マスコミに載らない海外記事さんのサイトより
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2025/11/post-83ee1b.html
<転載開始>


Pepe Escobar
2025年11月10日
Strategic Culture Foundation

 西から来る征服者がパミール高原を横断することはないと歴史は定めていた。アレクサンダー大王もそうだったし、イスラム教もそうだった。だが中国征服者のティムール・トランプもそうなるかもしれない。

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 期待を裏切らず、彼お得意の単純化思考の賢者風せりふで、何世紀にもわたる複雑なハートランド史をドナルド・トランプ大統領は定義した。

 「ここは世界の中でも厳しい場所だ。ここより厳しく賢明な場所はない。」

 さて、チンギス・ハンからティムールまで、あらゆる腕っ節の強い連中は今ほっとしているかもしれない。特に、ホワイトハウスでの写真撮影兼夕食会に団体で招待された、中央アジア5カ国(カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)の指導者たちはほっとしていることだろう。
 古代シルクロードの砂粒一つ一つが知っている通り、ティムール・トランプにとって自慢話はまさに天職だ。彼はウズベキスタンとの「素晴らしい」貿易協定を称賛した。ウズベキスタンとの「驚異的」貿易協定を彼は称賛した。この協定に基づいて、タシケントは鉱物資源、航空、インフラ、農業、エネルギー・化学、ITなどの重要分野で、2035年までに総額350億ドル、最大1000億ドルに上る購入と投資を行うことになる。

 タシケントがどのようにして資金調達し、どう具体的に投資する予定なのか詳細は一切明らかにされていない。だが、これは実利的な実務家、ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領がティムール・トランプを惜しみなく称賛する絶好の機会になった。

 「ウズベキスタンでは、あなたを世界の大統領と呼んでいます。(中略)あなたは8つの戦争を止められました。(中略)

 カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領も、この発言を忠実に繰り返した。

 多くの国の何百万人もの人々があなたに心から感謝しています。あなたは偉大な指導者で、政治家で、我々全員が共有し、大切にしている常識と伝統を取り戻すため天から遣わされた方です。あなたの大統領職の下、アメリカは新たな黄金時代を迎えています。平和の大統領として、トランプ氏はわずか8ヶ月で8つの戦争を終結させました。

 そして、まさにその通り、崩壊しつつあるアブラハム合意にカザフスタンが署名する用意があるとトカエフ大統領は正式発表したが、アスタナは1992年に既にイスラエルと正常化しており、テルアビブとは常に比較的緊密な関係を保っていたことを考えれば、これは全く冗長なことだ。

 訳:アブラハム合意詐欺は、アメリカとカザフスタンによるハイテク金属・希土類元素取り引きの締結を巡る持ちつ持たれつ関係の一環だ。ここで唯一重要なのは、中国の希土類元素規制を回避し、自国のハイテク・防衛分野への供給を継続しようと、アメリカとイスラエルがサプライチェーンを急ピッチで争っていることだ。

 中央アジアは、レアアースとウランが豊富だ。問題は、現時点でアメリカよりロシアと中国にカザフスタンが遙かに多くの鉱物を輸出していることだ。

 ティムール・トランプは、とにかく満面の笑みで「素晴らしい指導者を擁する素晴らしい国だ」とトカエフに言及した。

 さて、この「素晴らしい」国は、SCOの正式加盟国で、BRICSパートナー(ウズベキスタンも同様)で、中国に非常に近い一帯一路(BRI)のパートナーで、ユーラシア経済連合(EAEU)の正式加盟国で、独立国家共同体(CIS)の正式加盟国でもある。

 そのため、カザフスタンはロシアと中国との戦略的協力関係と非常に緊密な貿易関係を享受している。更に、彼らの商売用の言語は依然ロシア語が主流だ。

 再び問題の核心に触れよう。ティムール・トランプはBRICS/SCO連合を内部崩壊させることに固執しているようだ。もちろん「スタン諸国」が従順でなければ、いわゆるカラー革命の企みとまでいかないにせよ。ちなみに最近隣国キルギスタンが主導したカザフスタンでのカラー革命の企みでトカエフ政権を救ったのはプーチン大統領とロシア軍だった。  
戦略的転換の特徴

 ティムール・トランプは「シルクロードのつながり」を復活させたいとさえ言った。少なくとも、彼の話は2010年代初頭、ヒラリー・クリントンが、依然戦争状態にあるアフガニスタンを中心とするアメリカ版シルクロードの構築を企てたはかげた話とは違う。

 ティムール・トランプは「C5+1」構想、つまりアメリカと「スタン諸国」の枠組みに言及した。これは「安定」とは無関係で、戦略的拡大に他ならない。特に今、混沌の帝国は20年の歳月と数兆ドルを費やし、タリバンを、タリバンに置き換えるのに成功し、事実上アフガニスタンに別れを告げるべき状況にある。アフガニスタンは、中国・パキスタン経済回廊(CPEC)と並行するプロジェクトとしてSCOとBRIに徐々に統合されつつある。

 つまり、ティムール・トランプの見世物は、アメリカ投資を雪崩のように押し寄せさせ、ひいては中央アジア地域へのより深い関与と影響力の拡大という狙いに尽きる。これは、不安定な鉱物資源サプライチェーンや大量の派手な「投資」といったものではなく、むしろ戦略的方向転換を狙ったものだ。まさに夢物語だ。

 パイプラインに関しては、2000年代半ばに、今や故人となった戦争犯罪人ディック・チェイニーがハートランドのパイプラインをアメリカに有利に利用しようと、あらゆる手を尽くした。貿易「代表団」を24時間体制で派遣するなど。だが全て無駄に終わった。

 ハートランドのチェス盤で混沌の帝国が再起を企てている可能性をロシアは十分承知している。その影響力は、一連のNGOや「教育」計画や「管理委員会」といった、いつもの札付き連中によってもたらされている。

 ティムール・トランプは「巨大な」ハートランドを一枚岩のように見ている。地図上で正確に指し示せると仮定すればの話だが(彼らの歴史はさておき)。かつてはソ連時代のようにロシアの一部だった。だから今、彼らはアメリカの猛攻に最大限備える必要がある。実に単純な話だ。

 予想通り、眠れないほど心配はしない姿勢をロシアは見せている。クレムリン報道官ドミトリー・ペスコフは「C5+1の場で中央アジア諸国とアメリカが協力するのは極めて自然なことだ」と述べた。ペスコフとロシア指導部は、ロシアと中央アジアの「スタン諸国」が頻繁に会合を開き、あらゆることを話し合っているのを十分認識している。前回の会合は1ヶ月ほど前だった。

 では、なぜ今なのか? ティムール・トランプの攻勢だ。混沌の帝国は、ロシアと中国を真に制圧する力がないにもかかわらず、南半球全域で猛威を振るっている。以前、ウズベキスタンのミルジヨエフ外相とカザフスタンのトカエフ外相は、ニューヨークで開催された第80回国連総会の傍らアメリカ財界首脳と会談した。もちろん彼らは商売について語った。

 そして彼らはやり方を知っている。依然ワシントンは世界金融市場に対して完全な影響力を持っている。ジャングルの王者を敵に回すのは賢明ではない。壊滅的制裁が間近に迫っている。「スタン諸国」が石油、ガス、レアアースへの帝国主義的執着を利用できる限り、それで構わない。しかし、ロシアと中国の観点から見れば、中央アジアにおける米軍基地問題が再び議題に上れば、全く別の話になる。
 
さあ頭蓋骨のピラミッドを建てよう

 ティムール・トランプとその「鉄の帝王」前任者の間には、目に見える以上に多くの魅力的な類似点がある。

 
ウズベキスタン、シャフリサブズのティムール。写真:PE

 ティムールは、絶対征服者チンギス・ハンの親族で、自ら模範としていると自負していた。西洋が記した歴史は、ティムールを残酷な伝説の人物として描いている。真の残虐行為と見なされるためには、言語に絶するほどの恐怖をもたらさなければならなかった時代に、連続虐殺を行った人物として。

 ティムールの伝説には、斬首された敵やその頭蓋骨が山積みになった血みどろの「塔」が延々続く。これはモンゴルの伝統に宗教的な意味合いが込められており、ティムールはそれを科学的手法にまで高めた。ティムールにとって、恐怖には何よりも緻密な秩序が求められた。バグダッドには750体の首が積み重なった塔が120基、エスファハーンには7万体の首が軍団間で公平に分割され、積み上げられた。

 しかし、知識人、職人、芸術家、宗教関係者は処刑を免れた。ティムールは再びモンゴルの原則を体系化し規定した。有能で有用な囚人は生かしておくべきだという原則だ。

 重要な戦略原則は、抵抗する者を根絶することだった。最終的には抵抗がなくなり、城塞は自発的に陥落するはずだ。ティムールの治世に、それが規範となった。即時降伏は人命救助という報酬で報われ、敵は屈服し身の代金を支払わなければならなかった。抵抗が長引いた場合、都市は略奪を含む代償を払うことになるが、民間人は救われる。第三の要約:強姦と略奪と完全な殲滅を意味する地獄。

 しかし、このアミールが大洋のハンとして君臨したのは単に残酷だったからではない。ティムールは(強調は筆者)テロ戦争を開始したが、世界の終末を信じる集団的信念を煽ることはなかった。ちなみに、ヨーロッパは彼を愛した。彼はジョチ・ウルスによるロシア正教徒虐殺を阻止し、キリスト教最大の敵であるオスマン・トルコのバヤズィトを倒す前に、コンスタンティノープルのバシレウスと取り引きしたためだ。

 つまり、ティムールは西洋の客観的同盟者だった。決して危険な存在ではなかった。加えて、彼は外交に非常に長けていた。百年戦争で王国が滅亡する前に、フランス国王シャルル6世は金箔で書かれ、ティムールの印章(宇宙征服を象徴する三つの円)が押された手紙を受け取った。ティムールは貿易協定を望んでいた。しかし、ヨーロッパの無能さゆえに、結局実現しなかった。

 ティムールの宮廷は派手なマール・アル・ラーゴではなかった。そこは真の富裕と贅沢な趣味の頂点で、素晴らしい宝石、放浪する象、豪華な衣装、素晴らしい家々があった。

 彼はサマルカンドに埋葬されている。他のティムール朝王族から見事に隔離された黒翡翠の一枚岩を頂部に戴く厳粛な墓所だ。彼は精神的指導者、サイード・バラカ・ハーンの背後に安置されており、廟の門には「世界が彼を拒む前に、世界を拒んだ者は幸いなり」という純粋なスーフィー碑文が刻まれている。

 
サマルカンドのティムールの墓。写真:PE

 ティムールは本質的に部族トルコ人で、イスラム教徒で、思想的にはモンゴル人だった。まさに矛盾に満ちた人物だった。人生の一部をジョチ・ウルスや他のモンゴル族(彼自身より遙かに多くのモンゴル人)の首脳との戦いに費やしたにもかかわらず、彼は自らをチンギス・ハーンの後継者だと宣言した。

 オスマン帝国のバヤズィトを倒し、事実上コンスタンティノープルに50年の猶予を与えたにもかかわらず、彼はトルコ人だった。

 そして、たとえキリスト教徒と同盟を結び、シャーマニズム最高の伝統に従って異教の神々に敬意を払っていたとしても、彼はまた自らをコーランの信奉者とみなしていた。彼運搬可能なモスクを携えて戦争に赴いた。

 ティムールは究極のシルクロードの夢を抱いていた。それは中国征服だった。モンゴル統一が虚構となり、元皇帝が完全に中国化され、トランスオクシアナの突厥・モンゴル人と大きく違うことが判明した時でさえ、彼らは依然元朝の宗主権を認めていた。

 
サマルカンドにて:ティムール帝国は拡大を続けた。だが中国を征服することはなかった。写真:PE

 だが、明王朝になると、全く異なる物語が展開した。ティムールは征服遠征の準備を進めていた1405年、オトラル(現在のカザフスタン南部)で熱病に倒れ、遺言を口述し、10万人の兵士を空虚な場所に残した。

 明王朝は大難を逃れた。そのため、西から来る征服者がパミール高原を越えることはないと歴史は定めていた。それはアレクサンダー大王にもイスラム教にも起きたことだ。

 だが中国征服者ティムール・トランプならそうなるかも知れない。もちろん彼の心の中で。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/11/10/timur-trump-sets-out-to-reconquer-the-heartland-really/

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 昔観光で訪問したサマルカンド、グーリ・アミール廟のPepe Escobarによる写真をみるとは驚くばかり。
Professor John Mearsheimer: Everyone Knows What Israel Is Up To | Mearsheimer LATEST Trump US Lobby 16:43
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