櫻井ジャーナルさんのサイトより
https://note.com/light_coot554/n/ncefc55741f41
<転載開始>

 イランがアメリカとの交渉に応じる前提条件はいくつかあるが、そのひとつはイスラエルによるレバノンに対する攻撃を中止すること。イスラエルとヒズボラの戦闘を終結させられなければイランとアメリカとの交渉は始まらないとされていた。

 アメリカ国務省は4月16日、そのイスラエルとヒズボラの停戦についての声明を発表した。アメリカはイスラエルに対し、「いつでも自衛のために必要なあらゆる措置を講じる権利を保持する」ことを認めている。これまで通り、たとえ脅威が存在しないことが明らかであっても、何らかの脅威への対応だとしてイスラエルはレバノンを攻撃できると解釈されている。

 アメリカ/NATOが支援してきたウクライナのキエフ政権もふたつの停戦合意、2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」を守っていない。それが2022年2月のロシア軍によるウクライナへの軍事作戦に繋がった。

 イスラエルとヒズボラの停戦をひとつの進展だと解釈することもできるが、ドナルド・トランプ政権はイランに対する新たな制裁を発表、その一方で西アジアにおけるアメリカ軍の戦力を増強している。兵員を1万名増やして5万名へ増強、何らかの攻撃を準備していると見られている。

 しかし、100万名の兵士がいるとされるイラン軍の前には無力だ。保有するミサイルやドローンはイランがアメリカやイスラエルを圧倒しつつある。レーダーの戦いもイランが優勢だ。アメリカ軍が宣伝しているホルムズ海峡の封鎖も機能していない。アメリカが制裁対象にしている5隻のタンカーを含む9隻がオマーン湾からインド洋へ向かったと伝えられている。アメリカ軍の艦船はホルムズ海峡へ近づくことができないでいる。ホルムズ海峡をコントロールしているのはイランだ。

 ところで、ジョージ・W・ブッシュ政権が2003年3月にイランを先制攻撃して以来、ネオコンの計画は計算間違いの連続である。この攻撃でネオコンはイラクに親イスラエル体制を樹立するつもりだったが、イランとイラクとの結びつきは強まり、アメリカ軍が占領し続けなければならない状況だ。ネオコンの戦略は破綻しているのだが、その事実を隠蔽するためにハリウッド仕込みの作り話を広めてきたが、それも限界に達しているようだ。

 バラク・オバマ大統領は師であるズビグネフ・ブレジンスキーが編み出した「ムジャヒディン」を使う手法を使い始めた。これはブレジンスキーがアフガニスタンで始めた秘密工作の一環として使い始めたものだ。イギリスの外務大臣を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックは05年7月、「アル・カイダ」についてCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リストだと説明している。アル・カイダのイコンとして使われたがオサマ・ビン・ラディンはその登録リストに載せる人間を募集していたとされている。

 オバマ大統領は2010年8月にPSD-11を承認、ムスリム同胞団を使った体制転覆作戦を始動させる。そして引き起こされたのが「アラブの春」にほかならない。その流れの中でアメリカ、イギリス、フランスを含む国々がリビアやシリアに対する軍事侵略を始めた。

 2011年2月に侵略戦争が始まったリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制は同年10月に倒され、カダフィ本人はその際に惨殺されている。その際にアル・カイダ系武装集団のLIFG(リビア・イスラム戦闘団)とNATO軍の連携が明らかになった。反カダフィ勢力の拠点だったベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられていた


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ベンガジの裁判所に掲げられたアル・カイダの旗

 リビアが破壊された後、アメリカは戦力をシリアへ集中させると同時に、ジハード傭兵としてダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)を使い始める。

 ダーイッシュがデビューしたのは2014年のこと。その年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧された。その際にトヨタ製小型トラック、ハイラックスの新車を連ねたパレードが行われ、その画像が世界に流された有名になったのだが、こうした戦闘集団の動きをアメリカの軍や情報機関は知っていたはず。偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで監視しているからだ。ところが反応しなかった。

 そうした武装集団の出現をアメリカ軍の情報機関DIAは2012年8月の時点でホワイトハウスに警告していた。オバマ政権が支援している反シリア政府軍の主力はアル・カイダ系武装集団のAQI(イラクのアル・カイダ)で、アル・ヌスラと実態は同じだと指摘、その中心はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だとしているのだ。2012年当時のDIA局長はマイケル・フリン中将である。

 報告書の中で、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告、それがダーイッシュという形で現実になった。

 そのダーイッシュは残虐さを演出、アメリカ/NATOの介入を誘ったのだが、2015年9月にシリア政府はロシア政府に軍事介入を要請、ロシア軍がダーイッシュなど傭兵部隊を一掃していく。ダーイッシュにはサダム・フセイン時代の兵士も参加していると言われているが、アメリカに雇われた傭兵だということは共通だ。

 理由は不明だが、ロシア軍はイドリブへ逃げ込んだアル・カイダ系武装勢力にとどめを刺さなかった。その戦闘集団をアメリカやトルコが支援していたようだ。その後、シリアのバシャール・アル・アサド政権は経済戦争で疲弊、昨年11月27日にHTSがシリア軍を奇襲攻撃すると、呆気なく倒されてしまう。そして作られたアフマド・アル-シャラア(アブ・モハメド・アル-ジュラニ)の暫定政権はシーア派やキリスト教徒を虐殺してきた。
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