みのり先生の診察室さんのサイトより
https://ameblo.jp/drminori/entry-12936449595.html
<転載開始>

Natureに掲載された論文でちょっとビックリする内容があったのでシェア。

 

 

要約しました。

 

加熱式たばこを吸う人は、仕事中に「転びやすい」?
 

 

先に結論を言います。

・日本の働く人1万8千人超の調査で、たばこを現在使っている人は、使っていない人より転倒が多いと判明。

・とくに加熱式たばこ(HTP)だけ吸う人は約1.8倍、紙巻と併用の人は約1.6倍、仕事中に転ぶ割合が高かった。骨折でも同じ傾向。

・短すぎる/長すぎる睡眠、糖尿病、睡眠薬や抗不安薬の常用なども転倒リスクと関連。若い世代でも油断禁物。

 

 

  研究はどんなもの?

 

2023年9~11月に実施された全国ウェブ調査(横断研究)。

 

対象は就労者18,440人。

 

主な結果は2025年6月6日にScientific Reportsで公開。

過去1年の「仕事中の転倒」と「転倒による骨折」の有無を自己申告で集計。

 

たばこは未使用・過去使用・現在使用で分け、現在使用は紙巻のみ/加熱式のみ/両方に分類。

 何がわかったの?

 

・仕事中に転んだ人は7.3%、骨折は2.8%。

・現在の喫煙者全体でみると、未使用者より約1.36倍転倒が多い。

加熱式のみ…約1.78倍

・紙巻+加熱式…約1.64倍(いずれも未使用者と比べた比率)

・20–39歳の若手層で関連がより強い傾向。


生活習慣では、

 

(1)極端に短い/長い睡眠

(2)高い身体活動(仕事内容による負荷も反映)

(3)糖尿病

(4)睡眠薬・抗不安薬の常用

(5)仕事機能の不調(WFun高値)

 

などが、転倒と関連。
 

 

  なぜ加熱式で転びやすくなるの?

 

研究は原因を直接証明していませんが、考えられる背景として:

・ニコチンが姿勢の安定や前庭機能に影響する可能性。
 

・使用シーンの自由度(屋内外で吸いやすい)が、注意散漫や足場の悪い場所での使用につながる可能性。

 

 

  今日からできる転倒予防チェック

 

 

たばこ対策

「加熱式なら安全」は誤解。

 

禁煙支援(医療機関・職場のプログラム・禁煙外来)を検討。

 

睡眠の見直し

目安は6–9時間。

 

5時間以下/10時間以上が続くなら生活リズムを調整。

 

薬の確認

睡眠薬・抗不安薬を使っている方は、服用タイミングや量を主治医と相談。

 

日中のふらつき対策を。

 

 

足元と姿勢

階段・段差・湿った床はスマホ・喫煙しながら近づかない。

 

手すり使用と滑りにくい靴を基本に。

若い人も油断しない

仕事中の転倒は若い層にも多い。

急ぎ作業や夜間勤務は、こまめに小休止&水分補給。
 

 

  事業所・産業保健スタッフ向けポイント

 

・環境対策+行動対策のセットが有効(禁煙支援、睡眠衛生、服薬の安全教育)。

・若年就労者も対象に含めた転倒予防教育。

 

・“ながら喫煙”禁止の周知。

・安全朝礼で「最近ヒヤリ(ニアミス)ありませんでしたか?」の声かけを定例化。

 

ニアミスは約1割が経験(本研究の自己申告)。

 

  注意点(研究の限界も正直に)


横断研究・自己申告のため、因果関係は断定できない。

 

使用量や吸う場所は未把握、未測定の交絡の可能性も。

 

とはいえE-value解析では、結果を打ち消すにはかなり強い交絡が必要という示唆。
 

 

  よくある誤解Q&A

 

Q. 加熱式は煙が少ない=安全でしょ?

A. 「煙(煙霧)」が少ないことと転倒リスクの低さは別問題。本研究では加熱式のみ使用者で転倒リスクが最も高い結果でした。
Nature
 

 

Q. 若いから大丈夫?
 

A. いいえ。若年層でも関連が強い傾向が示されています。

 

Q. まず何をすれば?

A. 禁煙の第一歩+睡眠リズムの是正+服薬の見直し。これだけでもリスク低減が期待できます。




いかがでしたか?
加熱式たばこの方が健康に良いというイメージがありましたが、加熱式たばこのほうが健康に悪いようですね。

ちなみに私は加熱式たばこ含め患者さんには禁煙をお勧めしています。

 

タバコは百害あって一利なしなのでニヤニヤ

<転載終了>