手術、化学療法、内視鏡、重症管理、看取りまで担う病院の中核的な存在です。


しかし、若手医師がこの分野を志さなくなり、その数は過去20年間で21%減少、今後10年で26%、20年で半減すると予測されています。

 

主な原因は以下の通りです。


•過酷な勤務環境: 

 

月80時間以上の時間外労働が常態化し、夜間・休日勤務も多く、睡眠不足やストレスが高リスクです。論文執筆や手術トレーニングなどの自己研鑽も勤務時間外に行われる「見えない労働」と化しています。

 


•責任に見合わない評価・報酬: 

 

高度な技術や重い責任、長時間労働にもかかわらず、給与が他の診療科と変わらず、サービス残業や手術手当の不透明さ、教育・術後管理の評価も不十分で不満につながっています。


 

•キャリア形成の困難さ: 

 

一人前になるまで長期間(19〜20年)を要し、専門医資格の取得も容易ではありません。

 


•高い訴訟リスク: 

 

命に関わる手術に伴う高い責任とリスクに対する対価が少ない現状があります。 アンケートの結果、医師の86%が自身の子供に消化器外科医を勧めないと回答しています。


このままでは、がん手術の待機期間延長や緊急手術の手遅れ等、国民が適切な医療を受けられなくなる可能性があります [3, 6, 14]。
 

 

 

解決策として、以下の取り組みが求められます。


 

•労働環境の改善: 

 

医療事務・特定看護師へのタスクシフト、主治医制からチーム制への移行による負担分散、休暇取得の促進などが提案されています。

 


•報酬制度の改革: 

 

手術の難易度・緊急性、術後管理、教育など「見えない労働」への正当な評価とインセンティブ導入が望まれています。海外の出来高評価制度も参考に、給与を増やす試みも一部で始まっています。


 

•医療の集約化: 

 

高度で複雑な手術を、症例数・成績の良い病院に集約し、質の向上と若手医師の効率的な育成を図ることが検討されています。

 


•社会全体の理解と支援: 

 

医師の働き方改革は患者の安全・安心な医療にも繋がり、持続可能な医療提供体制には政府・国民の協力が不可欠です。ただし、給与引き上げの財源や地方の医療空白化への懸念など、課題は依然として多いとされています。

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うちの息子はまさに消化器外科医です。

 

学年で2名だけ。

 

外科志望だと言うと上の先生方がものすごくかわいがって下さって、1年目から手術に入らせてもらい、今では手術をやらせてもらっているという成長ぶり。

 

とても頼もしいです。

 

息子になぜ外科医が減っているのか理由を聞いてみると、楽して儲けたい人は美容に行く、女医さんは眼科と皮膚科に集中、外科はプライベートがないからみんな敬遠すると。

 

実際、帰宅時間も遅くプライベートはほぼありません。

 

息子は結婚したのですが、こんな状況では子どもを作れないと言っていました。

 

全く子育てに関与できないからもう少し落ち着いてからにすると・・・。

 

こんな生活が一生続くとなると外科医という選択はないでしょう。

 

3年頑張れば・・・という期限付きならまだしも、子どもの顔も見られないという医師も多いそうです。

 

外科医の労働環境を改善しようにも、外科医がいないから、どんどん仕事がハードになるという悪循環。

 

手術が半年待ちとか、救急車で運ばれても手術ができる外科医がいない・・・なんて世界が待ち受けているのでしょうか。

 

これは医療だけの問題ではなく国全体で考えなければならないことだと思います。

 

動画は是非観て頂き自分事として考えて頂ければ幸いです。


<転載終了>