マスコミに載らない海外記事さんのサイトより
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2025/10/post-e5963d.html
<転載開始>
フィル・バトラー
2025年10月7日
New Eastern Outlook

 今日のサーカスでは、外交政策は煙の充満した部屋で書かれるのではなく、先物市場で取り引きされている。トランプの投稿、メドベージェフの辛辣な発言や、ドローン攻撃は、戦略というより株価動向に左右されているようだ。


 
 ドミトリー・メドベージェフのテレグラム発言は、しばしば痛烈な皮肉と地政学的予言の境界線を横断する。彼の最新投稿も例外ではなかった。彼はゼレンスキー大統領を「コカイン中毒の道化師」と揶揄し、ポーランド人側近を皮肉り、ロシアが崩壊し、ウクライナが躍進し、バイデンとオバマが末永く幸せに統治する「もう一つの現実」に陥ったトランプを揶揄した。

 だがオチを抜きに考えてみると、もっと深いところに流れがある。トランプ発言は一体なぜこれほどまで大きく揺れ動くのか。ロシアは、ある週は強く、次の週は弱く、時には「張り子の虎」にさえなる。答えはイデオロギーではない。石油だ。そして武器だ。そして商品取引所の商品だ。

 化石燃料パラパラ漫画
 ゲームの仕組みは以下の通りだ。
 
  • ロシア製油所に対するウクライナ・ドローン攻撃と破壊工作をワシントンとブリュッセルは密かに承認した。
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  • ロシアが燃料輸出を削減し、供給が逼迫し、世界価格がわずかに上昇する。
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  • トランプ大統領が音響室に現れ、ロシアを破産したと非難する一方、アメリカ石油供給業者が割高価格で西テキサス産原油をヨーロッパに大量供給している。
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  • おまけに、インドのような国に対するロシアの関与が弱まる可能性もある。
 2024年、アメリカはEU最大石油供給国となり、5億7300万バレル、つまりヨーロッパ総輸入量の16%以上を占めている。これは単なる貿易統計ではなく影響力の源泉になっている。リャザンやニジネカムスクの製油所が炎上する度に、ヒューストンとミッドランドは微笑む。

 超大国はソーシャルメディアの気分変動を通じて外交政策を運営している。その揺れは石油大手や武器商人の資金の流れと非常に似た動きをしている。

 この戦略は欧州にとどまらない。ロシアからインドへの割安な石油の流れが途絶えれば、インド政府は突如湾岸諸国との交渉、あるいはいざとなればワシントンとの交渉を、より厳しくせざるを得なくなる。クレムリンはパートナーを失い、アメリカは利益を稼ぎ、トランプを支持する大手石油会社は新たな勝利を手にする。そしてその裏で、最高権力者である義理の息子ジャレッド・コーリー・クシュナーが熱狂的なスマートフォンで「これを買え、あれを売れ、これは保有しろ」と叫んでいる。まあ、お察しの通りだ。

 証券取引所立会場からの視点

 もう一つの戦略を忘れてはいけない。それは、ノイズのタイミングを計ることだ。ウォール街と衛星企業は、ニュースの見出しに基づいて先物取り引きをしている。トランプがロシアを「終わりだ」と宣言すると、株価は下落または急騰する。そして、トランプの筋書きを知っているインサイダー連中は先手を打って取り引きをする。

 防衛関連株にも同じことが言える。トランプの強硬発言は、ロッキード・マーティンレイセオンの株価を1日で4~5%押し上げる可能性がある一方、突然の「平和ツイート」は、一夜にして時価総額を数十億ドルも下落させる可能性がある。このように政治劇は取り引きアルゴリズムを兼ねている。そして、利点は? 「もっともらしい否認」だ。トランプはパイプライン容量やタンカー日程やNATOの兵器発注などを理解している必要はない。適当に何か言うだけで、ヒューストンやベセスダ、あるいはパームビーチの誰かが儲ける。現実は、世界で最も権力のある人物を世界は見ていないのかもしれない。ラリー・エリソンや、ルパート・マードックや、ブラックロックや他の富豪の策略家連中が操っている踊るピエロを目撃しているだけかも知れない。

 メドベージェフのジョークが重要な理由

 だから、ゼレンスキー大統領にトランプが降伏条件、あるいはマスクとの火星ロケット旅行を近々提示するかもしれないとメドベージェフが皮肉を言う時、単なる煽り文句ではない。ソーシャルメディアの感情の起伏で外交政策を左右する超大国の不条理さを指摘しているのだ。しかも、その起伏は巨大石油企業や武器商人の資金の流れと実に密接に連動している。ウクライナに関しては、欧州の銀行家やブラックロックの海賊連中が、世界で最も資源豊富な国の一つ、ウクライナの再建や、残された資源の民営化を待ち構えているのは既に周知の事実だ。

 メドベージェフは笑うが、彼のジョークには歯が立たない。キーウの道化師や、ニューヨークのバブルガム預言者や、テキサス石油産業が「張り子の虎」見出しで静かに富を築いている。これが新たな地政学だ。では国民は? いや、国民はただ大地を牛のように鳴きながら、権力者が分け前を受け取った後の残りを消費しているに過ぎない。そして、これら全てが、恐れるものと、迫り来る大惨事との間の非常にきわどい状態に我々がいる時に起きているのだ。

 ああ、それから「いかにしてジャレッド・クシュナーが中東で大胆な賭けに出て億万長者になったか」というフォーブス記事も是非お読み願いたい。そう、もはや連中は、あなたが知っているかどうかなど気にしていない。

 フィル・バトラーは政策研究者、評論家、政治学者、東ヨーロッパ専門家で、最近のベストセラー「Putin’s Praetorians(プーチンの近衛兵)」などの著書がある。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2025/10/07/paper-tigers-oil-barrels-and-trumps-flipbook-foreign-policy/

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<転載終了>