eternalturquoiseblue(旧kamakuraboy)さんのサイトより
https://ameblo.jp/ymhkobayasis/entry-12958690216.html
<転載開始>

 

 

■国連憲章・国際法の大原則

主権平等に基づく各国の領土保全・政治的独立の尊重と、武力による威嚇・行使の原則禁止(2条4項)があり、紛争は平和的手段で解決することが義務付けられ、武力行使は安保理の許可か自衛権(51条)のみが例外的に認められている。

 

例えば今年の1月、ベネズエラの体制転覆のために米軍がベネズエラに対して起こした軍事攻撃は安保理の許可を経ていないし、ベネズエラからの麻薬密輸に苦しむ米国であっても、軍事侵攻や現職の大統領拘束という体制転覆を図ることは国際法の上の悪しき前例となったと多くの国々から批判されました。

 

■2025年米軍によるベネズエラ攻撃の後に国連で行われた議論

会合には理事15カ国に加え、当事国ベネズエラや周辺諸国などが参加し、ベネズエラのモンカダ国連大使は、米国の行為は「国連憲章の明白な違反」だと訴え、ベネズエラの主権だけでなく「国際法の信頼性、本機関の権威、いかなる国も世界秩序の裁判官や当事者、執行者となることはできないという原則の正当性も危険にさらされている」と指摘。

 

「国家元首の誘拐や主権国家への爆撃、さらなる武力行使をするという公然の脅しが許容、軽視されれば、法は任意であり武力が国際関係の真の権威だという壊滅的なメッセージを世界に伝えることになる」と述べ、安保理に対し責任を果たすよう求めた。

 

ブラジルの代表は、米国の軍事行動は「容認できない一線を越えている」と批判。「こうした性質の行動を容認すれば、暴力、無秩序、多国間主義の衰退が際立つ筋書きを容赦なく引き起こし、国際法と国際機関の損害に通じるだろう」と述べた。

 

デンマークの代表は「麻薬対策は他のあらゆる取り組み同様に国際法に厳格に従って行われなければならない」と強調しました。

キューバの代表は「米国によるベネズエラへの軍事攻撃は一切正当化できない」と強調。米国の究極の目的は「麻薬密輸と戦うという誤った物語ではなくベネズエラの天然資源を支配することだ」と批判しました。

 

南アフリカの代表は「力に訴えることが正しいという信念が強まり、外交が弱まっている」と指摘。「主権国家への軍事侵攻は不安定さしかもたらさず危機を悪化させるということを歴史は繰り返し示してきた」と強調。

 

一方、ウォルツ米国連大使は、米国の行為は「合法な起訴を推進するための法執行だ」などと正当化し、マドゥロ氏について「非合法な『大統領』だ。国家元首ではない」などと主張。

 

国連・グテーレス事務総長は、「危険な前例となる」とした上で、「国連憲章を含む国際法を全ての人が全面的に尊重することの重要性を引き続き強調する」と語った。

 

EUのカヤ・カッラス欧州委員会副委員長も、マドゥロ大統領には「正統性がない」としつつも、平和的な政権移行を支持すると述べて「いかなる状況下でも、国際法の原則と国連憲章が尊重されなければならない」とした。

 

 

 

■イスラエルによるイランに対し繰り返し行われてきた先制攻撃

イスラエルはこれまでも「イランの核開発を阻止するため」として、2年前の2024年4月と10月や昨年の6月13日から先制攻撃で、イラン国内の核関連施設や通常軍事能力、軍司令官、核科学者らを標的にした攻撃を行っています。

 

このときイランは報復としてイスラエル国内に対しミサイルやドローンを発射し反撃して交戦は12日間続き、6月22日には米軍が「ミッドナイト・ハンマー」と名付けた空爆攻撃でイスラエル側に加わってイランの核関連施設3カ所を爆撃。

 

トランプ大統領は昨年の作戦後、「壮大な軍事的成功」と述べて「イランの主要な核濃縮施設は完全かつ全面的に消滅した」と主張していました。

 

 

 

■ではなぜ、今回のような軍事行動が再び起こったのか?

2025年の攻撃直後から、IAEA(国際原子力機関)などは「核開発を数か月遅らせたに過ぎない」との見解を示し、実際にイランはその後もウラン濃縮を継続し、2026年3月時点では核兵器9発分に相当する濃縮ウランを保有しているとの分析が出ていたそうです。

 

しかし、仮にイランが核兵器9発分に相当する濃縮ウランを保有しているからといって、イスラエルや米国によるイラン攻撃は国際法の観点では明らかに問題があります。

 

例えば日本なども濃縮ウランなら大量に保有しています。しかも「兵器級」ウランの保有量については歴代のどの政権においてもこれまで1度も明らかにしてません。

 

 

■濃縮ウランの保有を根拠に武力攻撃が自国の「自衛権」であるとするなら・・・

核兵器への転用が可能な高濃縮ウランを日本はどれだけ保有しているのか、その量を明らかにしない従来の政府方針が岸田文雄政権でも貫かれている。取材に対して原子力規制庁は「高濃縮ウランの国内保有数については当庁では公開しておりません」と答えた。

 

原子力委員会の事務局の内閣府も、外務省も、文部科学省も同様の対応だった。岸田首相は「ヒロシマ・アクション・プラン」で中国など核兵器国に対し核戦力の透明性の向上を呼びかけており、2022年8月には高濃縮ウランを含む核分裂性物質の「生産状況」に関する情報開示を各国に求めたが、その「保有状況」には触れていない。

 

核分裂性物質のうちプルトニウムについて日本政府は、国際原子力機関(IAEA)の取り決め(Guidelines for the Management of Plutonium)に基づき、原子力委員会が毎年夏に保有量を公開している。

 

しかし、原爆への転用が可能な高濃縮ウランの保有量については、日本の政府機関のウェブサイトやここ30年の主要新聞の記事データベースを検索した限りでは、公開された実績は見当たらなかった。

 

同じ理由を盾に他国が日本を先制攻撃することも自衛権の範囲であるという口実に使われかねないのでは。

 

 

■米国側の主張の矛盾

今回の攻撃を決定づけたのは米国とイランの核協議の決裂で、2月に入り、トランプ政権は新たな核合意を目指してイランと交渉を再開したが、核施設の破壊を求める米国と、民生用の核保有を主張するイランが対立し、2月26日の高官協議で、米側が提案した平和利用を目的とした核燃料の無償提供をイラン側が拒否し、トランプ氏が攻撃を決断したとの説がある。

 

米政府高官は攻撃後、イランが米本土に届く大陸間弾道弾(ICBM)の開発を進めていたと強調し、「差し迫った軍事的脅威」があったと主張したが、昨年の米政府の分析はイランがICBMを持つ時期を「2035年まで」と予測しており、矛盾が指摘されている。

 

 

■イスラエルによる領土拡張欲

一方、国際法の大原則と照らし合わせ主権国家に対して、明らかに逸脱し続けているのが、イスラエルです。

 

イスラエルはガザ地区を奪う目的で2007年から16年以上にわたり、ガザの陸・海・空を封鎖し、人や物の移動を厳格に制限。エネルギーや物資の供給を統制する「事実上の占領」状態にありました。2023年以降の再侵攻と完全支配の動きとして 2023年10月の戦争開始後、イスラエル軍はガザ地区内での軍事作戦を拡大し、2025年時点でも、ガザの恒久的な支配や再占領を視野に地上戦を継続しており、人道支援も制限してきた。

 

こうしたイスラエルによるパレスチナの領土の「事実上の併合」に対し、国際司法裁判所(ICJ)は、イスラエルの占領政策を「事実上の併合」であり、国際法違反であると指摘。

 

 

現時点において、イスラエルと米国によるイラン攻撃を国際法違反と断言している国として、ロシア、中国、トルコなどが挙げられます。

プーチン大統領「ハメネイ師の暗殺はあらゆる道徳的および法的規範に対する冷笑的な違反」

モスクワ、3月1日。/TASS/。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、イランの最高指導者アリー・ハメネイ師とその家族の暗殺は、あらゆる人間の道徳規範と国際法に対する冷笑的な違反であると非難した。

 

「イラン・イスラム共和国の最高指導者セイエド・アリ・ハメネイ師とそのご家族が、人間の道徳規範と国際法のあらゆる規範を冷笑的に侵害して暗殺されたことに関し、心より哀悼の意を表します」と、ロシアの指導者はイランのマスード・ペゼシュキアン大統領に宛てた電報で述べた。電報の本文はクレムリンのウェブサイトに掲載されている。

プーチン大統領は「最高指導者の家族や友人、政府、そしてイラン国民全員に心からの哀悼と支援を伝えてほしい」と付け加えた。

 

2月28日、米国とイスラエルはイランに対する軍事作戦を開始した。テヘランを含むイランの主要都市が攻撃を受けた。ホワイトハウスはイランからのミサイルと核の脅威を理由に攻撃を正当化した。

 

イラン国営テレビは、イランの最高指導者が殺害されたと報じた。イラン最高国家安全保障会議のアリ・ラリジャーニ議長は、故アヤトラ・アリ・ハメネイ師の後継者が選出されるまで、最高指導者の職務は最高評議会が引き継ぐと発表した。

 

トルコ大統領、米イスラエルのイラン攻撃非難 「明白な国際法違反」

トルコのエルドアン大統領は2日、米国・イスラエ​ルによるイランへの攻撃は国際‌法の「明白な違反」だと批判した。また、トルコはイラン国民の痛みを共有して​いると述べた。

 

エルドアン氏はラマダ​ン(断食)明けの夕食会で、今⁠回の攻撃は「国際法の明らかな違反」​だとし、「隣人、そして兄弟として、​われわれはイラン国民の痛みを共有する」と言及。その上で、イスラエルの挑発行為​により、米イラン間の対立は戦​争に発展したとの考えを示した。

 

また、停戦が達成‌され⁠外交の余地が生まれるまでトルコは「あらゆるレベルで」接触を強化するとし、トルコは「戦闘、戦争、緊​張、虐殺」​を望ん⁠でいないとの考えを改めて示した。

 

北大西洋条約機構(NATO)​加盟国でイランの隣国でもあ​るト⁠ルコは、これまで数週間にわたり、米国およびイランに対し、一連の交⁠渉で​合意に達するよう求め​てきた。またエルドアン氏は、トランプ米大統領​とも緊密な個人的関係を築いている。

 


■米国の同盟国である日本の立場の苦しさ

3月2日に、国会でも今回のイスラエルと米軍によるイラン攻撃の是非について、共産党の田村智子委員長から高市早苗首相への質問という形で日本政府の見解が問われた。

 

各国の主権の尊重と武力行使の禁止は国連憲章・国際法の大原則で、武力行使が認められるのは国連安保理決議がある場合と自衛権の行使に限定され、田村氏は、今回の攻撃はいずれにも該当せず、イスラエル自身が先制攻撃だと認めていると指摘し、「主権国家を先制攻撃し、国家体制を転覆させることが認められれば、戦後の国際秩序は崩壊する」と警告した上で日本政府の認識を質問した。

 

これに対して高市首相は「自衛のための措置なのかも含め詳細な情報を持ち合わせていない。わが国として法的評価は差し控える」と答弁されており、茂木敏充外相は「イスラエルは国連憲章と国際法にのっとり軍事行動を行っている」「米国とイランは(自衛権を定めた)国連憲章51条に基づいて行動していると述べている」などと説明。

 

これに対して田村氏は「米国とイスラエルの代弁のようだ」と批判。

 

 

高市首相は3日午前の‌衆院予算員会で、月内に予定する訪米時​にトランプ米​大統領と「イラン問題⁠についても率​直に話をしてくる」​と語った。

 

浜地雅一委員(中道)が米国とイ​スラエルによるイ​ラン攻撃の法的評価を‌求め⁠たのに対し、高市氏は「いましばらく時間をいただか​ないと、​現段⁠階でその法的な評価ができ​るというもの​では⁠ないと考えている」と答弁。主要7カ国(G7)⁠も国​連も「明確な​法的評価をしている段​階ではない」と話した。

 

 

 

 

■問題なのはトランプにもイスラエルにも「出口戦略」がなく、紛争が長期化する可能性があること?

クーリエジャポンの記事の要約

 

アフガンとイラクのときには、米国とその同盟国が地上部隊を投入する準備が整った上で、まずは敵対する政権を打倒し、次に秩序を回復して、新たな政治体制への移行を監督するという「計画」があった。

 

しかし今回はそのような「青写真」が全くない。トランプには「ハメネイ殺害後」の具体策はない。

 

トランプはイラン革命防衛隊に対しては「武器を置け」と命じ、イラン国民に対しては「現政権を乗っ取れ」と促しはしたものの、実際には、現在の体制、イラン革命防衛隊は後継者を示し、体制は存続している。

 

イスラエルは、イランへのイスラエル軍展開を余儀なくされる可能性はきわめて低く、イランからの報復ミサイル攻撃に対処できると計算し、爆撃作戦が一段落した後、混沌に陥ったイランの後始末を担うのは、他の国々で、自国には関係ないという立場である。

一方、湾岸諸国と米国にとっての戦略的計算は、はるかに複雑で、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、サウジアラビアは、不安定な中東地域における安全な避難場所として世界に売り込んできた。だがいまや、これらすべての国がイランのミサイル攻撃の標的になっている。

 

 

 

アジアの株式市場は、4日午前に3日連続で下落。不安定な取引の中、韓国総合株価指数(KOSPI)は早朝の取引で6%下落、日経平均株価は3%超下落し、オーストラリアのASX200も1.8%下落。


<転載終了>