櫻井ジャーナルさんのサイトより
https://note.com/light_coot554/n/n279a94b7cb67
<転載開始>

 オマーン沖で哨戒飛行だったアメリカ軍のAH-64アパッチ攻撃ヘリコプターが6月9日に撃墜されたものの、乗員2名は救助されたとアメリカ中央軍(CENTCOM)は発表した。ドナルド・トランプ政権は「自衛のため」にイランを攻撃するように命令、ホルムズ海峡のケシュム島になどが攻撃されたと伝えられている。アメリカの大手メディアは「報復攻撃」の標的はレーダー施設だったとしているが、イラン側はシリクにある2つの貯水槽が攻撃されたとしている。

 AH-64アパッチ攻撃への攻撃という主張を疑問視する専門家もいる。例えば元CIA分析官のラリー・ジョンソンや退役アメリカ陸軍中佐のダニエル・デイビスだ。ジョンソンは操縦席かメインローターに被弾していたら機体は海に墜落、乗員は死亡していたはずだと指摘。乗員が救助されたという話が成り立つのは、双発エンジンのうち片方が損傷しただけで機能していたか、後部ローターが損傷しただけだった場合だけだとジョンソンは主張している。デイビスは公表された映像が過去のものだとし、またイランのカミカゼ・ドローンが命中したヘリコプターの乗員が生き残るとは考えられないとしている。

 アメリカ軍のケシュム島などへの攻撃に対し、イランはバーレーンにある第5艦隊の基地を攻撃、またヨルダンにあるアメリカ軍の標的4カ所にミサイル攻撃を行い、F-35戦闘機の格納庫を破壊したとイラン外務省は発表。そのほかペルシャ湾岸にある標的20カ所以上をイランは攻撃したとも言われている。

 本ブログでも繰り返し書いてきたように、アメリカとイスラエルがイランを奇襲攻撃して始まった戦争を終結させることは不可能に近い。戦争で事実上勝利したイランは戦争終結の条件として、イランの同盟勢力に対する軍事行動を停止することのほか、ホルムズ海峡の通行をイランが管理し、西アジア地域からのアメリカ軍撤退、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定の策定、イランが被った損害に対する全額補償、すべての制裁および国際決議を撤廃、凍結されたイランの資産を返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することを示し、これに対してアメリカはイランに「降伏」を要求している。トランプ大統領は敗北を認めるわけにはいかない。

 イランは戦争終結につながる有効な合意が可能であり、レバノンとガザの安全も確保できると信じている勢力が政府内にいるようだ。それに対し、アメリカ側が流している「ヘリコプター撃墜話」は交渉を頓挫させることが目的だろうとジョンソンは推測している。イスラエルが戦争終結も認めるとは思えず、必然的にトランプ大統領も認めない。

 これも繰り返しになるが、イスラエルは基本的にイギリスによって作られた国であり、その背景にはエリザベス1世の時代、支配層の内部に現れた「ブリティッシュ・イスラエル主義」がある。アングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だと彼らは信じ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まったのだ。

 その流れの中で19世紀に出現したパーマストン子爵(ヘンリー・ジョン・テンプル)はロシアをイギリスにとって最大のライバルとみなし、「ウクライナ人はわれわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語っている。そのパーマストンはビクトリア女王にアヘン戦争を指示したことでも知られている。

 パーマストン子爵は中国におけるイギリスの権益を守るためにチャールズ・エリオットを1836年に広東へ派遣、東インド艦隊の軍事行動の規制を緩めて清(中国)への軍事的な圧力を強化、1840年にはアヘン戦争を仕掛けたのだ。彼の政策はセシル・ローズ、ナサニエル・ロスチャイルド、アルフレッド・ミルナー、ウィンストン・チャーチルらが引き継いだ。

 言うまでもなく、アヘン戦争でイギリス軍は勝利したものの、内陸部を制圧できなかった。陸軍の力が圧倒的に小さかったからだ。そこで目をつけられたのが日本であり、イギリスの戦略が明治維新に繋がったと言えるだろう。その時に作られた支配構造は現在も生きている。

 1972年9月に田中角栄首相が中国を訪問、周恩来と共同声明に調印、友好関係を結ぶことに成功した。日本と中国が手を組むことはアメリカ政府にとって好ましくなかったが、日本経済にとっては有益だった。その関係を破壊したのは菅直人政権だ。

 菅政権は2010年6月の閣議決定で尖閣諸島周辺の中国漁船を海上保安庁が取り締まれることにして「日中漁業協定」を否定、そして2010年9月に石垣海上保安部は中国の漁船を尖閣諸島の付近で取り締まった。菅政権は田中角栄と周恩来が決めた尖閣諸島の領土問題を棚上げにするという取り決めを壊したのだ。

 1995年から入って日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれ、中国との戦争に備える政策を推進していたが、菅政権の動きはその一環にほかならない。

 同政権は2010年6月の閣議決定で尖閣諸島周辺の中国漁船を海上保安庁が取り締まれることに決め、2000年6月に発効した「日中漁業協定」を否定、そして2010年9月、石垣海上保安部は中国の漁船を尖閣諸島の付近で取り締まったのである。それ以降、日本政府は中国との関係を壊そうとしてきた。

 高市早苗首相は2025年11月7日、衆院予算委員会で「台湾有事」について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言、日中関係は一気に緊迫化した。

 歴代の日本政府と同じように高市首相も「ひとつの中国」を受け入れているので、彼女の発言は中国で内戦が始まった場合、日本は中国に対して宣戦布告するという意味になる。干渉戦争だ。これを「失言」で片付けようとする人もいるが、質疑の流れから考えても確信犯であり、台湾での動きと連動しているだろう。1995年に始まった日本をアメリカの戦争マシーンに組み込む政策の一環だ。言論統制を強化、治安維持法を彷彿とさせる政策を推進、ゲシュタポを連想させる組織を創設する動きも進められている。そうした政策を進めるように指示している勢力が海の彼方に存在しているはずだ。

 高市政権は今年3月31日の閣議で「緊急事態を想定した避難施設の確保に関する基本方針」を決定したが、これも1995年から進めてきた戦争準備の一環だと言えるだろう。大深度地下を掘り進めているリニア中央新幹線も「地下要塞」と解釈することができる。
**************************************************


<転載終了>