櫻井ジャーナルさんのサイトより
https://note.com/light_coot554/n/n448f07870a88
<転載開始>

 ドナルド・トランプ米大統領は5月13日に北京を訪問、14日には習近平国家主席と会談したが、トランプが空港に到着した際、習近平は出迎えていない。中国のメディアの扱いも軽かった。そのトランプには技術関連や金融関連の企業でCEOを務める人が目につくと話題だ。

画像
習近平はトランプを出迎えなかった

 技術関連ではアップルのティム・クック、レーザー関連企業であるコヒレントのジム・アンダーソン、半導体製造企業マイクロン・テクノロジーのサンジェイ・メロトラ、通信やコンピュータ関連の技術開発などを行っているクアルコムのクリスティアーノ・アモン、テスラやスペースXのイーロン・マスク、航空エンジンメーカーGE Aerospaceのローレンス・カルプ、バイオ技術企業イルミナのヤコブ・タイセン、ボーイングのケリー・オルトバーグが参加しているCEO。

 また金融関連のCEOは影の銀行と呼ばれているブラックロックのラリー・フィンク、投資ファンドであるブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン、シティグループのジェーン・フレイザー、ゴールドマン・サックスのデイビッド・ソロモン、マスターカードのマイケル・ミーバッハ。

 そのほか食糧ビジネス企業カーギルのブライアン・サイクス、さらにFacebookやInstagramを運営するメタで社長兼副会長を務めるディナ・パウエル・マコーミックも含まれている。

 パウエルはジョージ・W・ブッシュ政権時代に大統領補佐官や国務次官補などを務め、2007年にはゴールドマン・サックスに入社、最終的には同社のパートナーに就任、その後トランプ政権に加わって国家安全保障担当副補佐官を務め、18年にゴールドマン・サックスに復帰、BDT & MSDパートナーズを経てメタ・プラットフォームへ入った。パウエルはアメリカを支配するシステムの仕組みを体現しているとも言える。

 このリストに登場するアメリカのハイテク企業はトランプ大統領が始めた経済戦争に対する中国の反撃で窮地に陥っている。何とか中国政府を宥めたいのだろうが、そう簡単ではない。「脅せば屈する」というネオコンの手口が機能しないことを学んでも良い頃だ。西側ではアメリカが優位に立っていると宣伝しているが、実態は逆である。本ブログですでに書いたことだが、中国のメディアはトランプ大統領をタジキスタンの大統領より下に置いている。これは世界に対するメッセージだ。

 トランプ大統領が中国を訪問する1週間前、中国ではふたりの元国防部長(国防大臣)、元国防部長とは魏鳳和(2018年3月から23年3月)と李尚福(23年3月から23年10月)に執行猶予付きの死刑判決が出された。汚職事件に関係していると言われている。

 その中国では軍部の粛清より前に経済分野での粛清が始まっていた。その根は1978年12月、鄧小平の下で打ち出された改革開放政策。それによって中国へ新自由主義が入り込み、1980年には新自由主義の象徴的な存在で、通貨カルトの伝道師的な存在であるミルトン・フリードマンが中国を訪問した。

 新自由主義はインフレを招き、貧富の差を拡大させ、労働者の不満は強まって社会は不安定化する。この政策を推進していた胡耀邦や趙紫陽は窮地に陥った。胡耀邦は1987年1月に総書記を辞任せざるをえなくなり、89年4月15日に死亡した。

 そうした中、1988年にミルトン・フリードマンは8年ぶりに中国を訪問、趙紫陽や江沢民と会談したが、中国政府はその年に「経済改革」を実施している。労働者などからの不満に答えるかたちで軌道修正したと言えるだろうが、その方針転換にエリート学生は反発した。これを「民主化運動」と呼ぶことはできない。

 新自由主義を支持する学生らは1989年4月15日から6月4日まで天安門広場で中国政府に対する抗議活動を展開した。この活動を指揮していたのは体制転覆の仕掛け人として知られているジーン・シャープ。中国における体制転覆工作の背後にはスポンサーとしてジョージ・ソロスもいたとされている。5月には戒厳令が敷かれた。

 シャープには「非暴力」というタグがつけられているが、間接的な暴力は容認、冷戦期における最も重要なアメリカの国防知識人のひとりとも言われている。核理論家トーマス・シェリングは1960年代にシャープをハーバード大学国際問題センター(現在は、ウェザーヘッド国際問題センター)に招き入れた。1958年にロバート・R・ボウイとヘンリー・キッシンジャーによって設立された同センターは冷戦期の国防、情報、安全保障機関の牙城だったとされている。要するにCIAとの関係が深いのだが、シャープに魅せられた左翼や市民活動家は少なくない。

 この当時から中国の内部では新自由主義を容認する勢力と反対する勢力が対立しているようだ。新自由主義は強欲を「是」とする考え方であり、通貨カルト。資本主義の真髄とも言える。

 1993年から国家主席を務めた江沢民を中心とする上海幇は新自由主義化で富を築いた一派で、天安門事件を生み出した社会問題は解決されていないが、江沢民が2022年11月に死亡してから変化は感じる。通貨カルトの信者たちが日本へ逃げてきても不思議ではない。

**********************************************


<転載終了>