櫻井ジャーナルさんのサイトより
https://note.com/light_coot554/n/n662ee8ca8921
<転載開始>

 イスラエルは単独でイランと戦う能力はなく、アメリカを利用しようとしているのだが、そのアメリカにもイランに勝つ戦力はないことが実際の戦闘で明らかになった。

 アメリカとイスラエルはイスラマバードでイランと戦争を終結するために協議するというが、イランはアメリカとイスラエルを信じていないはず。ミサイルやドローンが枯渇しているアメリカとイスラエルは停戦期間中に兵器を補充、兵員を次の作戦に向けて配置しているだろうが、イランも兵器を補充している可能性が高い。

 アメリカの軍事や外交をコントロールしてきたネオコンは1991年12月にソ連が消滅した時点でアメリカが唯一の超大国になり、他国に気兼ねすることなく、好き勝手に行動できる時代がきたと思った。1992年2月にアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案として作成された世界制覇計画はそうした認識に基づいている。

 ネオコンやイスラエルはイランを奇襲攻撃で簡単に潰せると考えていたのだろうが、そうした展開にはならなかった。ネオコンは対ロシア戦争を睨み、ウクライナでクーデターを実行したが、ロシア文化圏の東部や南部では反クーデター派の住民が立ち上がり、南部のクリミアはロシアと一体化、東部のドンバスでは武装抵抗が始まった。現在、ウクライナ軍は壊滅状態で、NATO諸国は情報機関員や特殊部隊員だけでなく通常の兵士も送り込んでいるようだが、ロシアの勝利は決定的。アメリカがウクライナから離れようとしているのは、そのためだろう。

 イランに対する戦争やウクライナでのクーデター、そして東アジアでの軍事的緊張の高まりは19世紀から続くアングロ・サクソンの長期戦略の結果。ユーラシア大陸の周辺部を海軍力で支配、内陸部を締め上げるという長期戦略をまとめた人物がハルフォード・マッキンダーという学者だが、ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もマッキンダーの理論がベースになっている。日本は中国を侵略するための兵員供給地であり、兵站の拠点。イギリスの私的権力は明治維新を仕掛け、天皇を中心とするカルト体制を築き、明治体制の軍事力を強化したが、その理由はそこにある。ロシアの逆サイドでイギリスに利用された国がドイツだ。イギリスが絶対に阻止しなければならなかったのは、ドイツと日本がロシア/ソ連と手を組むこと、そしてロシア/ソ連と中国が同盟を結ぶことだろう。


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米英の世界征服プロジェクト

 スエズ運河がなければユーラシア大陸を包囲することができない。イギリスの首相を務めたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収したが、その買収資金を提供したのは彼の友人だったライオネル・ド・ロスチャイルドだ。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018)

 ディズレーリが1881年4月に死亡した後、エドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドがテル・アビブを中心にパレスチナの土地を買い上げ、ユダヤ人入植者へ資金を提供しはじめ、1917年11月にアーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ出した書簡はパレスチナに「ユダヤ人の国」を建設する第一歩と言われている。

 この「ユダヤ人の国」はスエズ運河を管理する上で重要な位置にイギリスが作ったのだ。その隣にあるサウジアラビアもイギリスが作った国である。シオニストの一部はナイル川からユーフラテス川に至る大イスラエルを創設しようとしているが、その目的もアングロ・サクソンの世界征服戦略の一環だ。アメリカやオーストラリアと同じように、先住民を殲滅して全く新しい国を築こうとしている。

 イギリスは1920年から1948年の間パレスチナを委任統治、ユダヤ人の入植を進めたが、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発を強める。

 そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。イギリスは帝国主義国の実態を隠しながら西アジアを支配するために「ユダヤ人の国」を建国したわけであり、その国を利用して世界を支配する仕組みを築いてきた勢力も存在する。その仕組みを批判する人びとは「反ユダヤ主義者」だと非難される。

 こうしたアングロ・サクソンの戦略に対抗し、内陸部の国々は鉄道を建設してきた。シベリア横断鉄道もそのひとつであり、中国が進めているBRI(一帯一路)の目的も同じだ。ウクライナでクーデターが引き起こされ、香港で反中国政府の佔領行動(雨傘運動)が実行された2014年以降、ロシアと中国は急接近したが、両国を結びつける仕掛けのひとつが天然ガスのパイプラインだ。だからこそ、米英はBRIやパイプラインを戦乱で破壊しようとしている。
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