https://yocchan-no-blog3.blog.jp/archives/9778257.html
<転載開始>
ロシア経済を疲弊させ、プーチン政権を内部から崩壊させるべきだと唱え、米シンクタンクのランド研究所が提案したウクライナを舞台にした対ロ戦争政策は、今や、間違いなく、その目標を達成せず、裏目に終わりそうである。つまり、西側は過剰な政府の負債をさらに上乗せし、自国の経済を疲弊させている。各国の国内政治の方向性は大きく分断され、反政府系の政党が勢力を伸ばしている。ロシア・ウクライナ戦争を巡る西欧における状況は以前から数多くの専門家らによってさまざまな形で予測されていたことだ。
ところで、西欧の指導者らが推進してきたウクライナにおける対ロ代理戦争はグローバル・サウスを今まで以上に反米というイデオロギーの下で団結させている。たとえば、ある記事によると、最近、中国の天津で開催された上海協力機構のサミットは次のように伝えられている:
上海協力機構(SCO)の2025年のサミットは中国の天津で開催され、米国や西側の覇権の面前にグローバルサウス諸国間の連帯の強化を見せつけている。中国の習近平国家主席は、この会議に参加するSCO加盟国の指導者たちにそれぞれの地域と世界の平和とを安定的に守るためにより大きな役割を果たすよう呼びかけ、中国は自国を発展途上国を支援する安定したグローバルパワーであると考えている。習主席は全てのSCO参加国に巨大な市場を活用するよう促し、この会議に参加する指導者たちへに向けた開会の挨拶で、米国に直接挑戦する新しい世界規模の安全保障と経済秩序を確立するという野望を明らかにした。本サミットでの習近平大統領の発言は中国が発展途上国の主要な指導者としての地位を提示しようとする努力の中で行われたものであり、天津での本サミットはグローバルサウスの発展途上国との連帯を築く重要な機会を提供する。国際社会は、特に南半球の国々は、米国の覇権的な政策や命令に対抗する中、上海協力機構が国際的な安全保障や経済ガバナンスにおいて重要な役割を果たすことへの大きな期待を寄せている。
ロシアがその立場に多数の参加国を引き寄せることに成功する一方で、インドは平和を求める呼びかけと、ニューデリーが大量のロシア産石油を購入しているこの時期にウクライナの首都キエフとの関係を維持することとのバランスを取ろうとしている。ウクライナは本機構の参加国に明確な立場を取り、ロシアの侵略を拒否するよう呼びかけている。SCOサミットでは、ロシアのプーチン大統領はインドのモディ首相を親友と呼んでいる。プーチンは両国の関係が動的かつ前例のない形で発展していると考えている。これは中国とその密接な同盟国であるロシアとが主導し、支援しているグローバルサウスの発展途上国の政策間の強い連帯を反映している。
中国の天津市で開催されたグローバルサウスの発展途上国の集まりに関して、米国は天津でのSCOサミットは歓迎されないと見なした。これはトランプ大統領がグローバルサウスのブロックに対して繰り返して攻撃をし、BRICSグループの経済を制裁関税を通じて麻痺させ、阻害すると脅したこと、そして、SCOサミットを反米政策と表現したことを踏まえたものだ。(原典:The Importance of the SCO Summit for the Developing Countries of the Global South and the Third World: By , Sep/03/2025)
犬猿の仲と見なされたきた中国とインドがSCOサミットでプーチンと並んで笑顔を見せることになった共通の要素はいったい何なのか?それは反米である。米国の覇権から自由になりたいとする明確な各国の動きである。
米国政府による関税政策やウクライナにおけるNATO/米国による対ロ代理戦争、経済制裁といった危機的な状況の中、ヨーロッパ経済は低迷し、それを受けて主要国の国内政治の舞台においてはフランスや英国、ドイツ政府の支持率は史上で最低のレベルである。危険な程の混迷に見舞われている。
ここに「西欧と末期癌」と題された最近の記事がある(注1)。
本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。
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歴史を学んだことがある人ならば誰でもがロシアはしばしば西ヨーロッパとの対立に見舞われてきたことを理解している。
19世紀のロシア文学の代表的なものの多くは、ロシアの主権やアイデンティティ、ならびに、ロシア文化がいわゆる科学革命や啓蒙の時代に西ヨーロッパで解き放たれた強力な文化的および知的な力とどのように折り合いをつけることができるかという課題に関心を寄せてきた。
トルストイの「戦争と平和」は1812年のナポレオンによるロシア侵攻とその結果生じたトラウマを背景にしている。ロシアの心理にはもう一つのトラウマが1837年に起こった。ロシアで最も愛されていた詩人のアレクサンドル・プーシキンがフランスの士官ジョルジュ=シャルル・ダンテスとの決闘で致命傷を負った(訳注:、北郊のチョールナヤ・レチカで決闘を行った。この決闘で受けた傷がもとで、その2日後にプーシキンは息を引き取った。37歳だった)。ダンテスはプーシキンの美貌の妻に対してしつこく口説いていた。プーシキンは自身が「クックルドの騎士団の副大長」としておちょくられている手紙が公開されたことからダンテスに決闘を求める以外には選択肢がないと思ったのである。
ドストエフスキーの小説「悪霊」は、1871年から72年にかけて連載として発表された。これは若く理想主義的なロシアの男性たちが西欧から発信される世俗的な社会主義思想に取り憑かれる恐怖の物語である。ドストエフスキーの暗い将来像は1917年に現実と化したかのようで、カール・マルクスの哲学に取り憑かれた若者たちが国を掌握し、内戦に突入し、最終的には全体主義へと陥って行った。
1941年6月22日、ナチドイツは「バルバロッサ作戦」を発動し、これまでに編成された中で最も破壊的な軍事力でロシアに侵攻した。一部の推定によれば、1945年5月9日に最終的に終結したナチドイツとの戦争で兵士と民間人を合わせて2500万人のロシア人が犠牲となった。チャーチルはかつてロシアを「謎に包まれた謎の中の謎」と表現した。西洋人は常にロシアの心理を理解するのに苦労し、ロシア人が西洋をどのように見ているのかを理解するのに苦労している。
。なぜならば、そもそもロシア人は、米国政府を含めて、西側の政府を信頼すべきなのか?
私自身はは愛国的であって、納税している米国市民であり、私の家族は17世紀以来この国に住んでいるのだが、私は米国政府を信頼してはいない。
米国政府が2008年のブカレストでのNATOサミットでウクライナとジョージアをNATOに含めることを目指すと発表したとき、プーチンがこの目標をロシアにとって非常に脅威であると認識したのは正しいことであった。
この発表はまだ誰も答えようとさえもしていない切実な疑問を提起せしめた。それは、ウクライナにはいったいどうしてオーストリア式の中立協定が提案されなかったのかという点だ。
オーストリア式の中立協定がウクライナに提案されなかったという事実は米国政府の悪意を示すものに他ならない。
現在、西欧の政府はロシアに対する戦争の太鼓を響かせている。われわれ西側の人々はロシアこそが西欧に脅威を与えているとして、連中はわれわれに保証を与える英国やフランス、ドイツ、EUの指導者たちを信じるべきだと告げているが、実際はまったくその逆なのである。
私はウラジーミル・プーチンを知らないが、EUの大統領ウルズラ・フォン・デア・ライエンの行動をしばらくの間注意深く観察してきた。
2021年、彼女はファイザーのCEOアルバート・ブーラと秘密のテキストメッセージを交わし、EU委員会がファイザー・ビオンテックの無効でしかも危険な遺伝子治療ワクチンを18億回の接種分を購入する詳細について話し合った。これは欧州の人々に投与するためだった。
2024年10月、彼女はEU市民が厳格な検閲のもとで「偽情報に対してワクチン接種をする必要がある」と宣言する演説を行った。
最近の数か月、彼女は西欧はロシアとの「戦争に備える必要がある」と主張している。
ウラジーミル・プーチンは過去にKGBで働いていたにもかかわらず、彼は現在の西欧の指導者たちよりもはるかに知的で、合理的な人物であるように思える。冷戦後のある時点で彼は何らかの「ダマスカスの瞬間」を経験した可能性がかなり高いと感じられる。
プーチンは、近年、良く言っても妄想に囚われていることを示すような言動や行動をしている現在の欧州の「指導者たち」とは対照的だ。彼らは、おそらく、悪意を持っているのではないか。
複雑な状況を評価しようとするとき、われわれは状況の全体を検討しなければならない。2020年から2024年にかけて、西側諸国(米国と西欧の両者)は政府における転移性の悪性の癌に苦しんできた。この癌の症状にはワクチンの義務化や気候変動、検閲、制御されてはいない大規模な移民の受け入れ、性転換医療といったさまざまな極めて不気味な執着が含まれている。多くの点においてドイツとイギリスは、特に、いわゆる「気候変動」の領域においては奇妙な政策によって自殺を図っているとさえ言える程だ。
ウィーンに住んでいる古い友人が、最近、ドイツ人に関してウィットに富んだコメントを送ってくれた。
Deutsch sein heisst jede Sackgasse bis zum Ende abschreiten.
大まかに訳すと、これは「ドイツ人であるということはすべての袋小路についてその端に至るまで歩くことを意味する」となる。
ドイツ政府は「代替エネルギー」の件で袋小路の終わりに向かって進んでおり、今はロシアとの戦争の袋小路でもその終わりに向かって歩もうとしているかのようだ。ドイツ人には自殺的な傾向があるのではないかと思わざるを得ない。
もうひとつの不気味な執着は西側がウクライナに抱いている執着だ。ウクライナは、長い間、クリントンとバイデンの犯罪ファミリーと関係を築き上げてきた少数のオリガルヒたちの個人的な遊び道具であった。
ウクライナのオリガルヒ、ビクトル・ピンチュクはクリントン財団に大規模な寄付を行い、ミコラ・ズロチェフスキーは危険なハンター・バイデンにバリスマ・ホールディングスの取締役会の椅子を用意し、さまざまな特典を与えた。
現在、トランプ大統領は、明らかに、ジョー・バイデンによる奇妙な操り人形のような大統領職の間に末期的段階に近づいてきた米国の政治体制の癌を治そうとしているのだ。
トランプ大統領が今出来る最善の策はロシアと和平を結び、プーチン大統領との協力関係を築くことだ。
逆説的に聞こえるかも知れないが、米国とロシアの良好な関係は西欧の安全を確保するための最善の希望を提供する。西欧はスターマーやマクロン、メルツ、フォン・デア・ライエンが彼らの役職から去るまでは転移性の癌と末期的な愚かさに苦しみ続けることであろう。
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これで全文の仮訳が終了した。
著者のジョン・リークは歴史家である。国際政治における出来事についての彼の分析には歴史的な対照や視点がふんだんに取り入れられ、説得力のある語り口が分かり易さを確実にする。この記事では、ロシア文学を取り上げ、ロシアが如何に西欧によって苦難を与えられて来たかを例証しようとしている。そして、「西洋人は常にロシアの心理を理解するのに苦労し、ロシア人が西洋をどのように見ているのかを理解するのに苦労している。」と総括している点が興味深い。
「歴史を学んだ誰にとっても明らかなことのひとつはロシア人が西側を信頼しないことには完全に正当性があるということである」という見方は、ロシア・ウクライナ戦争が2022年2月に何の理由もなくロシア軍のウクライナへの侵攻によって始まったとする西側メディアの歪曲報道を非難したい論客にとっては強力な視点になりそうだ。日本でもメディアは同じ状況であった。当時、大手メデイアは、2014年以降の8年間にウクライナ政府軍がロシア語住民が多い東部の州を武力で弾圧した事実には何も触れず、「武力侵攻したロシアが悪い」、「プーチンは悪党だ」というイメージ作りに専念していた。
西欧政治の現実は末期的な段階に至った悪性の癌のようであるとなぞらえた著者の表現はわれわれ素人にとって非常に分かり易い。多くの人に分かって貰うために工夫をこらす著者の意図に感謝したい。
参照:
注1:: By John Leake, Aig/26/2025
<転載終了>
