みのり先生の診察室さんのサイトより
https://ameblo.jp/drminori/entry-12964879831.html
<転載開始>

今日は宇都宮大学が発表した論文についてご紹介。

 

皮膚に関する論文です。

 

皮膚の「セラミド不足」がアトピー性皮膚炎の直接原因であることを世界で初実証しました。

 

宇都宮大学:セラミド不足がアトピー原因

 

 

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皮膚の「セラミド不足」がアトピー性皮膚炎の直接原因であることを世界で初実証

-バリア破綻からかゆみ・アレルギー炎症へ至る新メカニズムを解明-

 

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マウスの皮膚:セラミド不足によるアトピー性皮膚炎


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■研究の要点


角層脂質「セラミド」の欠乏が、アトピー性皮膚炎(AD)発症の直接的原因であることを世界で初めて実証。
 

セラミド欠乏が、皮膚バリア低下、水分喪失、神経増生、Th2 型アレルギー炎症を誘導。
 

・病態を再現する新規トランスジェニック動物モデルを確立。
 

・予防的スキンケアおよび新規治療法開発への応用が期待。

 

 

アトピー性皮膚炎:セラミド不足マウス vs 正常マウス

正常なマウス(左)に比べて、表皮上層でセラミドを分解する酵素を過剰に働かせたマウス(右)では皮膚の乾燥に伴う鱗屑が目立つ。

 

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アトピーとセラミド不足の因果関係をマウスで実証

 

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■研究背景
 

アトピー性皮膚炎患者では皮膚のセラミド量が低下していることが知られていましたが、それが「結果」なのか「原因」なのかは未解明でした。

 

本研究はこの長年の疑問に直接的に挑みました。

 

■研究内容と発見
 

研究チームは、セラミド分解酵素「酸性セラミダーゼ(aCDase)」を表皮で過剰発現させたトランスジェニックマウスを作製。

 

その結果、生後早期から重度の乾燥・鱗屑著明なバリア機能低下と水分保持能低下、角層セラミドの大幅減少、表皮神経増生と神経抑制因子
Sema3a の低下が確認されました。

 

さらにダニ抗原刺激により、好酸球浸潤、血中 IgE 上昇、Th2 関連分子(Ccl17, Ccl22, Il13 など)の著明な増加が生じました。

 

一方、正常マウスではほとんど反応は見られませんでした。

 

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セラミド不足がアトピー性皮膚炎の原因となるメカニズム


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■重要な結論


本研究は、セラミド欠乏 → バリア破綻 → 神経過敏 → Th2 型炎症という一連の病態進展を実証しました。

 

これは「炎症が先でセラミドが減る」のではなく、“セラミド不足こそが炎症を引き起こす出発点”である可能性を強く示すものです。

 

■学術的意義


本成果はアトピー性皮膚炎の outside-in 仮説を強く支持し、皮膚脂質代謝異常が免疫環境を規定することを明確にしました。

 

さらに、病態を再現する新規モデルの確立により、創薬研究の強力な基盤が整いました。

 

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アトピー性皮膚炎とセラミド不足の関係、研究発表


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■今後の展望


本研究成果は、セラミド補充療法の科学的裏付け、酸性セラミダーゼ阻害戦略、かゆみ制御型スキンケア早期予防介入法の開発への応用が期待されます。

■研究支援


本研究は、日本学術振興会 科学研究費補助金(課題番号:20K08661)の支援を受けて実施されました。

■ 掲載情報


本研究成果は、国際的病理学誌 The Journal of Pathology にて 2026 年 3 月 25 日にオンライン(PubMed)公開されました。

 

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アトピー性皮膚炎とセラミド不足の研究論文情報

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論文情報
 

論文名:Acid ceramidase overactivity drives ceramide loss, leading to atopic dry skin and Th2-skewed
immune polarization. (酸性セラミダーゼの過剰活性化はセラミドの減少を引き起こし、アトピー性乾燥皮膚および Th2 偏向型免疫応答を誘導する)

 

著者:Mariko Takada, Miho Sashikawa-Kimura, Yusuke Ohno, Md Razib Hossain, Xiaonan Xie,
Kazuhisa Iwabuchi, Mayumi Komine*, Mamitaro Ohtsuki and Genji Imokawa*.

 

掲載誌:The Journal of Pathology
 

URL:https://pathsocjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/path.70050?af=R

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論文はコチラ⬇

 

https://pathsocjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/path.70050?af=R

 

 

私は元皮膚科医だったので興味深く読みました。

 

アトピーの患者さんも大勢診てきましたが、皮膚科医時代は教えられた標準治療を黙々とやっていて、ずっと薬を取りに受診する患者さんに疑問を感じながらも、いつしか「こういうものなんだ」と認識していました。

 

肛門科医に転身し、そして10年前から分子栄養学を取り入れた便通治療をするようになってから、今なら皮膚だけを診るのではなく便通、腸内環境、栄養の観点からアトピー治療をするのに・・・と、昔の皮膚科医だった自分に教えてあげたいくらいです。

 

セラミドについてはもちろん知っていましたが、アトピーだからセラミドが不足するのか、セラミドが不足するからアトピーになるのか、鶏が先か卵が先かどっちなんだろう?と思っていました。

 

この論文はその答えをくれたような気がしますね。

 

私なりに論文を読んで理解したことをお伝えします。

 

 

この論文を一言でいうと、

「アトピー性皮膚炎ではセラミドが減っている」という従来の“観察”から一歩進んで、セラミド不足そのものが、乾燥・バリア破綻・かゆみ・Th2型炎症を起こしうることをマウスで示した研究です。


アトピー性皮膚炎では、角層のセラミドが少ないことは昔から知られていました。
 

ただし、問題はここでした。

セラミドが少ないからアトピーになるのか?
 

それとも、
 

アトピーの炎症が起きた結果、セラミドが減るのか?

この論文は、この因果関係をはっきりさせるために、セラミドを分解する酵素である酸性セラミダーゼ、aCDaseを表皮で過剰に働かせるマウスを作りました。

 

つまり、人工的に「角層セラミドが減る皮膚」を作り、その後に何が起きるかを見た研究です。

 

 

結果をわかりやすく言うと

セラミドが減ったマウスでは、まず炎症より先に乾燥肌・落屑・バリア機能低下・保水力低下が起きました。

 

生後3週齢の時点で、明らかな炎症が強く出る前から、皮膚は水分を逃がしやすく、外からの刺激が入りやすい状態になっていました。

さらに、かゆみに関係する変化も起きました。

 

セラミドが減った皮膚では、表皮内の神経線維が増え、神経の伸びすぎを抑えるSema3aが低下していました。

 

これは、「炎症が目立たないのにかゆい」「少しの刺激でかゆくなる」というアトピー性皮膚炎らしい状態につながる可能性があります。

そして、そこにダニ抗原を繰り返し塗ると、普通のマウスではほとんど反応しない一方、セラミド不足のマウスでは、好酸球浸潤、血中IgE上昇、Ccl17・Ccl22・Il13などのTh2関連分子の増加が起きました。

 

つまり、バリアが壊れた皮膚は、アレルゲンに対してアトピー性皮膚炎様のアレルギー炎症を起こしやすくなったということです。

 

 

この論文の中心メッセージは、

セラミド欠乏
→ バリア破綻
→ 乾燥・水分保持能低下
→ 神経過敏・かゆみ
→ アレルゲン侵入
→ Th2型炎症


という流れです。

つまり、アトピー性皮膚炎を「免疫の病気」としてだけ見るのではなく、皮膚バリアの脂質異常から始まる病態として捉える根拠を強めた研究です。

 

これは、いわゆるoutside-in仮説、つまり「外側の皮膚バリア異常が内側の免疫炎症を誘導する」という考え方を支持します。

 

 

 臨床的にどう解釈できるか

 

この論文は、保湿やセラミド補充の重要性をかなり強く後押しする内容です。
 

ただし、ここで注意が必要です。

この研究はマウスモデルの研究です。
 

したがって、すぐに「セラミド入り保湿剤だけでアトピーが治る」とは言えません。

むしろ臨床的には、

炎症を抑える治療と、バリアを守るスキンケアは別物ではなく、両方が病態の根本に関わる
 

と考えるのが現実的です。

特に小児アトピー、乾燥肌、再燃を繰り返す患者さんでは、単に「乾燥しているから保湿しましょう」ではなく、

 

セラミド不足によるバリア破綻が、かゆみやアレルギー炎症の土台を作る可能性がある
 

と説明できる研究です。

 

 

 

 今後につながる話

 

この研究から期待される方向性は主に3つです。

1つ目は、セラミド補充を重視したスキンケアの科学的裏付けです。
 

2つ目は、セラミドを分解しすぎる酸性セラミダーゼを抑える治療の可能性です。
 

3つ目は、バリア破綻がかゆみ神経やTh2炎症につながる流れを標的にした、新しい予防・治療戦略です。

 

 

まとめると

この論文は、
 

「アトピーではセラミドが減っている」ではなく、
 

「セラミドが減ること自体が、アトピー様病態を始める引き金になりうる」
 

ことを示した点が大きいです。

 

 

肌のうるおい成分が足りないだけの話ではなく、セラミド不足は“皮膚の防御壁の崩壊”であり、そこからかゆみやアレルギー炎症が始まる可能性がある

 

ということですね。

 

 

セラミドは化粧品にもよく配合されている成分ですが、セラミドには色々な種類があり、どのセラミドかによって効果が随分違います。

 

私のオリジナルコスメに入れているセラミドはヒト型セラミド3種類。

 

こちらの記事に詳しく書いていますので是非お読み下さい⬇

 


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