みのり先生の診察室さんのサイトより
https://ameblo.jp/drminori/entry-12965173130.html
<転載開始>

私はLGBT理解増進法に反対してきました。

 

今もそれは変わりません。

 

ただ生物学的性別の医学的難しさもあることは事実。

 

以前、医師サイトに掲載されていた医療ニュースに興味深い記事があったのでご紹介。

 

こちらの書籍の内容の紹介記事でした。

 

 

 

 

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「君は女性じゃないから」と金メダルを剥奪された翌年に「男児を出産」
 

「科学的検査」が生んだ「誤診の悲劇」!
 

 

 

「性染色体検査」の問題点

 

 「事件」は、1964年の東京オリンピックで女子400mリレーに出場したポーランドのエワ・クロブコフスカ選手が、金メダルを獲得したことから始まった。

 1967年、クロブコフスカ選手が性染色体検査を受けたところ、「女性ではない」と判定されたのだ。

 

そのためクロブコフスカ選手は、金メダルを剥奪されてしまった。

 

ところが翌1968年、クロブコフスカ選手は男児を出産したのである。

 彼女の性染色体は、XX型とXXY型からなる生物学的モザイクだったと考えられている。

 

生物学的モザイクとは、一つの個体の中に遺伝的に異なる細胞が混在している状態を指している。

 また、XXY型の性染色体を持つ場合はクラインフェルター症候群と呼ばれており、Y染色体を持つために体は男性となるが、性の発達に異常が起こる場合もある。

 

XX型とXXY型のモザイクの場合、女性的な特徴と男性的な特徴をあわせもつことになり、体の部位によって染色体検査の結果が変わる場合もある。

 このように、じつは性染色体は、XXとXYの2つに明らかに分けられるわけではない。

 

また、XY型であっても、先天的な「性分化疾患」の一つである完全型アンドロゲン不応症では、Y染色体や精巣はもっているが、つくられるテストステロンを利用できないため、体つきも性自認も女性である場合が多い。

 性分化疾患にはほかにもさまざまな種類があることから、生物学的な性別というものは、明確に二分されるというよりは、連続的なものとみなすべきだということがわかってきたのである。

 また、自分がどのような性分化をしているのかは、本人も知らないまま成人し、性染色体検査によって初めてわかることも多い。

 

それがオリンピックなどで、いきなり公にされてしまうことも深刻な問題となった。

 とくに、アンドロゲン不応症のためXY染色体を持つ選手に「女性」としてオリンピック出場の資格が認められたことは、性染色体検査による性別確認には限界があることをまざまざと思い知らされた。

 スペインのマリア・ホセ・マルティネス=パティーニョ選手は、1988年のソウルオリンピックに女子ハードル選手として出場する資格を得ていたが、性染色体検査でXY染色体を持っていることがわかり、資格を取り消されたばかりか、スペインチームから追放され、社会的にも誹謗中傷の的となり、婚約まで破談になった。


 

 

性別確認検査の廃止


 しかし、「彼女」は自分が女性であることを遺伝学者たちの支持もとりつけながら粘り強く訴えつづけ、ついに1992年のバルセロナオリンピックへの出場権をかけた大会に出ることが認められたのだ(しかし選考会のレースに10分の1秒差で敗れ、オリンピックの夢はかなわなかった)。

 この件を受けて、国際陸上競技連盟(以下、国際陸連)は性別確認検査を廃止することを決定したのである。

 一方で、IOCのほうでは、より医学的に正確な検査を導入するという方針をとった。

 

それが1992年のアルベールビル冬季オリンピックから、1998年の長野冬季オリンピックまでにおいて採用された、Y染色体上にあって性を男性に分化させる「性決定遺伝子」(sex determination region Y;以下SRYを、PCR検査によって検出するという方法だった。

 性分化疾患では、XY型でもSRYが変異することで女性の体になったり、XX型でもY染色体からX染色体に組み替えられたSRYを持つことで男性の体になったりする。

 

そこで、SRY遺伝子の有無をみることでXYかXXかに関係なく性別を判定できると考えられたのだ。

 

当時、この方法は「医学的に100%に近い確率で男女を判別できる」などと報道された。

 だが、IOCのアスリート委員会など多くの団体は、性別確認の検査そのものの廃止を求めていた。

 

その理由としてはやはり、自身の生物学的性がオリンピック出場時に初めて判明し、それが公にされることによる、人権あるいはプライバシー上の問題が大きかった。

 そうした声に抗しきれず、1999年にIOCは、性別確認検査を廃止することを決定したのだった。


 

 

テストステロンルールの登場


 こうして2000年のシドニーオリンピックからは、女子選手全員を対象とする性別確認検査は行われなくなった。

 

だが、疑いが生じた選手には、個別に医学的検査が行われた。

 

その「疑い」とは「外見が女性らしくない」といった、非常に差別的なものだった。

 しかも、そうした外見の判断が往々にして白人目線のものであり、疑いを持たれるのはアフリカやアジア圏の選手が多かったという点でもまた、差別的だった。

 性別確認検査が義務づけられなくなったことで、当然ながら、性別をめぐる問題も再燃した。

 

なかでも2009年に、ベルリンでの世界陸上女子800mで優勝した南アフリカ共和国のキャスター・セメンヤ選手について、このとき決勝で敗れたある女子選手はこう言っている。

「こういう人間は私たちと一緒に走るべきではない。私には女じゃなくて男に見える」

 やがてセメンヤ選手には性別確認検査が課されることとなり、その結果、外性器は女性だが、卵巣と子宮はなく、未発達の精巣があること、テストステロン濃度は平均的な女性の3倍であることが判明した。

 

セメンヤ選手は「アンドロゲン過剰症」とよばれる性分化疾患をもっていたのだ。

 

当時のことを、セメンヤ選手自身はこう回想している。

「ある日、医学的なあれやこれやのせいで、自分は女性ではないと言われることを想像してみてほしい。考えてほしい。全世界の目に、あなたはいまや、自分が知っている自分とは違う何かになっている。そして、全世界があなたについて議論する。あなたが死ぬその日まで、あなたは性器や性別、セックスなどについてのジョークのオチにされつづける」
~英『ガーディアン』紙より~

 本人の自覚がなくともこうしたケースが起こりうることから、やはり、なんらかのルール設定は必要と判断された。

 

そこで、2012年のロンドンオリンピックから採用されたのが、テストステロンルールだったのである。

 ロンドンオリンピックでセメンヤ選手は、テストステロン値を下げる薬を服用することで女子選手として出場した。

 

ここで重要なことは、テストステロンルールは「女性か男性かを判別するため」というより、「女子選手としての出場権を与えるかどうかを決めるため」のルールであるということだ。

 テストステロン濃度「10 nM」という基準値を超えても、けっして「女性であること」まで否定されるわけではないのだ。

 

これは性別確認検査が廃止された際に問題となった、人権・プライバシーの侵害に配慮したものだ。

 

セメンヤ選手はこの大会で、女子800mの金メダルを獲得した。

 では、このあとはテストステロンルールがすんなりと定着していったのだろうか? 

 

いやいや、男女の線引きはそれほど甘くはなかった。

 

じつはここから先も、さまざまな問題が巻き起こっているのだ。



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続きは是非、書籍でお読み下さい。

 

 

LGBT理解増進法で問題になっている女性スペース、特に女湯をトランスジェンダー女性が利用することについてですが、性分化疾患である完全型アンドロゲン不応症やクラインフェルター症候群では染色体上は男性ですが見た目は女性で、本人も女性として成長しています。

 

生物学的性別の定義を何によって決めるのかは実はむずかいし問題です。

 

 

昔は「女性選手かどうか」を染色体で調べていました。

かつてオリンピックなどでは、女子カテゴリーに出る選手に対して、
 

XXなら女性、XYなら男性
 

というような単純な発想で性別確認検査が行われていました。

でも、実際の性分化はそんなに単純ではありません。

たとえば、

46,XXでも男性型に発達する人
 

46,XYでも女性型に発達する人
 

XX/XY、XX/XXYなどのモザイクの人
 

性腺・外性器・内性器・ホルモン感受性が一致しない人

がいます。

なので、染色体だけ見て「あなたは女性ではない」と決めると、医学的にも人権的にも大きな問題が起きます。


クロブコフスカ選手の例は「染色体検査の限界」の象徴です。

ポーランドのエワ・クロブコフスカ選手は、1960年代に性別確認検査で不適格とされました。

 

しかし後に出産しています。

つまり、仮に一部の細胞にY染色体成分やXXY細胞があったとしても、本人の身体全体の性分化、生殖機能、社会的性別を単純に否定できないということです。

ここで大事なのは、
 

血液で見た染色体=全身の性のすべて
 

ではない、という点です。

モザイクでは、血液・性腺・皮膚・生殖器などで染色体構成が違うことがあります。

 

だから、検査部位によって結果が変わることもあります。


また完全型アンドロゲン不応症(CAIS)では染色体は 46,XY、性腺は 精巣ですが「XYでも女性型」になります。
 

アンドロゲン受容体が働かないため、テストステロンの作用を体が受け取れません。

 

そのため外性器は女性型になり、多くの場合、本人も女性として育ち、女性として自己認識します。

一方で、精巣からAMHが出るため、子宮や卵管は形成されません。

 

そのため、思春期以降に 原発性無月経 で見つかることがあります。

 

つまり完全型アンドロゲン不応症(CAIS)は「46,XYだが外性器は女性型、子宮はない、精巣がある」という組み合わせで説明されます。

だから、XYだから即「男性」とする検査は、CAISのような人を不当に排除してしまいます。


その後、単なるXX/XYではなく、Y染色体上の SRY遺伝子 をPCRで見る方法が使われました。

SRYは精巣形成に重要な遺伝子なので、「SRYがあれば男性化するはず」と考えられたわけです。

 

しかしSRY検査でも完全な判定はできません。

たとえば、

・SRYがあっても、下流の性分化経路に異常があれば女性型になる
 

・SRYがX染色体に転座すれば、46,XXでも男性型になることがある
 

・アンドロゲン受容体異常では、精巣があっても外性器は女性型になる

ので、SRYだけで「女性ではない」と判定するのも限界があります。

 

IOCは1999年に全女性選手への性別確認検査を廃止し、2000年シドニー五輪からは一律検査を行わなくなりました。


その後、「性別」ではなく「競技上の公平性」の問題に移った

ここが重要です。

昔の検査は、


この人は本当に女性か?
 

を調べる発想でした。

しかし現在の議論は、少なくとも建前上は、
 

女子カテゴリーで競技する上で、アンドロゲン作用による競技上の優位がどの程度あるか
 

という方向に変わっています。

つまり、論点は「その人が女性か男性か」ではなく、
 

女子カテゴリーへの出場資格をどう定めるか
 

です。

キャスター・セメンヤ選手の件もここに関係します。

 

セメンヤ選手は女性として育ち、女性として競技してきた選手ですが、DSDと高テストステロン値を理由に、女子種目への出場条件が問題になりました。

世界陸連、現在のWorld Athleticsは、DSD選手について女子カテゴリー参加のための規則を設けており、2023年以降はテストステロン値の基準などをさらに厳格化しています。


この記事をまとめると

1つ目
 

染色体、性腺、内性器、外性器、ホルモン、性自認は、必ずしも全部きれいに一致しない。

2つ目
 

だから、XX/XYやSRYだけで「女性/男性」を機械的に判定するのは不正確で、本人の尊厳やプライバシーを傷つける。

3つ目
 

それでもスポーツでは女子カテゴリーの公平性を守る必要があるため、現在は「性別確認」ではなく「出場資格・テストステロン・アンドロゲン作用」をめぐる難しい議論になっている。

医学的に一言でいうと

生物学的性は、染色体だけで決まるものではありません。

染色体は重要な要素ですが、それに加えて、

SRYなどの遺伝子
性腺が精巣か卵巣か
内性器の有無
外性器の形態
ホルモン分泌
ホルモン受容体の感受性
二次性徴
妊孕性
性自認

などが複雑に関わります。

 

 

こういった性分化疾患や性同一性障害を抱えている人たちが、LGBT理解増進法によって、「生きにくい」現状があることも知っておく必要があります。

 

生物学的に男性なのに、タックという手法で男性器を股間に貼り付けて、女性のフリをして女湯に入る事件がありましたが、こういった事例によって本当のトランスジェンダーの人たちまで同一視されるようなことがあっては本末転倒。

 

 

 

LGBT理解増進法は医学的、遺伝的に性の定義をどうするのかを曖昧にしたまま成立してしまいました。

 

今後、色々と問題が出てくるでしょう。


<転載終了>