みのり先生の診察室さんのサイトより
https://ameblo.jp/drminori/entry-12974759386.html
<転載開始>

薬を飲み始めてから、

・味が分かりにくくなった
・食欲が落ちた
・髪が抜けやすくなった
・肌が乾燥する
・口の端が切れる
・傷が治りにくい
・風邪をひきやすくなった


そんな変化を感じたことはありませんか?

もちろん、これらの症状にはさまざまな原因があります。

ただし、その一つとして見落とされやすいのが、亜鉛不足です。

今回、日本オーソモレキュラー医学会のサイトに、「亜鉛不足を招く要因と薬剤 vol.3」という興味深い記事が掲載されていました。

 

 

薬は病気を治療するために必要なものですが、その一方で、薬の種類によっては体内の栄養素を減らしたり、必要な場所で利用しにくくしたりすることがあります。

今回は、薬と亜鉛の関係について、できるだけ分かりやすく解説したいと思います。

 

 

そもそも亜鉛は何をしているの?

 

亜鉛は、私たちの体に少量しか存在しない「微量ミネラル」です。

しかし、少量だから重要ではないという意味ではありません。

亜鉛は、免疫機能や細胞分裂、タンパク質の合成、皮膚や粘膜の修復、味覚や嗅覚の維持など、多くの働きに関係しています。

亜鉛が不足すると、脱毛、皮膚炎、免疫機能の低下、食欲低下、傷が治りにくいといった症状が現れることがあります。

亜鉛不足は、単に「亜鉛を摂取していない」場合だけに起こるわけではありません。

食べていても吸収できていない場合や、体外への排泄が増えている場合、体内での亜鉛の分布が変わってしまう場合にも、不足に近い状態になることがあります。

キレート剤は、亜鉛まで一緒に排出することがある

 

キレート剤とは、体内に蓄積した金属と結合し、尿などから排出させる薬です。

鉛、水銀、カドミウムなどの有害金属を除去したり、銅や鉄などが過剰に蓄積する病気の治療に使われたりします。

ところが、金属と結合するという性質上、目的の金属だけでなく、亜鉛などの必要なミネラルも一緒に排出してしまうことがあります。

つまり、体にとって不要な金属を外へ出す一方で、必要なミネラルまで失われる可能性があるということです。

キレート療法を受ける場合には、治療効果だけでなく、亜鉛や銅、マグネシウムなどのミネラルバランスにも注意する必要があります。

 

 

一部の利尿薬は、尿と一緒に亜鉛を失わせる

 

高血圧や心不全、むくみの治療では、利尿薬がよく使われます。

利尿薬は、腎臓からナトリウムと水分を排出させることで、血圧を下げたり、むくみを改善したりする薬です。

しかし、排出されるのは水分やナトリウムだけではありません。

特に、ヒドロクロロチアジドクロルタリドンなどのチアジド系利尿薬では、尿中への亜鉛排泄が増えることが報告されています。

長期間服用している人で、

「最近、味が分かりにくい」
「食欲がない」
「傷が治りにくい」
「肌や髪の調子が悪い」


といった変化があれば、薬だけでなく亜鉛の状態にも目を向ける必要があるかもしれません。

一方、フロセミドなどのループ利尿薬は、亜鉛よりもマグネシウムやカルシウムの喪失に関係しやすいとされています。

同じ「利尿薬」でも、種類によって失われやすい栄養素が違うのです。

 

 

抗がん剤シスプラチンと亜鉛

 

抗がん剤のシスプラチンは、さまざまながんの治療に使われる重要な薬です。

一方で、腎臓に負担をかけやすいことでも知られています。

腎臓は、必要な成分を体内に戻し、不要なものを尿として排出する「仕分け」を行っています。

シスプラチンによって腎臓の働きが障害されると、本来なら体内に残すはずの亜鉛を保持しにくくなり、尿中へ失われる可能性があります。

また、血液中の亜鉛の多くは、アルブミンなどのタンパク質と結合して運ばれています。

シスプラチンは、このアルブミン上の亜鉛結合部位に影響を与える可能性も指摘されています。

 

シスプラチン治療中に血中亜鉛が低下し、尿中への亜鉛排泄が増えたという報告もあります。

抗がん剤治療中の味覚障害や食欲低下には、薬そのものの作用、口腔粘膜の障害、炎症、全身状態など、複数の原因が考えられます。

そのため、すべてを亜鉛不足だけで説明することはできません。

ただし、亜鉛不足が重なることで症状が悪化している可能性はあります。

食べられないから栄養不足になり、栄養不足によってさらに味覚や食欲が低下する——。

この悪循環を防ぐためにも、治療中の栄養状態を確認することは大切だと思います。

 

 

一部のACE阻害薬と味覚障害

 

ACE阻害薬は、高血圧や心不全などに使われる薬です。

このうち、特にカプトプリルには「チオール基」という構造があり、亜鉛などの金属と結合する性質があります。

そのため、亜鉛の尿中排泄を増やし、血清亜鉛を低下させる可能性が指摘されています。

カプトプリルを服用している人では、味覚や嗅覚の変化が見られることがあります。

もちろん、ACE阻害薬を服用している人全員が亜鉛不足になるわけではありません。

しかし、薬を飲み始めてから味覚に変化が生じた場合には、単に「年齢のせい」「気のせい」と片づけず、服用中の薬や栄養状態を含めて考える必要があります。

 

 

経口避妊薬は、亜鉛の「居場所」を変える?

 

経口避妊薬、いわゆる低用量ピルと亜鉛の関係は、少し複雑です。

経口避妊薬が亜鉛の排泄量を明らかに増やすかどうかについては、まだ十分に分かっていない部分があります。

一方で、血液中の亜鉛を肝臓、赤血球、筋肉などの組織へ移動させる可能性が指摘されています。

体内に存在する亜鉛の総量が著しく減っていなくても、皮膚や免疫系など、亜鉛を必要としている場所で利用しにくくなる可能性があるのです。

これを記事では、体内での再分配による「機能的亜鉛欠乏」と表現しています。

経口避妊薬を服用中に、

・脱毛が増えた
・肌が乾燥する
・口角炎が治らない
・感染症にかかりやすくなった


といった症状があれば、亜鉛を含めた栄養状態を確認してもよいかもしれません。

ただし、これらの症状には鉄欠乏、甲状腺疾患、睡眠不足、ストレス、女性ホルモンの変化など、ほかの原因もあります。

症状だけで亜鉛不足と決めつけないことも大切です。

 

 

血液検査だけでは判断しにくいこともある

 

「血清亜鉛を測れば、亜鉛不足かどうかすぐ分かるのでは?」

と思われるかもしれません。

しかし、血液中の亜鉛は体内全体のごく一部です。

また、食事の時間、採血時間、炎症、感染症、アルブミンの状態などによっても数値が変動します。

そのため、血清亜鉛が基準範囲内だからといって、すべての組織で亜鉛が十分に使えているとは限りません。

反対に、血清亜鉛が低いからといって、すぐに大量のサプリメントを飲めばよいというものでもありません。

検査値だけでなく

・食事内容
・服用している薬
・消化吸収の状態
・アルブミン
・炎症の有無
・皮膚や口腔内の状態
・味覚や嗅覚
・髪や爪の変化

などを総合的に見る必要があります。

 

 

亜鉛サプリなら何でも同じではない

 

亜鉛サプリメントには、さまざまな種類があります。

・酸化亜鉛
・硫酸亜鉛
・グルコン酸亜鉛
・クエン酸亜鉛
・ピコリン酸亜鉛
・ビスグリシン酸亜鉛

・亜鉛酵母

・乳酸菌亜鉛

などです。

元の記事では、酸化亜鉛や硫酸亜鉛は比較的吸収されにくく硫酸亜鉛は吐き気を起こしやすい傾向があると説明されています。

一方、筆者の臨床経験として、ピコリン酸亜鉛、ビスグリシン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛などが紹介されています。

ただし、「この形なら必ず吸収がよい」と単純に決められるものではありません。

 

亜鉛酵母が吸収が良く排泄されにくいので診療所では亜鉛酵母のサプリメントを採り入れています。
 

 

亜鉛は多ければ多いほどよいわけではない

 

亜鉛は大切な栄養素ですが、過剰摂取には注意が必要です。

亜鉛を長期間大量に摂取すると、銅の吸収が妨げられ、銅欠乏や貧血、神経症状を起こすことがあります。

 

だから亜鉛のサプリメントには銅も一緒に配合されているものが多いです。

 

その比率も亜鉛:銅が10:1で。

亜鉛だけを大量に補うのではなく、銅などほかのミネラルとのバランスも考えなければなりません。

 

ちなみに医療機関で処方されるノベルジンなどの亜鉛製剤には銅が含まれていません。

 

 

 

亜鉛単体です。

 

だから長期使用によって銅欠乏性貧血を引き起こすことがあり、私の患者さんでも数例経験しています。

 

 

処方する医師が知らないことも多いので要注意です。

 

 

 

亜鉛に関しては医薬品よりもサプリの方が安全と言えるでしょう。

 

 

 

薬を自己判断で中止しないでください

 

ここで最も大切なことをお伝えします。

この記事を読んで「この薬が亜鉛を減らすなら、飲むのをやめよう」とは考えないでください。

利尿薬、ACE阻害薬、抗がん剤、経口避妊薬などは、それぞれ必要な理由があって処方されています。

突然中止すると、血圧や心不全が悪化したり、治療に支障が出たりする可能性があります。

大切なのは「薬を飲むか、栄養を取るか」という二者択一ではありません。

薬が必要であれば適切に使いながら、その薬によって失われやすい栄養素や、利用されにくくなる栄養素にも目を向けることです。

これが、私が栄養療法を診療に取り入れている理由の一つでもあります。

 

亜鉛が不足しているのであればサプリメントで補ってあげれば良いのです。

 

 

薬には「栄養素への影響」もある

 

医療機関では、薬の効果や一般的な副作用について説明されることはあっても、

「この薬を長期間飲むと、どの栄養素に影響する可能性があるか」

という説明は、まだ十分に行われていないように思います。

けれども私たちの体は、薬だけで動いているのではありません。

ビタミンやミネラル、タンパク質、脂質など、多くの栄養素を材料として生命活動を維持しています。

薬の効果だけを見るのではなく、

・その薬がどの臓器で代謝されるのか
・尿や便から何が失われるのか
・吸収が妨げられる栄養素はないか
・必要な場所で使えなくなる栄養素はないか

という視点を持つことも大切です。

薬を飲んでいるからこそ、栄養状態に気を配る。

薬を長く飲んでいるからこそ、定期的に体の変化を見直す。

それが、安全に治療を続けることにもつながるのではないでしょうか。

味覚の低下、脱毛、肌荒れ、口角炎、傷の治りにくさ、食欲低下などが続いている人は、一度、服用中の薬と栄養状態の両方を見直してみてください。

ただし、薬の中止やサプリメントの大量摂取は自己判断で行わず、主治医や栄養療法に詳しい医療従事者に相談してくださいね。


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