https://indeep.jp/is-the-era-of-the-flood-a-symbol-of-chaos-and-rebirth/
<転載開始>
2013年6月、インドでの歴史的な洪水に飲み込まれた聖地リシケシのシヴァ神像
AP, BBC
21世紀に加速している洪水発生件数
現在、ものすごい件数で世界中で洪水が発生しています。個別の事例はひとつひとつは対処できないほど多いですが、そのあたりは後で簡単にふれるとして、今から 12〜13年前にも際立って大洪水が多いときがありました。
以下のような、わりと大げさなタイトルの記事を 2012年から 2013年頃はよく書いていました。
世界中で止まらない「黙示録的な洪水」の連鎖
In Deep 2013年6月20日
私たちが経験している現在の気候変動は次の数万年の人類史への扉かもしれない
In Deep 2012年7月13日
それで、「この 2012〜 13年あたりが洪水のピークだったのかな」とか思うこともありましたけれど、「全然違った」ことを知ります。
以下は、1923年以降のヨーロッパにおける自然災害/異常気象の累積件数を示したもので、水色のラインが洪水です。つまり、過去 100年間の推移ですね。
ヨーロッパにおける自然災害/異常気象の累積件数(1923年 - 2023年)
statista.com
ヨーロッパに限定しているのは、地域的に、古くからの信頼できるデータが残っているからだと思いますが、洪水と嵐の増加が顕著です。
紫のラインが台風やハリケーンを含む嵐で、赤のラインは極端な気温、オレンジが干ばつです。
これは累積のグラフで、たとえば、
・1923年から1939年の洪水の累積数は「11回」
となっています。16年間で 11回の洪水が起きたということになります。
1980年まで時代が進んでも、累積数は 90回となっていて、つまり「 40年間で 90回の洪水が記録されただけ」でした。
それが、20世紀の終わり、あるいは 21世紀に入ってからは極端な増加を示していて、1999年までの累積は「 536回」、2019年には「1,452回」ということになっています。
そして、私が先ほど「 12〜 13年前に洪水の話題をよく書いていた」としました 2012年や 2013年から現在に至るまでは、
「さらに極端な増加数を示している」
ことがわかります。
もう、ずーっと洪水は増え続けているようなのです。
2026年の現状を見ましても、減っていることはなさそうで、世界中で洪水が非常に鋭角的に増え続けていると見られます。
現在、エルニーニョの渦中であり、そして、NOAA (アメリカ海洋大気庁)は、
・エルニーニョ現象が 2027年の初春まで続く可能性は 97%
・非常に強いエルニーニョが発生する確率が 81%
と発表しています。
この「非常に強いエルニーニョ」というのは、スーパー・エルニーニョとかメガ・エルニーニョと呼ばれるタイプのものですが、NOAA は、
「 1950年以降の記録で最大級のエルニーニョ現象となる可能性」
にも言及しています。
地域にもよるでしょうけれど、これで各地で悪天候が増加しないほうがおかしいとも言え、今年から 2027年にかけては、洪水や嵐の増加数は、また「極端」なレベルに達する可能性があります。
洪水は世界の崩壊と新たな創造の象徴なのか
私が洪水について、比較的印象に残る言葉として、ルーマニアの宗教学者であるミルチャ・エリアーデ(1907年〜1986年)という人が『世界宗教史』という著作に書いたとされる以下です。
洪水の原因は人間の罪であると同時に世界の老朽化であることが確認される。
宇宙は、生存し、生産するという単なる事実によって、しだいに退化し、ついに衰亡するのである。これゆえに、宇宙は再創造されなければならないのである。
言いかえれば、洪水は新しい創造を可能にするために「世界の終末」と罪に汚れた人間の終末を大宇宙の規模で実現するのである。
エリアーデという人は、その宗教学において、
「大洪水は単なる自然災害ではなく、人類の歴史における「浄化」「世界の崩壊(カオスへの回帰)」であり「新たな創造」という更新のプロセス」
として捉えていることが、東京都立大学 西山雄二研究室の「すべてを破壊し、すべてを再生させる水 - 洪水伝説と永遠回帰の神話」というページなどにあります。
確かに、現在の洪水の異様な増え方は、
・世界の崩壊 (洪水が物理的に世界を崩壊させるというのではなく、その象徴として)
・そして、新たな創造
という時代に入ってきているのかなとも思います。
かつてより自然災害が深刻な影響を与える理由
そして、今の時代は過去の時代とはまた違ったいろいろな問題があります。
イランとアメリカは、また戦争を再開しており、ホルムズ海峡は完全に閉鎖されたとイラン革命防衛隊は声明で述べています。
今後、どうなるかは相変わらずわからないとはいえ、この数ヶ月で、私を含む多くの人たちは、
「石油や天然ガスと、そこから生成される副産品(ナフサなど)がなければ、私たちの文明生活は成り立たない」
ということを知りました。
戦争の事態がさらに悪化すれば、いつかは「そのような状態(極端な物資の不足)」は、起こると見られます。
アメリカの戦略石油備蓄(SPR)も、かなり「タンクの底」に近づいていて、それで、ここでまた戦争を再開しているのですから、なかなか状況は厳しい気がします。
1989年からの米国戦略石油備蓄(SPR)の在庫推移
Eric Nuttall
アメリカの原油が枯渇するかどうかはわからないにしても、危機的な状況になれば、他国への輸出もそうそう気安くはできなくなってくるでしょうし、世界規模での燃料問題や、石油由来の材料の問題は、今後もずっと出たり消えたりし続けるのでしょう (そして結果的にはどこかで不足が始まります)。
これの何が問題かというと、
「燃料や石油由来の材料が不足した状態だと、自然災害後の復旧活動に影響が出る」
ということです。
今はまだ影響が出る段階ではないですけれど、いつか「復旧したくとも、復旧できない」というような事態にならないとも限りません。
そして、エチレンやナフサがない状態では、医療も危機に陥る可能性が高いですし、いろいろと、これまでとは異なる厄介が伴う可能性はあります。
金融の状態や円安など、他にも日本はいろいろな問題を控えてはいまして、
「全部が一斉に火を噴いた場合」
いろいろと大変だろうなあとは思います。
最近の「誰も予想もしない速さで世界を変えてしまう可能性のある3つのシナリオ」という記事で、著者は、
> それぞれの出来事は無数の他の出来事と相互作用し、単一の出来事だけでは予測不可能な結果を生み出す。
と書かれていましたが、現在はそういう「それぞれの出来事」が積み上がっています。
…なんだか話が逸れてしまいましたが、洪水の激増から、「この世のリセットまで」という道筋を何となく考えた次第です。
締めとして、ここ数日(たった数日です)の世界の大きな洪水のヘッドラインを示しておきます。これでも、ほんの一部です。
2026年7月に入ってからの洪水(の一部)
7月10日 ミャンマー西部ラカイン州で、洪水の中を歩く住民たち。
straitstimes.com
・中国広西チワン族自治区で台風の影響で壊滅的な洪水が発生 (7月6日から現在も続く)
・インド・グジャラート州で豪雨による洪水により26人が死亡。85年ぶりの大雨に(7月6日〜現在)
・ロシアのダゲスタン共和国で洪水により60の集落が孤立 (7月9日〜現在)
・ミャンマーが壊滅的な洪水に見舞われる (7月10日〜現在)
・ミズーリ州南部で鉄砲水が発生し、知事が非常事態宣言を発令 (7月10日〜現在)
・韓国を豪雨が襲い、洪水で1人が行方不明に (7月9日)
・バングラデシュ南部を記録的な豪雨が襲い、ロヒンギャ難民キャンプで土砂崩れが発生し18人が死亡 (7月8日)
・フィリピンで豪雨による土砂崩れにより15人が死亡 (7月8日)
あと、中国では複数地域で大洪水が発生しているようです。
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