マスコミに載らない海外記事さんのサイトより
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2026/03/post-86da2d.html
<転載開始>
フィル・バトラー
2026年3月9日
New Eastern Outlook
条約や市場暴落ではなく、たった一つの浅はかな軍事決定によってエネルギー不安の新時代に世界は入ったのだ。

2026年2月28日の週末、アメリカはイスラエルと連携して、イラン国内深部空爆を開始し、最高指導者アリー・ハメネイ師を殺害するとともに、テヘラン、コム、エスファハーンの各都市の主要司令部を攻撃した。最近の演説で「世界の安定を脅かすイランの能力を低下させる」ため「戦闘作戦はさらに数週間継続する」とドナルド・トランプ大統領は宣言した。
記念碑的な失策
この攻撃は秩序を回復するどころか、正反対の結果をもたらした。つまり世界で最重要なエネルギー動脈、ホルムズ海峡の連鎖的崩壊を引き起こし、石油、力、抑止力に関する西側諸国の想定の脆弱性を露呈させたのだ。
金や防衛や重要インフラはもはやヘッジ対象ではなく中核保有資産だ
48時間以内に、イラン革命防衛隊(IRGC)はイラクとイスラエルの米軍基地へのミサイル攻撃だけでなく、遙かに重大な報復措置としてホルムズ海峡を封鎖した。ドローンや高速艇や沿岸ミサイル砲台を駆使して、イラン軍は狭い水路を通過しようとするほぼ全ての商業船を無力化または引き返させた。衛星データによると、月曜日に通過したタンカーはわずか二隻だった。これは、通常この幅21マイル(約34.4キロ)の隘路を通過する1日あたり2,000万バレルのごく一部に過ぎない。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2026/03/post-86da2d.html
<転載開始>
フィル・バトラー
2026年3月9日
New Eastern Outlook
条約や市場暴落ではなく、たった一つの浅はかな軍事決定によってエネルギー不安の新時代に世界は入ったのだ。

2026年2月28日の週末、アメリカはイスラエルと連携して、イラン国内深部空爆を開始し、最高指導者アリー・ハメネイ師を殺害するとともに、テヘラン、コム、エスファハーンの各都市の主要司令部を攻撃した。最近の演説で「世界の安定を脅かすイランの能力を低下させる」ため「戦闘作戦はさらに数週間継続する」とドナルド・トランプ大統領は宣言した。
記念碑的な失策
この攻撃は秩序を回復するどころか、正反対の結果をもたらした。つまり世界で最重要なエネルギー動脈、ホルムズ海峡の連鎖的崩壊を引き起こし、石油、力、抑止力に関する西側諸国の想定の脆弱性を露呈させたのだ。
金や防衛や重要インフラはもはやヘッジ対象ではなく中核保有資産だ
48時間以内に、イラン革命防衛隊(IRGC)はイラクとイスラエルの米軍基地へのミサイル攻撃だけでなく、遙かに重大な報復措置としてホルムズ海峡を封鎖した。ドローンや高速艇や沿岸ミサイル砲台を駆使して、イラン軍は狭い水路を通過しようとするほぼ全ての商業船を無力化または引き返させた。衛星データによると、月曜日に通過したタンカーはわずか二隻だった。これは、通常この幅21マイル(約34.4キロ)の隘路を通過する1日あたり2,000万バレルのごく一部に過ぎない。
直ちに生じた影響はパニックではなく、麻痺だった。タンカー、コンテナ船、LNG船など3,000隻以上の船舶がバスラからドーハに至る湾岸の港湾で停泊しており、移動すれば破壊の危険にさらされる。世界の原油価格は1バレル85ドルを超え、封鎖が続けば価格が200ドルに達する可能性があるとIRGC高官らは公然と予測した。金融市場が暴落する中、ロンドンのFTSE指数は3%近く下落し、東京の日経平均株価は3日間で1か月分以上の上昇分を失った。だが本当の危機は取り引き画面上ではなく、サプライチェーン、製油所、ガソリンスタンドといった物理的現実世界で展開された。
ヨーロッパのエネルギー幻想が崩壊
長年「多様化」と「エネルギー安全保障」を唱えながら、欧州指導者たちは照明や工場の稼働を維持するため、中東の原油とカタールのLNGに密かに依存してきた。だが、その幻想は今や消え失せた。海峡が封鎖されたことで、欧州は二重の衝撃に直面している。原油価格の高騰と、ドイツとイタリアの電力網に供給しているカタールLNGターミナルからの天然ガス供給途絶だ。
ドイツでは、軽油価格が心理的限界を超え、2022年のロシアによるウクライナ侵攻直後の水準に迫っている。更なる高騰を予想する運転手たちが、ガソリン・スタンドで長蛇の列を作った。ADAC自動車協会は「家計への継続的圧力」を警告し、燃料価格の高騰が長期化すれば製造業の減速を招く可能性があると業界団体は警告している。
一方、フランスは緊急措置を示唆し、原油価格が基準価格から「不当に乖離」した場合、政府が介入してガソリン価格に上限を設けるとローラン・レスキュール経済相は述べた。だが、こうした規制は一時的なもので、解決策ではない。深遠な真実は、湾岸諸国のエネルギーに代わる戦略的選択肢がヨーロッパには存在しないことだ。ヨーロッパの再生可能エネルギーへの移行は未だ不完全で、ロシア・パイプラインは政治的に害悪で、国内生産量はごくわずかだ。今ヨーロッパは地政学的主体ではなく、地理的条件の虜囚なのだ。
戦略的大失策:トランプ大統領の致命的誤算
この危機の根底には戦略判断の重大な欠陥があり、それはまさにトランプ政権の責任だ。ハメネイ師暗殺の決定は、単に攻撃的だっただけでない。戦術的に稚拙で、戦略的に向こう見ずだった。核施設や代理民兵への標的攻撃と異なり、現職最高指導者殺害は政権に対する斬首行為で、確実に徹底的報復を招く存亡をかけた挑発行為だ。
さらに悪いことに、イランの非対称的優位性、すなわち海峡支配を無視していた。何十年間も、米空母部隊が水路を開放し続けられると、米海軍の教義は想定していた。しかし、現代の戦争は変化した。イランは艦隊戦に勝つ必要はなく、航行の代償を高く設定するだけでよい。安価なドローンと、対艦ミサイルと、多層的沿岸防衛網を駆使すれば、米軍艦に一発も砲弾を撃たずに、イランは事実上の封鎖できる。
圧倒的空軍力でイランを屈服させられると、トランプ陣営は考えていたようだ。だが実際は、長年抱いてきた脅しを実行するための完璧な口実をイランに与えてしまったのだ。海峡を封鎖し、世界経済の混乱をもたらすことだ。ホワイトハウスが、インフレ、同盟国経済、世界の食料・輸送体制への二次的、三次的影響をモデル化していた兆候は皆無だ。これは戦略ではなく、政策を装う演技だった。
そして今、アメリカは窮地に陥っている。タンカー護衛は兵站的に困難で、政治的にも維持不可能だ。外交上の出口は? ハメネイ師が亡くなり、革命防衛隊が全面戦争モードに入っている今、何も残っていない。制裁は? 敵国が既に最大限の圧力にさらされている状況では、意味をなさない。
静かな再編:モスクワとデリーが介入
ワシントンが慌てふためく中、新たな軸が確立されつつある。長年慎重な協力関係にあったロシアとインドは、エネルギー協力を驚異的ペースで加速させている。潜在的供給不足に直面しているインドの製油所は、ロシア産ウラル原油の購入を大幅に増やす意向を示している。ロシアのアレクサンダー・ノヴァク副首相はアジアの買い手の「強い需要」を認め、ロシア直接投資基金のキリル・ドミトリエフ総裁はモスクワを「危機時に信頼できるパートナー」と位置付けた。
これは日和見主義ではなく、システム全体の再配置だ。西側諸国のサプライチェーンが分断する中、非同盟諸国は回復力の回路を並行して構築している。インドにとって、ロシア産原油は生命線だ。ロシアにとって、制裁を回避し、グローバルサウスの「エネルギーバランサー」としての役割を確固たるものにする好機だ。
一方、防衛関連株とエネルギー関連株は急騰している。これは投資家が平和を信じているからではなく、地政学的リスクがもはや恒久的インフラである新たな現実を受け入れたからだ。「金、防衛、そして重要インフラはもはやヘッジではなく、中核的な保有銘柄だ」とある戦略家は述べた。
崩壊の深部構造
見出しの裏には、より厳しい真実が隠されている。1991年以降のエネルギー秩序は終焉を迎えたのだ。30年間、米海軍は石油の自由な流れを保証し、世界はそれに応じて価格を決定してきた。この時代は、一極化と、予測可能な敵勢力と、管理可能なリスクを前提としていた。
今日、我々は物理的支配が金融の抽象化に勝る多極化した世界に暮らしている。アルゴリズムはドローンの群れを回避してタンカーの航路を変更できない。AIは原油を精製できない。そして、どんなに市場流動性が高くても、港を出ない原油を補充することはできない。ホルムズ海峡の閉鎖は単なる危機ではなく、まさに啓示だ。主権は宣言されるものではなく、パイプラインや港湾や、支配権を放棄するよりも、体制を焼き尽くす意志によって強制されるものであることを示している。
トランプとネタニヤフの攻撃は平和を確実なものにはしなかった。むしろ脆弱性を露呈させた。そして、それにより、次の世界秩序はシリコンバレーでコード化されるのではなく、石油と鉄鋼と沈黙によって刻み込まれることを理解する人々に未来を託したのだ。
フィル・バトラーは政策研究者、評論家、政治学者、東ヨーロッパ専門家で、最近のベストセラー「Putin’s Praetorians(プーチンの近衛兵)」などの著書がある。
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/03/09/the-strait-is-closed-how-trumps-strike-on-iran-triggered-a-global-energy-crisis/
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3月10日 東京大空襲から81年
3月11日 福島原発事故から15年
東京新聞 朝刊一面
<転載終了>
ヨーロッパのエネルギー幻想が崩壊
長年「多様化」と「エネルギー安全保障」を唱えながら、欧州指導者たちは照明や工場の稼働を維持するため、中東の原油とカタールのLNGに密かに依存してきた。だが、その幻想は今や消え失せた。海峡が封鎖されたことで、欧州は二重の衝撃に直面している。原油価格の高騰と、ドイツとイタリアの電力網に供給しているカタールLNGターミナルからの天然ガス供給途絶だ。
ドイツでは、軽油価格が心理的限界を超え、2022年のロシアによるウクライナ侵攻直後の水準に迫っている。更なる高騰を予想する運転手たちが、ガソリン・スタンドで長蛇の列を作った。ADAC自動車協会は「家計への継続的圧力」を警告し、燃料価格の高騰が長期化すれば製造業の減速を招く可能性があると業界団体は警告している。
一方、フランスは緊急措置を示唆し、原油価格が基準価格から「不当に乖離」した場合、政府が介入してガソリン価格に上限を設けるとローラン・レスキュール経済相は述べた。だが、こうした規制は一時的なもので、解決策ではない。深遠な真実は、湾岸諸国のエネルギーに代わる戦略的選択肢がヨーロッパには存在しないことだ。ヨーロッパの再生可能エネルギーへの移行は未だ不完全で、ロシア・パイプラインは政治的に害悪で、国内生産量はごくわずかだ。今ヨーロッパは地政学的主体ではなく、地理的条件の虜囚なのだ。
戦略的大失策:トランプ大統領の致命的誤算
この危機の根底には戦略判断の重大な欠陥があり、それはまさにトランプ政権の責任だ。ハメネイ師暗殺の決定は、単に攻撃的だっただけでない。戦術的に稚拙で、戦略的に向こう見ずだった。核施設や代理民兵への標的攻撃と異なり、現職最高指導者殺害は政権に対する斬首行為で、確実に徹底的報復を招く存亡をかけた挑発行為だ。
さらに悪いことに、イランの非対称的優位性、すなわち海峡支配を無視していた。何十年間も、米空母部隊が水路を開放し続けられると、米海軍の教義は想定していた。しかし、現代の戦争は変化した。イランは艦隊戦に勝つ必要はなく、航行の代償を高く設定するだけでよい。安価なドローンと、対艦ミサイルと、多層的沿岸防衛網を駆使すれば、米軍艦に一発も砲弾を撃たずに、イランは事実上の封鎖できる。
圧倒的空軍力でイランを屈服させられると、トランプ陣営は考えていたようだ。だが実際は、長年抱いてきた脅しを実行するための完璧な口実をイランに与えてしまったのだ。海峡を封鎖し、世界経済の混乱をもたらすことだ。ホワイトハウスが、インフレ、同盟国経済、世界の食料・輸送体制への二次的、三次的影響をモデル化していた兆候は皆無だ。これは戦略ではなく、政策を装う演技だった。
そして今、アメリカは窮地に陥っている。タンカー護衛は兵站的に困難で、政治的にも維持不可能だ。外交上の出口は? ハメネイ師が亡くなり、革命防衛隊が全面戦争モードに入っている今、何も残っていない。制裁は? 敵国が既に最大限の圧力にさらされている状況では、意味をなさない。
静かな再編:モスクワとデリーが介入
ワシントンが慌てふためく中、新たな軸が確立されつつある。長年慎重な協力関係にあったロシアとインドは、エネルギー協力を驚異的ペースで加速させている。潜在的供給不足に直面しているインドの製油所は、ロシア産ウラル原油の購入を大幅に増やす意向を示している。ロシアのアレクサンダー・ノヴァク副首相はアジアの買い手の「強い需要」を認め、ロシア直接投資基金のキリル・ドミトリエフ総裁はモスクワを「危機時に信頼できるパートナー」と位置付けた。
これは日和見主義ではなく、システム全体の再配置だ。西側諸国のサプライチェーンが分断する中、非同盟諸国は回復力の回路を並行して構築している。インドにとって、ロシア産原油は生命線だ。ロシアにとって、制裁を回避し、グローバルサウスの「エネルギーバランサー」としての役割を確固たるものにする好機だ。
一方、防衛関連株とエネルギー関連株は急騰している。これは投資家が平和を信じているからではなく、地政学的リスクがもはや恒久的インフラである新たな現実を受け入れたからだ。「金、防衛、そして重要インフラはもはやヘッジではなく、中核的な保有銘柄だ」とある戦略家は述べた。
崩壊の深部構造
見出しの裏には、より厳しい真実が隠されている。1991年以降のエネルギー秩序は終焉を迎えたのだ。30年間、米海軍は石油の自由な流れを保証し、世界はそれに応じて価格を決定してきた。この時代は、一極化と、予測可能な敵勢力と、管理可能なリスクを前提としていた。
今日、我々は物理的支配が金融の抽象化に勝る多極化した世界に暮らしている。アルゴリズムはドローンの群れを回避してタンカーの航路を変更できない。AIは原油を精製できない。そして、どんなに市場流動性が高くても、港を出ない原油を補充することはできない。ホルムズ海峡の閉鎖は単なる危機ではなく、まさに啓示だ。主権は宣言されるものではなく、パイプラインや港湾や、支配権を放棄するよりも、体制を焼き尽くす意志によって強制されるものであることを示している。
トランプとネタニヤフの攻撃は平和を確実なものにはしなかった。むしろ脆弱性を露呈させた。そして、それにより、次の世界秩序はシリコンバレーでコード化されるのではなく、石油と鉄鋼と沈黙によって刻み込まれることを理解する人々に未来を託したのだ。
フィル・バトラーは政策研究者、評論家、政治学者、東ヨーロッパ専門家で、最近のベストセラー「Putin’s Praetorians(プーチンの近衛兵)」などの著書がある。
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2026/03/09/the-strait-is-closed-how-trumps-strike-on-iran-triggered-a-global-energy-crisis/
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3月10日 東京大空襲から81年
3月11日 福島原発事故から15年
東京新聞 朝刊一面
4万人以上帰れぬ故郷今朝の孫崎享氏メルマガ題名
引用「難しい人との対応は老けさせる証明がある。問題引き起こしたり、生活を困難にする「ハスラー(迷惑をかける人)」の役割。面倒な人が一人増えるごとに、老化の速度が約1.5%速くなり、生物学的年齢が約9か月高くなる。約30%の人、周辺に少なくとも1人の難しい人。耕助のブログ
No. 2835 イランで米国はどうなっているのか?
<転載終了>