https://yocchan-no-blog3.blog.jp/archives/14000542.html
<転載開始>
1989年11月9日、ベルリンの壁が崩壊した。この報を聞いて、東ベルリンの市民はこぞって我先にと解放された壁に向かった。西ベルリンへ脱出するためだ。その様子は全世界でテレビ放映された。
歴史を遡ると、東西の冷戦を象徴する血なまぐさい日々を目にすることになる。1961年8月13日、東ドイツ政府は人口流出を防ぐため、東西ベルリン間の通行を遮断するために高さ3メートルの壁を建設した。全長では約155キロ、市街地は約43キロ。この壁は「反ファシズム防壁」と称され、28年間にわたり東西の市民の自由な往来を阻んだ。この28年間に、約5,000人以上が越境に成功したが、200人以上が死亡し、3,000人以上が逮捕された。
そして、2年後の1991年、ソ連邦が崩壊した。旧ソ連邦は15カ国で構成されていた。つまり、ロシアやウクライナを始めとして、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、エストニア、ジョージア、カザフスタン、キルギスタン、ラトビア、リトアニア、モルドバ、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンである。
そして、1991年に東側を代表する軍事同盟であったワルシャワ条約機構軍が解体された。だが、それに対応する西側のNATO軍は温存された。
ベルリンの壁の崩壊、旧ソ連邦の崩壊、東西冷戦の終了といった一連の出来事は西側にはかってない高揚感をもたらした。今まで東西間に軍事・政治的な緊張をもたらしていた状況が消えて、一種の安堵感、あるいは、安心感みたいなものが漂っていた。
あれから30数年が経った今、西側は何処で、何を、いったいどのようにして間違えてしまったのだろうか。世界はまかり間違えば核戦争が起こるかも知れないという崖っぷちに立たされている。
ここに「クレムリン報道官、特別軍事作戦は本物の戦争に化したとして西側を非難」と題された記事がある(注1)。
本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。
***
クレムリンの報道官であるドミトリー・ペスコフは「特別軍事作戦」が、今や、「本物の戦争」になってしまったと述べ、ウクライナを支援する西側諸国をその変化の原因であるとして非難している。
「戦争が起きている。これは本物の戦争だ。なぜ戦争になったのか分かるかね?すべては特別軍事作戦として始まった。だが、戦争が続いているのは、キエフ政権の背後にベルリンやパリ、ハーグ、オスロ、そして、残念ながら、ワシントンがついているからだ」とペスコフはVGTRK(訳注:ロシアの国営テレビ・ラジオ放送局)の記者パベル・ザルビンとのインタビューで述べた(以下の引用はすべてロシアのニュース通信社インタファクスからのもの)。
ペスコフによると、西側の同盟国はウクライナを支援しており、「衛星を通じて攻撃目標に狙いをつけ、あらゆるインフラを通じて西側の武器をわれわれの目標に誘導している」と言う。
そのような支援にもかかわらず、彼はロシア軍の進軍は止まってはいないと述べた。戦場におけるロシア側の成果を挙げ、コスチャンティンイフカがロシアの支配下になったという主張を繰り返した ― これはウクライナの大統領ヴォロディミル・ゼレンスキーが嘘だと言っている。独立した監視プロジェクトもまだこれを確認してはいない。
「われわれの軍は着実に前進しており、具体的な成果を出していることに疑いはない」とペスコフは語った。
また、ペスコフはロシア国境から数百キロも奥に入った標的に対するウクライナのドローン攻撃についても言及し、ウクライナ軍は軍需産業とは関係のないエネルギーや民間インフラを攻撃していると主張した。彼はこのような攻撃は「キエフ政権によるまったく明白なテロ行為だ」と断定した。
ウクライナへの本格的な侵攻が始まって以来、ロシア当局は戦争を「特別軍事作戦」と呼ぶことにこだわってきた。ロシアのウクライナに対する戦争を公開の場で戦争と呼んだ人たちは、「フェイクニュース」を広めたとして起訴されており、モスクワ市庁のアレクセイ・ゴリノフもそういった事例に含まれる。2022年7月、ゴリノフは軍に関する「フェイクニュース」を禁止する法律に違反したとして刑務所に入れられたロシアで初の人物となった。
その後数年間、ロシア当局は「フェイクニュース」法と軍の「信用を失墜させる」ことを禁止する法律の両方を広範に活用し、長期の実刑判決を下している。
***
これで全文の仮訳が終了した。
ウクライナにおける対ロ代理戦争の状況は悪化するばかりである。
ロシアは西側の政策や攻勢に対して常にそれに反応してきた。プーチンがロシアの大統領になった2000年以降のロシアを見ると、その姿勢は一貫している。国際法に準拠する、法の秩序を守るという姿勢である。2022年にロシア軍がウクライナへ侵攻したのも、ウクライナ東部の2州に住み、ロシア語を喋る住民たちが2014年のマイダン革命時に樹立されたキエフ傀儡政権によって継続的に武力攻撃を受けていたことから、彼らの生命をロシア軍の手によって同胞を防護しようとするものであった。2022年の2月、キエフ側の軍事的攻勢が一段と高まった。これを見かねて、ロシアはこれに反応した。ロシアはこれを特別軍事作戦と名付けた。
別の見方で言うと、2022年の始めにキエフ側が軍事的攻勢を一段と高めたのはロシア軍の侵攻を誘い出すためのものであったと見る専門家がおり、少なくはない。西側の筋書きであったのだ。
その筋書きは、ウクライナにおいてロシア軍を泥沼に引き込み、ロシア経済を疲弊させ、ロシア国内に反政府批判を高めて、国を分断させるというものであった。だが、4年半後の今、地上の現実はこの筋書きとはまったく異なっている。疲弊した西側の経済とは対照的に、ロシア経済は成長しており、ウクライナ東部ではロシア軍が優勢を保っている。ロシア大統領の支持率は極めて高い。
ウクライナの西側半分は歴史的にはポーランドの勢力圏であったことからも、ポーランドが触手を伸ばすかも知れないといった見方がある。最悪の場合、東西の領土をロシアやポーランドによって分断されたら、ウクライナという国家そのものが消されてしまう可能性さえもあると言われている。
西側諸国の傲慢さと無知のせいで「特別軍事作戦」から「戦争」へとエスカレートしたと現状を分析しているロシアは、今後、どのような策をとるのであろうか?
この夏、ドネツクに残されたウクライナ側の兵站や軍事的要衝であるクラマトルスクやスラビアンスクが攻略され、黒海の要港でウクライナの輸出入活動に決定的に重要な地位を占めるオデッサがロシアの軍門に下ってしまうのではないか。ドニエプル河の東側に位置し、ルガンスクやドネツク、ザポリージャ、エルソンの4州以外のいくつかの州の前途はどうなるのだろうか。
また、ウクライナを支援し続けて来た欧州各国は、今回のロシア側の宣言によって軍事的には新たな局面に入ったものと見られる。ロシアの領土内の奥深くに攻撃を行うミサイルを製造する西側の拠点やウクライナに供給されるドローンの製造拠点はロシアからの「オレシュニク」ミサイルの攻撃に曝されるかも知れない。
EU、特に、英国やドイツ、フランスの指導者たちは目を覚ますだろうか?
あるいは、上記とはまったく異なる状況が現出するのであろうか?
ところで、先ほど気が付いた情報をひとつ付け加えておこう。これは7月11日に公開されたダニエル・デイビスが行ったジョン・ミアシャイマー教授へのインタビュー動画での一駒だ。ウクライナ西部の心臓部で今起こっていることについての情報である:
数日前にリヴィウで始まり、今では暴動に発展しているんだ。何百人もが衝突している。これは今のウクライナのメディアからのものだよ。プロパガンダじゃない。ウクライナの徴兵に対する市民の反発が高まる中、何百人もが軍の徴募者と衝突している。リヴィウでの動員活動に対して暴力的な衝突が起こり、それが公式の反発を引き起こしている。見ての通り、大勢の人が通りに出てきている。家族や恋人、妻、動員されようとしている本人だけじゃなくて、本当に大勢が出てきて、暴力が起きている。左下の写真では車両を破壊しているのが見えるよ。
・・・
リヴィウはウクライナ西部における最大の都市のひとつであって、もっとも親ウクライナ的な地域のひとつであると言えるのだが、そのリヴィウで上記のような動員拒否のデモが起こり、軍の徴募者と衝突している。一般庶民が負け戦の現状を理解し、動員を拒否しているのだ。こういった出来事が地方のメディアで報じられているということは新しい政治的局面が、今、ウクライナで起こっているということなのかも知れない。
参照:
注1:Kremlin spokesman says ‘special military operation’ has become ‘a real war,’ blames Western countries: By Meduza, Jul/06/2026
<転載終了>